山尾悠子のレビュー一覧

  • ラピスラズリ

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    ネタバレ

    断片的な語りが、まるで悪い夢でも見ているかのようなループに迷い込ませる。
    ‪その全貌が見える頃には虜になっていた。‬
    ‪閉ざされた冬から喜びの春への移り変わりが美しく、繰り返す四季のように何度も読み返したい一冊。‬

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    2019年08月21日
  • 歪み真珠

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    美文。
    文庫化してくれてありがとう、ちくま。
    幻想こそが文章になるべくして生まれた物語だと思っている。世の中には色々な表現方法がある。その中でも、文章によってしか表すことのできない物語というのが幻想というジャンルの一つの特徴だ。(映像化できるものはファンタジーに分類される)
    硬質で端正。まるで宝石、いや鉱石のような。

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    2019年04月12日
  • ラピスラズリ

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    稀少石のきらめきを思わせる硬質な文章。薔薇窓のように装飾的な舞台装置。山尾悠子の小説を読むのは、ゴシック様式の大聖堂の内部を探索するのに似ている。緻密で入り組んだ構造は、一度で全体像を把握するのを困難にしている。暗がりには冷気が漂い、陰気な亡霊の棲まう気配まで感じるようだ。それだけに、天窓から太陽の光が降りそそぐ時、来訪者は天上の光を仰ぎ見るような感覚にうち震えることになる。

    『ラピスラズリ』は、冬になると眠りにつく習性を持つ〈冬眠者〉をめぐる5つの物語である。物語の舞台は、深夜の画廊、中世西欧のシャトー、未来の日本の片田舎、13世紀のイタリアなど、場所も時代もまちまちだ。それぞれの話は微妙

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    2022年09月06日
  • 増補 夢の遠近法 ──初期作品選

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    大人向けファンタジーな本。

    どのお話も独特な世界でグイグイ惹きつけられます。言葉の選び方もステキで、何度でも読み返したくなる。

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    2015年11月01日
  • 増補 夢の遠近法 ──初期作品選

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    これは言葉という幻知が練成した、徹底して精緻に描かれた細密画だ。選び抜かれた言葉の一片一片が絢爛でありながら宝石のような輝きを持ち、硬質な文体が万華鏡さながらにイメージを乱反射させる。普段、読書中に視覚的印象が浮かぶ事は少ないのだが、本書においては完全に例外。陽光と月光を浴びて表情を変える廃墟の様に、溢れ出るイメージが次々と微細かつ緻密な美しい絵画的情景を産み出してゆく。幻想文学とは印象派のような淡い文章ではなく、明晰な幾何学的文体によってこそ説得力を持ち得るのだと思い知らされる。傑作中の傑作短編集。

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    2015年07月26日
  • 増補 夢の遠近法 ──初期作品選

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    作品集成→厳選→それに足す、
    という軌跡が愛されている証拠。

    20101129mixiより
    間違いなく私の読書歴の頂点に位置する作家になりそう。

    『夢の棲む街』★
    『月蝕』★
    『ムーンゲイト』★
    『遠近法』★
    『童話・支那風小夜曲集』
    『透明族に関するエスキス』
    『私はその男にハンザ街で出会った』★
    『傳説』★
    『月齢』★
    『眠れる美女』★
    『天使論』★

    付録
    『人形の棲処』★
    『領春館の話』★
    『チキン嬢の家』
    『ラヴクラフトとその偽作集団』★

    記憶に強く残っている作品に星をつけようと思ったが、
    そんな試みもくだらないくらいにそれぞれが強い印象を残

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    2016年07月14日
  • ラピスラズリ

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    なんかすごいものを読んでしまった。

    連作短編のようなそうでないような。一貫しているのは「冬眠者」がキーになっているということ。
    だけど話がきちんとつながっているかというとそうでもない。だけどやっぱりつながっている、そんな不思議な一冊。
    なんというか、豪奢で、なのにどこか腐臭が漂っているような、読みながら胸の中がざわざわして落ち着かないような幻想小説。
    味わいはまったく違うのにブラッドベリを思い出したのは、ブラッドベリが私の幻想小説の原体験だからかな。
    私にとっての幻想小説ど真ん中なお話。

    それにしても、すごいものを読んでしまった。

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    2013年05月28日
  • ラピスラズリ

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    ネタバレ

    眠っている間、年をとらないという設定は、眠れる森の美女を彷彿とさせた。人間ではないみたい。
    「トビアス」で、主人公が生を繋げるために食べたのが苺ジャム、というのも気になった。
    何故、苺ジャム?
    そして、それぞれの物語に出てきた人形の意味とは?

