齋藤可津子のレビュー一覧

  • 彼女たちの部屋

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    ネタバレ

    前作の三つ編み同様、複数の物語が進んでいき、両者の関係が深いと後からわかっていくスタイル。実在する女性会館を舞台にしているのも興味深い。物語として普通に面白かった。
    パリには女性のホームレスがいる、女児の身体を切り取る風習がまだ続いている地域がアフリカにある、など、色々衝撃的だった。
    弱者が生まれてしまう構造を変えることは難しくても、困っている人に手を差し伸べ寄り添うことはできる。具体的な個人を救うことができるなら、それも十分に助けになる。現代版の主人公の奮闘を読んで、そんな感想を抱いた。

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    2025年03月19日
  • 三つ編み

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    インド、イタリア、カナダに住む三人の女性の物語が、「髪」を通じてつながる。

    インド、不可触民のスミタは娘に教育を受けさせようとするが、その願いは潰される。
    不可触民、初めて聞いたインドの状況に驚き、何日も心のモヤモヤから、立ち直れなかった。
    しかし、スミタは強かった。
    命がけであらがう。

    イタリアのジュリア  家族の為望まない結婚をせ
               まられる。

    カナダのサラ  弁護士3人の子供をワンオペ育児  
            中、癌の宣告を受け、絶望する。

    3人の話が、最後に繋がる。

    よくぞ描いてくれたなぁ、と思う。
    刊行前から、十数か国で翻訳権が売れ、話題になったという。

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    2025年03月02日
  • アポカリプス・ベイビー

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    みんなの擦り減りっぷりに、何度か涙がポロリ。登場人物に都度都度自分を憑依させれば、自分が色々な人になれる体験もできる。激しくも切なすぎるストーリー。

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    2024年09月09日
  • 滅ぼす 下

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    「何が何でも物語作品が必要である。自分以外の誰かの人生が語られていなければならない」

    これは物語終盤、主人公がある危機に陥るが、「読書」によって一時的に絶望から救われる場面。

    あまりにも絶望的?な本筋とはすこし離れるが、
    ウエルベックの読書に対するポジティブな考え方が集約されているような気もして、無性に嬉しくなった。

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    2024年01月02日
  • 彼女たちの部屋

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    簡潔な文で映像が浮かぶ。女性を、というのがやや鼻につくけど、自己再生と周りの人を助ける、というテーマを一気に読ませるスートリー仕立てはなかなかです。

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    2023年09月16日
  • 滅ぼす 下

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    謎の組織によるテロ行為はエスカレートし遂に犠牲者が出る。
    その煽りを受けながら大統領選は終結する。
    家族内での不幸。もっとも若い息子が死に、体の不自由な父親は生き延びる。
    主人公は妻との関係を修復するも過酷な運命が待ち受けていた。

    上巻から物語の重要な要素と思われていたテロとの戦いや大統領選は尻すぼみに終わり、家族の話、そして主人公個人の生死をめぐる話へと収束していく。スケールの縮小。

    弟オーレリアンはともかく、妹セシルや義妹インディーは最後まで活躍するかと思ったが。イラストまで用いたテロ組織の正体は投げっぱなし。
    大統領選もあれだけ騒いでおいていざ終わればあっけない。その終わり方も味気な

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    2023年09月01日
  • 滅ぼす 下

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    作家ミシェル・ウエルベックの最新刊。時は2027年、大統領選挙を間近に控えるフランスを舞台に、経済財務大臣補佐官のポールを通して同国および世界の抱える病理と苦悩を見つめた大作。

    相次ぐ国際テロ事件、選挙に向けた候補者応援活動、そしてパラレルに進行するポールと彼を取り巻く親族の家庭問題が、筆者の皮肉やジョーク、近現代の哲学思想をふんだんに交えて展開される。

    ポピュリズムに支配される政治ゲーム、晩婚化と少子高齢化、過酷な介護の現場、メディアによる暴露など日本とも無関係ではないトピックに彩られながら、救われたいと願いつつ運命に翻弄される現代人を浮き彫りにする。滅び行く世界の中で、ポールと妻プリュ

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    2023年08月06日
  • あなたの教室

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    教師を辞め大好きだった同僚でもある彼が行きたがっていたインドへ行く

    インドで溺れかけ助けてくれた少女にお礼がしたいと思い少女のもとへ行くが
    少女は学校へ行ってなく、文字が書けない
    さらに家の店の手伝いを朝から晩までさせられてる
    女だからという理由で学校に行けない女子たちのために学校を作る

    なぜ、彼のことが大好きだったと過去形なのが最初分からなかったが後半にその理由が出てきてショックだった
    生徒に銃で殺された…
    狙って殺されたというよりは、巻き込まれる形

    インドでの、子どもの結婚など問題となってることが書かれてる

    三つ編みの本が読んでみたくなった

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    2023年03月22日
  • あなたの教室

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    ネタバレ

    レティシアさんの3作目、
    相変わらず、とても良かった。

    レナ、ラリータ、プリーティ ー 絶望の淵を経験してきた3人の女性。恋人に先立たれ、両親と離れ離れになり、出産で母子共に命を落とした姉がいた過去。

    打ちのめされながらも、力強く前進していく3人はすごい。

    インドの過酷な格差社会の中で、最下位層にあたるダリットは、人として扱われない。子供は学校で虐待やいじめにあう。さらに女性は教育不要、児童婚が当たり前の世界。

    自分で決めることができない人生、覆すことができない状況に生まれて、生きる意味をどこに見出したら良いのだろう。

    無理やり結婚させられたラリータの親友の話には、悲しみ以上に悔しさ

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    2023年03月21日
  • あなたの教室

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    前作「三つ編み」に続く作品。インドの不可触民・ダリットの母娘のその後が描かれていました。

