Tamakiのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ魚ノ丞さんの性格が最初とっつきにくかったのだが、慣れてくると寧ろ成海の性格の方が気になるという。
人のために頑張れる子ではあるが、脊髄反射で言葉にして反省することもしばしば。
そんなところが、終盤に彼女自身が忘れていたことへと繋がっていく。
百鬼夜行がおどろおどろしくなく、設定が分かると必要なことであり、救いでもあるというのはユニークだったと思う。
現代人こそこの百鬼夜行は必要だろう。
その分、魚ノ丞さんやカナくんの負担は増えてしまうが。
その百鬼夜行でも救いきれなかったものは、この二人が救ってくれる。
その光景は、背景に重いものがあるだけに、毎度感動的である。
美しいのだ。
ただその美しさを純粋に崇められないのは辛いところではあるが。
(救う側も救われる側も色々抱えているので)
救済の物語ではあるが、ただの美談ではなく、常にどこかほろ苦さを纏う物語。
成海が抱えていたものも、ざまあ展開にまでは至らないので、罰を受けるべき存在に因果応報の展開は訪れない。
まあ作中にもあるとおり、それを「悪」だと断じるのは、思っているこちら(今の場合は読み手の自分)の尺度で都合だ。
決めつけて批判するのは簡単だが、それは、救われる前の成海と同じような状況。
今までのことを含めて受け入れて、自分自身の力で立ち上がる、歩み出す。
その方が難しくはあるが、尊いことなのかもしれない。
そう考えさせられる話だった。 -
Posted by ブクログ
過去にひき逃げ事故に遭い、一部の記憶を失った春哉は、ある日「誰かに追われている」と突然女性から声をかけられた。そこから「運命の出会い」かのように親しくなり、いつしか恋をするようになった。その裏側で明らかになる衝撃の事実。
「冬」シリーズ第3弾ということですが、これだけでも楽しめる作品でした。突然出会った人を救ったり、恋したりとドラマチックな展開で、あまり現実的ではありませんが、誰かのために奔走する一生懸命さが伝わってきました。
でも、衝撃の事実が明らかになった瞬間、高い所から落下したような衝撃感を感じました。今までの印象が180度変わりました。
帯には「驚愕のどんでん返し、そして・・・温かい涙が溢れる」と紹介されていますが、温かい涙とは言い切れない複雑な気持ちになりました。一応、感動路線を演出していましたが、他の作家さんが同じ内容を書いたとしたら、違う解釈が生まれるかもしれません。いぬじゅんさんの場合、オブラートを包むかのような幻想的な文章だったので、明るめな気持ちにさせてくれました。
ただ、現実的にこのようなことがあったとしたら、軽く済まされて終わりというわけではないので、あまり深く刺されないなと思いました。
衝撃の真実を読み手側がどう捉えるか。賛否はあると思いますが、衝撃としては落差が半端なかったです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を思わせると帯にあったように、どこか彼の思い描いたイーハトーブの空気を感じたように思います。
また、理不尽に訪れた死に対しての向き合い方とか、別れの仕方とかも、宮沢賢治のエッセンスを感じました。
これは間違いなくイーハトーブの物語。
プラス遠野物語の空気も。
死に対して肯定的に捉える人が前半多かったので、後半に否定派の方が出てきたのもよかったです。
誰もが素直に受け止めてしまったら、ただの都合のいい物語になってしまうので。
湯守の正体は分かりやすい伏線が用意されていたので、自ずと察することができましたが、あさひの現状までは考えが至らず、クライマックスでは大いに驚きました。
無事に帰ることができて本当によかった。
「銀河鉄道の夜」のラストが納得できなかったという作者さまのアンサーとして、最後に彼女の親友と電車内でお別れできたのも素敵だったと思います。
この親友の正体にも途中で驚かされましたが……
死者と電車の要素、雪に包まれた東北の大地。
宮沢賢治の物語が好きな人にはたまらない物語だったと思います。
また登場する食事がどれも美味しそうで。
家庭料理から郷土料理まで、逐一美味しそうなので、物語に泣けばいいのか、お腹を空かせばいいのか、大いに悩みました。
ただ言えることは、読み終わった後は、食事の一つ一つをより大切に思えるようになる、ということでしょうか。
日々悔いなく生きて、悔いなく食べたいものです。