三浦しをんのレビュー一覧

  • 秘密の花園(新潮文庫)

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    那由多、翠、淑子を中心に描かれる
    カトリック系女子校を舞台にした物語。

    少女性というくらいで
    なぜかこの年頃の女の子にはなにかしらの神秘性がある。
    実際は、恋と勉強と食欲と未来への希望と不安、てなとこだろうけど
    小説の世界では、その日常の中のほんの少しの聖なる輝きを取り上げることが多く
    そんな感覚は男目線独特なのかと思っていたけど
    三浦しをんは同じ女性。
    なんだろうこの人、不思議…

    とはいえ、
    社会を知る前の、大人になる前の、
    女子特有の潔癖な感じとか孤高な感じとか凛とした思考回路とか
    とうに過ぎ去った身にしてみれば
    まぶしいかもしれない。

    だってもう、私は自分の身を案じる男性教師側の思考になっちゃってるから。
    自分だけが歳を取っていき、目の前に現れる生徒たちは永遠に若いままだと感じる老教師の側になっているから。

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    2018年04月21日
  • 乙女なげやり(新潮文庫)

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    清くも正しくも美しくもなくたって、進め、乙女。

    しをんワールド。友人に居そうな、いや、居なさそうな。100%前向きに生きられなくても、楽しいことを見つけて、生きていける。なれ合うのは堕落!ダメ!とか思っている人にはお勧めしない。

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    2018年04月08日
  • ふむふむ―おしえて、お仕事!―

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    しをんさんが仕事を持っている女性に対してインタビューしたもの。
    インタビュアーが、割合脱線気味になっているのを、インタビュイーがコントロールしている感じが、作者らしくて面白いですね。
    仕事小説はしっかりしているけれど、エッセイや対談だとちょっと外れるってのが特徴的。(^^

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    2018年03月19日
  • 悶絶スパイラル(新潮文庫)

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    エッセイははじめて読みましたがこんなに面白いお人だとは…。
    日々何て楽しそうなのだ。
    哀しみ漂うエピソードまでこんなに可笑しいなんて。

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    2018年03月10日
  • ふむふむ―おしえて、お仕事!―

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    巻末の解説が面白かったです。女の人達の会話って…そうそう、そうなのよね。
    本文も、ふむふむでした。自分の仕事もがんばろーと思いました。

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    2018年03月02日
  • あやつられ文楽鑑賞

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    三浦しをん 「 あやつられ文楽鑑賞 」文楽(人形浄瑠璃)の紹介エッセイ。あとがき(文楽の放つ魅力)が 役に立った。人形が演じる人間ドラマは たしかに 面白そう。「女殺油地獄」見てみたい

    文楽が放つ魅力
    *太夫の語り、三味線、人形のぶつかり合い
    *舞台と客席の一体感
    *人形が演じる人間ドラマ
    *そこに人間の本質がある


    「型とは、不自由な取り決めではなく、物語世界を最良の形で観客に伝えるための 練り上げられた枠」

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    2019年09月15日
  • ふむふむ―おしえて、お仕事!―

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    小説家三浦しをん氏が、様々な職種の16人の女性たちにインタビューをする一冊。三浦さんってこんな明るい方だったんだ、というのを始めて知った。漫画家アシスタントの方の話がなんだか胸に残ったかな。同じクリエイターだからかも。こういう、仕事をする女性の話をまとめた本は好きだ。読んでてわくわくする。

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    2017年12月29日
  • 舟を編む(下)

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    ネタバレ

    完結巻。西岡の悔しさと松本先生の手紙には涙が… 西岡もまじめもお互いを信頼しているのがいい。おじさんの熱い絆、ね。岸辺さんもいい辞書編集部員になったねぇ。ふたりを見守る香具矢さんが可愛い。

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    2017年11月19日
  • 舟を編む(下)

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    あー……そうだった、松本先生、まにあわなかった……ああそうだった、原作読んだとき、すごくしんどかったのだった、そうだった思い出した……。
    老けた馬締が実に馬締だしチャラいおじさんな西岡も実に西岡という感じである。すばらしい。
    あとおまけの「いつもの西岡くん」ねー!ありがたいなー!

