あらすじ
ファイターズが総工費600億円を投じて完成したES CON FIELD HOKKAIDO。
資金調達、建設地探し……無数のタスクに立ち向かい、
大志を形にした男たちの物語。
――あなたの心にフロンティアはありますか?
『嫌われた監督』『虚空の人』著者による感涙ノンフィクション!
【著者略歴】
ノンフィクション作家。1977年千葉県生まれ。名古屋外国語大学卒業後、
日刊スポーツ新聞社でプロ野球担当記者を16年経験。
2016年に退社し、Number編集部を経て現在フリー。
『嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか』でミズノスポーツライター賞、
大宅壮一ノンフィクション賞、講談社 本田靖春ノンフィクション賞、
新潮ドキュメント賞を受賞。最新刊に『虚空の人』(ともに文藝春秋刊)。
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Posted by ブクログ
札幌ドーム時代からのファイターズファンです。札幌ドームを本拠地として進んでいく先の閉塞感をリアルタイムで感じていたこともあり、前沢さんたちが道を切り開いていこうとする姿に妙な納得感を持ちながら読み進めました。
まとめ方が上手なのか、場面場面がしっかり入ってきて読みやすかったです。
エスコン開業から3年目になりますが、ファンの小さな不満を吸い上げ、どんどん良いスタジアムにしていこう、新しい街を広げていこうという姿勢は札幌ドームから離れることを決めたときから一貫して変わっていないと思います。
ファイターズのこれからを熱烈に応援しつつ見守っていきたいです。
Posted by ブクログ
日本ハムファイターズの新球場、エスコンフィールドの建設にいたるまでの様子を、ファイターズ、日本ハム、北広島市、札幌市他、関係者の各々の視点から丁寧に書かれたノンフィクション。事業を置き換えれば思い当たるようなビジネスストーリーとしても頷ける部分も多く、かって世間を賑わせた原産地偽装等の話も懐かしく楽しめました。ファイターズファンというわけではないですが、自分も訪れた事もあり、皆様の交渉、大決断の元に建てられた球場や球団の今後の行く末も楽しみです。
Posted by ブクログ
ラブ・ファイターズの人間が、圧倒的な愛情と熱意と覚悟を持って北海道にボールパークを実現する話。
札幌ドームでも一見何も問題なさそうに思えたが、球団が描く理念に対してのギャップに危機感を抱き、勝手に企画書を作り、覚悟をもって幹部にプレゼン。反対の声があるなか、ブレずに歩みをとめない。この行動が周りの意識を変える。賛同する熱い仲間たちも集まり、遂に最後までやり遂げる。
熱い!面白い!!マジでおすすめです!!
Posted by ブクログ
「嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか」で有名と思われる、鈴木忠平さんの作品であります。超期待しながら読んだのですが、もう文句なしに超素晴らしい。めっちゃんこ、面白い。
多分、プロ野球に詳しくなくても、十分に楽しめる内容、、、だとは思うのですが、、、プロ野球を好きな人なら、更にもうね、めっちゃんこ、楽しめます。僕、中日ドラゴンズのファンなんですよ。で、北海道日本ハムファイターズのファンではないのですが、それでも超楽しめました。
というか、ちょっと、ファイターズファンになった。パリーグでは断然、ファイターズを推したい。そーゆー気分にさせてくれるほどに、素晴らしい内容だった、ということですね。
何故にファイターズは、札幌ドームと決別し、北広島市にイチから「エスコンフィールド北海道」という球場を作り上げたのか?懇切丁寧に、めっちゃ懇切丁寧に、書いてあります。
忠平さんの本は、基本的に
「嫌われた監督」は、落合博満という存在を中心に置き、落合監督の周りの登場人物を各章の主人公とし、彼らに語らせる
「アンビシャス」では、エスコンフィールド北海道という球場の存在を中心に置き、球場の周りの登場人物の人間模様を語らせる
という形で、話が進んでいきますよね。即ち、忠平さんがガッツリと取材をして、取材相手が「この時はこんな気持ちでした」ということを、ちゃんと引き出している、のだと思います。だって、実在の出来事で実在の人々を本の内容の対象にしているので、取材を相当にちゃんとしないと「俺はこの時はこんな事思っていなかったよ!」ってクレーム言われちゃいますものね。
そこらへんの取材は、かーなりキッチリされているのだろう!と推測。で、ノンフィクション作品なんですが、小説的な書き方、という事ができるのかな、、、?という印象。読みやすい、ということもいう事ができる、、、のかな?とにかく読む人を引き込む文章だと思います。お見事なのです!
