鈴木忠平のレビュー一覧
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ネタバレ第五章 王将の座
P164
常に一対一で決着をつけなければならず、勝者と敗者の別しかないこの世界において、ひとつの対局をそれ以上の何かに変えてくれる存在--それが森内にとっての羽生だった。
第八章 敗北の意味
P263
渡辺はその自問に対して、まだ明確な答えを持たなかった。ただ、ひとつだけはっきりしているのは、敗北とどう向き合うか、それは棋士にとって永遠のテーマであるということだった。
P292
盤面を見ていれば、五十二歳の挑戦者がどんな研究をどれほどしているのかは推察できた。それは決して諦観の境地に足を踏み入れた者の将棋ではなかった。羽生は明らかに最新形を取り入れ、そのさらに奥深くへ進もうとしていた。
かつての将棋界は五十歳にさしかかれば、第一線から退き、立会人や解説を務めながら師として振る舞うのが一般的だった。だが、羽生は違った。今なお、まだ何も成し遂げていないかのように戦っていた。その姿が脳裏に焼き付いていた。
敗北の後、渡辺はいつものようにひとり足早に日光を去った。そして東京の自宅に戻ると研究室の扉を開けた。藤井との次の戦いに備えるためだった。 -
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めっちゃくちゃ面白かった!!!!
エスコンは何度も行っていて、本当に素晴らしい球場。
そのエスコンが出来るまでに、こんな紆余曲折、人間ドラマがあったとは露知らず 結末は知っているのにハラハラしながら読み進めていきました。
札幌ドームとの確執は従前より知っていたので、札幌市の候補地が選ばれなかったのも札幌市が不誠実だったからとばかり思っていたが、そんなことはなく、大きい都市だからこそのしがらみ・制約があったためだったんだなあと理解。また、担当者は非常に誠実にファイターズに向き合っていたんだなと感じた次第。
そしてやっぱり本気で仕事に向き合って、フロンティアを開拓していく人たちはかっこいい!!!私も仕事をしていてそこに大きな夢を持っていけるような、そういう視点を育んでいきたいな。
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中日黄金期を気づいた落合博満に迫る内容。自分も幼少期の時強い中日、語らない落合を見て育ってきて今改めてその時の事情みたいなのを知れてとても面白かった。誰も信用しないが故に口を閉ざし勝っているのに嫌われていく不思議な存在。本人も自分が死んでから評価されていくと言っており理解されることを諦めている感じが伝わってきたけど実際に接している選手たちはその少ない言葉から意味を汲み取り考えてプレーすることで一流になっていく。勝つことがいちばんのファンサービスを信条にしていたが今の中日を見るとその言葉の重さが伝わる。やっぱり勝たないと面白くない。現役時代の星野との対立や、日本シリーズでの継投、森野のノック、アライバのコンバートと内容が盛りだくさん。
日本シリーズの継投は2004年の日本シリーズで岡本を感情を頼りに続投させた失敗からきているのは知らなかった。山井は交代を希望したとなっているが実際はそういう雰囲気にさせていたのか、本人は投げたかっただろう。アライバのコンバートも井端の守備範囲が狭まり足のある荒木をショートにすることで失策よりもヒットの数が減っているのではという落合の考えも面白かった。 -
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野球に詳しいわけではないが、評判の高いノンフィクションということで手に取った。めちゃくちゃ面白かった。何でも楽しくやろうという現代のトレンド?的マネジメントは一才存在せず、選手を冷徹な目で観察し、勢いよりも精神的な成熟と強さを求め、信頼関係ではなく、蹴落とされる恐怖で縛る。甘さや妥協は全く見えない。選手たちにとってこの8年が幸せであったかはわからないし、監督にとってもそれは同じだっただろう。ただ、このやり方で圧倒的な結果を残したのは事実で、だから肯定される。モヤモヤと謎が残るような読後感。
