【感想・ネタバレ】増補 夢の遠近法 ──初期作品選のレビュー

あらすじ

「誰かが私に言ったのだ/世界は言葉でできていると」――未完に終わった〈かれ〉の草稿の舞台となるのは、基底と頂上が存在しない円筒形の塔の内部である“腸詰宇宙”。偽の天体が運行する異様な世界の成立と崩壊を描く「遠近法」ほか、初期主要作品を著者自身が精選。「パラス・アテネ」「遠近法・補遺」を加え、創作の秘密がかいま見える「自作解説」を付した増補決定版。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

面白かったです。
幻想的で残酷な、崩壊していく美しい世界に浸りました。
「夢の棲む街」「遠近法」「透明族に関するエスキス」が特に好きでした。
夢の~は、人でないもののグロテスクな描写が素敵で、そしてカタストロフィーへ…
遠近法は、《腸詰宇宙》が圧倒的な存在感で構築されていました。絵画のようです。
明族~は、透明な侏儒がぱん!と弾ける様が目に見えるようでした。透明でぎちぎちと犇めきあうのを、踏み潰すと可視性の内容物(酷い悪臭をもつ)が現れるのがグロテスク。
短編でも、残酷さがあって充足しました。
ほとんど、わたしが生まれる前に書かれてるんだな…。
この初期短編集のあと長い休筆期間に入られてたそうですが、最近は執筆されていて、山尾さんの新作が読めるのが嬉しいです。

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2019年09月23日

Posted by ブクログ

大人向けファンタジーな本。

どのお話も独特な世界でグイグイ惹きつけられます。言葉の選び方もステキで、何度でも読み返したくなる。

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2015年11月01日

Posted by ブクログ

これは言葉という幻知が練成した、徹底して精緻に描かれた細密画だ。選び抜かれた言葉の一片一片が絢爛でありながら宝石のような輝きを持ち、硬質な文体が万華鏡さながらにイメージを乱反射させる。普段、読書中に視覚的印象が浮かぶ事は少ないのだが、本書においては完全に例外。陽光と月光を浴びて表情を変える廃墟の様に、溢れ出るイメージが次々と微細かつ緻密な美しい絵画的情景を産み出してゆく。幻想文学とは印象派のような淡い文章ではなく、明晰な幾何学的文体によってこそ説得力を持ち得るのだと思い知らされる。傑作中の傑作短編集。

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2015年07月26日

Posted by ブクログ

作品集成→厳選→それに足す、
という軌跡が愛されている証拠。

20101129mixiより
間違いなく私の読書歴の頂点に位置する作家になりそう。

『夢の棲む街』★
『月蝕』★
『ムーンゲイト』★
『遠近法』★
『童話・支那風小夜曲集』
『透明族に関するエスキス』
『私はその男にハンザ街で出会った』★
『傳説』★
『月齢』★
『眠れる美女』★
『天使論』★

付録
『人形の棲処』★
『領春館の話』★
『チキン嬢の家』
『ラヴクラフトとその偽作集団』★

記憶に強く残っている作品に星をつけようと思ったが、
そんな試みもくだらないくらいにそれぞれが強い印象を残す。
ここまで鮮烈で確固としたイメージを植えつけられるとは。
驚愕に近い。

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2016年07月14日

Posted by ブクログ

山尾悠子初期作品集。とにかく幻想的な世界を精密に描写した文章が圧巻。

イメージがひたすら頭の中に膨らんで、その世界へ連れて行ってくれる。

特にデビュー作である“夢の棲む街”が凄い。豊富なイメージと圧倒的な世界観。

他の作品もぜひ読みたい!

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2025年04月14日

Posted by ブクログ

精巧で美しい、言葉の曼荼羅のような、、
酔える余裕がないときは紙の上を視線が滑るだけだった。

精巧なとか書いたものの、よりハマったのは構造系よりも物語要素の強いほう:
ジェットコースター展開からの穏やかで官能的なラストシーンが印象的なムーンゲイト、見知った果物ですら雰囲気と漢字によってやたら魅惑的にみえる支那風小夜曲集(の龍の帰還)、結末はよくわからなかったけれど、とにかく文章を追うのが楽しかったパラス・アテネなど。

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2023年02月26日

Posted by ブクログ

文章が素敵、綺麗。
各話ストーリーも不思議な魅力でいっぱいです。
この方の著作は初めてでしたが、一気に魅了されました。

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2019年01月07日

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