山尾悠子のレビュー一覧
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ああ・・・
なんて幻想的・・・
いや、幻惑的?
5篇の中短篇の物語からなるこのラピスラズリ・・・
読み終えた後も、何度かチョコチョコと読み返してみても、この本の全体像がボヤけてしか見えない・・・
物語のピースをこういうことだろうか?と組み立てていっても・・・
ハッキリした形にならない・・・
『正解』に近づこうとも近づけない・・・
ああ・・・
でもでも、それはそれで良い気がする・・・
そして、そのせいなのか?読み終えた後のこの余韻たるや・・・
こんな不思議な余韻はなかなか感じられない・・・
何だか美しいモノを見た(読んだ)ような・・・
ああ・・・
こ・と・ば・に・で・き・な・い!
眠い眠いとな -
Posted by ブクログ
格別敬遠していたわけではないが、
この年になってやっと山尾悠子を読む気になった。
が、遅すぎはしなかった――というより、
人それぞれ、物事には適切なタイミングがあって、
自分にもやっと、そのときが巡ってきたのだと思った。
冒頭の語り手が深夜営業の画廊で銅版画の連作を目にし、
イメージを膨らませていると、店主がそれらの絵解きをする。
後の物語で、
その銅版画のモチーフになったと思しい事件が叙述されるが、
それらの物語が連続・連結しているとは限らない。
ただ、某かの関連を持つことは窺えて、
連屏風を眺めるような印象を受ける。
もしくは物語同士が少し遠い血縁でもあるかのような。
広大な屋敷には、 -
Posted by ブクログ
山尾悠子さん、存じ上げませんでした。1980年に25歳で刊行した本作、44年の時を経て文庫復刊って、名作? 初夏は過ぎましたが、今に相応しいタイトルと復刊の魅力に惹かれ、手にしました。
死者と生者を仲介人がつなぐ物語‥‥そうそう、ありましたね、そんなお話。4編からなりますが、共通点が、死者と生者を仲介する日本人ビジネスマン"タキ氏"。
そして、4編とも舞台は日本ではない異国の地。さらに、共通してヒロイン的な少女、または幼さを残す女性が登場します。
少々特異に感じたのは、「つなぐ依頼は死者側から」という設定で、生者の未練や願いを果たす、謎の解決ではない点です。また、タキ氏からはビジネ -
Posted by ブクログ
20代のころから近年までのエッセイや書評、編者として関わった本の解題など、小説以外の文章をまとめた散文集。
山尾先生と本の趣味が合いすぎる。ミルハウザーのモルフェウスのやつ訳してほしいですよね。漫画の話はしてないけど山田章博ぜったい好きだと思う。解題でも自作解説でも、〈批評なんていくらでもできるけど好き嫌いの話だけをしていたい〉という声が聞こえてくるような可愛らしく開き直ったスタンス。
小説以外と言いながら真ん中のあたりにちょっと小洒落た大人の童話みたいな文章がまとめられていて、倉橋由美子と金井美恵子の影響にどっぷり浸かっていたのが如実にわかる。昔の作品でも『作品集成』に収録されているよう