篠たまきのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレミステリーなのかホラーなのか、読んでいてわからなくなってくる。
この不思議な世界に私も迷い込んでしまったかのよう。
紗季は普通の女性で普通の感覚の持ち主のようだけど、こういう人が一番おかしくて怖い。
真帆子の詰めてくるような話し方も不快だし、マンションの住人たちもやばそうなヒトだらけ。
なのに読み進めていくと、マンションの秘密を暴こうとする真帆子に対してこの住人たちと紗季の暮らしに波風立てないでほしいと思ってしまう。
何がおかしくて誰が異常なのかわからなくなっていく感覚、読み終わってゾッとした。
普通に考えて、村のしきたりを街中のマンションでやり続けようとする老人たちの執着も怖いし、笙 -
Posted by ブクログ
夫と死別した柚子は寂れた団地で平凡な日々を送っている。
ひたすら地味に、職場でも目立たないよう過ごしているが夜はあるサイドビジネスをしている。それは窓を通じての別の次元の人々との物々交換である。人々は柚子を祠の天女と崇めたり山姥と畏れたりしながら、現世では高値で売れる反物や薬草、熊の肝を捧げて、見返りにペットボトルを受け取る。
数百年前の人々にとってペットボトルは軽くて美しい不思議な壺なのだろう、時空を超えた取引の対価としてそこが面白い。
過去の結婚生活における抑圧された思い出や義母への恐怖からとにかく目立たず、最低限の生活だけをしてきた柚子にとって、闇と繋がる窓は唯一強みを持てる場だった