松井玲奈のレビュー一覧
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人生では何回か味覚の変化があるという。
玲奈さんは、今どの辺りにいるのだろうか?
お子さんの頃はかなりの偏食で、食も細かったご様子。
しかし、その頃から、食に対するこだわりは強かったようだ。
・・・今、思ったのだけれど、偏食というのは、食へのこだわりの強さゆえに起きるのではないだろうか?
玲奈さんと食べ物のつながりが、バラエティ豊かに描かれている。
宝石のようなケーキ、一人の秘事の味。
ジャンクの味。
かえらない思い出の味。
泣きながら食べたもの。
ふるさとの自慢。
祖母の味。
母への感謝。
今だからこそ、書けるのだろう。
玲奈さんは今、「大人の味」に目覚め始めた、大人のひよっこだと言う。 -
Posted by ブクログ
「ハンドメイド」夜にホテルで彼と食べるお弁当を作る。
「ジャム」ホラー的。お父さんをはじめ後ろにはもう一人の人がいる。
「いとうちゃん」メイドになりたく上京し、メイド喫茶で働く”いとうちゃん”。体重が気になる。
「完熟」水辺で一心不乱に桃を食べている女性に出会った。大人になっても忘れない。
「リアルタイム・インテンション」仲良しYouTuber三人組。企画で”本音ダシ鍋”というのを食べながら本音を吐いてゆく。
「拭っても、拭っても」男性にふられた”ゆり”。心に傷を負うが、その男性のあるクセが問題で。
の食に関わる六編。
食に関わるといいながらも、いろいろな角度、視線で描かれてて、予想以上に楽し -
Posted by ブクログ
ネタバレ初読み作家の本を読んだとき、ページを開いて何行かで「この人の言葉、好きだな」と思うことがある。
今回久々にその感覚を味わった。どんどん彼女の言葉へ、世界へと引き込まれていった。
話のテイストは違うものでも「カモフラージュ」というモチーフがあるので次はどんな雰囲気の話なのかという楽しみもあった。
こんな話も好きですよ、という松井玲奈の名刺のような作品だ。
誰もがみんな人に言えない心の奥がある。隠しているそれを覗き見してしまったような気分になる。
話としてはそれほど目新しいものではないのかもしれない。だが時々心に刺さるフレーズがあり、清廉さと生々しさを感じさせる不思議な感性が魅力。
作詞をしても -
Posted by ブクログ
女優で、元アイドルグループSKE48の中心メンバーだった
松井玲奈さんによる短篇集。デビュー作です。
6篇の短篇、それぞれがすべて方向性の違うもので、
「どんな枠にも柔軟に対応してみせる」かのように、
自分なりの作品を作り上げています。
意欲的で、野心的です。
そして、文章力や構成力、発想力には確かなものがありますが、
たぶん、6作品を書いていくうちにも、
それらのレベルが上がっていっている印象です。
では、いくつか、感想を。
まず、オープニングを飾る「ハンドメイド」を。
僕もちょっと書く人だから気付くようなところはあるんだけれど、
たとえば細かく語りすぎて野暮ったくならないように、
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