齋藤可津子のレビュー一覧
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ある事情を抱えて、インド南部の村へ逃避行したフランス人女性(元英語教師)が、不可触民の子どもたちのための学校を作るお話。
インドのエネルギッシュさや伝統的な習慣の美しい描写のほか、今なお続くカースト差別、児童労働、児童婚、忌み嫌われる不可触民であるのに女性が襲われるという逆説の事実。
不可触民の差別から脱するために、ヒンドゥー教からキリスト教に改宗しているくせに、伝統的な価値観に則って12歳の少女を結婚させようとする養父母。赤色と金色の美しい布に刺繍が施されたきらびやかな婚礼衣装を纏う少女の悲しみ。
「新妻は家族と別れ、夫の家族と同居し、その所有物となる。」所有物、という単語を人に使うことの意味。
「子供はすべて持っている。奪われないかぎり。(プレヴェール)」でも、奪われるものがあまりにも多い。
粗悪に感じるインドの習俗だけど、他国から見たら日本もありえないと思われることがあるんだと思う。世界経済フォーラムが発表する、ジェンダー・ギャップ指数によると146カ国中、日本は118位(2024.6月発表)。教育の指数は良いけど、経済と政治の指数が低いと。インドのカースト制社会で生き抜くよりははるかにマシだとも思うけど、生きづらさは確かに感じる。どうやって変えていけるんだろうね。
「人生は過去をふりかえることでしか理解できない。しかし人生は未来を向いてしか生きられない。(キルケゴール)」 -
Posted by ブクログ
ネタバレ登場人物が多くて、誰が誰だかよく分からないままだった(登場人物リストがあって助かった)。全て透明な家は絶対に住みたくはないけど、SNSで私生活を発信したり気軽に写真を撮られて拡散されたりする現代は、考えようによっては透明都市で、2050年の仮想の都市ではあるがとてもリアルな設定だった。透明で全てが見えるからこそ、見た人たちを隠蔽して、皆だんまりを決め込むのも、狂ってはいるけれどもこのまま社会がそのようになっていくのかも。どうしてルーを犯人に仕立て上げたのか、ニコがどうしてエレーナを出し抜いたのか(振られたから?そんなにいい感じでもなかったけど)、謎解きパートは分かりにくかった。
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Posted by ブクログ
聞こえてくるインドに関するニュースというと、女性がレイプされて殺されたというような悲惨なものや、また、本作にも描かれるカースト制度(不可触民)や児童の労働・結婚の問題についてなどが多いので、インドとは、常識や人権感覚が私とは違う、安易に立ち入れない国、という気がしてしまう。地元にもインド出身かな?と思うような方達が増えてきて、身近なのだけれど、なんだか遠く感じる存在でもある。
本作はそんなインドで不可触民の子供の為に学校を作ったフランス人女性の話で、伝統や風習の壁に挫折したり、自分がしていることに葛藤(自分がしていることは偽善・自己満足ではないのか?)したり、喜びや使命感を感じたり、自分の生きている意味を考えたりする彼女の姿に勇気をもらった。
社会に染み付いた「常識」や風習などはなかなか変えられるものではないと、おそらくみんなが分かっているけれど、それでも何かせずにはいられずに、不幸な人たちのためにアクションを起こそうとする人達を全員尊敬する。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ『三つ編み』に出てくる少女が重要なカギとなる小説。
主人公のレナはある理由でインドへ1ヵ月ほど滞在することになるが、その少女に助けられ、恩返しとして英語を教えることになる。そこから文化や言語の壁を乗り越えて仲間も集めて学校を立てることになるが、様々な試練が待ち受ける。
三つ編みと同様女性に対する差別や格差について言及する描写が多く、インドでの状況を細かく知ることができる。主人公が女性を守る集団リーダーであるプリーティに会うことになるが、本当に存在するのであればインドも少し変わってきているのだなと思った。インドならではの風習で女性が若くして結婚させられたり、女性の教育は必要ないといった固定概念が強くあることがよくわかった。
少し話の展開が遅かったが、とても読みやすい文章と描写が特徴だと感じる。
違う文化の環境の中で、周りの人の固定概念を変えることの難しさや自分の決断によって巻き起こる事件に永遠に繰り返されてしまう負の連鎖にうんざりしてしまうことが多いのでないかと感じた。NGOやボランティアで全ての貧困や教育の問題が解決できないもどかしさがあるのでメンタルやモチベーションを維持するのはとても難しいと感じた。