齋藤可津子のレビュー一覧
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フランス・パリに実在する保護施設「女性会館」の創設者にまつわるストーリー。
本作は、著者が女性会館の前を通りかかったことが執筆のきっかけになったそうです。
約100年前のパリで施設創設に尽力したブランシュ・ペイロンと、現代のパリの施設で代書のボランティアをする弁護士のソレーヌ。物語は二人の視点で交互に描かれています。
『路頭に迷うすべての女性と子供が身を寄せられる施設をつくる』
100年前、まだ女性が自分名義で銀行口座も開けない時代にも関わらず、救世軍ブランシュの人生を賭して成し遂げようとする確固たる意志と行動力に圧倒されました。
一方で現代、施設で代書ボランティアを始めたソレーヌは、女性の人権が認められていない国から逃れてきた者、暴力や貧困に喘ぐ者など様々な事情を抱えた女性たちと出会います。
戸惑いつつも、自分にできることをする。
施設の住人たちそれぞれの境遇に心が痛むし、そういった人たちが取り残される社会にも思うところがある。
雨露をしのげる安全な場所。それがどれだけ女性にとって安心感をもたらすかは計り知れない。
100年の時を越えて、貧困や暴力、差別に苦しみ行き場のない女性たちに手を差し伸べているふたり。
いつの世も弱者に寄り添う存在があることは、とても尊くありがたく、安心出来る場所が存在し続けられることに安堵します。
読んで良かった。ペイロン夫妻について、もっと知りたくなりました。
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ブランシュ・ペイロン(1867〜1933)
アルバン・ペイロン(1870〜1944)
「女性会館(Palais de la Femme)」は、パリ11区のシャロンヌ通りに位置する、救世軍が運営する歴史的な女性保護・支援施設です。ペイロン夫妻は他にも南部十三区の「民衆会館」「避難所都市」などの保護施設も創設し、現在も機能しています。
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『温かな思いやりに救われ支えられた。なに気ないしぐさや微笑みを侮ってはいけない。威力がある。城壁となって孤独や衰弱から守ってくれる。』 -
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国も生き方も異なる3人の女性の人生が、三つ編みを編むかのように思わぬところで交差する。
インドのスミタは、不可触民というカーストの外の存在として、一日中上位カーストの家々の排泄物を素手で拾い集めるのが仕事だ。しかし自身の娘には、違う人生を歩んでほしいと望んでいる。
シチリアのジュリアは、父が経営する毛髪加工の工場で働いているが、ある日父が交通事故に遭い、工場は経営難に陥ってしまう。
そしてモントリオールのサラは、私生活を犠牲にしながらも、トップを目指し努力し続ける有能な弁護士だが、乳癌の告知を受ける。
どんなに困難な状況に置かれても諦めずに戦い続ける女性達の強さは痛々しいほどだが、それを助ける男性達の優しさが心に沁み入る。
3人共が自分の居場所を見つけ、希望が感じられる様に勇気をもらえる一冊。 -
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ネタバレ凄く良かった。
本を読んでると、思いがけず自分がいる。
私はソレーヌでありシンシアである。
ソレーヌみたいな高給取りでも専門職でもない低所得の会社員。だけど自分を持っていない、他人の為に時間を使い身をすり減らしていたのは同じ。そしてシンシアのように毎日誰かに怒っている(心の中で)。何か満たされてないんだろうな。
また女性会館は実際にあるんだ、創設者と現在の話をおりこんでくる手法?すごいな、まさに映画みたい。
これを読んで何か行動したいと思った人も多数いるはず。新刊でてくれないかな。
またこの本に出てくるヴァージニア・ウルフ、まだ読んだ事がないので読みたい。
心を揺さぶられる本だった。
さらに読んだ今日は国際女性デーだった! -
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インド、イタリア、カナダに住む三人の女性の物語が、「髪」を通じてつながる。
インド、不可触民のスミタは娘に教育を受けさせようとするが、その願いは潰される。
不可触民、初めて聞いたインドの状況に驚き、何日も心のモヤモヤから、立ち直れなかった。
しかし、スミタは強かった。
命がけであらがう。
イタリアのジュリア 家族の為望まない結婚をせ
まられる。
カナダのサラ 弁護士3人の子供をワンオペ育児
中、癌の宣告を受け、絶望する。
3人の話が、最後に繋がる。
よくぞ描いてくれたなぁ、と思う。
刊行前から、十数か国で翻訳権が売れ、話題になったという。
著者は、映画監督で脚本家、そして女優。
訳者あとがき より
女性の置かれた状況がとりわけ過酷なのがインドだ。
女の子は、生後すぐ殺される地域すらある。
そうでなくても、トイレがないため危険にさらされ、強姦されれば罪人扱い、夫や兄弟が侵した罪を贖うためにも強姦される状況。