あと、この作品で言うと、ファイターズにはフラれる側の立場、いわば敗者である立場、と言ってしまって申し訳ないのですが、、、その立場であると思われる、札幌市側の人々の事も、すーごくキッチリと書いているのです。そこがまた素晴らしい。光る有る所には必ず影も有るのだ、、、というね。
で、何故に。何故に札幌市側は、札幌市に、ファイターズを引き留めることができなかったのか?札幌ドーム以外の札幌市内の別の場所に新球場を建設させることができなかったのか?という事も、見事に見事にキッチリ、書いている。めちゃんこ内情が良く分かるのです。すっごく良いんですよ、そこがまた。
この本のタイトル。
アンビシャス。ambitious.
ボーイズ、ビー アンビシャス。Boys, be ambitious.少年よ、大志を抱け。
ウィリアム・スミス・クラークの名言として、つとに有名ですよね。
今、この言葉をイロイロとしらべたのですが。どうやらホンマの元々の言葉は。
Boys, be ambitious like this old man.
だったようです。
「少年よ、大志を抱け。年老いたわたしですら、その気持ちをもっているのだから(ましてや若いあんたらがその気持ち持たんかったらどーするねん)」っちゅーことだったみたいです。さ、、、最高やんか!
大志を抱くのは、何歳でも、出来るんだぜ。若者だけの特権じゃないんだぜ。っちゅーことですよねえ。忠平さん、そこまで知ってて、このタイトルにしたのかなあ?なんか、そんな気がする。
ま、とにかく。素晴らしい内容であります。
なんか、鈴木忠平さんの著書って、静かにアツいんですよね。冷静に熱い。矛盾した表現ですが、そこを、ちゃんと表現してる。と、思う。
映画監督でいうと、マイケル・マン監督の世界観と、すっごく似ている、気がする。うむ。
鈴木忠平 ≒(ニアリーイコール) マイケル・マン
説を、なんだかわかりませんが、ここに提唱します。
イヤ兎に角この本は素晴らしいよホンマに!
Posted by ブクログ
2023年のシーズンから使用開始となった日本ハムファイターズの本拠地、エスコンフィールド。
ここに移転するまでの動きは新聞報道などで、多くの人が知るところと思います。
試合の無い日でも人が集まるボールパークを作る。それを球団の自前で。
結果はご存知のように北広島市に決定されたが、なぜ札幌市ではそれが出来なかったのか。
札幌ドームでは難しいかったかもしれないですが、真駒内という代案もあったのです。
北の大地でフロンティア精神と大志を持った人間たちが織りなすドラマを感じることができる一冊です。
Posted by ブクログ
自分は、スポーツに愛されなかった半生だったように思う。
今考えてみても、スポーツの一角に居場所を見つけるために必要なのは、健康、身体だけだなく、頭も、精神も、環境も…
全てに恵まれる必要がありそう。
あの葡萄は酸っぱい。
と、思ってきた青春、その後だっようにも思う。
一方で、全てを手にしている人もいるのだろう。
この本には、全てを手にすることは叶わなかったが、それでも、立ち上がる人たちが描かれている。ようにも思う。
打席には、立とうと思って立てるものではない。
それでも立とうと思い、抗い続ける姿を描くことが、共感や感動を呼び起こしているのか。
鈴木忠平さんの本は、素晴らしい。
一点だけ言わせてもらうと、盛り上がりは、最後まで大事に取っておいて、最後の最後に泣かせるのがいいと思う。あちこちに盛り上がりがあって、もったいない気がした。
これはこれでいいけど。
Posted by ブクログ
日本ハムファイターズの新球場エスコンフィールド新設までを追ったフィクションである。著者は鈴木忠平。『嫌われた監督 落合博光は中日をどう変えたのか』や『虚空の人 清原和博を巡る旅』などの日本プロ野球を中心としたスポーツノンフィクションで優れた著作を世に出した実力派ライターである。「面白い人間ドラマがある」、元記者でもっとも早く外部でこの動きに気が付いた人物で、最終的に日本ハムファイターズに入社した高山のこの言葉に反応して2018年ごろからこの件を著者は追いかけてきたという。関係各者との密な関係をもとにした丁寧な取材と熱い思いとともに、ありあまる情報をもとづいた構成、そしてライターとしての表現力からとても素晴らしいノンフィクションになっている。もちろん、それは主人公格の前沢や三谷の一貫した熱い思いと行動があったからでもある。そして、その熱さは、北広島市の川村部長、親会社日本ハムの川村取締役にも伝染をしていった。
