山尾悠子のレビュー一覧

  • 初夏ものがたり

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    かわいらしくてつい微笑んでしまう描写や、
    読後しばらくしてからもふと思いだしてしまう美しい描写がもーたまらない。
    タキ氏!かわいいぞ!!
    真夏にエアコンガンガンの部屋で読んでるわたしが言うんだけど、
    ほんと初夏って感じするーー

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    2024年08月17日
  • 初夏ものがたり

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    ネタバレ

    その紙の厚さを指先で感じながら、ディテールを追う
    挿絵に目を奪われ世界に閉じ込められる
    耳鳴りを誘うような息の詰まる静寂な世界
    線香花火の火球が小刻みに震えるような読後に、紙の質感が実体として残る

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    2024年08月06日
  • 初夏ものがたり

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    美しい文章にうっとりしながら読みました。酒井駒子さんの挿絵もセンスが素晴らしい。シリーズとしてぜひもう何冊か読みたいので、復刊をきっかけに、新しく書かれたりしないかな……。

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    2024年08月01日
  • ラピスラズリ

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    綺麗な作品だとは思うのですが、内容が難解。
    登場人物が次々に変わるので、読んでいるうちに「今誰の話をやってるの?」となりました。
    冬眠者、使用人、人形、ゴースト、春の目覚め。
    寒々しいイメージが重なりあい、絡み合い、幻想的な美しさを醸し出しています。

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    2024年07月05日
  • 迷宮遊覧飛行

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    山尾さんのエッセイ集。
    復帰後から始まって、好きなものを手繰るようにデビューされた頃の話へとつながっていく。
    色々なところへ寄稿されたものもあるので、内容に重複しているものもある。それが、ああこの話はと同じ一冊であるのになんだか以前読んだ著書を読んだような懐かしさを感じてしまう。
    好きなものを好きなように書く、正にオタクなのだと思いつつ、読み手がいる事をわかって届きやすいように書かれている。これが小説家なのだと感じた。

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    2024年07月02日
  • ラピスラズリ

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    Boschの絵画のような人の群れにズームインしり俯瞰したり。非常にビジュアルを喚起させる作品だった。時間軸もも同時に存在していて、文字から喚起される場面があふれかえりそうになりながらも収束するさまは、風で舞い上がる枯葉の只中にいる様だった。

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    2023年12月23日
  • ラピスラズリ

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    最初に3枚の銅版画の話が出てきますが、読んで行くとその絵を連想させる部分が他の各章で出てきます。あれはこういう意味やったのか、と腑に落ちる。何回読んでも飽きない作品。

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    2023年10月16日
  • 飛ぶ孔雀

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    トマス ピンチョンは未読なのですが、ことによるとピンチョン的作品なのかもと思いました。
    音楽で言うと、フリージャズやアンビエント系の様な抽象が中心をなしている。
    合わないと苦痛かも知れません。散漫の美学、中央の無いカオスの美学かもと思います。

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    2023年06月06日
  • 山の人魚と虚ろの王

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    私と妻との3日間の新婚旅行という程の物語。
    夜を舞台とすることが多く、一点の強い光とそれ以外の闇と、その中で輪郭だけは何かあるような。文字としては理解できても絵にしようとすると途端に手が止まるような物語。
    虚の王が正にと思う。

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    2023年03月28日
  • 迷宮遊覧飛行

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    読解自体困難を伴う小説を書く作家の、自註自解。
    ゼロから読む快楽(黒い靄のなか手探り)と、
    本書を読んで読み深めていく快楽(松明、耳元で囁いてくれる声、以前通った道のり)と、
    両方が成立する世界に、なった。
    嬉しい限り。



    目次
    読書遍歴のこと 序文に代えて
       
    〈Ⅰ〉
    月光・擦過傷・火傷 
    綺羅の海峡 赤江瀑
    教育実習の頃 
    東京ステーションホテル、鎌倉山ノ内澁澤龍彦邸 
    ボルヘスをめぐるアンケート 
    人形国家の起源 笙野頼子『硝子生命論』
    歪み真珠の話 
    『夢の遠近法』自作解説 
    架空の土地を裸足で旅する快楽 間宮緑『塔の中の女』
    美しい犬 
    デルヴォーの絵の中の物語 
    私が選ぶ

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    2023年02月19日
  • 山の人魚と虚ろの王

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    寄宿舎をでたばかりの、まだ少女と呼べるほど若い新婦と、年の離れた「私」との新婚旅行。プラットホームの柱と柱のあいだにあるホテル、深夜の決闘、〈夜の宮殿〉、交霊会、〈山の人魚〉の葬儀など、シュルレアリスティックなイメージの連なりがデジャヴのような眩暈を引き起こす幻想旅行記。


    モノクロの銅版画を思わせる緻密な筆致で、油膜のようなあやしい煌めきをも感じる夜の世界を描きだす。これぞ山尾悠子、という一冊だが語り口は軽快で、旅先でさまざまな不思議に遭遇する「私」と一緒に戸惑いつつ、美学に貫かれた遊園地を彷徨い歩いているかのような読み心地。〈夜の宮殿〉や透明族なども登場し、過去作をコラージュした〈山尾バ

