グレアム・グリーンのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
The Heart of the Matter タイトルが期待させる。中味は少し深刻。アフリカ植民地警察の副所長スコービーの生活を中心に描かれてゆく。妻、上司、部下、その他の人々に囲まれて、息の詰まる生活が続く。妻への始めの愛はもうない。しかし妻を傷つけまいと常に気を使い、そのために偽りの言葉を重ねる。この欺瞞と罪の生活から逃れるのは一人になること。妻も同じ思いからか、ついに南アフリカに去ってしまう。妻の重荷から開放されたスコービー。だが、難破船から救助された夫を亡くした16歳の少女に憐れみを抱き、それが愛に変わる。再び妻がいたときと同じ捕らわれの状態になる。妻、愛人、神に対して哀れみと偽りと罪の意識を抱き、そこから逃げようとする。その先にはなにがあるのか・・・。この本が描いたのは愛が生み出す孤独か、罪から逃れようとする人間と神の救いとの相克か、死の平安なのか、最後まで分からなかった。作者の心理描写のうまさに感服する。
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Posted by ブクログ
12年ぶり!に読んだ。
感動した感覚は覚えていたけど何が起こったのか覚えてなかった。まったく新鮮に再読した。
おもしろかった。
モルティーザーズ探したけどプラザにもジュピターにも売ってなかった。韓国スーパーに行ってみる。12年前にはなかったよね。韓国スーパー。
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2012/06/14
『死者にかかってきた電話』、『真冬に来たスパイ』、『スピアフィッシュの機密』に続いて読んだ。前3作はどうしても「おっさん目線」が鼻につき、「あー、そうですか。はいはい。」といった感じだった。
この『ヒューマンファクター』は"male gaze"はそれほど気にならなかった。
切ない話。
もっとグレアムグリーン読んでみようと思う。 -
Posted by ブクログ
「無邪気」は、たいていは肯定的に受け取られることが多いと思う。天真爛漫で裏表がない感じ。でも、誰か周りの「無邪気」に、ある種の傲慢さや脳天気さ、無神経さを感じたことのある人は、決して「無邪気」を好意的には受け取らないだろう。
この小説に出てくるアメリカ人のパイルは、無邪気で正義感と理想に燃えている善良なアメリカ人青年。なんだか読んでると、ブッシュを連想してしまうのは偏見かしら。小説の舞台がインドシナ戦争だから、よけいにイラク戦争下のブッシュを連想してしまう。パイルが良かれと思ってやっていることは、じつはちっとも事態を好転させはしない。でもパイルはそこに気づかない。
この小説は、2つの場面がすごくリアル。ひとつは、淡々と描写される戦争の様子。もうひとつは、小説の語り手で老年にさしかかったシニカルなイギリス人、ファウラーの嫉妬。ファウラーの愛人である若いベトナム人女性フォンは、パイルにとられてしまうのだが……「が」がポイント。
淡々とした語り口だから、かえって胸に迫るといえるかも。でもひとつ文句をつけるなら、フォンがまったく受動的で人形みたいなところ。これって、ヨーロッパ男の、アジア女への幻想なのか。それとも、人種や文化的背景は関係なく、単に男の幻想なのか。ちょっと都合がよすぎて、できすぎの感じがするのだった。 -
Posted by ブクログ
主人公カッスルの心情を表わす箇所を一部抜粋。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「信じてないのか?」 「もちろん信じているわ。でも・・・」 階段の上まで”でも”が追いかけてきた。カッスルは長いこと”でも”と生きてきた(中略) いつか人生が子供の頃のように単純になる日がくるだろうか。”でも”と縁を切り、誰からも信頼される日が。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・主人公がイギリス外務省の二重スパイであるという小説でありながら、ハラハラする場面は殆どなく、ずっと静かな"哀しみ”がまとわりついて離れないという感じだった。 物語の全体に人間の悲哀と孤独が流れているように思えた。読み終えたとき、静かで物悲しい気持ちを抱えつつも充足感のつまった長い長いト息を吐きだしていた。