鈴木忠平のレビュー一覧
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★著者を主人公とした落合伝★スポーツ紙記者時代の取材を踏まえ、あくまで著者の混乱と変化を通じて、勝利のために自らのルールを徹底し孤立をいとわない落合を描く。ある意味で一人称のノンフィクション。
選手ごとに章立てして時系列で読み進められる構成は上手い。もちろん、その章に匹敵するほどの主役が立たないケースがあり(宇野)、また知りたかった主軸(谷繁、岩瀬、立浪、井端、森コーチ)が抜けていたりもするが、ぐいぐいと引っ張っていく読みやすさがある。
個別に見ると、死に場所を与えられた川崎の入りは秀逸。立浪を超えてレギュラーを取ることの重みを記した森野(だからこそ逆に立浪の回も読みたくなる)、福留と落合の距離感、和田が感じる西武との違い、打点だけでなく得点を合わせて150というインセンティブのうまさに唸らされるブランコ、などは特に読ませる。荒木は著者との付き合いが最も深いから最後に置いたのだろう。
ただ、どうしても選手ごとに取材の濃淡は生じる。裏方やサブの選手がらが登場すると、本人の知名度のためもあるがファクトと付随する熱量がやや弱くなる。
また、同じ位置からずっと見ていれば選手の変化が分かる、と落合は著者に伝える。ただ、時間を縦にして比べるのは極めて難しい能力だ。著者も挑戦を続け落合をそのように見続けることで、わずかな変化を捉えられるようになったということだろうか。
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自分は巨人ファンなので、選手時代はともかく、監督時代の落合を全く嫌っていたという記憶しかない。思い出したくもない時代のお話を、そのものズバリのタイトルの本であったが、大宅賞の受賞作とあるからには、実は落合って人は・・・っていうのがあるのかもしれない、という期待感も少しはあって、文庫化されたのを契機に読んでみた。
もう20年にもなる昔の出来事をまざまざと思い起こしてくれて、巨人ファンからは見えてこなかった舞台裏など色々読み応えはあったが、やっぱり落合は好きになれない。スーパーヒーローであることは文句なく認めているんだが、イチローと同じ別宇宙の人だ。比べると大谷さんはなぁ・・・、 -
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羽生先生の目標とするものを、森内九段や豊島九段などの対局者視点で追って行こうとする内容。単純に読み物としても面白かった。しかし、羽生先生の視点からの記述がないので、いまだ成らずというタイトルに対して「何が?」というものが見えなかったのが残念。
対戦者にほぼ共通しているのは、羽生先生の「問いかけるような手」に幻惑され、敗着を差してしまうという反省。人によってはこれを羽生マジックと呼ぶ人もいる。
しかし、羽生先生の著書と関連書をほぼ読んできた自分としては、これは本当に「問いかけ」だったんだろうと思ってしまう。
羽生先生でも七冠を制覇した後、目標を見失ったことがあり、また40代には「何をすれば強くなるのかわからない」とおっしゃっていたことがあった。ずっと棋界の先頭を走り、AIも存在しない時代、いくら勉強しても、その成長を測る尺度もない道を歩かなければならないのは、想像もできない孤独だったはず。
羽生先生は羽生の頭脳の中で、「この戦型の答えをこのタイトル戦で見つけたかった」と書かれることがあった。あの時代、タイトル戦という最高峰の舞台で対局者と将棋の結論を探していたんだと思う。
将棋の棋譜は二人で作っていくものなので、両者が等しく強くなければ納得いく答えは出せないだろう。羽生先生は当時自分の研究のほぼすべてを曝け出した「羽生の頭脳」を出されたけど、こういった勝負師として考えられない行動も、きっと「ここまで私は研究しました。この後は皆さんと一緒に考えたい」というメッセージのように思ってしまう。
令和になり、将棋AIが人間より遥かに強くなった今、現在最強の藤井聡太といえども目の前の道は将棋ソフトが整備してくれる。現実問題、もうみんなで強くならなくても、将棋の探究は続けられるようになった。
この時代に、羽生先生は何を目標として第一線の棋士を続けているんだろうと、一ファンとして非常に気になる。 -
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ネタバレ清原は学年が一つ上で、PL学園の時からずっと気になる存在だ。ジャイアンツに行きたがっていたが最初から阪神が似合うと思っていた。地元の大阪で愛されて伸び伸び野球をやっていたらもっと幸福な野球人生だったのではないだろうか。しかし清原自身は大変ミーハーでジャイアンツ好きで、当時の野球ファンなら当然なのかもしれないけどやっぱりダサい。無冠とはいえ、500本以上の本塁打を打っている偉大な選手だ。それにベンチで座っているだけで絵になる本当に華々しいスーパースターだ。
文学的な情景描写が多い。桑田と清原はちょくで話してモヤモヤを晴らして欲しい。清原の生活ぶりは一般人とは次元のちがう、セレブの様子がうかがえる。 -
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数々の名棋士や記者から羽生さんの戦いを描いたノンフィクションブック
どの棋士からも「あなたはどのように打ちますか?」というような問いを盤上から受け取るとのこと。
時代や定石を疑い続け、負けたとしても進み続ける胆力が凄まじい。
また、藤井さんはAIを駆使しながら研究しているが、羽生さんは過去の戦いなども元にしながら定石を崩し、戦い方を作っている。
誰に対してもフラットであるパーソナリティと、常に抽象的に問い続ける力はどの棋士よりも高く、勝ちにこだわりながらも次のゲームやルールなどを作るようなアップデートする柔軟な思考が羽生さんの真髄であるように受け取った。