あと、そんな落合監督の妻がものすごく明るいというのが、あぁきっとこの人に支えられていたのかな、と想像できて、人間らしさを感じてホッとした。 -
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野球好きはもちろん、今を頑張りたいビジネスマンにも強くお薦めします。新庄監督の裏話も少しあります。
日ハムが新スタジアム開設のネット記事を見ましたが「北海道の北広島市?札幌じゃなく?てか、どこそれ?」。 偶々、知り合いに「オフシーズンでも見に行くと中で酒も飲めるし面白いよ」と紹介され、北海道旅行ついでに行ってみようと、いざ北広島駅へ。バスを降り立つと、目に飛び込んだのは全面ガラス張りのゲート。その周りには子供達が大声で遊ぶ光景に「なんか良い所だな」と思いながらゲートを潜り進んでいくと、目の前に一気に広がるスタジアム。「凄い、何だ、ここは」。鮮やかな緑の芝生に品のある茶色い三角屋根。その背景には抜けるような青空が見渡せました。そして、この風景を見ながら味わうビールが旨い。
ーここで野球を見てみたい。
野球は大谷、イチローくらいしか知らないですが、こう思わせるエネルギーがこのスタジアムにありました。
そして、こんな良いスタジアムが、なぜ札幌じゃないのか。なぜこの場所なのか?調べると札幌市やドーム管理との対立構造を勧善懲悪とする情報に溢れていましたが、その中でこの本の存在を知りました。
本を手に取り、泣いた。
理由は分かりません。男達の熱意なのか、目標にただ走りこめる事への羨ましさなのか、過去の負い目をエネルギーに突き進む姿なのか。多分、全部なんだろうな。
また札幌市は悪な訳では無く、寧ろ、札幌市は球団の条件を呑んでいて球団も札幌に残りたかった。両者は最後まで交渉を丁寧に粘り強く進めていましたが、候補地の民意が纏まらず足並みが揃わない札幌市の歯痒さも伝わってきます。
「何をするかより、誰とするか、が大事と思う」官民一丸で招致を目指す北広島市が前沢さんにこの言葉を出させたこと。これが決め手なのだと思います。
仕事でもこの言葉を出せるチーム作りをしていきたいと思いました。
オススメです! -
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覚えていますか?
落合博満が中日ドラゴンズの監督をしていたことを。
2004〜2011年の8年間。
話題には事欠かなかった。
就任後初のキャンプ初日に前代未聞の紅白戦を実施。
就任初年度の開幕投手は、数年1軍登板のない川崎憲次郎投手を指名。
2007年日本シリーズ第5戦で完全投球を続けていた山井投手を8回で交代させた事件。(9回は岩瀬投手が登板し三者凡退に抑え、継投でのノーヒットノーランを達成。注:継投した場合は完全試合とは言わない)
鉄壁の二遊間であった荒木、井端を、そっくりそのまま入れ替えてコンバートさせたこと。
初の著書とは思えない、圧倒的は文章力。表現力。
あの頃を知ってる人は是非。
あなたはプロの生き様と、悩み、葛藤、心の奥底を目の当たりにするでしょう。
2025年31冊目
60 -
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本書を読み進めるうちに、清原和博という人物そのものに強く惹きつけられていった。まるで自分自身が甲子園を夢見て青春を過ごす高校球児であったかのような気持ちになり、ページをめくる手が自然と熱を帯びたことを覚えている。
ドラフト会議での苦い経験、栄光の裏に潜む葛藤、そして引退後に訪れる寂しさ――。華やかな世界の象徴である清原の姿が、むしろ人間らしい弱さや空虚さを通して描かれている点が印象的だった。
挑戦する場を失い「空白が生まれる」という描写には、スポットライトから遠ざかった人間が抱える孤独や心の揺れがにじんでいた。
また、本人だけではなく周囲の人々もまたその寂しさに触れ、寄り添い、傷つきながら関わっていく。その姿を追うなかで、「人は何のために生きるのか」「人は誰のために動くのか」という問いが自然と胸に生まれた。