一般には、札幌市が運営する札幌ドームの使用料の高騰と球場内ビジネスの制約の日本ハム球団から改善要請に頑なに応えることがなかったことから、新球場建設の判断につながって、札幌市からすると逃げられてしまったという文脈で語られていると思う。この本を読むと事情はそれほど単純ではなかったことがわかる。著者は札幌市の担当にも心を寄せて公正に描こうとしていることが感じられた。おそらくは札幌市側にもいくばくかの感情移入が働いてもいるのだろう。それがこのストーリーに深みを持たせることにもなってもいる。
一方で、最終的に建設地争いを勝ち取った北広島市にとっても道のりは決して平坦ではなかった。札幌市からほど近いとはいえ人口6万人程度の小さな自治体で、もともとは新球場の誘致など思いも寄らなかったはずだ。そのストーリーを前沢や川村部長の高校球児時代のそれぞれの思いやケビン・コスナー主演の名作映画『フィールド・オブ・ドリームス』のエピソードをちょうどそこにあつらえたように入れてくる。
建設候補地決定に向けた東広島市の住民説明会の場で前沢が「どこで何をやるのかよりも、誰とやるか。そのほうが大事だなと。そう考えています」と発言する。それを聞く川村をはじめとした東広島市の誘致チームの面々。彼らにとってもクラーク博士からとった市のスローガン「アンビシャス・シティ」の言葉にまさしく値する身の丈に余る大事業であった。この言葉を聞き、そして建設候補地を勝ち取った彼らの興奮とはいかほどのことであっただろうか。
不覚にも本を読みながら何度か涙ぐんだことを告白する。野球がわからない人にも本当におすすめの一冊。
Posted by ブクログ
一気に読み込んだ。 北海道日本ハムファイターズが、札幌ドームを離れ自前の野球場、エスコンフィールドを作るまでのドキュメンタリーである。
今やエスコンフィールドは、日本でも 一・二を争う人気の野球場となった 。しかしその実現には、関係者の目に見えない努力がある。それをフラットな目線で丹念に追いかけたドキュメンタリーだ。
関係者の生い立ち、日本ハムと置かれた状況、札幌ドームとの確執。それを踏まえて、ひとりの男が立ち上がる。一度は夢物語として却下されるものの、心の奥底に留めた思いが消えることはなかった。
一度は日ハムを離れた男だが、彼が日ハムに投げ掛けた思いは、人を動かす。そして会社を、自治体を動かし、ついに夢にまで見たアメリカのようなボールパークを北海道に現出させる。ブルドーザーのごとき働きで。
エスコンフィールド関連の話は、ややもすれば札幌市を悪代官のように見立て、北広島市がホワイトナイトとして立ち上がるような論調が目につく。しかし著者はどちらにも片寄らず、関係者の思い、苦悩、利害者の対立を深い取材のもとにえぐり出している。特に札幌市の懊悩は、この書籍がでなければ明らかにはならなかっただろう。
素晴らしい本だ。もいっかい読むか。
Posted by ブクログ
就職活動の真っ只中で、私はこの本に出会いました。
北海道日本ハムファイターズは私の中で「野球の愉し さを初めて教えてくれた存在」です。小学生になり、初めて連れて行ってくれた札幌ドームの景色は未だ鮮明に覚えています。高い天井に青々したグラウンド、観客で埋め尽くされた観客席。どれもが初めて見る光景でした。そしてユニフォームを着た選手たちが一生懸命勝ちを取りに行く姿に圧巻され野球を始めました。
それから十数年が経ち、道内の大学に進学。ちょうど同じタイミングで新球場建設が始まりました。表から見ていた建設現場とは裏腹に、本書を読むと建設までの経緯が事細かく書かれており、北海道日本ハムファイターズの目指す姿や追い求める理想を深く理解することができました。
