長尾莉紗のレビュー一覧
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かなりダークだけどあり得そうな未来の予測。アメリカが主導してきた開かれたグローバルな秩序の終わりが何をもたらすのか。都市化した多くの国で急速に進む高齢化と人口減少、気候の変動がもたらす食糧供給の変化。
その結果として著者が予測するのは、食糧危機による世界の大部分(自給自足できない大部分の場所、グローバルな秩序が終わっても貿易に参加できる限定された地域を除く大部分)での飢餓、製造業のサプライチェーン断絶による今までのような生活が維持されない世界、人口構造と現在のハイパーファイナンスの終焉による中国の急速な崩壊。そしてそんな世界を尻目に孤立しても生きていけるアメリカ。
2030年台はかなり厳しい世界。コロナ前の数年がグローバルな秩序の精華だった。
中国下げアメリカ上げが少し極端かなとも思うけど一つの世界の見方として勉強になる。
そして著者が希望としてあげるアメリカとメキシコの無関税経済圏もなきものにしかねない第二次トランプ政権が現実をこの本よりも先に進ませている。
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Posted by ブクログ
ネタバレ「全史」銘打つだけあって、第二次大戦の終わりからのイスラエルxパレスチナの攻防の流れを逐次追って書かれている。上巻はインティファーダを経てオスロ合意、パレスチナ自治政府樹立までを扱う。
正直、イスラエル内部の予想外のカオスっぷりに頭が痛くなり、酔いそうになった。イスラエル人とはもっと合理的な人々ではなかったのか? ヨーロッパ出身の教育があり、お金もある層がイスラエルという国の運営を行っており、先進的で洗練された圧政を敷いているイメージがあったが、これでは法治国家とは言えないようだ。
暗殺の手際がお粗末で失敗続きでも継続したり、私的なこだわりから効果の薄いターゲットに力を費やしたり、他国の法も自国の法も犯しまくり、無関係の人間多数が死んでも気にしない、とか、とか。
国を持たず軍隊を持たないPLOは1970年代に大々的な国際テロをやっていた。が、そこで報復に燃えたイスラエルもやっぱり同じレベルで過激なテロリストになったのだった。(それ以前ももちろんテロは常時あったし、ギャングの抗争みたいな殺しあいもやっていたけれども)
1972年、ミュンヘンオリンピックで選手たちが殺される事件ののち、内閣はターゲットが友好国にいる場合でもその国の当局に通告することなく攻撃を承認する権限をメイア首相に与えた。
それがヨーロッパの先進国でも、殺人をやる。国際問題のリスクより暗殺優先を決意した。
テロ、報復の暗殺、報復のテロ、報復の暗殺……作戦のしかけも人数も増え、大掛かりになっていく。
一応あれの報復がこれ、みたいな呼吸はあるものの、こぼれたツケがどんどん積み上がって恨み100倍1000倍となる歴史である。
シンベト(シャバック):主にイスラエル国内と撤退後のガザを含めたイスラエル国防軍占領地区で治安維持活動や防諜活動に従事している。諜報特務庁(モサド)や政治調査センター(ママッド)、参謀本部諜報局(アマン)などと共にイスラエル情報コミュニティーのメンバーであるーーWikipediaより
上記以外にも、イスラエルにはいったいいくつ怖い組織があるんですか という複雑さだが、それぞれ過激な人間が率いて好き勝手に動いていたり。ある意味、ひどい独裁者が統治する国よりも超過激に傾きやすいのではないだろうか。
イスラエルは他国にバレるとまずいことを数多くやらかしているのだが、いろいろなメディアに本人が告白してしまっていたり、興味を持った記者に調べ上げられてしまっていたり、極秘といいつつ脇が甘いようだ。自分の所業を語りたがる人物が多いのかとも思う。本書は著者の調査以外に過去に明らかになった事実の蓄積なしには成り立たなかっただろう。
個人的には、コワモテのイスラエル人の心境に興味があった。
1956年、パレスチナゲリラに殺されたキブツ警護の中尉への、参謀総長モシェ・ダヤンの追悼文。ーー今日は殺人者を責めないでおこう。われわれに彼らの強い憎しみを否定する権利はないはずだ。ガザの難民キャンプから八年間出られないままでいる彼らの眼の前で、彼らやその祖先が住んでいた土地や村をわれわれの財産へと変えているのだから。ーーー
