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Posted by ブクログ 2017年05月30日
稀少石のきらめきを思わせる硬質な文章。薔薇窓のように装飾的な舞台装置。山尾悠子の小説を読むのは、ゴシック様式の大聖堂の内部を探索するのに似ている。緻密で入り組んだ構造は、一度で全体像を把握するのを困難にしている。暗がりには冷気が漂い、陰気な亡霊の棲まう気配まで感じるようだ。それだけに、天窓から太陽の...続きを読む
Posted by ブクログ 2013年05月28日
なんかすごいものを読んでしまった。
連作短編のようなそうでないような。一貫しているのは「冬眠者」がキーになっているということ。
だけど話がきちんとつながっているかというとそうでもない。だけどやっぱりつながっている、そんな不思議な一冊。
なんというか、豪奢で、なのにどこか腐臭が漂っているような、読み...続きを読む
Posted by ブクログ 2014年04月07日
格別敬遠していたわけではないが、
この年になってやっと山尾悠子を読む気になった。
が、遅すぎはしなかった――というより、
人それぞれ、物事には適切なタイミングがあって、
自分にもやっと、そのときが巡ってきたのだと思った。
冒頭の語り手が深夜営業の画廊で銅版画の連作を目にし、
イメージを膨らませてい...続きを読む
Posted by ブクログ 2024年03月01日
千野帽子さんの解説を読むまで迷路に迷い込んだような気持ちでいた。中世の冬眠者が存在するディストピア小説だと感じていたが、自分の集中力が欠如して、誰の言葉なのか?どこにいるのか?場面が違うのか?と自問して迷子になることが頻繁に起こった。
不思議な世界観。読者を迷路に導く構成。独特な言葉選び。闇へ、冬へ...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年12月05日
山尾悠子が2003年に発表した2作目の書き下ろし長編小説の文庫版。旅の途中、深夜に訪れた画廊で見かけた銅版画から始まる物語です。極限までそぎ落とした文章で、おいそれと簡単には物語に近づくことのできません。じっくりと考えながら咀嚼して味わうことを要求されます。日本にも、こんなに素晴らしい幻想文学が存在...続きを読む
Posted by ブクログ 2020年06月21日
作者という幻視者にしか見えない幻想が、読者の想像力をもって読者だけの姿で浮かび上がるという読書の快感。現実を喪失させる嬉しさを存分に味わうことができる。
それこそ小説という媒体、映像のような実像ではない、文章が導く言語化できない幻想の世界がこの本にはある。
極端に言えばそれを味わうことができれば満足...続きを読む
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