トマス・アクィナス 理性と神秘

トマス・アクィナス 理性と神秘

ビジネス・実用
1,078円 (税込)

5pt

西洋中世における最大の神学者であり哲学者でもあるトマス・アクィナス(1225頃―1274)。難解なイメージに尻込みすることなく『神学大全』に触れてみれば、我々の心に訴えかけてくる魅力的な言葉が詰まっていることに気づく。生き生きとしたトマス哲学の根本精神を、理性と神秘の独特な相互関係に着目して読み解く。

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トマス・アクィナス 理性と神秘 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    トマス・アクィナスの主要な思想についての新書。神学の一分野として理解する助けにもなる。

    序

    第一章 トマス・アクィナスの根本精神
    一 トマスの「新しさ」
    二 キリスト教とアリストテレスの統合
    三 「饒舌」と「沈黙」
    四 神秘と理性

    第二章 「徳」という「力」――「枢要徳」の構造
    一 トマス人間論の中心概念としての「徳」
    二 「枢要徳」と「神学的徳」
    三 「徳」と「善」
    四 「節制」と「抑制」――徳の喜び
    五 アリストテレスに洗礼を施す――キリスト教的「純潔」
    六 親和性による認識――枢要徳と神学的徳を架橋する

    第三章 「神学的徳」としての信仰と希望
    一 信仰――知性による神的真理の承認
    二 恩寵と自由意志の協働
    三 神学的徳による人間神化
    四 希望――旅する人間の自己超越

    第四章 肯定の原理としての愛徳
    一 神と人間との友愛としての愛徳
    二 「神からのカリタス」と「神へのカリタス」
    三 神の愛の分担者となる

    第五章 「理性」と「神秘」
    一 受肉の神秘
    二 「最高善の自己伝達」としての受肉
    三 受肉と至福
    四 「ふさわしさ」の論理
    五 人間理性の自己超越性――「神秘」との対話

    あとがき
    参考文献

    0
    2026年03月12日

    Posted by ブクログ

     「親和性による認識」cognitio per connaturalitatemという神学的言葉がある。日常の言葉で言えば「好きこそものの上手なれ」という言葉に表されるような事態を掬い取る言葉である。本書はトマスの徹底的に理性的な思考がいかにして神学的思考と接続されるのかを明らかにする本である。キリスト教はわかりにくいと思われることがあるかもしれないが、本書はキリスト教の基本的な発想を明晰な言葉で表しつつも、西欧の言語で語られるところの神学的問題へと読者を丁寧に導く神学入門となっている。
     本書はその章立てから見て取れるように、トマスの神学の方法論と徳論と愛徳論を扱ったものである。まずはトマスの神学における論の進め方や『神学大全』の項の成り立ちを始め、基本的な内容を押さえる。そして私たちの日常に根ざした問題群である徳を扱う。『神学大全』の中核に位置する徳論を詳述する真ん中の二つの章は、その考察の具体性を知らせてくれるものである。徳論において枢要徳と対神徳とを接続する言葉として冒頭の「親和性による認識」という問題が扱われており、それは単に神学的思考にのみ関わるものではなく、人間の本性をめぐるトマスの一貫した人間論に裏打ちされていることが明らかにされる。
     本書の特徴は、ともすれば翻訳を読む際につい読み飛ばしてしまうような区別を精確に取り押さえていくことにある。通常「神の愛caritas Dei」と訳される言葉の用法として、所有の属格では「神からの愛」と訳され、対格的属格では「神への愛」と訳され得ることが本論において指摘される。この両者の区別を精確に取り押さえることを通して、トマスが指摘する「神の愛」の思想がいかに革新的な内容を含んでいるのかを明らかにしている。そして神学的議論に興味を持ち始めた読者は教義史や異端論争へと関心を抱くことと思うが、まさにそのような読者を念頭に置いた神学的論争の要点を精確に取り押さえていくための手掛かりが与えられるのもまた本書の特徴と言えよう。
     本書を読み解くことを通して学問的にテクストを読み解くことの生き生きとした様子を感じ取ることができ、読者を精確な読解へと招く本書は類まれな神学入門となっているのである。トマス・アクィナスだけでなく、中世哲学、ひいては哲学そのものに興味があるすべてに人に薦めたい一冊である。

