志川節子のレビュー一覧

  • 芽吹長屋仕合せ帖 ご縁の糸

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    志川節子の市井人情モノ。
    ビターさが甘みを引き立てるように、主人公の境遇が人情味を引き立てる類の話は、匙加減がむつかしいと思うのだが、本作収録の作品はその加減が絶妙。エエバランス感覚してるわ。

    宇江佐真理が書いていてもおかしくない、王道と言えば王道の市井人情モノ。ワンパターンではなく、基本を踏襲しているので安心して読めるのだ。

    心情を比喩する情景描写も上手いし、セリフの小気味良さもあり、登場人物の個性もたっていて(主人公の前夫のイヤなヤツっぷりときたら)…さすが志川節子、小説巧者なのである。

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    2019年10月18日
  • 春はそこまで 風待ち小路の人々

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    芝神明宮近くにある風待ち小路で商いを営む人を主人公にした連作短編集…とおもいきや、後半に話がつながって長編になるという展開。直木賞候補作でもあったんだとか(知らずに読んだ)

    市井人情ものの王道を行く、こういうベタな話は好きだなぁ。後半今までの登場人物たちが交差してのクライマックスを盛り上げ、ハッピーエンドにつなげる進み方も好き。

    解説に出てきた「世代交代」ではなく「継承」なのだという言葉がしっくりくる。古いものが悪ではなく、新しいものを嫌うのでもない。古いものの良いところを活かしつつ、新しいものを採用していく。ゼロサム的な短絡思考は進化、進歩を妨げる。もっともっと柔軟に考えていこうよってこ

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    2019年03月21日
  • 手のひら、ひらひら 江戸吉原七色彩

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    ネタバレ

    「煌」が良かった志川節子。この作品も良いぞ。

    吉原の花魁をめぐる7つの連作短編、女郎を仕立てる「上げゲ屋」、心身に疲れの見える花魁を整え治す「保チ屋」など、ちょっと大人な職業(架空の物です、念のため)の男たちが出てくる。「おぉ、これは官能系」と思いきや、そういうシーンはサラりと躱して吉原独特の世界を巡る人々の機微を上手に切り取って描く。

    ところどころダレてしまうところもあるんだが、要所要所の締め方は見事で、特に冒頭の短編を、最後の収録短編で収束させるやり方は「上手いなぁ」と思わせる。

    染里の、ぬぐってもぬぐっても落ちなかったくすみ、深いよなぁ…。切ないね。

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    2019年02月25日
  • 芽吹長屋仕合せ帖 ご縁の糸

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    志川節子 著「芽吹長屋仕合わせ帖 ご縁の糸」、2016.10発行。この本は「結び屋おえん 糸を手繰れば」(2014.5)を改題、加筆修正、文庫化したものです。

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    2018年02月20日
  • 春はそこまで 風待ち小路の人々

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    志川節子さん、初読みです。「春はそこまで 風待ち小路の人々」、2015.2発行です。読み応えがあります。じっくり味わいました。武家であれ、商家であれ、いい人はいいですね(^-^) 絵草紙屋の瞬次郎と半襟屋のおちせ、鈴之進の幸多き人生に拍手です!

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    2018年01月31日
  • 手のひら、ひらひら 江戸吉原七色彩

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    架空の職業もでてくる短編集
    ちょっと今までの吉原ものとはちょっと違う。
    最後の桜を咲かせる話は好きだな。。。


    感想かくと色々ネタバレになりそうなのでやめる

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    2013年08月06日
  • アンサンブル

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    中山晋平の物語というより彼から見た島村抱月である。妻と松井須磨子の間で揺れる心情と芝居への熱き想い、そして唐突な死。芸術は大衆の物であるという理念を中山晋平も抱月から受け継いで、曲作りをしたというのが肝かなぁ。

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    2024年02月24日
  • 芽吹長屋仕合せ帖 日日是好日(新潮文庫)

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    結び屋おえんシリーズ三弾、最終話。
    縁結びをしているおえん、今回は元姑が亡くなったり、離縁した元夫に縁組を頼まれたり、また自身もお見合いをする事になったりと新しい道へと踏み出す。
    人の縁を結びつけるおえん自身も新しい縁が生まれる。
    読みやすくて楽しい一冊。

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    2023年09月23日
  • 博覧男爵

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    上野に博物館や動物園を作った
    田中芳男という人の物語。

    幕末、医者の家に生まれた彼が
    西洋医学と本草学を身につけて江戸へ行き
    幕府にその知識を見込まれ
    パリ万博の先遣隊の一員に選ばれる。
    帰国後は、明治政府の一角で
    「博物学」を日本のために生かそうとした。

    いや〜、こんなおもしろい偉人が
    明治初期には、まだまだたくさんいそう!
    この人も自分の興味のあることのためには
    身分とか社会的な名誉とか
    頓着しないで突き進むタイプみたいで。
    パリ万博で知り合った薩摩藩士との
    帰国後も続く交流が、じわりと良かったです。

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    2023年07月04日
  • 朝日文庫時代小説アンソロジー 家族

