齋藤可津子のレビュー一覧
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みつあみ、私たちの教室につづく今作。
どれが好きかな?と思ったけど、どの作品もすき。何故なら、どの作品も主人公、とりまく女性たちの苦悩、体験、生き様、選択した生きる道、選択するまでの葛藤や出会い、自分と向き合わなければならない環境があったりして、、
くるしい描写もあるが最後に一筋の光が見えて、その光はキラキラしてるというよりも、透き通った光であり、空気。
そして 繋がり が強い、どの作品も。
独りのようで一人じゃないって、思える優しい感触がある。
それを感じられるラストがどれもあって、希望なんだ。私はこの作風は好きである。
いつか日本を舞台に、作ってほしいな。 -
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もはや一種の黙示録とも呼べる文学作品を作り続けているフランスの鬼才、ミシェル・ウエルベックによる新著であり、過去の作品と比べても単行本上下巻という大著。
個人的に新著が出たら、迷わずに買うことを決めている現代作家の一人がウエルベックなのだが、迷わずに買ったことを全く後悔しないほど完成度高く魅惑的な作品であった。
ウエルベックの作品は登場するテーマや意匠に強い共通性がある。デビュー当初は、カルト宗教やセックス/性の問題に始まり、ここ10年ほどは極めてアクチュアルな移民問題やテロリズム、資本主義の限界など政治・経済学的な側面が強まっている。本書はまさにウエルベックを構成するであろう様々なテーマ -
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もはや一種の黙示録とも呼べる文学作品を作り続けているフランスの鬼才、ミシェル・ウエルベックによる新著であり、過去の作品と比べても単行本上下巻という大著。
個人的に新著が出たら、迷わずに買うことを決めている現代作家の一人がウエルベックなのだが、迷わずに買ったことを全く後悔しないほど完成度高く魅惑的な作品であった。
ウエルベックの作品は登場するテーマや意匠に強い共通性がある。デビュー当初は、カルト宗教やセックス/性の問題に始まり、ここ10年ほどは極めてアクチュアルな移民問題やテロリズム、資本主義の限界など政治・経済学的な側面が強まっている。本書はまさにウエルベックを構成するであろう様々なテーマ -
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☆4.5
生きる希望を失いフランスからやってきた元教師のレナ。インドの海で溺れかけて、10歳の少女
ホーリーとプリーティらメンバーに助けられる。
レナは、読み書きのできない子供たちのため学校をつくろうと奮闘する。
インドの不可触民(ダリット)の女に生まれる不運がリアルに描かれている。
「ここでは強姦は国民的スポーツ」
ブリゲイドの支部リーダーであるプリーティは
女性たちに護身術を教えるが、彼女たちもまた読み書きができない。
養父母の店で働くホーリーは口がきけない。
彼女の本当の名前を見て「この子は『三つ編み』のラリータではないか!」と思わず声を上げてしまった。物語は繋がっていたのですね -
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生きている限り知ることのたくさんのうちのひとつにどこかで差別があり、今苦しんでいる人がいること。
自分に何ができようか…。
ただ、どうにかできないものなのかと思っているだけで、動けない自分にもどかしさを感じた。
この物語は、フランス人で教師をしていたレナが、不慮の事故で絶望感の中、旅をしようとインドに来る。
生きる意義もなく、鬱々としているときに海にさらわれて少女に助けられる。
その少女と出会ったことで、満足に学校へも行けず、読み書きすらできずにいることを知り、学校を作る。
その過程もかなり大変ではあるが、それからも苦難はある。
学校へ行き始めたとしても初潮で少女たちの人生は一変する。
十歳 -
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ネタバレ伝統を守る
それはとても大切なことだけど、時に足枷になる
外から見て悪習だと思ってもそこで生きている人たちには大切なこと
何万歩も下がってそう考えたとしても、納得がいかない
カーストと貧困を甘んじて受け入れる、そのループを生むのが村の伝統を従順に守る家庭だなんて!
呪縛は果てしなく、子供にも自分と同じことをさせるのが当然なのだと信じて疑わないのだから、何も変わらない
だって、それが呪縛だと知らないのだもの
間違っていると思わず、声を上げる術も歯向かうこともしない受け入れるだけの人生
いま私と同じ時間が流れている別の場所で実際にあるということ
レナの奮闘は砂漠の中の一滴の雫に過ぎないかもし -
Posted by ブクログ
著者デビュー作の"三つ編み"で
インドの不可触民である女性が、自分の娘にその仕事をさせたくなくて逃げる話と、
イタリアで家族経営の仕事(村の人々の髪をカツラにする)を継ごうとしている若い女性
そしてカナダで乳ガンを宣告されるシングルマザー
の三人の生き方がそれぞれ描かれながら、つながっていく話でした
この"彼女たちの部屋"は、
著者がたまたま通りかかって知った「女性会館」から、その施設の創設に尽力した実在の人物ブランシュ(1920年代)
と、
現代の女性ソレーヌ 弁護士でバリバリ仕事をしていたはずが、ある判決が終わったところでクライアントが目の前で飛 -
Posted by ブクログ
ネタバレ『三つ編み』の作者の第2作。
順風満帆の弁護士のソレーヌは仕事の失敗すなわち顧客を破滅に陥らせたことから燃え尽き症候群になり、医師からボランティアを勧められる。様々な職種の中から選んだのは困窮した女性の避難施設の代書人(Écrivain public)。
百年前、当時の女性としては道を外れた生き方を貫き、この施設の設立のために尽力した救世軍の女性・ブランシュ。
一人で住む部屋を得るというのは一度堕ちてしまうと困難を極める。ソレーヌは目の前のたった一人でも救えるのか。
フランスの女性というと、日本では雑誌で特集を組まれるほど憧れの対象であったりするけれど、施設の女性たち社会から爪はじきに -
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ネタバレクライアントの死をきっかけに、堰をきったように抑圧されてきた思いや、恋人との別れ、周囲からのプレッシャーなどに押し潰されそうになる主人公ソレーヌが、女性会館での人々との交流を通して、他人の価値観よりも自分の思いに正直になっていく様子が描かれていた。
物語が終盤にさしかかるにつれて、パラレルに語られてきた女性会館の創設者ブランシュと重なる部分が増えていき、最後にはブランシュが女性たちに手を差し伸べたように、ソレーヌもリリーに手を差し伸べた姿に心を打たれた。
パリという世界が憧れるような素敵な街の片隅で、世界中から集まった貧困や差別と闘いながらお互い支え合って生きていく女性たちが実際にいること、 -