寡婦は不吉と忌み嫌われるばかりか、呪いによって夫の死を招いたと、魔女狩り同然の迫害を受ける状況が詳述される。
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謎の組織によるテロ行為はエスカレートし遂に犠牲者が出る。
その煽りを受けながら大統領選は終結する。
家族内での不幸。もっとも若い息子が死に、体の不自由な父親は生き延びる。
主人公は妻との関係を修復するも過酷な運命が待ち受けていた。
上巻から物語の重要な要素と思われていたテロとの戦いや大統領選は尻すぼみに終わり、家族の話、そして主人公個人の生死をめぐる話へと収束していく。スケールの縮小。
弟オーレリアンはともかく、妹セシルや義妹インディーは最後まで活躍するかと思ったが。イラストまで用いたテロ組織の正体は投げっぱなし。
大統領選もあれだけ騒いでおいていざ終わればあっけない。その終わり方も味気ない。
ウエルベック作品の割には強烈な毒や怒りはない。諦念と悲哀のトーンが全編に漂っている。世界は混乱し、人は死に、運命には抗えない。
「自分が耐えられなかったのは、無常そのものであると、彼は不安な気持ちで気づいた。無常とは、この世のものは何であれ、いつか終わるという考えである。彼が耐えられなかったもの、それは生きることの本質的条件のひとつにほかならなかった」。 -
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作家ミシェル・ウエルベックの最新刊。時は2027年、大統領選挙を間近に控えるフランスを舞台に、経済財務大臣補佐官のポールを通して同国および世界の抱える病理と苦悩を見つめた大作。
相次ぐ国際テロ事件、選挙に向けた候補者応援活動、そしてパラレルに進行するポールと彼を取り巻く親族の家庭問題が、筆者の皮肉やジョーク、近現代の哲学思想をふんだんに交えて展開される。
ポピュリズムに支配される政治ゲーム、晩婚化と少子高齢化、過酷な介護の現場、メディアによる暴露など日本とも無関係ではないトピックに彩られながら、救われたいと願いつつ運命に翻弄される現代人を浮き彫りにする。滅び行く世界の中で、ポールと妻プリュダンスが行き着いた風景とは。サスペンスであり、恋愛小説であり、はたまた医療ドキュメンタリーであり。多彩な側面を示しながら、物語は静かな余韻を残して締めくくられる。 -
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教師を辞め大好きだった同僚でもある彼が行きたがっていたインドへ行く
インドで溺れかけ助けてくれた少女にお礼がしたいと思い少女のもとへ行くが
少女は学校へ行ってなく、文字が書けない
さらに家の店の手伝いを朝から晩までさせられてる
女だからという理由で学校に行けない女子たちのために学校を作る
なぜ、彼のことが大好きだったと過去形なのが最初分からなかったが後半にその理由が出てきてショックだった
生徒に銃で殺された…
狙って殺されたというよりは、巻き込まれる形
インドでの、子どもの結婚など問題となってることが書かれてる
三つ編みの本が読んでみたくなった -
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ネタバレレティシアさんの3作目、
相変わらず、とても良かった。
レナ、ラリータ、プリーティ ー 絶望の淵を経験してきた3人の女性。恋人に先立たれ、両親と離れ離れになり、出産で母子共に命を落とした姉がいた過去。
打ちのめされながらも、力強く前進していく3人はすごい。
インドの過酷な格差社会の中で、最下位層にあたるダリットは、人として扱われない。子供は学校で虐待やいじめにあう。さらに女性は教育不要、児童婚が当たり前の世界。
自分で決めることができない人生、覆すことができない状況に生まれて、生きる意味をどこに見出したら良いのだろう。
無理やり結婚させられたラリータの親友の話には、悲しみ以上に悔しさを感じた。
救いの手を待っている女の子がたくさんいることを改めて認識した。 -
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前作「三つ編み」に続く作品。インドの不可触民・ダリットの母娘のその後が描かれていました。
元教師のフランス人女性・レナが海辺で少女・ホーリーに命を助けられたことで物語は大きく展開します。
そしてホーリーが助けを求めた相手 「レッド・ブリゲイド」と呼ばれる女性のための護衛組織。そのリーダーを務めるプリーティとの出会いもまた、レナの人生に大きな影響をもたらす。
偶然に思える出会いも、実は「必然」じゃないかと思うことがある。
「児童婚」「児童労働」などの慣習。「女に教育は必要ない」という考え方。
本作を読むと、ある国では女性の立場がいかに低く見下されているか、置かれた境遇の凄絶さは想像を絶する現実だということを突きつけられる。
希望の見えない生き地獄のような境遇に愕然とした。正直これが現実だなんて思いたくない…。
そんな社会で、未来のために、誰かのために、本気で願い果敢に行動するホーリー、プリーティ、レナの3人の女性たち。
彼女たちの頑張りや行動力に勇気がわいてくる!