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    昔の家族はいつも助け合って生きてきた,現在は家族もいろいろな形があり、難しい時代です家族で会って家族でないよう家族って何? 昔には戻らない。今は令和だから。

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    2023年04月05日
  • 時代小説アンソロジー てしごと

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    【収録作品】「春雀二羽」 澤田瞳子/「藍の襷」 志川節子/「掌中ノ天」 奥山景布子/「姉妹茶屋」 西條奈加/「浮かれの蝶」 小松エメル/「おもみいたします」 あさのあつこ
    「春雀二羽」 京都鷹ヶ峰御薬園の薬師・真葛シリーズ。 「藍の襷」 色酢の麹造り職人・沙奈。
    「掌中ノ天」 根付職人に弟子入りするおりん。
    「姉妹茶屋」 妹の亥(いの)とともに秩父の峠で茶屋を切り盛りするそば打ち職人・蕗。
    「浮かれの蝶」 口寄せをする手妻師・市子。
    「おもみいたします」 揉み屋・梅シリーズ。

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    2023年01月17日
  • 芽吹長屋仕合せ帖 ご縁の糸

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    夫と姑から、不貞を疑われ、責められ、一方的に、離縁状を叩きつけられた、おえん。実家「丸屋」で、かつて、番頭を務めていた丈右衛門の、世話で、芽吹長屋に、身を落ち着かせる。

    ひょんな事で、長屋の住人の、縁を取り持った事が、きっかけで、男女の縁を取り持つ事を、生業とする。

    元番頭は、大反対。早く、不貞の、濡れ衣を晴らし、婚家に帰るように、口を酸っぱくして言う。

    引っ越したとうざは、距離を置いていた長屋の住人も、おえんの人柄がわかるようになって、心を通わせるようになる。

    なかなか、縁が纏まらない娘と、歌川派の絵描きの縁談。
    長屋の住人で、何度も、仕事をかわる夫と、その夫に、愛想を尽かした妻との

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    2021年07月25日
  • 博覧男爵

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    東京国立博物館と上野動物園の開設に尽力した田中芳男氏の生涯を描いた作品。博物館と動物園がセットで作られていたとは知らなかった。江戸末期から明治期にかけて、なぜこんなに多数の偉人が輩出されたのだろう。上野周辺にはいろいろと歴史的な建物が存在するが、そのうちのいくつかの由来はこうして小説として読むことができる。コロナが収束したら上野を再訪したい。

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    2021年07月24日
  • 博覧男爵

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    幕末に信州飯田に育った田中芳男は、幕府の一員として巴里で行われた万国博覧会に参加する機会を得た。東京国立博物館や上野動物園の礎を築いた男の物語。上司に忖度するだけで何できしない現代の役人とは違い、明治の役人は情熱をもって仕事に取り組み、真の文明国になるために日々挑戦していた。明治に人は偉かったというお話。

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    2021年06月29日
  • 春はそこまで 風待ち小路の人々

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    2018/8/7
    途中退屈で何度も睡魔に襲われたけど最後はいい着地を決めはるんよね。
    いい感じに終わる。
    1人称で語られる印象と、別の人の目線で語られる印象の違いが面白い。
    自分で思ってるほどいい男と思われてなかったり尊敬されてなかったり、ちょっと意地悪でいい。

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    2018年08月09日
  • 芽吹長屋仕合せ帖 ご縁の糸

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    2018/7/20
    旦那捨ててくれてよかったー
    はじめ旦那が仕込んだんかと思ったで。
    ホントにただの間抜けな旦那だったとは。
    フィクションに毒されすぎだw
    おえんはイマイチやけど周りの人たちが素敵。

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    2018年07月22日
  • 芽吹長屋仕合せ帖 ご縁の糸

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    201610/面白かったけど、主人公のおえんのキャラがあんまり魅力的じゃなかった。周囲の登場人物達がいきいきと書かれてるのに、惜しい。おふさと量右衛門の話が切ない!

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    2016年10月16日
  • 春はそこまで 風待ち小路の人々

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    201502/面白かった。現代の商売アイディアを作中で違和感なくいかしたり(でも実際当時もそれに近いことをやってたってのもすごい)登場人物達も正しいだけじゃないのが人間味あっていい。でも、大人の都合で必要以上に早く大人にさせられてしまう子供の話は切なかった。

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    2015年02月28日
  • 手のひら、ひらひら 江戸吉原七色彩

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    江戸吉原を舞台に連作七編からなる小説。

    吉原が題材になっている作品って、惚れた腫れたの物語が多いと思うのですが
    この小説は何だか一味違う!
    遊女たちだけにスポットを当てずに、吉原で働く人たち、その家族目線などで話が進んでいくので飽きずに読めました。

    連作なので、話が繋がっていくところも面白かったです。

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    2014年05月13日
  • 手のひら、ひらひら 江戸吉原七色彩

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    吉原を取り巻く人々のお話。創作の職業を用いたお話もあります。

    読み終わった感想は、因果応報。
    鵜呑みにするばかりじゃなくてもっとちゃんと調べられたら。。。

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    2013年11月01日