山尾悠子のレビュー一覧
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皺ひとつないダークスーツに身を包んだ正体不明の日本人ビジネスマン、タキ氏。故人を生の世界へ連れ戻す、時間制限付きの"ビジネス"を描いたジェントルゴースト・ストーリー。著者初期作の復刊。
死神は生者を死の世界へと連れ去るけれど、タキ氏がおこなう「ギブのビジネス」はその逆だと言えばまあまあ合っていると思う。だが、話の主体になるのは6歳から50代までの女性たちであり、タキ氏はあくまで彼女らをエスコートする狂言回し。元はコバルト文庫のために書き下ろした少女小説だ。
4つの連作のうち、「通夜の客」は東雅夫・編のアンソロジー『少女怪談』で既読だが、お屋敷、美濃夫人、双子たちと、和洋 -
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ネタバレ旧仮名遣いがとても素敵な余韻を残す。
暗く美しく残酷な喜びに満ちた存在が書かれていて、うっとりと妖しい雰囲気に浸りながら読んだ。
永遠を生きるヴァンパイアが見目麗しく、同じくそんな青年を探し当てては仲間にしていく様子などは、いつまでも読んでいたくなる。
そのほか、人の形をしていながら人ではない、と仄めかされるさまざまな美青年たちの、隠された野蛮な暴力性にハラハラした。
印象に残っているのは『天使II』の不気味な天使。わたしの場合、天使といえば愛らしく無垢な赤ん坊の見た目を思い浮かべるが、ここに出てくる天使は大人の姿をしているため、なおさら神々しく思える。そんなこの世のものとは思えない美しい存在 -
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山尾悠子三作品目。なんだかんだ癖になるところがある。
こちら今まで読んだ作品の中でもさらに読みやすかった。各作品は絶対に全て理解できない(感覚的にも)という感覚がクセになってきそう笑
また何か既存の作品を念頭に小説というアプローチを取ることが、僭越ながらそれなら自分にもできるかもしれないと思わせるので、少し親近感がわく。
特に好きだったのは、「娼婦たち、人魚でいっぱいの海」「向日性について」「アンヌンツィアツィオーネ」の三作品。
「娼婦たち、人魚でいっぱいの海」夢の棲む街を思い出しつつ、セイレーンの歌声を聞いたような感覚に
「向日性について」純粋に発想にうなった
「アンヌンツィアツィオーネ」 -
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山尾作品2作目、こちらの方が断然好きでした笑
ルドン「夢の中で 幻視」が装丁され、それを「モチーフに「絵の中に行けるとしたら、どんな道筋か」を考えた」とのこと。
言われてみれば、確かにこの絵の雰囲気が文字として落とされていて、それが心地よいかは別としても、作品と相成っている。読んでいる最中の感覚はカヴァンの『氷』が近かった、単純に場面が切り替わり・登場人物がよくわからないからですけど笑
ちょこちょこ変、それが怖さでもあり、可愛さでもあり、面白さでもある。そんな不思議な感覚を得ました。この文が、ということはないのですが、全体の雰囲気、読んだものにしか伝わらない雰囲気。
パンを溜め込む性癖の妻、 -
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・須永朝彦を知つたのはいつのことであつたか。私は歌人としての須永をほとんど知らない。歌人であつた、歌集を出してゐるといふことを後に知つた。私が須永を最初に知つたのはやはり「就眠儀式」であつたと思ふ。これは1974年に出てゐる。私が見つけたのはこれよりもかなり後のこと、めつたに行かない書店でたまたま見つけた。その頃には須永は短歌を捨ててゐた。山尾悠子編「須永朝彦小説選」(ちくま文庫)の「編者の言葉」によれば、「短歌となるとやはり直接教えを乞うた師からの影響が色濃いようだ。其れかあらぬ か、須永は作歌からは早々に離れてしまい、没後に歌集未収録作少々のみ残されていた由。」(303頁)とある。私は後に