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    2017年11月16日
  • 白いへび眠る島

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    夏から読み始めたが、秋に読み終わった。読後感は爽やかだが、前半読み辛くて進めなかった。犬丸の飄々とした感じがいい。

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    2017年09月27日
  • 悶絶スパイラル(新潮文庫)

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    なんてことない日常も、なにもないわけじゃなくて、過ぎ去ってく時間のひとつひとつが妄想フルで大騒ぎで楽しい時間たち。

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    2017年09月06日
  • 白いへび眠る島

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    昔からのしきたりを守る、閉鎖的な島。人と人のつながりは濃く、淀みすらそのうちに抱く。同じころに生まれた長男同士にはじねんきょうだい(漢字忘れた…)という関係を結ぶ。主人公は高圧的な父親と島の世界に息苦しさを覚え、高校を島外に進んだ少年。彼は一年に一度、お盆の時期に行われる村のお祭りのために帰省していた。船に弱く、島の中では“不思議”を見てしまう少年。親友でじねんきょうだいであるもう一人の少年にだけはその質を話していて、助けてくれるが、そのことにも彼は心の中で少しばかりの卑屈を育てていた。
    長男だけが残ることを許された島。その中で確かに力を持つ神社の次男が居座っている。それがもたらす島の中の保守派と穏健派の亀裂。少年に降りかかる様々な不思議。白蛇をあがめ、そのための祭り。その中で動き出すものは…。

    しをんさんの美しい文章を楽しめる、のはいいのだけれど、この手の話は少し密度不足な気がする。恩田さんのようなおどろおどろしい雰囲気には今一歩。それでも夏の夜のお供にはなかなか面白く読んだ。

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    2017年09月02日
  • 本屋さんで待ちあわせ

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    「本屋さんで待ちあわせ」ってタイトルが素敵( ^ω^ )
    私も待ちあわせは本屋さんでしたい(笑)

    とにかくいろいろなジャンルの本を読まれるんだなと尊敬!
    守備範囲広過ぎ!!

    ついついジャンルが偏ってしまうので、もっと幅広く本が読めたらと改めて考えさせられた。

    『本を読めば人格が磨かれ、知識が深まり、情緒が豊かになるかというと、そうでもないことは我が身で検証済みだ。』
    に三浦さんがどうかは分からないけど、私個人的に賛成(笑)

    あと、最後のBL小説&漫画に対する熱い想いがビシビシと伝わりました(笑)

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    2017年08月28日
  • 夢のような幸福(新潮文庫)

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    とあるネット掲示板で、落ち込んだときは小説よりエッセイの方が効く~という意見があり、興味が湧いたので読んでみた。

    いやー、笑った笑ったw
    三浦さんの小説は一冊も読んだことないんだけど、こんな愉快な方なのね♪-(^∀^人)
    名作漫画/小説の考察からB級(?)映画評論まで、とにかく面白いものの見方をする人だなと思った。あと、ネーミングセンスが素晴らしいよ!
    家族や友人の話も面白かったけど、いちばん笑ったのは、宅配便を待っている間に一人芝居「ドラ○もん」ごっこをしていた~っていう話。面白すぎ!!笑

    ちょっと心に響いたのは、つっこみどころ満載の映画についての話で…
    〝どんな映画に対しても愛を持ち、少しでもいいところを見つけて褒めよ、と故淀川長治先生はおっしゃった。私も同感だ。何について語るにしても、その対象への愛がなければならぬ。愛がないのなら黙して語らずにおけ。〟(58頁)
    なるほどなーと思った。どんな駄作だろうと何か語ることがあるというのは、そこに愛があるということなんだなぁ*

    それにしても、エッセイでこんな笑えると思わなかったわw
    落ち込んでるときに受け付けられるかどうかは分かんないけど、これはオススメ!d(゚ω^〃)

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    2017年08月04日
  • 白いへび眠る島

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    島の言い伝えにまつわる不思議な経験を通して、少年たちが成長していく物語。ファンタジーながら、古くからの言い伝えとなると少しこわくなった場面もあった。

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    2017年09月09日
  • 黄金の丘で君と転げまわりたいのだ 進め マイワイン道!

