安冨歩のレビュー一覧
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とても重要な本。著者は本書を「私自身が、論語から聞き取った響きをお知らせするもの」と語る。著者のフィルターを通じて、論語が「生の言葉」の形に近くなっている。だから読みやすく、私にとって、論語を考える大変大きな助けとなった。「学習」と「三年の愛」と「喜び(を感じる感覚)」がどれほど大切なものか、気づかせてくれた素晴らしい本のひとつである。
しかし、読む上では細心の注意も必要となる。己の思考と感覚を流されないようにしないとならない。著者のフィルターを通しているがゆえに、著者の「歪み」と無理解もまた混入していると私には思えるからである。それは決して消し去ることはできないから、致し方ないし過ちでもな -
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東大教授(専門は満州国経済)である著者が、東大卒の「学歴エリート」が日本を蝕んでいることを、多数の例で説明しようとしている本。官庁と大学では、自分の所属する「ムラ」を守るためなら何でもやる「立場主義」により、専門家としての責任を放棄し、間違った情報を国民に流布していることを指摘している。その一方、民間企業における東大卒業生の評判は、「事務処理能力が抜群に高い」ものの「答えのない問題に対処できない」という意味では無能であるとされており、その証拠として、社長や役員の東大卒比率が年々低下している事実を指摘している。この本に書かれている東大卒業生のイメージは、「客観性」の大義名分のもと「無責任な傍観者
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ネタバレ著書を読んでいて「エー」と思う個所があった。それは「恋人は同志社、結婚は京大、阪大は引越しの手伝い」という1980年代当時の関西の受験生のことわざだ。どうして阪大が引越しの手伝いなのか分からない。
「学歴エリート」は、なんちゃって、あるいはエアー何とかが得意なのだなあと改めて思った。それは、著書で、高度経済成長期に彼らは、ほんの少し前まで戦争をしていた時代があったのに、「夢と希望に満ちあふれた時代へと偽装工作をおこなっていた構図」と言ったことを述べている。
今でも、福島原発は危険な状態なのに「終息宣言」を出して、国民をたぶらかしている。一貫しているのは、「学歴エリート」が自分たちの「 -
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ネタバレ# ポイント
1. マネージャーは「学習回路が開いた状態を維持し、過ちを素直に認めてそれを修正できる仁たりうる者」である。
2. 孔子→仁(学び続ける) ドラッカー→フィードバックと学習 言葉は違うが、同じことを言っている。
3. 「自分たちは何をすべきか?」を起点にし、企業(事業)の『目的』を考える。利益や客数増加はあくまで結果である。
4. ドラッカーは「経営者に大切なのは『人となり』」と言い、孔子は『徳治』を説いた
5. マーケティングは販売を不要にする。本当に必要な商品やサービスなら、勝手に売れる
6. 「お客様目線」といった考え方は他人の感覚に自分を迎合させることになり、それは自分 -
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「大豆・満鉄・総力戦」
バブル期の日本はまるで満州国のようだと先生が言ってたので、歴史に興味ないけど満州国の本を読んでみた。
けど、バブル期の日本と満州国の共通点はよくわからなかった。過剰なインフレになったって点だろうか。
序盤は満州国の変遷を書いた学術っぽい内容だけど、後半になるにつれて著者のイデオロギーが出てきてちょっと違うなと思った。
「家」から「立場」に入れ替わり立場主義から現実主義という論調は理解できるけど、原発の話や「自分を取り戻す」という結はかなりズレてきたなと感じた。
立場主義の、自分の立場を自覚しまっとうすれば上に引っ張ってもらえるというのはその通りで、これは「劇的な人間」と -
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先に『原発危機と東大話法』を読んでたから、今回は比較的気楽に読ませてもらった。
安富さんの本、5冊目くらいだと思うけど、この本は「入門編」に向いてるらしい。
というのも、あとがきによると、安富さんのお話を編集者の方がまとめた形になってるらしいので、比較的読みやすくなってるからなのだそうだ。
『原発危機と東大話法』で読んだことも書かれていたけど、家政婦のミタの話と大学の秋入学の話は初耳だったので、興味深かった。秋入学の話は安富さんが言い出しっぺだったんだ・・。今年もコロナで一部からそういう案が出てたけど、安富さんはその話されてたかな?・・ということをいくつか見た動画の話を思い出してみてるけど、ど -
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ネタバレ何か言っているようで何も言っていない、むしろおまえ(私)が悪いくらいの勢いで何か言ってくる、という東大卒上司について、より理解を深めて打ちのめしてやりたく購入。
東大卒に対するムカ付きを筆者と共有できた点でうれしかったが、何ら解決策をもたらしてはくれなかったので、3点とした。
私は、上司と話す時、言ったことを紙の書きながら、そのロジックを見える化して、けむに巻かれないようにする。話したことをメモしておき、彼の言動の矛盾を的確に指摘する。今のところ、これがベスト。実際、上司に嫌われて評価が下がるリスクはあるので、いつでもこの会社やめてやる、くらいの覚悟は必要。
・・・とはいえ、たとえあいつ -
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ネタバレ旭山動物園のミッションは人類に野生動物のものすごい迫力を思い知らせること
組織を構成するのは、人間である。人間の集まりを運営する事は人間にしかできない。どんな技術が進歩しても、機械やシステムは仁たりえない
1.真剣に自分を知る努力をする
2.他人のことを理解することができるようになる
3.その結果、自分を他人に理解してもらうことができる
ドラッカーは、コンピューター内にある情報は所詮、組織内部のデータに過ぎないと述べ、組織が必要としている情報は組織の外にあると断言している
今や、顧客が情報を持っている。誰であれ、情報を持つものが力を持つ -
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「自己嫌悪は結果ではなくて、原因」
自己嫌悪から抜け出すためのセオリーは、「自分の過去を受け入れて」「小さな成功体験を積む」こと。ほとんどのメンタルヘルス本やビジネス本が書いている。
本著はこれらの対処法とは全く違うことを書いている。それは傍観者の書く「やるべきこと」ではなく当事者の書く「やったこと」だから。
著者が書くことは、引きこもれるなら引きこもれとか身の回りから不快なものを無くせとか、なんというか非建設的な逃げの論理で、建設的ではないことが多い。しかし、それが当事者の言葉なんである。
自己嫌悪は結果ではなく原因と書いているけど、きっと著者もあまたの自己嫌悪者も幼少期の親との関係が自