山本芳久のレビュー一覧
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トマス・アクィナスの「神学大全」という大作のうち、感情論にテーマを絞ってトマス哲学の核心的な位置づけと見なされる肯定の哲学という観点から講釈いただけております。哲学者と学生の対話形式で綴られていますので、取っつきやすくかつ日常的な例を挙げてながら進めているので、自分の経験とリンクさせて理解が深まる。
喜びや希望といった正の感情、絶望や恐れ・忌避などの負の感情含めすべての根源的な感情として「愛」があるのだ。絶望・恐れ不安に襲われている際にも、そこには対象「欲求されうるもの」への愛所以という論理を心に留めておくことで、直面している悲惨な現状に対して少しでも拠り所として機能するのではにないか。
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Posted by ブクログ
この本を読み終えると、ホントに「世界は善に満ちている」と思える。
最初はなんか偽善的?なタイトルだなぁと思った。それに「トマス・アクィナス哲学講義」というサブタイトルが付いている。ものすごく難しそうで到底読みきれないと不安に思いながら手に取る。
ページを開くと対話形式になっている。学生と哲学者。少し読むと、とても読みやすいことに気づく。時々引用されている原典の文は、全く歯が立たない、チンプンカンプンなのだが、本書にも書かれている通り、対話になった部分を読んでいくと、なんと、最初全く意味が取れなかったものが、あーそういうことか、と一応わかるようになるのがすごい。
内容は、今の私のために書かれてい -
Posted by ブクログ
中世ヨーロッパの哲学者トマス・アクィナスが記した『神学大全』のうち「感情論」にフォーカスして、教授と生徒の対話形式で人間の感情に関する洞察をなぞる本。
つい先日、自分も「感性」について考察したいたこともあり、それはもうノリノリで読めた。
トマスの感情論は感覚的な説得に依らず、論理的に心の動きを分析することに特徴を持つ。
導入で「希望」という感情の要件を
①善であること
②未来を対象とすること
③獲得困難なものであること
④獲得可能なものであること
とし、もし④が不可能であるならばそれは「絶望」の要件となると示す。「希望」と「絶望」、対極に位置する感情が紙一重の要件境界をまたぐことによって鮮や -
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「その意見は感情論だ!」と言う時、あなたはそれを理性や客観性を失った発言として、少し見下しているかも知れない。トマスアクィナスは、その感情論さえ、論理的に分析できるというのだ。その分析にどんな意味があるのか。どんな景色が見えるのかー この「不思議な哲学と本の世界」に飛び込んでみる。
手始めに、トマスのいう「希望」とはー という解説をしようと思い、本書にピタリと沿って説明する面倒臭さを感じてしまったので、少し捻ってみる。
我々は、毎朝目を覚まして、日々を暮らしている。これは、程度の差こそあれ、自己を肯定し人生に「愛と希望」をもっているからだ。人生はこのように程度で対比されるようなポジティブな -
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ユダヤ教・キリスト教・イスラム教を、三大一神教(セム的一神教)として統一的に捉え、それぞれの共通点・相違点を聖典などを読み解くことで分かりやすく解説してくれる良書
啓示・キリスト・アブラハムなどこれらの宗教における重要なファクターがそれぞれの宗教でどのように扱われてきたのか、著者の一般人に寄り添った書き方で要点を掴んで書かれている
さらに、話は宗教間対話にまで及び、対立構造を取られることも多いこれらの宗教について、過去から現代までの学者の文献を引用して、対話に至るまでの必要不可欠な要素を導く。「みんな違ってみんないい」というような「多元主義」は果たして本当に正しいと断言できるのか?
簡潔 -
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キリスト教って大きい宗教で、歴史上ではたびたび戦争の火種になったりしていて、カトリックとプロテスタントがなんとか…キリストが3日後に蘇って、聖書があって、なんか教会でミサする?
20代後半に差し掛かるタイミングでこんなことじゃいけないかもしれない!と思い、1番わかりやすそうだったのでこちらを読んでみました。
そもそもキリスト教とは、聖書とは、そしてその教えの本質とは、といったことがとてもシンプルにまとめられています。なんといっても回りくどいことが書いておらず、飽きないうちに読み終わるボリュームが良いです。巻末に推薦書も載っているので、これを足がかりに気になった部分から今後も少しずつ知見を深める -
Posted by ブクログ
感情が受動的なものであるという点、東洋哲学や心理学と共通の何かがある気がする。
感情が生まれる過程を微分し解きほぐす説明に、感情の嵐に巻き込まれないヒントがありそうだ。
心理学やらが新たな発見だと言っているようなものと近いのではないか。心の本質的なところは、すでに遠い昔に観想されていたのだなあ。
印象的な言葉
・感情passioは英語のpassive受動的の語源。passioは外界の影響を受動して生まれてくる心の動き全般のことを指していてそれをここでは感情と呼んでいる(p38)
・トマスの感情論を手がかりにすることによって、恐れと絶望は対象を異にした根本的に異なる感情だということがわかってき -
Posted by ブクログ
ネタバレキリスト教初心者にはすごくいいのではないかな、と初心者は思った。ゆったりとした語り口調で、それこそ教会で説教を聞いている気分になってくる。
キリスト教という膨大すぎるテーマを、「旅」を軸に据えて噛み砕いていく本書。「神とはどんな存在なのか」や「キリスト教は現在においてどんな役割」があるのかというところまで話が広がっていく。
個人的に驚いたんだけど、「アブラハムには7人の子」って歌、神から最初に接触されたアブラハムだったのか。アブラハム自身は何も主張せず、善人でもあり悪人(というか過ちを犯す人)でもあり、けれど主を信じるという態度の人らしい。だからユダヤ、イスラム、キリストの3つの宗教それぞれに