人は、自分のためだけでは前に進めない。他者のために動くとき、人は再び光を見いだすのかもしれない――そんな示唆を受けた。
栄光と挫折、孤独と再生という人生の側面を通して、人の生き様を深く考えさせてくれる一冊だった。読後にはどこか余韻が残り、清原という一人の人間の人生に寄り添ったような、静かな感動が心に灯った。 -
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2004-2011年に中日ドラゴンズを率いた落合博満監督は、選手としても三冠王を3度達成するといった超一流のバッターであり、監督としても在任8年間すべてAクラス、リーグ優勝4回、日本一1回という圧倒的な結果を出している。そして結果を求めすぎる余り野球が面白くないとして、謎の解任劇が起こった。
当時は我が阪神タイガースは岡田監督や真弓監督が指揮して、戦力的にも金本選手や鳥谷選手がピークだったにも関わらず、中日ドラゴンズが立ちはだかって勝てなかった記憶がある。伝統的に選手を信頼して任せる一方で実績ある選手は我慢して使う傾向のある阪神に対して、守備や走塁の一芸に秀でた選手をワンポイントで使う中日の用兵は脅威だった。
この本では、落合監督の特性を語る上で重要な選手たち一人ひとりのエピソードを掘り下げ、どのようにチームが変貌していったかが描かれている。プロ野球チームの変革に留まらず、個々の選手たちの能力を開花させその人生を変化させていく。傍目からみれば何を考えているのか分からない無表情な合理主義者は、実は愛に溢れた指導者でもあった。
落合博満は語らない。自分の信念は言葉では伝わらないことを知っているからだ。落合博満は俯いて歩く。目で見える世界よりも思考や心の中を重視するからだ。落合博満は孤独だ。答えを出すのは自分であり責任も自分で負うからだ。落合博満は嫌われる。世間に評価されたい見栄がなく本音で生きているからだ。
野球やスポーツという範疇に留まらず、優れたノンフィクションとしておすすめの本である。 -
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野球は好きで小さい時から見てた。落合も知ってる。でも監督の頃はあまりよく見てなかった。オレ流というイメージがあるくらい。だけど最近またドラゴンズの試合をよく見るようになって野球を大人の視点で見るようになったらまた違った面白さがあって。子どもの頃、どの野球選手がかっこいいだので見てたけど、いまはプレーのスタイル、選手の起用方法などおっさん視点で見ている。そして野球関連の本を読み出して巡り合った一冊。落合ってかっこいいな。サンデーモーニングで髭はやしてた時も変わってるなとは思ったけど、それこそカッコよく思う今。今のドラゴンズを落合さんが指揮したらメンバーや選手たち自身はどう変わるのだろう…強く勝てるチームが見たいなあ。…落合さんが監督してた頃の選手が今や首脳陣にいるわけだけど、、、。
とにかく面白い一冊だった。 -
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山井の日シリ交代劇、アライバコンバート、そして何よりあの外部との関わり方。読み終わった後に何か明確な落合像(落合博満の根源)が出てくるわけではなかった。それでも読後に面白いと思えたのはなぜだろう。おそらく、孤独になっても自分が信じた道を行く姿勢が、カッコよく映ったからかな。
場面場面でどんな思考をしていたのか、自分の中にある事象の本質をあえて曲げて外部に発していたのはなぜか。自分の中では論理的な思考と緻密な計算で物事の先を読む一方で、他者からしてみれば何を考えているのか分からない、そんな雰囲気を纏う落合監督が何とも面白い。今のプロ野球でもう一度監督をやることになったら、どんな野球を見せてくれるんだろう??
ここまで感想を書いたけど、落合博満を言葉で表すのは相当な難題だと思う。人それぞれの受け取り方があるし、それでいいんじゃないかな。ただこれだけは言える。落合監督時代の中日は、強かった。