    0
    2025年12月08日

    Posted by ブクログ

    著者自身のトマスへの敬意や愛情の込められた解説で初学者にも分かりやすかったです。単なる解説にとどまらず表現の多彩さや例えの豊富さにぐっと惹きつけられました。

    0
    2025年08月29日

    Posted by ブクログ

    中世において、哲学と神学を調和させるスコラ哲学を大成させた大学者として知られるトマス・アクィナスの思索を、トマスのテクストに愛着を覚える著者がそれに従って自らがもつ善を分け与えようと、丁寧な語り口で描いていく
    理性と神秘(信仰)は対立するものではなく、信仰によって理性が新たな次元へとステップアップし、理性によって信仰がより深まるといった形で調和するものだとトマスは言う
    同じく、トマスはアリストテレス主義者としても知られるが、実際はアリストテレスの哲学を援用して自身の神学を補強したことは間違いないが、哲学を神学の婢のままにすることなく、神学を用いて哲学に新たな概念を付け加えるといった形で調和が見られた
    科学合理主義に染まった現代において、理性と対立することの無い神秘(信仰)の在り方や、何かに取り組む際必ず全体的な体系性を意識しつつ取り組むというトマスの思索の仕方など、700年前のテクストながら得られることは沢山あった

    0
    2025年02月02日

    Posted by ブクログ

    前半まではとても興味深いものだった。今まで、アリストテレスの書を引用してキリスト教の世界観に置き換えた権威主義的な人物をイメージをしていたが、その実当時の誰よりも誠実に理解しようとしていた探究者であったことを知れた。
    中途からは自身の不学のため、言っている内容が全くわからなかった。著者の意図が読み取れず、想像の余地すら働かなくなったため、面白さを感じず辞めた。
    思うに、その先はアリストテレス、およびその著作である神学大全についての基礎的な知識が不足しているのだろう。また、いずれその時が来たら読み返すかも知れない。

    0
    2024年05月26日

    購入済み

    読みやすいです

    『愛のあるところ目がある』という一文にひかれた読みはじめました。
    トマスアクィナスの著作に興味はありますが、哲学と神学の素養がなく、
    ボリュームもすごいのであきらめていましたら、このとっつきやすい本が
    見つかってよかったです。カトリックの深さ広さを感じる一冊と思います。
    なぜかガンバロウと思いました。

    0
    2022年08月13日

    Posted by ブクログ

    アリストテレスを受容しつつキリスト教学を確立したトマス・アクィナスにおいてもキリスト教は「愛」の宗教であることが実感できる現代に生きる神学の第一人者の新書。

    0
    2026年07月21日

    Posted by ブクログ

    神学大全は全く馴染みがなかったが、アリストテレスの考え方を取り入れて新しい解釈をしているのが面白かった。

    味わい深くもう一度読みたい。

    0
    2024年06月01日

    Posted by ブクログ

    本屋でタイトルに惹かれて衝動買い。キリスト教嫌いが多いこの国では珍しい「神学者トマス・アクイナス」の入門書である。一般には無視されがちな「神」や「天使」の問題にも正面から扱っているところに好感が持てる。個人的には特に第三章の「徳論」は大いに知的刺激を受けた。近代のカトリック思想に大きな影響を与えた神学者であるだけに、”カトリック入門”としても読める一冊だと思う。

    0
    2019年07月12日

    Posted by ブクログ

    自分のキリスト教への理解が浅はかなもので、「信じる者は救われる」的な、ある意味、思い込みの世界なのかとどこかで思ってしまっていた。トマスも恐らくは一般人の反応はそんなものだと分かっていて、聖書や、アウグスティヌスといった過去のキリスト教の偉人たちの言葉、それらに加えてこの時代に逆輸入されたアリストテレスの思想から、きっとこういうことだ!ということを論理立てて説明していったのだと思う。
    現代では科学的に否定されているため、聖書の物語が史実なのか今更論じられることは少ないが、しかしそれも、人間の認知できない世界があるなら否定し切れるものでもなく、少しキリスト教を信じる気持ちも分かった。自分には、ほんのちょっとキリスト教が身近に感じられた本。

    0
    2026年03月15日

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