    冬になったらもう一度読み直したい。

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    2014年01月12日
  • 増補 夢の遠近法 ──初期作品選

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    ネタバレ

    初読、自分の中に生まれたのは、強固できらびやかな世界への感嘆でした。

    内面語彙が少なく、世界の叙述だけを塗り重ねるので、読者は人物の心情を考える隙もなく、世界の情報だけをひたすらに受け取ることになる。言い切りの形を連ねて世界を形作る書き方は「だから起きる」という因果を断ち切って「起きてしまう」という事実だけが残る。体感としてクリスタル等の鉱質のような、そして鉱質から乱反射される幾何学な模様のような文体だと受け取りました。尽くされた文体は贅肉を削ぎ、体幹を極限まで鍛えたような強靭さがある。

    ━━━ 街の外に何があるのか、街の人々は誰も知らない。浅い漏斗型の街は、四方を荒野に取り囲まれている。

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    2026年01月27日
  • 須永朝彦小説選

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    ネタバレ

    初・須永朝彦。系統的に私が好きな、というか私が読んでいる作家に近いので読まねばと思い、山尾悠子編の小説選を手に取りました。
    読んでて、澁澤龍彦と森茉莉みを感じていましたが笑、沼落ちするほどではなかったのでさらさらと。
    吸血鬼の話多いな〜とか、あとこれはもうほとんどBL選ですね!w
    好きだったのは、樅の木の下で、天使II、光と影、エル・レリカリオ、悪霊の館(琵琶法師!)、聖家族II、聖家族IVあたりかな〜

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    2026年01月04日
  • 須永朝彦小説選

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    須永朝彦といえば日本の耽美派の幻想小説のレジェンドである。とはいえ、こうしてまとまったものを読むのは初めて。無駄のない美しい文章。博識のうえに言葉の選び方が的確で、そこから類のない独自の世界を生み出す。凝縮した短文の中にいくつもの意味が込められているのは須永朝彦が歌人でもあるからでしょうね。歌人として塚本邦雄に師事し、その小説は山尾悠子や高原英理ら現代作家にも色濃く影響を与えている。

    吸血鬼、両性具有、天使、美少年、男色、幻術などを取り上げる小宇宙は、中井英夫らの短編とともに1970年代からの幻想小説ブームを支えた柱のひとつである。吸血鬼を金髪碧眼の美青年として描き、若者を魅惑しその首筋に咬

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    2025年12月26日
  • 歪み真珠

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    ネタバレ

     作者の世界観を味わえる15編の掌編集。どの話も御伽噺や神話のようであり、初めて読む話でありながら、小さいころにどこか聞いたことがあるような懐かしさを感じた。「ドロテアの首と銀の皿」以外の話は数ページしかないものが多く、ちょっと空いた時間にさらっと読めるのもありがたかった。
     世界観や描写が美しく、特に「アンヌンツィアツィオーネ」の天使の羽毛が髪についていて「櫛を握って梳かすとき、髪に混じった羽毛はさやさやと指に触れることもあったが、床に舞い散ったそれは彼女が拾い上げようとする暇を与えず、闇に沈んで跡かたもなく消え失せるのだった。」という文章が天使という捉えがたい存在の儚さや神秘性を言い得てい

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    2025年12月23日
  • 初夏ものがたり

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    酒井駒子さんの挿絵に惹かれて手に取りました。

    あの世の人と、この世の人が出会う物語。
    『ツナグ』を連想しました。

    出会いの場面をセッティングするタキ氏が行なっているビジネスとはどんなものなのかにも興味が湧きました。

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    2025年08月19日
  • 初夏ものがたり

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    1980年刊行の『オットーと魔術師』収録作品を、酒井駒子の挿絵を加え2024年に発行。初夏の雰囲気たっぷりに一晩の不思議な体験をする4話構成のファンタジー作品。酒井駒子の絵もどこか涼やかで、これは夏の今読むべき!と(まんまと)思わされた。

