志川節子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ芝神明宮近くにある風待ち小路で商いを営む人を主人公にした連作短編集…とおもいきや、後半に話がつながって長編になるという展開。直木賞候補作でもあったんだとか(知らずに読んだ)
市井人情ものの王道を行く、こういうベタな話は好きだなぁ。後半今までの登場人物たちが交差してのクライマックスを盛り上げ、ハッピーエンドにつなげる進み方も好き。
解説に出てきた「世代交代」ではなく「継承」なのだという言葉がしっくりくる。古いものが悪ではなく、新しいものを嫌うのでもない。古いものの良いところを活かしつつ、新しいものを採用していく。ゼロサム的な短絡思考は進化、進歩を妨げる。もっともっと柔軟に考えていこうよってこ -
Posted by ブクログ
ネタバレ「煌」が良かった志川節子。この作品も良いぞ。
吉原の花魁をめぐる7つの連作短編、女郎を仕立てる「上げゲ屋」、心身に疲れの見える花魁を整え治す「保チ屋」など、ちょっと大人な職業(架空の物です、念のため)の男たちが出てくる。「おぉ、これは官能系」と思いきや、そういうシーンはサラりと躱して吉原独特の世界を巡る人々の機微を上手に切り取って描く。
ところどころダレてしまうところもあるんだが、要所要所の締め方は見事で、特に冒頭の短編を、最後の収録短編で収束させるやり方は「上手いなぁ」と思わせる。
染里の、ぬぐってもぬぐっても落ちなかったくすみ、深いよなぁ…。切ないね。 -
Posted by ブクログ
夫と姑から、不貞を疑われ、責められ、一方的に、離縁状を叩きつけられた、おえん。実家「丸屋」で、かつて、番頭を務めていた丈右衛門の、世話で、芽吹長屋に、身を落ち着かせる。
ひょんな事で、長屋の住人の、縁を取り持った事が、きっかけで、男女の縁を取り持つ事を、生業とする。
元番頭は、大反対。早く、不貞の、濡れ衣を晴らし、婚家に帰るように、口を酸っぱくして言う。
引っ越したとうざは、距離を置いていた長屋の住人も、おえんの人柄がわかるようになって、心を通わせるようになる。
なかなか、縁が纏まらない娘と、歌川派の絵描きの縁談。
長屋の住人で、何度も、仕事をかわる夫と、その夫に、愛想を尽かした妻との