    元教師のフランス人女性・レナが海辺で少女・ホーリーに命を助けられたことで物語は大きく展開します。
    そしてホーリーが助けを求めた相手 「レッド・ブリゲイド」と呼ばれる女性のための護衛組織。そのリーダーを務めるプリーティとの出会いもまた、レナの人生に大きな影響をもたらす。
    偶然に思える出会いも、実は「必然」じゃないかと思うことがある。

    「児童婚」「児童労働」などの慣習。「女に教育は必要ない」という考え方。
    本作を読むと、ある国では女性の立場がいかに低く見下されているか、置かれた境遇の凄絶さは想像を絶する現

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    2023年03月18日
  • 彼女たちの部屋

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    世界の女性の生きづらさを、改めて考えさせられる本だった。いつの時代も強く闘う女性達の姿に、勇気とパワーで満たされた。受け継がれる正義感。
    読み終えた後、暖かい感情が全身を駆けめぐり、しばらく涙が止まらなかった。
    強い勇気をもらえる一冊。ずっと持っていたい本。

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    2023年02月20日
  • あなたの教室

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    『何があろうと、人生は続く。』
    主人公でフランス人のレナ、レナを救い教育機会を得ることができたラリータ、現地で闘うプリーティ。
    女性達の奮闘、そして残酷な現実の中でも希望を求め信じて進み続ける姿はただ感動だけではない力強いメッセージが込められている。

    男性として生まれて、日本で生きている自分自身はこれを遠い国の物語として傍観していてはいけない。
    人間社会で起きていることは身近にも起きている。ということを改めて感じた。

    読後、一言では語り尽くせない感情が心を埋め尽くす。国、性別、親、環境…この社会におけるあらゆることを私たちは自分自身で選択することできずに生まれてくる。ある意味それは選択がで

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    2023年01月02日
  • あなたの教室

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    一貫して女性の権利問題をテーマにした作風のレティシア・コロンバニ。『三つ編み』『彼女たちの部屋』そしてこの作品と続く。三つ編に登場したインドの最下層の女性。その女性の娘が主人公と関わることから物語は始まる。

    「女に勉強はいらない」はらわたが煮えくりかえる!
    それは日本の医学部入試の女性差別とも地続きでもある。

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    2022年12月31日
  • あなたの教室

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    フランスから来た元教師と、被差別階級の女性、少女、3人の交流から南インドの村に、学校ができる。
    エゴや自己満足ではないか、これが正しいのか常に選択を省みるレナ。異なる文化、立場へと関わる覚悟と、連帯の心強さがあたたかく描かれていた。

    前2作と同じく、社会問題から目を背けないのに、読み心地が軽やかに感じる文体…シナリオ寄りでセリフが少ないのに情景が浮かぶ。

    『三つ編み』読んでから、こちらも読んで本当に良かった。

    フェミニズム文学は、結末を明るく描いても課題が山積している現実を考えてしまうけど、目の前の問題に向き合い、乗り越えようとする登場人物を見ることで、物語と連帯できた気持ちになった。

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    2022年11月26日
  • 彼女たちの部屋

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    現在のパリで困難を抱える女性が身を寄せる女性会館の様子と、100年前のパリで会館設立に尽力する様子を交互に描く一作。
    抱える困難は違っても、連帯できる。時代や立場が隔たっていても手を差し伸べる勇気は、変わらない。

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    2022年11月17日
  • 彼女たちの部屋

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    知らなかったことをたくさん知った。アフリカ大陸に根深く残る女性器切除、フランスの貧困、難民のこと…。
    何もしないより、ちょっとのことでもした方が何倍も良い。小さいくちばしで汲んだ水を山火事に掛けるハチドリみたいに。
    自分のことだけで手一杯、他のことは気になっても何もできない…それは本当か?何かほんの少しでもできることを探して、やりたくなった。

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    2022年01月15日
  • 彼女たちの部屋

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    この本を通して、色々なことを知れた。
    女性器切除のことも名前は知っていたけれど、具体的なイメージを持てていなかった。
    言葉を失うような経験を持つ人間が、この世界にはまだまだ沢山いる。

    恵まれたことに、私はソレーヌ側の人間。
    今年からPLANに寄付をし始めたけれど、お金を差し出すだけでなく、もう少し深く関わっていきたいな、とこの本を読んで思う。
    闘いは終わっていない。

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    2021年11月01日
  • 彼女たちの部屋

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    「三つ編み」を読んだ後にこちらの作品を読みました。「三つ編み」と似たようにこの作品では過去と現在が繋がっている作品で、楽しく読めました。ブランシュのやったことがソレーヌの代までずっと続いていて、その意思もそのまま受け継いでいた物語だったので、読んでて胸が熱くなりました。
    読もうか迷っている方は「三つ編み」も一緒に読んでみて下さい。

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    2020年09月30日
  • 彼女たちの部屋

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    稀に出会う、信念とか感情とかにモロに響く作品。
    生き方はなかなか変えれんくても、考え方はいつでも変えれるしな。

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    2020年08月09日
  • 彼女たちの部屋

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    翻弄される女性を救う場所、それを作った女性とそこで再生する女性のリンクが見事すぎて、読み終わってもしばらく本から手が離せませんでした。ソレーヌ、よかったね、と肩を叩きたくなりました。上の立場にいたと思っていた彼女が、会館で生きる女性たちに近づいていく様には、旨がしめつけられます。これが、共感の姿です。そして、素晴らしいエンジンを積んで目標に向けてひたすら突っ走ったプランシュの生き様には、拍手せずにはいられません。アルバンも、本当に素敵です

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    2020年08月04日