あらすじ
「全部」を知らなくとも、理解できる道がある。
世界の三分の一もの人びとが信仰しているのに、日本人にとってはよく分からないキリスト教。しかし、聖書やキリスト教の「核心」に光を当てて、そのつながりを「よむ」ことができれば、理解への道が驚くほどひらけてくる。一神教の鍵「アブラハム」とはどんな人物なのか? 膨大な聖書のどこを読めばいいのか? 聖書の教えはどんな人によって受け継がれてきたのか? それらに通底しているキーワード「旅人の神学」とは? 本格的かつ平易な解説で注目が集まる東大教授による、格好のキリスト教入門。巻末にはキリスト教の理解を深めていくためのブックガイドを収載。
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Posted by ブクログ
本書はキリスト教に興味を持った人に真っ先に薦めたいキリスト教入門である。「学びのきほん」シリーズの一冊である本書は、帯に二時間で読めると書かれている通り、短い紙幅にエッセンスをギュッと凝縮したキリスト教入門である。とはいえ必要な部分だけを解説するというスタイルではなく、アブラハムの宗教と言われるユダヤ教とキリスト教とイスラム教の関わりから説き起こし、何が共通していて何が違うのか、そして聖書には具体的に何が書かれているのかという全体像を示しつつ、そこからキリスト教のエッセンスを旧約聖書、新約聖書、アウグスティヌス、教皇フランシスコ、ヘンリ・ナウエンのテクストそれぞれから析出していくというスタイルを取っている。
本書ではキリスト教はどうして新約聖書だけではなく旧約聖書をも聖典としているのかといった疑問に答える内容が、旧約聖書と新約聖書の重要な箇所を読み解いていくことで自然と理解できるように論が進むのが印象的である。その過程で、旧約聖書における働きかける神の姿、新約聖書におけるイエスの教えの革新さが浮き彫りになる。そしてキリスト教思想を代表するアウグスティヌスの『告白』が如何に現代を生きる私たちに問いかけるものであるかが明らかにされ、現代においてそのキリスト教思想が如何に読み解かれているのかが教皇フランシスコとヘンリ・ナウエンのテクストを通して確かめられる。
本書を特徴づけるのは、冒頭にも記されているように「旅人の神学」という視座である。旧約聖書に始まる神と人との具体的な関わりを読み解くことを通じて、現代を生きる私たちにとって如何にキリスト教思想が「生きた」ものとなりうるかをありありと示してくれる。浩瀚な神学書を読み解くことではなかなか見出すことのできないテクストの核心に迫る叙述は、初学者だけでなく思想研究に馴染みがある読者にとってもまた新鮮な気づきを与え、読者のその後のキリスト教との出会いを力強く後押ししてくれるものである。
キリスト教は愛の宗教である。本書はその内実をいきいきと描き出し、キリスト教の基本的な考えを明らかにし、学術的な著書を通してはなかなか得られない洞察を惜しみなく与えてくれるキリスト教入門である。信仰の手引きとしてではなく、一人ひとりの読者がキリスト教思想のエッセンスに触れていくことを通して、テクストそのものが人生への問いかけに満ちたものとして立ち現れてくるに違いない。基本を確認するためにも、新鮮な気持ちで原点に立ち返るためにも、繰り返し手に取りたくなる必携のキリスト教入門である。
Posted by ブクログ
宗教と、それを信仰する人の心に関心があって、ずいぶん昔から、中学生くらいから?岩波文庫等の聖書を手にしたり、さまざまな本(遠藤周作の沈黙も含む)を読んできましたが、そうか。
旧約も新約も、旅人と、旅人とともにある神なのか。キリスト者が旅人で、イエスの復活も、どこまでも人々の苦しみや悲しさと寄り添ったイエスの姿を、そして、これからも人々に寄り添っていくその姿を、まことに認めることだったのか。
アウグスティヌスの告白も、読んでみようと思いました。
Posted by ブクログ
キリスト教って大きい宗教で、歴史上ではたびたび戦争の火種になったりしていて、カトリックとプロテスタントがなんとか…キリストが3日後に蘇って、聖書があって、なんか教会でミサする?
20代後半に差し掛かるタイミングでこんなことじゃいけないかもしれない!と思い、1番わかりやすそうだったのでこちらを読んでみました。
そもそもキリスト教とは、聖書とは、そしてその教えの本質とは、といったことがとてもシンプルにまとめられています。なんといっても回りくどいことが書いておらず、飽きないうちに読み終わるボリュームが良いです。巻末に推薦書も載っているので、これを足がかりに気になった部分から今後も少しずつ知見を深めることもできます。とりあえず「キリスト教」とは?ほぼ何もわからん!けど難しい本は寝てしまうって人におすすめです。
Posted by ブクログ
キリスト教初心者にはすごくいいのではないかな、と初心者は思った。ゆったりとした語り口調で、それこそ教会で説教を聞いている気分になってくる。
キリスト教という膨大すぎるテーマを、「旅」を軸に据えて噛み砕いていく本書。「神とはどんな存在なのか」や「キリスト教は現在においてどんな役割」があるのかというところまで話が広がっていく。
個人的に驚いたんだけど、「アブラハムには7人の子」って歌、神から最初に接触されたアブラハムだったのか。アブラハム自身は何も主張せず、善人でもあり悪人(というか過ちを犯す人)でもあり、けれど主を信じるという態度の人らしい。だからユダヤ、イスラム、キリストの3つの宗教それぞれに登場するし、悪くは言われてないとのこと。
イエス・キリストって深く考えてなかったけど、イエスが固有名詞、キリストは「救い主」らしく、イエス・キリストは「キリストは救い主です」という、言い方そのものが信仰の告白らしい。
P70で神の存在を「全能なわけではなく、寄り添い、ともに傷つき、見守っていてくださる存在なのだ(要約)」として、以降はそれを前提として話が進んでいくんだけど、遠藤周作の「沈黙」内で主人公が辿りつく神の解釈と合致しすぎてて驚いた。遠藤が熱心なキリスト教徒だってことは知っていたけど「沈黙」自体は普通に創作物だと思って読んでいた。でも、結構聖書のセルフ解釈みたいな本だったのかな。