山尾悠子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
山尾悠子三作品目。なんだかんだ癖になるところがある。
こちら今まで読んだ作品の中でもさらに読みやすかった。各作品は絶対に全て理解できない(感覚的にも)という感覚がクセになってきそう笑
また何か既存の作品を念頭に小説というアプローチを取ることが、僭越ながらそれなら自分にもできるかもしれないと思わせるので、少し親近感がわく。
特に好きだったのは、「娼婦たち、人魚でいっぱいの海」「向日性について」「アンヌンツィアツィオーネ」の三作品。
「娼婦たち、人魚でいっぱいの海」夢の棲む街を思い出しつつ、セイレーンの歌声を聞いたような感覚に
「向日性について」純粋に発想にうなった
「アンヌンツィアツィオーネ」 -
Posted by ブクログ
山尾作品2作目、こちらの方が断然好きでした笑
ルドン「夢の中で 幻視」が装丁され、それを「モチーフに「絵の中に行けるとしたら、どんな道筋か」を考えた」とのこと。
言われてみれば、確かにこの絵の雰囲気が文字として落とされていて、それが心地よいかは別としても、作品と相成っている。読んでいる最中の感覚はカヴァンの『氷』が近かった、単純に場面が切り替わり・登場人物がよくわからないからですけど笑
ちょこちょこ変、それが怖さでもあり、可愛さでもあり、面白さでもある。そんな不思議な感覚を得ました。この文が、ということはないのですが、全体の雰囲気、読んだものにしか伝わらない雰囲気。
パンを溜め込む性癖の妻、 -
Posted by ブクログ
・須永朝彦を知つたのはいつのことであつたか。私は歌人としての須永をほとんど知らない。歌人であつた、歌集を出してゐるといふことを後に知つた。私が須永を最初に知つたのはやはり「就眠儀式」であつたと思ふ。これは1974年に出てゐる。私が見つけたのはこれよりもかなり後のこと、めつたに行かない書店でたまたま見つけた。その頃には須永は短歌を捨ててゐた。山尾悠子編「須永朝彦小説選」(ちくま文庫)の「編者の言葉」によれば、「短歌となるとやはり直接教えを乞うた師からの影響が色濃いようだ。其れかあらぬ か、須永は作歌からは早々に離れてしまい、没後に歌集未収録作少々のみ残されていた由。」(303頁)とある。私は後に
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今年2021年5月に没した耽美幻想派の作家の作品から
山尾悠子がセレクトした逸品集。
収録作は、
契
ぬばたまの
樅の木の下で
R公の綴織画
就眠儀式
神聖羅馬帝国
森の彼方の地
天使Ⅰ
天使Ⅱ
天使Ⅲ
木犀館殺人事件
光と影
エル・レリカリオ
LES LILLAS――リラの憶ひ出
月光浴
銀毛狼皮
悪霊の館
掌編 滅紫篇
聖家族Ⅰ
聖家族Ⅱ
聖家族Ⅲ
聖家族Ⅳ
蘭の祝福
術競べ
青い箱と銀色のお化け
――の、全25編。
隙のない流麗な文体で、
殊に掌編の上手さ(美味さ)が際立つ。
個人的BEST3を挙げるとしたら、圧巻の巻頭、
中秋の名 -
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ネタバレ文体に慣れなくて読むのにものすごく時間がかかってしまった。
ジャケ買いした今年の夏読書やったんやけど、夏終わってしもたやんけ。
これは子育てしながらちみちみ読むもんじゃなかった。人物も時空も入り乱れてるので(章ごとにじゃないよ。一文ごとに入り乱れてるからね)腰据えて読まんとわけわからんなる…実際この話の半分も理解できとるとは言えない…でも世界観に圧倒されて思わず高評価…すごい…
舞台はSFで、手法は幻想文学なんかな。夢の中みたいな世界だよ。
最後みんな山に集結するとおもうやん。実際みんな山に来たやん。それでみんなの話が最後繋がるんやなあと思わせといて絶対に世界が交わらないという展開にすごい