概観・基本コンセプト
・「AIを使って考える」=AIに丸投げするのではなく、人+AIで共同的に発想を行うスタイル。著者はこれを「ハイ・ブレスト(H-AI ブレスト)」と呼ぶ。
・本書には、思考や発想支援の既存技法をAI向けに再設計した56の技法が収められており、それぞれに対応するプロンプト(AIへの指示文)が付されている。
・Web上には、56個すべてのプロンプトをまとめた「読者向けプロンプトツール」が公開されており、実際にコピー・貼り付けして使えるようになっている。
・主な技法とプロンプト例(テーマ別ハイライト)
以下では、各章から代表的な技法をピックアップし、対応するプロンプト例を交えて紹介する。
1部:すぐにアイデアがほしいとき
・技法5「各種専門家の案」
> プロンプト例:「多数の専門家(クリエイティブ専門家、技術専門家、ビジネス専門家、学術研究者、社会科学者、ユーザー、ディスラプター、ユーモアのセンスを持つ人々、冒険家として〈対象〉について具体的な案を考えてください。」
・技法1「多様な特徴」
異なる視点や切り口を列挙させてアイデア構造を広げる。たとえば「このテーマについて、10個の異なる切り口(技術的・文化的・社会的・環境的など)を出して」
・技法9「ランダムな単語」
発想のトリガーとして、無関係そうな語を混ぜて問いかけを変える。プロンプト例:「以下のランダムな単語(A, B, C)を使って、このテーマと関連付けるアイデアを3案出してください。」
2部:アイデアを磨きたいとき
・技法13「工夫のパターン」
妥当案と挑戦案を混在させて出力させるプロンプト。例:「標準案と斬新案をそれぞれ5案ずつ出してください」
・技法14「理想の状態」
目指すべき最適・理想像を想定してそこから逆算する。「理想状態はこうなっていると仮定して、そこに至る道筋を3段階で示してください」
・技法17「9つの型」
発想を複数の型(切り口)から出す。例:「このテーマを、A型・B型・C型という9つの視点でそれぞれ2案ずつ出して」
3部:アイデアを実現したいとき・伝える段階
・技法 XX(伝え方)
アイデアを相手に伝える「物語性」「比喩」「ストーリー構造」を意識させる指示。「このアイデアを、顧客に刺さるストーリー形式で3段落で説明してください」
・技法 YY(実行策)
具体的なアクションプランを複数出させる。「このアイデアを実現するために、短期/中期/長期で実行可能なステップを5つ示してください」
4部:考えるヒントを得たいとき
・課題・悩み・人・未来からヒントを得る技法群
たとえば「未来」を扱う技法では、「10年後の未来の前提を5つ挙げ、それを前提として現在のテーマをどう変化させうるか案を出す」というプロンプト形式が例示されている。
プロンプト設計上の留意点・運用ヒント
・ただ「いい案を出して」と聞くのではなく、切り口・制約・役割(専門家役)などを明示してプロンプトを強化する。
・漠然とした問いが来たら、「分割(サブ課題化)」して問いを明確化するプロンプトをまず使う。
・回答の多様性を担保するため、「前提を変えたバリエーション」「異なる観点からの案」などを同時に出させる形式を活用
・プロンプトに「出力形式(箇条書き・表形式・ストーリー形式など)」を指定して、AIの回答を制御する
・本書で紹介されるすべてのプロンプトは読者特典として利用可能(Wordファイル形式で編集できる形)