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    初心者向けのワイン講座でした。ワインを勉強するのに憧れるけどこれ読んで無理ーってなる。
    銘柄は本当に発音もできないし意味不明だし。
    せめて好みのワインがわかるようになりたいものよ。

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    2017年05月28日
  • 桃色トワイライト(新潮文庫)

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    ネタバレ

    再読。しをんさんのエッセイをこうまで連日読んでくると、このフシギな世界が標準で、読んでいる私の世界が異質なのかと勘違いしそうになる。「仮面ライダークウガ」見たくなるわー。

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    2017年02月09日
  • 乙女なげやり(新潮文庫)

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    ネタバレ

    再読。相変わらずマンガを読んだり、映画を見たり、ドラマを見たり、妄想したり、を繰り返しています。それだけなのに、この安心感と楽しさ。フシギ。

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    2017年02月07日
  • ふむふむ―おしえて、お仕事!―

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    三浦しをんさんが、技能と情熱をもって働く15業種16人の女性に直撃インタビュー。知られざる世界を垣間見ることができるお仕事探訪記。
    お話が凄くストレートだなぁと感じた。好きなことを飾らずに語るのは職人の女性ならでは。男性だと自尊心が邪魔をして、どんな成功者でも嫌味に聞こえる部分が出てきてしまう。もっとも、三浦さんの人徳が大きな要因かもしれないが。

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    2017年01月24日
  • 能・狂言/説経節/曾根崎心中/女殺油地獄/菅原伝授手習鑑/義経千本桜/仮名手本忠臣蔵

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    我が家から五十メートルばかし行ったところに「口の芝居跡」という碑が立っている。その昔、京・大阪の芝居小屋にかける前、全国から伊勢参りに来る旅人目当てに、ここで演じて評判が良ければ大受けまちがいなしとして、試演される芝居小屋だったと聞く。有名な歌舞伎役者もこの芝居小屋の舞台に立ったこともあって、古市は歌舞伎とは縁が深い。『伊勢音頭恋寝刃』の舞台となった油屋跡では町の若い衆によって小屋掛けの地芝居も演じられた。父は坂東庄雀という名を持つ立女形で、「伊勢音頭」ならお紺、七段目ならお軽というのが役どころだった。

    芸事の好きな人も多かったのだろう、歌舞伎衣装や大道具小道具を扱う道具方や浄瑠璃、義太夫を語る人もいなければ幕は開かない。ほんの子どもの頃、父に手を引かれて夜道を歩き一軒の家を訪れたことがある。小さい頃のことで、覚えているのは老人が何か唸っていた記憶があるだけだ。浄瑠璃か義太夫か、どこぞのご隠居の趣味につき合わされたわけだが、おぼろげに首実検の話だったと記憶しているのは、幼心に気味悪かったからだろうか。

    そんなこともあって、小さい頃から父につき合ってテレビの歌舞伎番組を見るようになった。地方公演があれば劇場にも足を運んだが、『仮名手本忠臣蔵』なら七段目、『義経千本桜』なら鮨屋、『菅原伝授手習鑑』なら寺子屋と、限られた場面しか目にすることができないのが常。有名な場面ばかりをぶつ切れで見せられても、今一つよく分からないのが歌舞伎のお約束、吉野下市の鮨屋の弥助、実は平維盛、といわれても何のことやら。

    もともとは通し狂言で演じられてきた演目が、見た目の美しさや、歌舞伎らしいスペクタクル性、人情の機微に触れる口説き場面の有無などから、ひんぱんに演じられる場面とそうでない場面の差が生じ、現在ではいくつかの場面に限って上演される形態が普通になった。国立劇場などでは、現在でも通し狂言がかけられることもある。ただし、全部見ようと思えば一日がかりの観劇になるので、見る方にもそれなりの覚悟が必要になる。

