鈴木忠平のレビュー一覧
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ネタバレ野球は観ない・やらない(やれない)自分だが、たまたま移動中の車で掛け流していたpodcastかyoutubeで紹介されていて購入。
選手に対する監督としての関わりを通じて、落合氏の人物像が立体的に立ち上がってくるような作品。
自分の場合、一人ひとりのプロ選手の生き様が印象的だった。
これから読む方では、スポーツに限らずプロフェッショナルと形容される仕事をしている場合、感じ入る言葉があるのではないか。
人生、順風満帆にはいかないものだが、それはプロ選手の方も一緒。特にスポーツにおいてフィジカル面では年齢が重要な意味を持ち、終わりを覚悟しなければいけない世界と推察する。分かっていてもその終わり -
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日本ハムファイターズの新球場エスコンフィールド新設までを追ったフィクションである。著者は鈴木忠平。『嫌われた監督 落合博光は中日をどう変えたのか』や『虚空の人 清原和博を巡る旅』などの日本プロ野球を中心としたスポーツノンフィクションで優れた著作を世に出した実力派ライターである。「面白い人間ドラマがある」、元記者でもっとも早く外部でこの動きに気が付いた人物で、最終的に日本ハムファイターズに入社した高山のこの言葉に反応して2018年ごろからこの件を著者は追いかけてきたという。関係各者との密な関係をもとにした丁寧な取材と熱い思いとともに、ありあまる情報をもとづいた構成、そしてライターとしての表現力か
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落合博満という監督は、中日8年間で全年度Aクラス入り、リーグ優勝4回、日本一1回と、輝かしい成績を残した方ですが、記者に対してはぶっきらぼうな受け答えをし、試合中は表情を出さないなど、監督としては異色でした。
でも、落合監督のこの何とも言えない雰囲気が好きで、この時代の野球はよく観ていました。
この書籍は、落合監督本人ではなく周りにいた選手、コーチ、フロントの人たちからの証言プラスもともとスポーツ紙記者だった著者が、実際に落合監督に相対した体験をもとに書いたノンフィクションです。
当然野球に関することではあるのですが、どちらかというと「落合博満の葛藤」というのがテーマで書かれた書籍なんだろうな -
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一気に読み込んだ。 北海道日本ハムファイターズが、札幌ドームを離れ自前の野球場、エスコンフィールドを作るまでのドキュメンタリーである。
今やエスコンフィールドは、日本でも 一・二を争う人気の野球場となった 。しかしその実現には、関係者の目に見えない努力がある。それをフラットな目線で丹念に追いかけたドキュメンタリーだ。
関係者の生い立ち、日本ハムと置かれた状況、札幌ドームとの確執。それを踏まえて、ひとりの男が立ち上がる。一度は夢物語として却下されるものの、心の奥底に留めた思いが消えることはなかった。
一度は日ハムを離れた男だが、彼が日ハムに投げ掛けた思いは、人を動かす。そして会社を、自治体 -
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就職活動の真っ只中で、私はこの本に出会いました。
北海道日本ハムファイターズは私の中で「野球の愉し さを初めて教えてくれた存在」です。小学生になり、初めて連れて行ってくれた札幌ドームの景色は未だ鮮明に覚えています。高い天井に青々したグラウンド、観客で埋め尽くされた観客席。どれもが初めて見る光景でした。そしてユニフォームを着た選手たちが一生懸命勝ちを取りに行く姿に圧巻され野球を始めました。
それから十数年が経ち、道内の大学に進学。ちょうど同じタイミングで新球場建設が始まりました。表から見ていた建設現場とは裏腹に、本書を読むと建設までの経緯が事細かく書かれており、北海道日本ハムファイターズの目 -
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いいもの読んだ。面白かった。
プロとは、リーダーとは、組織とは、個人とは、そして落合博満とは、色々と考えさせられる一冊だった。
落合さんはいまだにドラゴンズ周辺では嫌われているのかな?本書の中でドラゴンズの象徴として描かれる立浪氏が監督を退任したが後任候補としてあれだけ勝てた落合氏の名前は聞かれなかった。
しかし、本書を読めば決して冷徹なだけの人物では無い事が分かる。野球に真摯であれば、プロ・契約に真摯であれば、自分自身に真摯であれば応えてくれる人なのだろう。
翻って落合氏自身はどうかというと自分の事は自分が一番わかっているし、他人がどう思おうと勝手にさせておけとばかりに、相手が応えな -
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羽生善治さんを追ったノンフィクション『いまだ成らず』がかなりオモロくて、これは格闘技界で言う増田俊也さん再来、、!と注目してたライターの鈴木忠平さん。2021年に出た、中日の監督時代の落合博満を追った本書も大満足のノンフィクションでした。
野球のヤの字も知らん俺でも名前は知ってる落合博満が、中日の監督時代に遂行した、徹底的に勝ちにこだわる姿をライターの著者が描いたノンフィクション。『いまだ成らず』の構成同様、ご本人自体の密着ではなく、プレイヤーや助監督、通訳やスカウトマンなど落合の周囲の人物に密着することで、本丸である落合の輪郭を形取っていくというスタイル。
落合を描く上で、このスタイルが -
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プロ野球のクライマックスシーリズが開催されている中
この本に巡り会えたことがありがたい。
日ハムがなぜ札幌ドームじゃなくて新球場を作ることを望んだのか?
その理由と北広島に決まったまでのストーリーがノンフィクションとして語られています。
ないものを想像することがいかに難しいか。
それはある意味未来に対する不安からだと思うんです。
アンビシャスとは「意欲的な」という意味。
「大志を抱け」とも言いますね。
リスクを恐れず、周りから批判などを受けながらも冒険していく男たち物語を読みますますエスコンフィールド、Fビレッジが好きになりました。
あの空間の見る目が変わる一冊です! -
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会社経営においても「社長は孤独」とよく言われるが、スポーツチームの監督も同じようなものだ。というかどのような肩書き、役職、役割、立場であっても人それぞれ価値観も考え方も異なる中で、少なからず「他人に理解されない」というような孤独感は多少なりとも抱えているのではないかと思っている。
情報社会の中でもとりわけSNSの発達により、個々人の価値観や考え、行動に対する批評(もはや批評ではなく単なる誹謗中傷的な反応)が可視化されつつある昨今において、どれだけ自らの信念を貫けるか、その他のことに(ノイズとは言わないまでも)気を取られずに突き進めるかどうかは、本書のような野球というスポーツにしろ、日々の仕事 -
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落合博満さんについて書かれた本。
落合さんについてではあるけれども落合が主人公ではなくて著者も含めたまわりの人から落合さんを書くというような形式。
ちょうどその頃はダルビッシュや田中将大なんかが甲子園に出ていて、自分が愛知県や名古屋に住んでいたころだったからか懐かしく感じた。
論理的に正しいことを行うと感情的な空気感を重視する人とは対立するってことなのか。
落合はなんのために自分は雇われているか、それを頭の中に明確に持っていた。それはチームを勝たすこと。
野球界以外でも社会全体で判断基準が好き嫌いになっていることが多い。数字という基準があればいいが、明確に判断基準がないように思う。そこで