篠たまきのレビュー一覧

  • 人喰観音
    諸悪の根源は スイなのか
    それとも惑わされた人間なのか
    と思うのですが
    最後の短編では
    狂言回しかと思われた 行商人東方が
    思わぬ秘密をもって
    すべてを知る妹と対峙します
    スイの存在すら実は・・・という
    おぞましい結果に
    業の連鎖の恐ろしさを感じます
  • 人喰観音
    生き神様スイに魅入られる人達の話。
    10年20年30年何年経っても生き神様は妖艶な姿で宿主を惑わせる。
    綺麗な寄生虫みたいだ。
    美しさに魅入られて宿主は常識から踏み外していく。
    愛は永遠ではなく死はいつか襲いかかってくる。
    人の死によって宿主は代わり物語も変化していく。

    エロチックなシーンが綺麗な...続きを読む
  • 人喰観音
    緩くつながる連絡短編集。ねっとり、じっとりした読み口は独特なので次回作も楽しみ。神様ってその本質に気まぐれさと残酷さがありますよね、ヤハウエといい、本作のスイといい…
  • 人喰観音
    分限者の薬種問屋に拾われた女、スイ。並外れて美しく豊艶な肉体を持つ彼女は、人の形をして人にあらざる「観音様」だった…

    作品全体に漂う妖しい雰囲気。彼女に魅了され狂っていく人々はとても幸せそう。
    『なよやか』などスイを表現する言葉は神々しくも艶めかしい。
  • 月の淀む処
    ミステリーなのかホラーなのか、読んでいてわからなくなってくる。
    この不思議な世界に私も迷い込んでしまったかのよう。

    紗季は普通の女性で普通の感覚の持ち主のようだけど、こういう人が一番おかしくて怖い。
    真帆子の詰めてくるような話し方も不快だし、マンションの住人たちもやばそうなヒトだらけ。

    なのに読...続きを読む
  • やみ窓
    夫と死別した柚子は寂れた団地で平凡な日々を送っている。
    ひたすら地味に、職場でも目立たないよう過ごしているが夜はあるサイドビジネスをしている。それは窓を通じての別の次元の人々との物々交換である。人々は柚子を祠の天女と崇めたり山姥と畏れたりしながら、現世では高値で売れる反物や薬草、熊の肝を捧げて、見返...続きを読む
  • 月の淀む処
    マンション「パートリア淀ヶ月」に越してきたフリーライターの紗季。
    不気味な習慣のあるマンションについて記事を書こうと、隣人の真帆子に誘われ調べ始める。ホラーミステリー。

    表紙のこれ誰?読み終わってもわからない。
    八方美人でハッキリしない紗季、流されてやっていたお参りや民生委員の相手がストーリーが進...続きを読む
  • やみ窓
    起承転結がはっきりしないで読み終わってしまった。あまり救いがなくて読んでいて苦しい。角川ホラー文庫はあまり買わないですが、この作品はどっちかと言えば文学的というのか、読んでいて具合悪くなるような擬音語とか具体的なグロはほとんどないです。しかし形而上的になんだかとてもグロテスクだと思う。連作集なのでま...続きを読む
  • 月の淀む処
    ミステリーだと思って読みましたがホラーですね。
    読み進めるうちになんとなく紗季の気持ちがわかってしまう自分が恐ろしくなった。
    居心地の良さ、安心して暮らせることが異常や狂気より勝ってしまい、馴染んで受け入れてしまう。
    洗脳のようなものなのだろうか。

    元彼の離れて暮らす娘さんへの魔が差してしまった行...続きを読む
  • てのひら怪談 こっちへおいで
    わずか、800文字以内で書かれた数々の怖い話達。それは、両の手のひらに収まるほどの小さな話ですが、途方も無く怖い話達なのです。あっという間に終わってしまう、短い話だからと油断していると、痛い目をみますよ。

    ***

    発売前から気になっていた一冊。ポプラ文庫、MFダウィンチ文庫を経て、ポプラキミノベ...続きを読む
  • 月の淀む処
    ほぼ1棟のマンションの中でお話しが進んでいくのだが、何故が先が気になって一気読み。ホラーというかダークファンタジーというか不思議なテイスト。続編が出たら読んでみたいとさえ思ってしまう。
  • 氷室の華
    作者さんの経歴から幻想文学的なものと思っていたのだけれど、これはストレートなサイコホラー。実際スーパーナチュラルな出来事は、禁欲的なまでに生じない。とは言え、リアリティを感じるのは女性たちの内面描写くらいで、どこか夢の中の出来事を覗き見しているような、曖昧な感じがつきまとう。その辺は好きかな。ただサ...続きを読む
  • 人喰観音
    面白かったです。
    生き神とされる「スイ」が関わる人たちがどんどん堕ちていく…目眩くグロテスクな世界でした。
    スイは観音として永く生きていてその間に更に化物と化していくのですが、スイの側にいる人たちはあてられておかしくなるのか、既に狂っているからスイがとりつくのか。
    お話は泰輔と奈江のところが好きです...続きを読む
  • 人喰観音
    書き下ろし
    ミステリーかと思ったらホラーだった。

     洪水で上流から流れてきた女”すい”は、不老不死で、人が感じられない真実を見抜く力を持ち、「観音」とか「生き神」とか言われてきた。
     拾われて一緒に暮らした薬種問屋の若隠居蒼一郎が老いると、甥の泰輔と一緒に暮らすが、生肉を好む”すい”が、生まれたて...続きを読む
  • 人喰観音
    なんと妖艶な物語なんだろう。そのような描写はほとんどないのだが、なんとなく官能的に感じるのは何故だろう。

    各章にスイという生き神様が登場し、それぞれの人物に寄生して暮らしている。スイは魅力的に表現され、寄生する人物もスイに寄生していく。
    ただ、スイは単なる生き神様ではなく、人間の赤ん坊...続きを読む