「ボールパークなんて夢物語だ。」
よく同級生や両親からそんな言葉が口にされていました。確かに当時は半信半疑でいちファンとしても不安がありました。札幌から離れることへの恐怖心、慣れ親しんだ札幌ドームから離れる悲壮感。いま思えば余計な心配だったのですが、本書を読み改めて深く納得することができました。
就職活動中、本書はとても強い味方になりました。ストーリーの中でキーマンとなる前沢賢氏の考え方、意思の貫き方、社会での生き方などありとあらゆる点で自分の励みとなりました。実在する人物が実在するスポーツチームでたくさんの方々と言葉を交わし、今もまさに夢を追いかけている。
「ドラマみたいな話だな」と思いながら読んでおりましたが現実なのです。リアルなのです。
本書は日ハムファンやプロ野球ファンだけでなく、野球に興味のない方にもぜひ読んでほしい一冊です。人の考え方や諦めない心の大切さ、人のつながりの大切さなど多くのことを学べる一冊だと思います。
何度も読み返したくなる一冊です。
Posted by ブクログ
プロ野球のクライマックスシーリズが開催されている中
この本に巡り会えたことがありがたい。
日ハムがなぜ札幌ドームじゃなくて新球場を作ることを望んだのか?
その理由と北広島に決まったまでのストーリーがノンフィクションとして語られています。
ないものを想像することがいかに難しいか。
それはある意味未来に対する不安からだと思うんです。
アンビシャスとは「意欲的な」という意味。
「大志を抱け」とも言いますね。
リスクを恐れず、周りから批判などを受けながらも冒険していく男たち物語を読みますますエスコンフィールド、Fビレッジが好きになりました。
あの空間の見る目が変わる一冊です!
Posted by ブクログ
すごく良かった。「嫌われた監督」を書いた鈴木忠平さんが、エスコンフィールドが出来上がるまでの舞台裏を書いた本。自分の知らない世界を体感できる良書。
Posted by ブクログ
200万人都市の札幌に対し、対立候補の北広島市の人口はわずか5万人。ファイターズ職員としてプロジェクトを推進した前澤氏と三谷氏は言うに及ばず、人口5万人の小規模自治体にプロ野球を誘致するなどという常人には想像すら難しい離れ技をやってのけた北広島市職員の熱意に心を動かされる。北広島市側の担当者である川村氏がかつて白球を追いかけていた甲子園球児だったというのも何の因縁かと思った。
2010年に前澤氏と三谷氏の間でボールパークの構想自体はあったがその当時の球団幹部へのプレゼンはYESもNOもなくあっさりスルーされた、というのは現実味があって世の中のサラリーマンが共感できるポイントになっていると思う。そのときはダメでも、後々に環境や人など前提条件が変わることで急転直下物事が前に進んでいくこともあり、後から振り返れば総スカンを喰らった当時のプレゼンも無意味ではなかった、というのはある種の希望になり得る。そこから学べる教訓は、実現できるかどうかよりもまずは変化への意思表示をすることが大切で、すぐに思い通りに事が運ばなくても、何かしら行動を起こす事で誰かの目に止まったり、共感してくれる仲間ができたりするのだということだ。
今回のプロジェクトが実現したのは運が良かったというよりも運を引き寄せた結果なんだと感じた。
Posted by ブクログ
誰もがまだ見ぬボールパークを創ろうとする男たちの物語。ビジネスノンフィクションだが、けっこうハラハラ・ドキドキする。映画にしても面白いかもしれない。
Posted by ブクログ
日本ハムファイターズの新球場・エスコンフィールドができるまでの軌跡を描いた力作。
ファイターズは北海道移転後は札幌ドームを本拠地としてきましたが、設備面での改修要望などにドーム側が応えてきませんでした。それでファイターズは新球場を新設してそこを本拠地とすべく動き出します。
本書はファイターズ事業統括本部長、前沢賢を中心に最終本拠地となる北広島市、さらに札幌市との交渉過程も克明に描かれています。マスコミ報道等では伺いしれなかった情報がわかりとても面白かったです。
