齋藤可津子のレビュー一覧

  • あなたの教室
    伝統を守る
    それはとても大切なことだけど、時に足枷になる

    外から見て悪習だと思ってもそこで生きている人たちには大切なこと
    何万歩も下がってそう考えたとしても、納得がいかない
    カーストと貧困を甘んじて受け入れる、そのループを生むのが村の伝統を従順に守る家庭だなんて!

    呪縛は果てしなく、子供にも自分...続きを読む
  • あなたの教室
    『三つ編み』とかすかにつながるコロンバニの新作。
    喪失と再生の物語…などという美辞麗句に落とし込んではならない、広く知られるべきインドの児童労働と児童婚、それに未来を奪われる子どもたちの現状をつきつけてくる。
    かと言って強く「べき論」を問うのではなく、風景や食べ物、優しい瞬間を淡々と重ねていくのがこ...続きを読む
  • 三つ編み
    2019年の夏、名古屋では「あいちトリエンナーレ」という芸術祭が開催されていた。
    開催初日に行きたかったんだけど、ちょっと抜けられない所用があって行けなくて、でも絶対これは早くいかないと見れなくなると思った企画展があって、昼休憩中にスマホニュースを見たらやっぱり「表現の不自由展」は早々にクローズしそ...続きを読む
  • 彼女たちの部屋
    著者デビュー作の"三つ編み"で
    インドの不可触民である女性が、自分の娘にその仕事をさせたくなくて逃げる話と、
    イタリアで家族経営の仕事(村の人々の髪をカツラにする)を継ごうとしている若い女性
    そしてカナダで乳ガンを宣告されるシングルマザー
    の三人の生き方がそれぞれ描かれながら、つながっていく話でした...続きを読む
  • 彼女たちの部屋
    『三つ編み』の作者の第2作。

    順風満帆の弁護士のソレーヌは仕事の失敗すなわち顧客を破滅に陥らせたことから燃え尽き症候群になり、医師からボランティアを勧められる。様々な職種の中から選んだのは困窮した女性の避難施設の代書人(Écrivain public)。

    百年前、当時の女性としては道を外れた生き...続きを読む
  • あなたの教室
    読者モニターに当選し、一足お先に読ませていただく幸運に恵まれた。『彼女たちの部屋』がよかったので、こちらも期待。

    主人公レナにはかつて何かとても辛いことがあったようなんだけどそれはなんだろうという興味に導かれ、また初めての地での少女たちや人々との出会いでレナの世界がぐんぐん広がっていくのに連動して...続きを読む
  • あなたの教室
    インドという国の知らなかった一面に触れ
    そんなバカな…と何度も思い何度も愕然とした

    決して西洋的な文化や進んだ教育が絶体的であるとは言わないが、やはり負の風習が続く事のマイナス面は
    キチンと見ていかないと、その被害者になるのは
    もしかしたら自分にとても近しい人だったのかもしれないと想像すると泣けて...続きを読む
  • 三つ編み
    【国も境遇も違う3人の女性のそれぞれの人生が、
    髪をモチーフに交差し、結び付いていく】

    題名の『三つ編み』とはそういう意味だったのかと納得。
    3人の女性…スミタ・ジュリア・サラ…それぞれ生き方は違えど、過酷な状況からの立ち上がりを描く。
    スミタの物語に関しては特に、目を覆いたくなるような過酷さで、...続きを読む
  • 三つ編み
    あまり繋がりのない人生を歩んでいる3人が「髪」を通じてつながるとても丁寧に描かれた作品。
    あっという間に読み終わった。
    ダリットについて改めて学ぶ勉強になりました。

    どんな生き方でも悩みはあるし、女性という共通項での生きづらさというテーマにもとても共感できた。
    私も改めて自分らしく頑張ろうと思える...続きを読む
  • 彼女たちの部屋
    クライアントの死をきっかけに、堰をきったように抑圧されてきた思いや、恋人との別れ、周囲からのプレッシャーなどに押し潰されそうになる主人公ソレーヌが、女性会館での人々との交流を通して、他人の価値観よりも自分の思いに正直になっていく様子が描かれていた。
    物語が終盤にさしかかるにつれて、パラレルに語られて...続きを読む
  • 三つ編み
    闘うフェミニズム小説。
    自分の周りでは想像できない文化や環境。
    そんな中で人生に立ち向かう姿勢に勇気づけられた。
  • 三つ編み
    三人三様の、境遇も状況も年齢、国籍、人種、何もかも異なる女性たち。けれど、女性として三人共に、生きづらさを抱えてそれぞれに闘う。タイトルは、物語の構成、テーマ、ラスト、全てに絡んでいる。
    女性の生き方を、深く深く考えさせられる。大きなテーマは差別だと感じる。
  • 30年目の待ち合わせ
    こういう、時を超えて何度か、というの、好き。
    誰でもこういう、自分の中の普遍的な人というのはいるんだろうなと。
  • 30年目の待ち合わせ
    心情が端的に羅列してある文体が面白い。小説なのに説明文のよう。
    ストーリーはフランス人らしい恋愛なのかな?自分の気持ちに向き合い、最後は相手と通じ合えるハッピーエンドで良かった。
  • 彼女たちの部屋
    前作「三つ編み」では、同じ時を生きるイタリア・インド・カナダの女性たちの人生を、まさに三つ編みのように交差させて描いていたが、今作は、フランスの同じ場所を舞台に別の時代を生きる女性たちを描いている。
    それぞれ横軸と縦軸で紡ぐ物語。
    その切り取り方がすごい。

    100年ほど前、救世軍の創成期の頃に幾多...続きを読む
  • 彼女たちの部屋
    映像化向きの本だなーと少し鼻白んでしまうところはあるけど,すごく良い話だった。三つ編みと同じくすごく好き。
    しかし弁護士って,こういう話の主人公にされやすい職業なのかな。
  • 彼女たちの部屋
    「三つ編み」や今作、「82年生まれ、キム・ジヨン」などの所謂フェミニズム文学に弱い。共感と、連帯感。
    私自身女性として生きてきて、女性ならではの生きにくさを感じることがあるけれど、特にレティシア・コロンバニの作品に描かれる女性たちの人生というのはとても過酷で、同じ世界・同じ時代に生きているとは信じら...続きを読む
  • 彼女たちの部屋
    前作「三つ編み」とテーマは同じ。
    こちらは2つの時代に生きた2人の女性の物語。

    100年前、自分の全てを出し切って貧困や差別にあえぐ女性たちのために生きた高潔なブランシュ・ペイロンの存在には驚かされました。
    直向きに、ただ直向きに「助けたい」という信念を貫き通した人生には頭が下がります。

    そして...続きを読む
  • 彼女たちの部屋
    パリの女性会館。現在と過去、二人の女性の苦闘。現在のソレーヌ、女性会館で代書人のボランティアをすることになる。100年前、救世軍のブランシュは女性・子供を救う施設を作る。ソレーヌは自分とは違う境遇の女性たちに最初は戸惑うが、代書を通じて心を通じ合わせる。ブランシュは病気であっても女性のために奮闘する...続きを読む
  • 彼女たちの部屋
    サルベーションアーミー、前世紀の前半の時代に女性が動ける組織があったことが驚き。平等な使命に生きる結婚があったことが驚き。
    みつあみの期待を持たずに読みたかった。