【1話】〜【幼魚と逆罰編】までと、
【死滅回遊編】が好きだった。
序盤で多用されてた経過報告的なモノローグは後発の作品にどんどん取り入れられるだろうなってぐらいカッコよかったし、【死滅回遊編】のアクション描写と各バトルの決着の付け方は毎度工夫がなされてて全バトル面白かった。
少年誌としては場違いなパチンコや裁判みたいな題材選びもあったけど、そんな題材にも真摯に向き合う姿勢はカッコよかった。
あんな【ハンターハンター】リスペクトな設定の数々を毎度毎度 解説しながら、年単位の長期休載を挟むことなく30巻、完結まで描き切ったことは本当にすごいと思う。あれだけの設定をひとりで管理しながら、バトルの展開を考えて…、ストーリー構成を練って…、しかもそれを週間で……なんて芸当ができる作家さんはそうそう居ないんじゃないかと思う。
ただ、同時期に完結した【ヒロアカ】とはあまりにも対照的な形で幕を閉じてしまったな…っていう印象だった。
他作品からの過剰なオマージュの数々や、次々と破綻していく場当たり的な設定で繕われた作品がSNS全盛の時代に生まれたことで、毎週毎週 設定の矛盾を指摘され、そうかと思えば【鬼滅の刃】に続く大ヒット漫画として祭り上げられ、その裏で他作品のパクリだと盛大に叩かれ続ける……。
あとがき からも推察できるように 作風に指摘を受けること自体には芥見さんも心当たりがあるようだったので、その点はもう自業自得な気がするし、はたから見てても【ハンターハンター】だけではない あらゆる人気漫画からの、オマージュとは名ばかりの引用が散見していたのは誤魔化せない点ではあると思うから、あとがき読んでてホントなんかギャンブル依存症の人が「ギャンブルがダメなのは分かってるんだけど、そういう人間なんで辞められないんです…」みたいな弁明を聞かされてるみたいで、色々とキツかった。
本編のラストに あの.あとがきが存在していること=【呪術廻戦】という作品が、面白さどうこうは置いておいて、ひとつの創作物として芥見さん的にはバッドエンドだったんだろうなっていう気持ちになった。
同時期に完結を迎えた【ヒロアカ】が全身全霊で物語を畳もうとしていたのを見ていた分、より【呪術廻戦】の、キャラクターそれぞれの落とし所だったり、あれだけ宿儺戦をじっくりとやってきたのにも関わらず 決着に向かっての盛り上がりを用意しなかった平坦な構成や、重要な後日談で逆に駆け足になるオチの呆気なさとかの不満点が際立っていたように思う。もう本当に週刊連載が精神的に厳しかったんだろうなと、思わずにはいられない終わり方だった。
売れてたのも、話題になってたのも、間違いなく【呪術廻戦】の方だったはずなのに、連載が終わってみればファンに愛されてたのは断然【ヒロアカ】だったってオチはあまりにも不憫。
話題になって沢山売れることが「人気漫画」の証ではないんだなと心から痛感させられる作品だった。
【死滅回遊編】のバトルは毎度納得のいく気持ちのいいオチが用意されてたのに、【新宿決戦編】はなんで終始絵に描いたような殴り合いばかりで終わっちゃったんだろう。ゴリ押し「黒閃」からの「共鳴り」だけだったのは残念。
「一億総呪霊」展開は当たり前に来るもんだと思ってたし、それが実質のラストバトルで最終的に呪霊から日本を救って終わるんだとばかり…。来ないこともあるんだ。
ありがとうございました。