人々の意識に深く染みついてる慣習を変えるって本当に難しい…。
彼女たちの試みが成し遂げられるように祈るような気持ちで読み終えました。
ここまで劣悪じゃないけど、「時代が流れてもメンタリティは変わらない」という点においては日本もまだ同じだなぁと感じました。
残念なことに、自覚・無自覚を問わずそう感じる場面が少なからずある。
次作の「彼女たちの部屋」も気になります。
『「女性をひとり教育すること、それは国民全体を教育すること」。いつも学校で会う少女たちにはほかに上昇のチャンスがない。学校こそが、社会が閉じ込めようとする見えない牢獄から逃れる、唯一可能な道なのだ』 -
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『何があろうと、人生は続く。』
主人公でフランス人のレナ、レナを救い教育機会を得ることができたラリータ、現地で闘うプリーティ。
女性達の奮闘、そして残酷な現実の中でも希望を求め信じて進み続ける姿はただ感動だけではない力強いメッセージが込められている。
男性として生まれて、日本で生きている自分自身はこれを遠い国の物語として傍観していてはいけない。
人間社会で起きていることは身近にも起きている。ということを改めて感じた。
読後、一言では語り尽くせない感情が心を埋め尽くす。国、性別、親、環境…この社会におけるあらゆることを私たちは自分自身で選択することできずに生まれてくる。ある意味それは選択ができないがゆえ本当の意味で平等なのかもしれないが…生を受けた後のこの世では平等に生きていくことができない。
本小説ではインドが舞台となっており、性差別、階級差別、貧困、児童労働など多種多様な問題が複雑に絡み合いそこからさらに問題が派生している。
国全体でということだけでなく、村単位の文化によるものもありもはや簡単にその実態を掴むことはできない。
また主人公のレナが元教師ということもあり、やはり「教育」が本作品のメインであり、キーである。
『女の子を無知なままにしておくのは、願望や意見を封じ、服従させるいちばんの確実な方法だ。教育の機会を奪うことで、彼女たちを脱出不能な牢へ閉じ込める。社会に出て活躍する望みを奪いとる。知識は力だ。教育は自由への鍵なのだ。』
この言葉はまさに多くの女性の置かれた状況を物語っている。
著者の作品は一貫して『逆境にあきらめず抵抗する女性たち、その連帯、絶望からの再起』を描いている。他の作品も是非読みたい。 -
Posted by ブクログ
フランスから来た元教師と、被差別階級の女性、少女、3人の交流から南インドの村に、学校ができる。
エゴや自己満足ではないか、これが正しいのか常に選択を省みるレナ。異なる文化、立場へと関わる覚悟と、連帯の心強さがあたたかく描かれていた。
前2作と同じく、社会問題から目を背けないのに、読み心地が軽やかに感じる文体…シナリオ寄りでセリフが少ないのに情景が浮かぶ。
『三つ編み』読んでから、こちらも読んで本当に良かった。
フェミニズム文学は、結末を明るく描いても課題が山積している現実を考えてしまうけど、目の前の問題に向き合い、乗り越えようとする登場人物を見ることで、物語と連帯できた気持ちになった。