Posted by ブクログ
2023年春に日本ハムファイターズの新球場としてオープンした「ES CON FIELD HOKKAIDO」が出来上がるまでの経緯が書かれている。当時は新聞報道で目にするくらいで、札幌ドームはそのグラウンド特性から野球選手には良くないから出ていく、北広島は街の名前は聞いたことがあるくらいで、そんなところに良くスタジアムを作ろうと思ったな、新千歳と札幌の間にあるなら、それほど不便ではないのかな、くらいの認識でした。
ただ読み進めてみると、球団の中の人は随分と前からボールパーク構想を持っていたこと、一度球団を離れた人が戻って来てから話が前に進んできたこと、札幌市の中の人も頑張っていたこと(外から見ていると、公務員の殿様商売で折り合いを付けないから出て行かれたように見えていたので)などがよく分かった。
それよりも何よりも、こんなに規模の大きな開発なのに、その推進力となっているのが、机上の収支(それはもちろん計算されてプロジェクトを支えているけど)てはなく、そこに関わる人たちの情熱であることに大きな感銘を受けた。
何かにつまづいた時、悩んだ時、またこの本を読み返したいと思う一冊です。
Posted by ブクログ
興味深い内容でした。
我が街でもJ2に登って来たサッカーチームのスタジアム建設を検討中。
北海道にならってスタジアムを起点とした人々の交流を図る新しい街づくりという夢のあるプランと
既存の公営競技場を改修するという現実的なプラン。
今作と同様に様々な人間模様、ドラマがあることでしょう。
国内では長崎や金沢でサッカー専用スタジアムが完成、MLBではラスベガスに新球場建設計画、当事者は苦労も多いでしょうが、端から見てる分にはワクワクします。
鈴木忠平さんの次作にも大きく期待!
Posted by ブクログ
街の中にあった球場がほんの少し移るだけでも、なかなか大変だった。何もないところに、新たな夢を築いたチームに感服。
では、そろそろチームをさらに強くすることを期待。
Posted by ブクログ
日本ハムファイターズの本拠地を札幌から北広島に移転させることに尽力した人々の実話 主人公であるファイターズの担当者の思いや、親会社日本ハム、札幌市、北広島市などのそれぞれの事情もわかって面白かった。
Posted by ブクログ
文体に引き込まれ、面白くて一気に読みました。北海道に新たなボールパークを創る夢を実現しようとする男たちの物語。スポーツ選手を主人公としていないスポーツノンフィクション。
世代的に「フィールド・オブ・ドリームス」のエピソードはたまらない。また見たくなりました。そして来シーズンこそ、エスコンフィールドで野球観戦しようと思いました。新庄劇場は来年も盛り上がりそうです。
著者の「嫌われた監督」ももちろん読みました。次回作が楽しみな作家さんです。
Posted by ブクログ
北広島市の新球場が出来るまでの群像劇。夢と理想と現実の狭間で各々がもがきながらも、移転が進められていく話。
個人的には札幌市役所の人々の話が好きです。この移転においては明確に敗者ではあるものの、力を尽くしたのだと思う。彼らが称賛されることはないのだろうけれども、外野から批判する浅ましさは持たずにいたい。
Posted by ブクログ
2024年 22冊目
北海道に新たなボールパークを作るにあたっての様々な人間模様が描かれた本作品。球団側だけでなく行政の考えや思いも細かく取材されており、読み応えがあった。撤退された札幌ドーム側が今度は気になる。
Posted by ブクログ
当時の報道や経緯はあまり知らず最終決定の事実くらいしか知らなかったけど、これだけの巨大プロジェクト、関係者との調整や根回しの労力は想像を絶する。何をやるかじゃなく誰とやるかという件は共感。
Posted by ブクログ
In the biginning,no one believed the project had a chance.
最初は誰も、できると思っていなかった。
あなたの心にフロンティアはありますか?
