あらすじ
白姫澤村に住む祖父を訪ねた小学生のユウジは、彼の家系が氷室守だったことを知る。
しかし、氷を保管する洞窟で、氷室守に託されたもう一つの役割を明かされたことから、いつしか彼はよこしまな蒐集を始め……。
妖艶な雰囲気に包み込まれるサスペンスホラー。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
「人喰観音」と「やみ窓」でがっつりハマった篠たまきさん。新作が出るということで調べていたら、サイン本入荷の情報をゲット!これは買わなくては!と送料+手数料で本体価格の倍以上になってしまった。がしかし好きな作家さんのサイン本にはそれ以上の価値を感じてしまう。そして嬉しいご褒美が。Twitterでサイン本欲しかったので本体価格の倍かかったと呟いたら、なんと著者からTwitterでコメントが!買って良かったと思えた瞬間。もちろん家宝にします。転売する人がいるけど転売なんて考えられない。
それはさておき、内容は装丁の通り、怖気と寒気と臭気が混在したホラーミステリー。土俗的な怪奇譚が好きな方にはどストライク。しっとりねっとりした展開が嫌な汗を滲ませる。氷室の中の極楽浄土、そこに咲く氷室の華の光景が美しい。この世界観、猟奇的だが芸術的で良い。私の性感帯をつついてくるのだ。
Posted by ブクログ
かなりよかった、
情景の描写が美しい。
蝉の声が聞こえてくるかのような少年時代。
夏の話に感じるのに温度は低めにかんじた。山だからか?
村八分の話は胸が苦しくなった。
狂気って本来あって然るべきものなのかもしれない。
今は法律や常識が世間一般で認知されることで秩序が保たれているけれど、本来は村ごとで当たり前があったり、正しいという概念はもっと曖昧だったのかも、と思った。なぜなら、この作品の中では本来グロテスクな描写であっても凄惨さを感じさせなかった。
(正しい価値観を書き換えられた感覚になった。)
外から見ると狂気でも、内から見るとなにがおかしいのか分かっていないから狂気なのだ。
何よりこの作者さんの文章は美しい。そしてひらこ、かきひらをここまで美しいものだと感じさせるのもすごい。もっとこの作者さんの作品に触れたいと思った。
Posted by ブクログ
不気味で、不吉。それでいて不穏さが詰まっている。
因習漂う田舎が舞台だが、その土地にしかない気味の悪さが伝染してくるようだった。ホラーミステリではあるがあえて全ての謎を分かりやすく解くことはせず、物語の異様な世界観を伝えるに留めているのがいい。読者を突き放すのとは違う、少しだけ遠くからそっと聞こえてくるような異様な話に身震いした。
Posted by ブクログ
氷室守りの家系に繋がる祖父が小学生のユウジに氷室守りの役目を話す描写が気味悪く、氷の中にいるような冷たい人たち…手癖女を狩る、仙女に、ひらこの白い華…不気味でゾクゾクする怖さ。
Posted by ブクログ
氷室守りの血を滾らせ、邪な蒐集を…って良い。氷室に何代もの氷室守りが蒐集してきた華。
“ユウジ”が執着したものはひらこがある手だけど、側にいたい人は初恋の相手でもなく静花でもなく、もちろん葵でもなく、氷室守りだった祖父というのが好きでした。ユウジと離された祖父が受けた仕打ちが辛すぎた…醜い嫉妬から狂わされたらそりゃあ。
篠たまきさんは初めて読んだ「人喰観音」でもそうだったし、土着の因習がじわじわ人をおかしくしていく世界が好みです。
氷室守りは受け継がれる。龍一はお祖父ちゃんと八寒地獄で一緒にいるかなぁ。。
Posted by ブクログ
白姫澤という村の出身者には指と指の間に水かきがあって、その手を切り取って花としていける、というオリジナリティの高い、サスペンスと言うかファンタジー。水かきを、ひらこだの、掻き平だの呼ぶセンスもいい。少女を相手にするペドい展開もあって、なんともすごい作品なのだが、文体が好みじゃないのが残念。
Posted by ブクログ
ああ、読み終わってしまった…残酷で狂ってて美しいです。
美しい村とそこに生きる人間達の残酷さの対比が刺さりました。
この作家さんの他の本も読んでみたい、一気にファンになりました。
随所に散りばめられている香りの描写が好きです。