藤田美菜子のレビュー一覧
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なんとも啓発された。分厚く、学術用語が多用されるが、訳注が本文見開き内にまとめられており、親切設計。ちゃんと読めば理解できるつくりで、ありがたい。
人間の心が、遺伝子由来の自律的な反応である、システム1 (TASS:The Autonomous Set of Systems、自律的システム群)と、理性的で分析的なシステム2という2つのタイプの認知に分けられるという、「二重プロセス理論」は、『ファスト&スロー』などの行動経済学や進化心理学の本で知ってはいた。
この本で新鮮だったのは、そのシステム1には遺伝子だけでなく、ミームも関係するということ。ある種のミームもまた、そのミーム自身が複 -
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ALSになった作者は肉体の機能をテクノロジーとAIで補うサイボーグ、ホーキング博士の強化版のような、「ピーター2.0」として生きる決意をする。自力で動けなくなっても彼の行動力はすごい。ピーター1.0の時にはイギリスで初めての同性カップルになり、コンサル企業ADLでは企業における“暗黙のルール“をぶっ壊す先駆者になった。ピーター2.0ではALSの常識、世間や医療、そして患者の定説をぶっ壊していく。
余命宣告期限から2年すぎ、2022年6月に彼の肉体は滅びた。ただもしかすると今後も“AIによる人格の継続”が成功し、いつかTwitterの更新も再開するかもしれない。本作の最終盤ではメタバース内での「 -
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自分の未来観を変えてくれる強烈な一冊。SFではなく、英国のロボット科学者ピーターの半生の物語である。
2017年、59歳の時にALS(筋萎縮性側索硬化症)と診断される。筋肉の衰えにより消化管や肺は機能しながらも餓死か窒息死することが多くのMND患者(正確にはその圧倒的な数を占めるALS患者)の死因だと知った彼は、テクノロジーを用いて生き延びることを決意する。MND協会の理事に当選し、メディアを味方につけ、スコット- モーガン財団を設立し資金を集め、不屈の闘志で挑戦を続けていく。
「診断日から逆算すると、僕はこれから22ヶ月以内に死ぬことになります」「食べる、飲む、排泄する。これらは医療上の -
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ロボット工学の研究者で経営コンサルタントとしても成功を収めた著者が、難病を克服するために自らを実験台として「肉体のサイボーグ化」と「AIとの融合」を目指して奔走する姿を記録した一冊。
ALS(筋萎縮性側索硬化症)と診断された著者は、それまでの医療の常識を破り、全身の筋肉が動かなくなる前に先手を打って栄養チューブや声帯切除等の措置を行うとともに、AIと一体化したアバターを作成することで、全身が動かなくなっても脳が働く限り自分らしく自由に生きられるサイボーグ「ピーター2.0」になることを目標に、時に旧態然とした医療の現状と衝突しつつ、そんな著者に共感する人々とともに、少しずつ道を切り開いていく。 -
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【一言触発】大統領選挙における「まさか」の勝利を手にし,前例にない状態でホワイトハウス入りを果たしたトランプ米大統領。内部の独占情報などを踏まえながら,ケリー首席補佐官が就任するまでの政権初期の内幕を暴き描いたとされる作品です。著者は,本作で一気に米メディア界の寵児となったマイケル・ウルフ。原題は,『Fire and Fury: Inside the Trump White House』。
著者に関しては多くの毀誉褒貶が寄せられていますが,この本そのものが社会現象になったということで,取りあえず米国政治に興味がある人は手にとってみても良いかと。どこまでが本当でどこまでがフェイクなのかはわかり -
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「21世紀の精神異常者」こと、ドナルド・トランプの暴露本であり、アメリカでの発売から1.5ヶ月というスピードで出版された翻訳版。よくここまで微に入った取材ができたと思わせるくらい、本書で書かれているトランプ政権の実態はばかばかしく、500ページというボリュームを感じさせずに一気に読めてしまう。
本書では、トランプ政権の内部を、
・スティーブバノンに代表されるオルタナ右翼の一座
・トランプ実娘のイヴァンカ&婿養子のジャレッド・クシュナーの一座(2人の名前を組み合わせたジャーヴァンカと呼称される)
の両者によるトランプ本人からの信頼をどちらが勝ち取るかという下劣なゲームと、そこから距離を置いて少 -
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『ネオ・ヒューマン ─ 究極の自由を得る未来』は、ALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症したピーター・スコット=モーガンが、自らを「人類初のサイボーグ=Peter 2.0」として再設計し、病や死の運命に抗う姿を描いた記録。
ALSによって全身の筋力を失うと告げられた直後、彼は治療よりも「進化」を選んだ。喉頭摘出や人工呼吸器の導入など、生きるための機能をテクノロジーで置き換える一方で、自分の声や表情、人格までもデジタル化。AIやアバター、視線入力、ロボット技術を駆使して、話す・動く・表現する能力を維持・再構築していった。
このプロジェクトの目的は延命ではなく「繁栄」──つまり、自分らしく生き続