アラブ人から侵入者と憎まれることと向き合う。安全と民族の存続を最優先にして踏みとどまる。そのために報復攻撃をする所存である。殊勝なようだが自分たちの生存のためなら遠慮なく殺すと言っているのだ。アラブ人に憎まれることは理解してやってるとは意外な気がした。
しかし、インティファーダ前夜まで、一般のパレスチナ人は訳なくコントロールできている、とイスラエルの国の幹部たちは考えていたらしい。民衆がPLOの指導なく自分たちで立ち上がるとは、思いもよらなかったという。それが本当なら、その時点では、アラブ人の憎しみにまったく向き合っていなかったと言える。
まるで、いじめっ子が「そんなに嫌がってるとは思いませんでした」と言うのと似ていないか。
ーー情報機関の幹部のほとんどが、力ずくでは占領問題は解決しないことをよく認識していた。ーーパレスチナ問題に関してはリベラルで左派的な見解を抱き、パレスチナ国家の独立を認めて和解する政治的解決策を支持していた。だが、それを堂々と口にするものは誰もいなかった。ーー
これは驚き。パレスチナ人をいくらでも殺していいと思っているかのような暴力的な人物までも、このような見解を抱いていたとは。
オスロ合意、パレスチナ自治政府樹立。あれは幻ではなかったんだなあと不思議に思う。一方で、容赦なくテロや暗殺をしてきた人間たちだから、やはり過激な指導者がいれば引っ張られてしまうだろうとも思う。 -
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OpenAIの初期の出資者でもありAIにも深い理解のある著者の本
ChatGPTとさまざまな方向から未来を語る内容。
そもそも、ChatGPTがこれほどの会話ができることに大きな驚きを誰もが持つだろう。特に英語での会話であるのでここまで会話を引き出せるのか、プロンプトの作り方のプロがやるとこれほどまでにできるのか?(日本語でしかできないがいくつか会話を行ってみた。一月ほどまえではきっとありえなかったほどの深い会話が日本語でもできるようになってきている)
この本をヒントにどのようにAIを助手もしくはパートナーとして利用できるかを考えてゆきたい。
「はじめに」と「第10章」「第11章」が特に興味深く読めた。(内容が高度であることも要因かもしれないが)訳がもう少しわかりやすいこなれた日本語になっていればと何度もかんじた...
もうひとつ、印刷文字が薄い黒にしてある。読みにくい!このようなデザイン配慮は害しかない。 -
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Michelle Obamaさん・Kamala Harrisさんらの自伝に触れて以来、いま目の前のモニターに映る指導者はどんな背景を背負っている/きたのかをぼんやりとだが考えるようになった。政策の前に人となり。
本書の存在を知った直後、第46代アメリカ合衆国大統領の映像を目にしてふと↑の疑問が湧き、読むに至った。決然たる眼差しを見慣れているせいか、あらゆる場面において迷いが見られた時は少したじろいだ。
しかし、と言うかやはり、言葉は実直そのもので、端々から「正しくありたい」という彼の願いを伺わせるものだった。
中盤ご自身の副大統領時代の話を大幅に挟みはしたものの、Putinさんとの軋轢(やり取りがどことなく非現実的なものだった…)にウクライナへの支援と、現在にも直結している問題が多かった。
また、Obamaさんへの巧みなフォロワーシップと一友人として揺るぎないフレンドシップも伺えた。根拠はないし(おい)、もしかしたら多少形も違うだろうけど、それらをKamalaさんもしっかりと受け継いでいる気がする。
御子息らはまさにアメリカンヒーローだった。Beauさんは父親に負けない強固な信念をもって、難病にも打ち勝つ前提で立ち向かっていた。幼くして事故に遭ってからずっと、彼が一番父親を誇りに思い気にかけていたと思う。弟さんも一心同体並みに見事なサポート役を務められていて、本当にかっこいい。
「やがてある日、あなたは自分が生かされている世界で、何かを成し遂げなければならないことに気づく」