    初めての山尾悠子作品だったが、あまりに読みやすいので驚いた。それもそのはず、巻末の解説によると作者が若い時の作品であり、女の子向けの雑誌に掲載され、しかも一晩三十枚のペースで書いたという。難しいところも無いので、スッと世界に入っていけて最後までしっかりと面白いので、ファンタジー好きな人にはお勧めします。新しくはない作品だが、空気感は今でも楽しめると思う

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    2025年07月31日
  • 迷宮遊覧飛行

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    これはよかった。何度か挫折してきた山尾悠子さんの読書遍歴を辿れる一冊。何がよかったかというと、天上人が降りてきた感があるところ。

    私はイマジネーション力が無い読者なので、言葉だけで仮想世界をつくりだす山尾さんの世界には何度か挫折していて、頭の中はどうなっているのかと思う作家さんの一人。
    そういう方がこちらに語りかけるようにこれまでの読者歴を綴ってくれるので、少し身近に感じられる存在になった。

    『第四回ジュンク堂文芸担当者が選ぶこの作家を応援しますフェアへのご挨拶』がいい。
    冒頭での自己紹介で、知る人ぞ知るマイナー作家、ジャンルが曖昧、寡作、極端に読み手を選ぶ、と自虐されていて、私なんかから

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    2025年07月27日
  • 初夏ものがたり

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    まず本の見た目が素敵。手に取りたくなる。
    情景が浮かぶ。6月に読むのにぴったり。
    ページをめくりながり、挿絵に驚く。良すぎる。
    美しい映画になりそう。

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    2025年06月24日
  • 増補 夢の遠近法 ──初期作品選

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    山尾悠子初期作品集。とにかく幻想的な世界を精密に描写した文章が圧巻。

    イメージがひたすら頭の中に膨らんで、その世界へ連れて行ってくれる。

    特にデビュー作である“夢の棲む街”が凄い。豊富なイメージと圧倒的な世界観。

    他の作品もぜひ読みたい!

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    2025年04月14日
  • 初夏ものがたり

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    初夏の頃死者が一日よみがえるビジネスですとタキ氏淡々//タキ氏は七歳の少女、オリーブ・トーマスを一日だけ誘拐した。/自分とワン・ペアである、事故で死んだ双子の兄を取り戻すため、権力も財力もあり十八歳のナオミはタキ氏を脅迫する。《あたしの意志は、あらゆる障害を認めません。》p.65/一族の通夜でミノ夫人は子供の頃に出会ったタキ氏を再び見かける。《全世界はね、親しい人たちばかりで輪になっているようなものなんだわ》p.151/逃げ出したクライアントにタキ氏たちが右往左往。過重労働、けっこう苦労してます。

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    2025年01月07日
  • ラピスラズリ

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    冬眠する貴族たちと、館の使用人たちの物語。
    眠りのための棟を取り巻く「死」の要素がゴシック的で恐ろしくも美しい。
    冬眠者たちは「春」の概念そのものを表す寓話的な存在なのかなぁと、最後の章のきらきらとした終わり方を見て思った。

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    2024年11月13日
  • 初夏ものがたり

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    皺ひとつないダークスーツに身を包んだ正体不明の日本人ビジネスマン、タキ氏。故人を生の世界へ連れ戻す、時間制限付きの"ビジネス"を描いたジェントルゴースト・ストーリー。著者初期作の復刊。


    死神は生者を死の世界へと連れ去るけれど、タキ氏がおこなう「ギブのビジネス」はその逆だと言えばまあまあ合っていると思う。だが、話の主体になるのは6歳から50代までの女性たちであり、タキ氏はあくまで彼女らをエスコートする狂言回し。元はコバルト文庫のために書き下ろした少女小説だ。
    4つの連作のうち、「通夜の客」は東雅夫・編のアンソロジー『少女怪談』で既読だが、お屋敷、美濃夫人、双子たちと、和洋

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    2024年10月02日