鈴木忠平のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
200万人都市の札幌に対し、対立候補の北広島市の人口はわずか5万人。ファイターズ職員としてプロジェクトを推進した前澤氏と三谷氏は言うに及ばず、人口5万人の小規模自治体にプロ野球を誘致するなどという常人には想像すら難しい離れ技をやってのけた北広島市職員の熱意に心を動かされる。北広島市側の担当者である川村氏がかつて白球を追いかけていた甲子園球児だったというのも何の因縁かと思った。
2010年に前澤氏と三谷氏の間でボールパークの構想自体はあったがその当時の球団幹部へのプレゼンはYESもNOもなくあっさりスルーされた、というのは現実味があって世の中のサラリーマンが共感できるポイントになっていると思う。 -
Posted by ブクログ
2023年春に日本ハムファイターズの新球場としてオープンした「ES CON FIELD HOKKAIDO」が出来上がるまでの経緯が書かれている。当時は新聞報道で目にするくらいで、札幌ドームはそのグラウンド特性から野球選手には良くないから出ていく、北広島は街の名前は聞いたことがあるくらいで、そんなところに良くスタジアムを作ろうと思ったな、新千歳と札幌の間にあるなら、それほど不便ではないのかな、くらいの認識でした。
ただ読み進めてみると、球団の中の人は随分と前からボールパーク構想を持っていたこと、一度球団を離れた人が戻って来てから話が前に進んできたこと、札幌市の中の人も頑張っていたこと(外から見て -
Posted by ブクログ
本年もよろしくお願いします。
さて今年の一冊目は「清原和博を巡る旅」と副題
にも謳われた「虚空の人」です。
「嫌われた監督」で注目を浴びたノンフィクショ
ン作家、鈴木忠平氏の最新作です。
少なくともプロ野球選手としては成功した清原和
博氏についてはではなく、薬物使用で逮捕された
「その後」を追っています。
そして「その後」にこそ、清原和博という一人の
人間の姿を私たちは知ることになります。
「ああ、キヨハラってこういう人だったのか」と
妙に納得してしまいます。
何も知らない人は彼を「汚れた英雄」「堕ちた英
雄」と言います。
しかしこの本からは清原という人物は、たとえ甲
子園で13 -
Posted by ブクログ
清原氏は三歳ほど年上の方。
スポーツはおろか、健康にも、恵まれたとはいえない自分の青年期に、あまりの格差に、羨ましいとも感じず、ただニュースで名前を見るだけの人だった。
中年になり、とんねるずの番組で、どう見ても堅気ではない様子で活躍しているのも見かけた。
その後、クスリで話題に。
同じ時代を生きてきた、あまりに違う誰かが、どんなふうに過ごしたか、興味はあった。
読んでみて印象的だったのは、むしろ筆者の息遣い。
以下抜粋箇所は、中でも気になったところ。
「スポーツライターという肩書をぶら下げて、勝者となった誰かが手にしたもの、敗者となった誰かに残されたもの、極端な光と闇の間にあることを書け