Beauさんの死後に届いたある人からの手紙がいま大統領として我々の前にいるBidenさんを形作った一つであると確信している。
そして気づいた。全国民・今ある御家族・そして最初の奥様と娘さん・Beauさんらを彼は背負っているのではなく、彼らと一緒に歩いているのだと。その躍進が終わりを迎えるようにはまだまだ見えない。
「忘れないで、ホームベースに立つんだ、父さん。ホームベースに」 -
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まるで映画や小説のように思えるほど臨場感が溢れる内容。
こんな世界があったのかと信じられない気持ちになり、でもそれが事実なのでとてもやるせない気持ちになる。
明日、日本がなくなるなんて今の自分には想像つかないけれど、イスラエルには国の成り立ちからして闘わないいけないと思ってしまう理由がある。
闘いを続ければ続けるほど、どんどん複雑化しているように思う。
教科書的な事実羅列ではなく、色々な立場の人間のリアルな発言があふれている。
著者のインタビューにかけた時間と労力が計り知れないし、それをこの本にまとめたのがすごい。
翻訳も読みやすかった。 -
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国家とユダヤ人を危害から守るためにあらゆる手段を講じるイスラエル。イスラエルの新聞記者が政府・軍関係者への膨大な聞き取り から明らかにした、イスラエルで特殊任務にあたるモサド、シン・ ベト、アマンの3機関による、諜報活動と要人暗殺作戦の初の通史。
めちゃくちゃ面白そうだけど買う人少ないだろうな・・・と思いながら読み始めました。序文からして恐ろしいにおいがぷんぷん漂うんですけど、あまりに平和ボケした日本人にはかなり衝撃的な内容で、でも怖いもの見たさであっという間に読み終えてしまった。この著者、近いうちに消されるとかない・・・よね?ここまでの証言をよく集めたなあと感嘆しかないです。すごすぎる。筆者のイスラエルへ対する批判的な姿勢は述べられていますが、決してくどくなく、淡々と事実が記されていて客観的な一冊に仕上がっている。下も早く買わないと。翻訳してくれた早川書房に感謝です。 -
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ネタバレスパイやその所属する諜報機関の描写は映画や小説といったフィクションの世界ではよく見かけるが、この本には実際のところインテリジェンスの世界がどのようなものなのかが事細かに書かれている。そもそも諜報機関の内情をノンフィクションとして書くことなどできるのだろうかと思ったが、実際著者はこの本を書くのに並々ならぬ苦労をしたことがうかがえる。その情報収集の結果は巻末の100ページ近い注記に見ることができ、情報の正確さのために多大な努力を払っていることが推察された。また、著者がイスラエルにかかわりが深いこともあり、情報源はイスラエル側のものが多いが、著者個人の主張を極力排し中立な立場で事実を書き連ねるようにしていることも感じられた。
上巻ではイスラエルの建国から第一次インティファーダのあたりまでの期間に各情報機関がどのように設立され、確立されていったかの経緯や、国の生き残りを賭して諜報活動に血道を挙げる状況が様々な作戦行動の描写を通じて綴られる。普段自分が暮らしている日常とは全く想像もつかないような世界があるということを痛感させられた。 -
Posted by ブクログ
黒か白、〇か×かではなく、こうなる確率はいくらなのか? という思考で物事を判断していく。この思考法は今後ますます重要で(今までもそうだったかw)、これが人はビジネスでも他でも決定的に差がつくと思う。著者はポーカーのトッププレイヤー。計算で完結できるチェスではなく、ポーカー的な「運」が左右するのが社会であり、確率に賭ける思考法を具体的に伝える。
とても有用な本なのだが、一つ。この手の本は結構読んでるほうの自分でもちょっと読みにくいと感じて頭が他のこと行ってしまったことが数回w。英語のアメリカ的表現が直訳調の日本語になって意味が通りにくい。もう少し日本語として飲み込みやすくして欲しかったと個人的には思う。