印象に残った言葉である。
登場人物の心の中がよくわかるし、頭の中で映像が浮かぶので、
映画やドラマになりやすいのではないかと思った。
この先きっと、北海道が注目される。
大谷やダルビッシュが大リーグ選手と共に北海道の球場で試合をしてくれたらと思うとワクワクした。
エスコンフィールド球場に行こうと思った。
Posted by ブクログ
総工費600億。親会社の利益は400億。巨大都市を離れ小さな周辺市へ。無謀な挑戦。突き動かしたものは何か…移転発表後に知れ渡った旧本拠地側の傲慢。しかし、本書ではそこには一切触れていない。「インフラ整備の後は、ゆとりを享受できる都市へ」。奇しくも去られた側の市長の言葉が響く。竣工して1年。まだ、成功と言うには早いが、男たちの抱いた浪漫が現実となったことは確かだ。ボールパーク。未踏の地に踏み込んだ。既にそこを体験した人は何人もいる。前例は誰かがやらねば作られない。大志を抱けば道は拓ける。勇気をもらった。
Posted by ブクログ
スポーツ物のノンフィクションを書かせたら著者に敵う人を私は知りません。
今回もかなりの大作でした。
ノンフィクションという特性上、大どんでん返しや痛快な言い回しなどがあるわけではないのですが、登場人物がとても丁寧に描かれています。
誘致に負けた結果となった巨大都市札幌のことも悪く描かず、損する人を作らないこともノンフィクションを描く人にとっては大切なことなのでしょう。
この本を読んだ札幌市の人も悪い気がしないはずです。
勉強になります。
物語の描き方や話の天丼表現がとても巧みです。
万が一自分が文章を書くことがあれば、鈴木忠平さんの本を読み返すことは間違いないと思います。
良かった
日ハムの移転理由や、北広島の選定理由、地元のしがらみ、もちろん日ハム本社でのネゴシエーションそして自治体との折衝、色々知りたいことが知れた内容でした。
ありがとうございます。
Posted by ブクログ
北海道日本ハムファイターズが現在のエスコンフィールドへ移転するプロジェクトを追いかけたもの。
ファイターズ職員、移転先であった北広島市職員、移転元の札幌市職員それぞれ複数名が登場し、育ちからプロジェクトに巻き込まれるまでの経緯、プロジェクトのあれこれが語られる。
みんな野球少年だったんだな。
それら登場人物を丁寧に拾っていくのだが、それゆえにメリハリがないというか、もう少し誰かにフォーカスしてダイナミックなストーリーにならなかったものか、という印象。
いや、そうしようとはしたけれど、どの切り口も深くならなかったから、薄く広くになったのかもしれない。
だとすればその辺がノンフィクションの限界だろう。
面白くないわけではない。
へー、という感じで、ビジネス的な学びもないわけではないけれど、なだらかに進んでいくストーリー。
どうかな、こちらの入り込みが足りなかったのかもしれないけれど。
Posted by ブクログ
北広島のボールパークができるまでの物語。
主な主人公は、ファイターズのマーケティング部門責任者。
かねてから、札幌ドームの借家契約に不満があり、度々改善を札幌市側に求めていたが、折り合いがつかず、ついに札幌ドームを出るという決断に至る。
ここに至るまでは、もちろん一筋縄ではいかず、ファイターズ内、日本ハム内でも反対の声が大きかった。
社内をひとつにまとめ上げるまでも多大な苦労があったことだろうと思う。
本書では札幌市側の対応を好意的に書いていたが、実際にはもっと杜撰な対応だったと予想する。
でなければ、莫大な費用をかけて札幌ドームを出ていこうとはならないはず。
そもそも、札幌ドームは野球もサッカーもできるというコンセプトにした時点で、無理があったらしい。
そこにきて、高すぎる使用料にファイターズグッズの販売益も根こそぎもっていかれたというから、これはたまったものではない。
北広島に決まる前、札幌真駒内公園も候補地に上がっていたらしいが、地元住民の根強い反対があり、また敷地面積も足りないということもあり、札幌と決裂するに至ったらしい。
札幌(というか北海道)は、街としての歴史が浅いため、お上と住民の架け橋になる名士のような存在がいないという指摘にはなるほどと思った。
市民の声が反映されない、お役所主導の札幌行政はそういう背景があるらしい。
今後のボールパークの発展が楽しみである。
Posted by ブクログ
プロ野球 日ハムの本拠地エスコンフィールドが出来るまでの物語
つい最近の実話なので特に悪役はおらず、関係者への利害調整が大変だった事が良くわかる話
藻岩山から見ると
札幌ドームとエスコンフィールドが十数キロしか離れていないことが分かる