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    2022年07月20日
  • 須永朝彦小説選

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    〈冥府よりの誘惑者、あるいは暗い美青年としての吸血鬼〉を創出し、天使や妖の美に悦んで屈服するマゾヒスティックな願望を描いた、耽美小説の極北。編者・山尾悠子。


    吸血鬼小説を読み漁っていたころ、『就眠儀式』『天使』は特にお気に入りの作品集だった。旧仮名遣いの綺羅綺羅しい文体と、主人公と読者を暗い森へ誘惑するヴァンパイア。萩尾望都の『ポーの一族』の初出が72年、アン・ライスの『インタビュー・ウィズ・ザ・ヴァンパイア』は76年。70年に「契」を発表した須永先生は、耽美的吸血鬼小説の先駆者だった。
    とはいえ、その原型はやはりレ・ファニュの『カーミラ』に見つけられるだろう。『カーミラ』は、少女が激しく

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    2022年05月19日
  • ラピスラズリ

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    幻想小説の大家、山尾悠子の連作長編。
    山奥の館に住む冬眠者と使用人の破滅と再生を描く。
    時系列や空間が絶えず移り変わり、「意識の流れ」のような物語の流動性を感じさせる美しい文章。
    この作品を簡潔明瞭に批評できる語彙と論理的思考を身につけたい。

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    2022年05月04日
  • 須永朝彦小説選

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    ネタバレ

    2012年4月に廉価版「天使」を読んで以下のように書いた。
     *
    もっともっと凄まじくおどろおどろしいものを想像していたのだが、意外にポップ。
    にやりにやりと口元が緩んでしまう。
    しかしまあ、それだけかとも思う。
    薄い夕暮れの中にさまよう程度のもので、別の世界や遠いところへ奪取していかれるほどのものでもない、小品たち。
     *
    その後アンソロジーで出会ったり、え、Twitterとかブログとかやってんのと驚いて時々覗くくらいで、いい読者ではなかった。
    が、この2021年5月15日にご逝去され、なんと山尾悠子が編んだというからには、読まずばおれまい。
    「就眠儀式」「天使」収録の諸作では執拗に吸血鬼志

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    2021年10月13日
  • 山の人魚と虚ろの王

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    ネタバレ

    気合の入っていた「ラピスラズリ」、ルールそれ自体の不透明性のため何が何やら見通しづらい「飛ぶ孔雀」と比べると、かなり読みやすい。
    なにせ5日間の新婚旅行が時系列に沿って描かれる、それだけで随分親切な書き方なのだ。
    が、そこで描きあげられるのはやはり茫漠と……それがいいのだが……まるで舞台劇のよう。
    駅舎ホテル、〈山の宮殿〉、〈山のお屋敷〉という3つの巨大建造物が描かれ、それぞれに人々がごった返しているが、読者=観客の前で書割や装置が早変わりして、登場人物もそんなに多くはいないような印象。
    対になっていたり、分身関係であったり。
    だいいち舞踏集団の伯母が最重要人物なのだし、この伯母、作品全体をも

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    2021年05月02日
  • 飛ぶ孔雀

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    単行本で既読だが、内容は頭に入り切っていないのでいずれ文庫で再読を。
    しかし皆川博子「U ウー」と同じ日に文庫化されるとは。嬉しい。

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    2020年11月13日
  • 歪み真珠

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    開けてはいけない箱を開けて中を見てしまったような、封印されていた獣を生き返らせてしまったような、後ろめたさと喜びを交互に感じながら読んだ。

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    2020年01月14日
  • 増補 夢の遠近法 ──初期作品選

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    面白かったです。
    幻想的で残酷な、崩壊していく美しい世界に浸りました。
    「夢の棲む街」「遠近法」「透明族に関するエスキス」が特に好きでした。
    夢の~は、人でないもののグロテスクな描写が素敵で、そしてカタストロフィーへ…
    遠近法は、《腸詰宇宙》が圧倒的な存在感で構築されていました。絵画のようです。
    透明族~は、透明な侏儒がぱん!と弾ける様が目に見えるようでした。透明でぎちぎちと犇めきあうのを、踏み潰すと可視性の内容物(酷い悪臭をもつ)が現れるのがグロテスク。
    短編でも、残酷さがあって充足しました。
    ほとんど、わたしが生まれる前に書かれてるんだな…。
    この初期短編集のあと長い休筆期間に入られてたそ

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    2019年09月23日
  • ラピスラズリ

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    ネタバレ

    断片的な語りが、まるで悪い夢でも見ているかのようなループに迷い込ませる。
    ‪その全貌が見える頃には虜になっていた。‬
    ‪閉ざされた冬から喜びの春への移り変わりが美しく、繰り返す四季のように何度も読み返したい一冊。‬

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    2019年08月21日
  • 歪み真珠

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    美文。
    文庫化してくれてありがとう、ちくま。
    幻想こそが文章になるべくして生まれた物語だと思っている。世の中には色々な表現方法がある。その中でも、文章によってしか表すことのできない物語というのが幻想というジャンルの一つの特徴だ。(映像化できるものはファンタジーに分類される)
    硬質で端正。まるで宝石、いや鉱石のような。

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    2019年04月12日