篠たまきのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
面白かったです。
生き神とされる「スイ」が関わる人たちがどんどん堕ちていく…目眩くグロテスクな世界でした。
スイは観音として永く生きていてその間に更に化物と化していくのですが、スイの側にいる人たちはあてられておかしくなるのか、既に狂っているからスイがとりつくのか。
お話は泰輔と奈江のところが好きです。好きです、というとちょっと違うかもしれないけど、この関係が良い。
東方さんも怪しくて良いです。この人はスイより上位なのかな。。
幕切れも好きです。駆逐されていくのか。。
概ね満足なのですが、妖しさの深度がちょっと物足りない感じはあります。もっと目眩いても良いのですよ、となりました…皆川博子さんの読 -
Posted by ブクログ
書き下ろし
ミステリーかと思ったらホラーだった。
洪水で上流から流れてきた女”すい”は、不老不死で、人が感じられない真実を見抜く力を持ち、「観音」とか「生き神」とか言われてきた。
拾われて一緒に暮らした薬種問屋の若隠居蒼一郎が老いると、甥の泰輔と一緒に暮らすが、生肉を好む”すい”が、生まれたての赤ん坊が一番美味しいと言い、昔から出入りの商人東方(これも年を取らない)が調達してくる。それを知っても協力する女中の奈江もまた、人を殺していた。
後半は泰輔の姪凛子が男たちに夜通し輪姦され、トラウマで狂乱して暴れるために座敷牢に閉じ込められたところに、すいが入り込んで離れで一緒に暮らすようになる -
Posted by ブクログ
なんと妖艶な物語なんだろう。そのような描写はほとんどないのだが、なんとなく官能的に感じるのは何故だろう。
各章にスイという生き神様が登場し、それぞれの人物に寄生して暮らしている。スイは魅力的に表現され、寄生する人物もスイに寄生していく。
ただ、スイは単なる生き神様ではなく、人間の赤ん坊を食べる化け物だった。
各章ごとに分かれていて、登場人物もそれぞれ違うのだが、物語としては全て繋がっていて、その世界観にさえハマれば楽しめる。
実際、こういった感じの物語は初めてだが、面白かった。好き嫌い分かれる作品だが、好きな人はかなりハマる作品。3.5。 -