柳田國男のレビュー一覧
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(抜粋)
彼の故郷は、遠野と謂う。
遠い、野と書く。
どこから遠いのか、どれだけ遠いのか、判らない。
いや、元はアイヌの言葉なのである。遠野のトーは湖という意味だそうだから、間違いなく当て字ではあるのだろう。
しかし「とおの」というその読みは、音だけでも一種の郷愁を聴く者の心中に沸き立ててくれるように思う。すぐ目の前にあるのに辿りつけない。見えているというのに手が届かない。そんな儚さ。それでも訪ねてみたくなる、追い求めてみたくなる想いを掻き立てる、そんな愛おしさ。能く覚えているというのにどこか朧げな、まるで幼いころの記憶のような、そんな懐かしさを纏った名であると思う。
いつか読んでみたいと -
Posted by ブクログ
遠野物語
◯動機
遠野にツレと行くので、現地のキラーコンテンツである世界観を知るべく、どんなもんか読んでみようと思った。
◯印象に残った点
・実話の体裁
これは1920年頃の時点で、柳田氏が遠野の住民である佐々木氏が収拾した話を聞き書きしたものであること。ここをスルーするとよくわかんない断片的な話になってしまうので要注意。
・不思議な存在やできごと
これらが実際に見聞きした人や体験した人からのまた聞きらしいが、話が伝言ゲームになってたりリップサービスで盛られてたりしないのか、疑問に思う。
・遠野の人たち(主に男性)のリスクテイクな気質
でかい男につかみかかる、飲んだ帰りにいきなり相撲を -
Posted by ブクログ
ネタバレ長いこと読みたいと思って、ようやく読めました。
思った以上に素朴。
例えば『今昔物語』や『宇治拾遺物語』の方が、体裁を整えようという意図が見えるほど。
ここまで、語り手の話す通りを記録するというのは、逆に難しいのかもしれない。
そこに自分の視点を加えないという、強い意志がないと無理だろう。
その分読み手としては、話が前後していたり、伝わりにくかったりするところも多かったらしく、京極夏彦がそれを整理して読みやすく書き直したのが本書。
怪異には河童とかヤマハハと名がついたものもあれば、ただ「不思議な話」として残されているものもある。
その怪異のおかげで家が栄えた人もいれば、没落した人もいれば -
Posted by ブクログ
遠野物語に載っていない逸話集「遠野物語拾遺」を京極夏彦が再編集したもの
柳田国男の原著「遠野物語拾遺」も併載
遠野での怪異や行われている風習なども多数載っている
逸話の順番が入れ替えられていて、原著では気づきにくい逸話同士の関係などが京極夏彦の解釈として描かれている
訳の仕方や補足で付け加えられている情報など、京極っぽいものを感じる
遠野物語との関係性や出版に至った経緯などの説明も併記されている
個人的に面白かったのは
・餅を食べたいが故に交換条件で色々してくれる「何か」
・子供が仏像で遊んでいたのを注意したら、「折角遊んでいたのに」と夢枕に出てくる神仏
この辺は物語の定番と違った