    ところが、この巻では人気の高い『仮名手本忠臣蔵』、『義経千本桜』、『菅原伝授手習鑑』の浄瑠璃を初めから終わりまで通して読むことができる。それも人気作家による現代語訳で。何というありがたい企画だろう。通して読めば、吉野の鮨屋が平家の跡継ぎという設定も、それなりにではあるがのみ込むことができる。なにしろ、維盛だけではない。知盛も能登守教経も、実は死んでおらず、生きて潜伏していたという設定なのだ。この辺のいい加減さというかアヴァンギャルドさが歌舞伎(浄瑠璃)ならでは。SFでいうパラレルワールドである。

    橋本治がその著『浄瑠璃を読もう』のなかで『仮名手本忠臣蔵』を論じ、お軽という腰の軽い女と、それにすっかり夢中の勘平という若侍の、時と場所をわきまえぬオフィスラブが原因で起きた悲劇と説いている。本を読んだとき、それが今一つよく分からなかったのだが、今回『仮名手本忠臣蔵』を通して読んで、初めてその言わんとするところがよく分かった。

    年末になると、テレビでもよく取り上げられる忠臣蔵だが、忠義の臣が主人の恨みを晴らすため、艱難辛苦に耐え、晴れて仇討に成功するという、日本人大好きのストーリーは、小説、映画をはじめ、講談や浪曲などのサイドストーリーを入れてふくらませたもので、『仮名手本忠臣蔵』そのものは、まったくの別物。お軽、勘平、加古川本蔵の娘小浪と大星力弥、天河屋義平とその妻園らの男女の愛が物語の中心になっている。吉良邸ならぬ高師直邸内への討ち入りなどもあっさりとしたもの。

    討ち入りの合言葉といえば、「山」「川」だが、実は天河屋の義に感じ入った由良之介が「天」と「河」にしたところ、後世誤ってと伝えられたとか。地名尽くしやら、掛けことば、地口、洒落、かなり際どい性的なくすぐりも入れた浄瑠璃は語り物。それを読み物として読むのは、目からウロコの体験だった。儒教倫理にからめて、あたかも忠義がメインテーマのように持ち上げられがちな忠臣蔵も、浄瑠璃で読んでみると、その内実はもっとおおらかで、猥雑さすら感じさせるエンタテインメント性に溢れている。また、そうでなくては町人に喜ばれるわけもなかったろう。

    『義経千本桜』も、「鮨屋」や「寺子屋」では、自分の妻や子の首を切り、主人の身代わりとする場面にばかり目を止めがちだが、空気の読めない弁慶のキレッキレの暴れっぷりに義経主従が閉口する場面や、渡海屋銀平実は平知盛や横川の覚範実は能登守教経の胸のすくような奮闘ぶりがふんだんに用意されていて、明暗のバランスもよく考えられている。

    浄瑠璃は他に『曽根崎心中』と『女殺油地獄』を含む。特に後者における主人公与兵衛の描き方は、義理や忠孝といった観念的な倫理観に縛られた当時の浄瑠璃に登場する模範的人物像とは異なり、どうしようもない大阪商人の次男坊を描いて、駄目人間のかなしさをこれでもかとばかりに追求している点で瞠目に値する。真面目に生きようと思ってもそれができない与兵衛のような男は、現代でもそのままで通用しそうだ。人間観察のリアルさが半端ない。

    他に能、狂言、説教節を収録する。説教節『かるかや』は、これも小さい頃、高野山の土産にもらった『石堂丸』の絵本を思い出し、当時の切ない気持ちが改めて胸に迫った。大衆に仏教を信心することの大切さを宣伝する目的があっての説教節だが、突然、道心を発した父親のせいで、妻や子の一生が左右される、その理不尽さ。まさに宗教とは阿片だ。伊藤比呂美の訳も出色の出来。文学というと書かれたものにばかり目が行きがちだが、こうして語り芸に光を当ててみたとき、日本文学の底流を成すものとして、その果たしてきた役割の大きさを改めて感じる。

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    2016年11月21日