稲垣栄洋のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ個性豊かな雑草たちを擬人化して 名前の由来やエピソードをイラストと共に紹介
道端で出逢う雑草さんたちのことをもっと好きになる 手元に置いておきたい一冊だなあ
「雑草」は邪魔者扱いされることも多いけれど
日本では「雑草魂」「雑草のようにたくましい」など努力をほめたたえる言葉もある
アメリカの哲学者エマーソンは
「雑草とはいまだその価値を見出されていない植物」と定義づけた
邪魔だと思えばただの雑草なのだけど
よく見るとかわいい花をつけているではないか
綺麗な葉をアスファルトから覗かせているではないか
でも綺麗だからといって鉢に植え替えても種をまいても簡単には育たない
雑草たちは死滅しない -
Posted by ブクログ
私の疑問。
どの本を読んでも、そしてこの本でも「ヒガンバナは球根で増えますが、球根は遠くまで移動することができません。ということは、墓場に咲いているヒガンバナは誰かが植えたものなのです」的なことが書いてあるが、我が家の庭にはヒガンバナを植えてないのに、数年前から勝手に生えてきて、そしてすごい勢いで増えてきている。定説に誤りあり、と思う。「球根プラス何かの手段でヒガンバナは増える」、ということを訴えたい。
その他・・・、本からのまとめ
植物のモジュール構造(基本単位の繰り返し構造)
トウモロコシの起源は謎らしい。
人類が働かなければならない理由 「非脱粒性」
植物が文明を狩猟社会から農耕社 -
Posted by ブクログ
オスとメスの違いをテーマに「生命」を考察する作品。
生物の中にはメスの方が体が大きい場合と、オスの方が体が大きい場合の両方が存在する。メスの方が大きい生物は、女王アリのようにより多くの配偶子を生産することに特化しており、オスの方が大きい生物は、ゴリラのように家族や群れを守りやすいように進化した結果なのだ。
ハーレムを形成する動物の中では、オス同士の戦いに敗れ一生メスと交われずに死んでしまうオスもいるらしい。そんなオス同士は一箇所に集まって「悲しみの丘」と呼ばれる群れを作る、そしてハーレムのボスになったオスも、肉体的にハードなため短命の場合が多いそうだ。
結局のところ、子孫を残すためにはオ -
Posted by ブクログ
稲垣氏は仏教の言葉も次々と出てきて、とても博学だな、と感じました。専門の植物学に比べると掘り下げ方が今ひとつですが、エッセイとして楽しく読ませて頂きました。
・ハスは約1億年前、白亜紀に地球に出現。恐竜が闊歩していた時代。化石として発見されている。花びらが多いという古代植物の特徴が見られ、おしべとめしべがやたら多くごちゃごちゃしている。
・哺乳動物は辛いトウガラシを食べられない。鳥はカプサイシンを感じる受容体がないため、食べられ、遠くにタネを運ぶ。
・もともとは仏教で肉食が禁じられていたにもかかわらず、現在、中国や韓国の料理に肉を使うのは、蒙古支配の影響。
・仏教伝来以降、日本で肉食が解禁さ -
Posted by ブクログ
稲垣栄洋著「なぜ仏像はハスの花の上に座っているのか-仏教と植物の切っても切れない66の関係-」を読む。
植物たちは緩やかに連関しながら、それぞれが環境に対して自己最適化をすることで種として生存してきました。その生態の豊かさは驚くべきもので、植物学の深遠さはまったく底がしれません。やっぱりこの世に「雑草」はありません。
p.173
「弘法大師の言葉に「医王の目には途に触れてみな薬なり」とあります。優れた医者は道ばたの雑草も薬草に見えるというのです。
アメリカの思想家エマーソンは、雑草を「未だその価値を見出されていない植物」と評しました。
こんな小さな雑草にさまざまな価値を見出した昔の人の観察眼に -
Posted by ブクログ
エゴマは縄文時代に日本に伝えられたとされ、食用油や灯油として用いられたが、17世紀初めにナタネの栽培が普及するとともに地位を失った。
サツマイモは、青木昆陽が救荒食として吉宗に上申し、貧困にあえいでいた農民を救った。関東ローム層に覆われたやせた武蔵野台地に栽培された。
戦国時代に山城が造られ、堀や土塁などの土木技術が発達したことによって、山間部には棚田がつくられるようになった。
中国から来たものを諸越と呼んでいた。ソルガムも「もろこし」と呼ばれていたが、16世紀にポルトガルから伝えられたものがトウモロコシと呼ばれるようになった。
キュウリ(胡瓜)は、胡から伝えられたウリの意で、インド北部のヒマ -
Posted by ブクログ
「ナーム」という仏教誌に、7年近く連載してきた植物にまつわるエッセイを母体とする本。
だから仏教がらみの話題なのね。
第一章「仏教と縁の深い植物の謎」から第三章「心に染みる仏教と植物の話」のあたりは、他の稲垣さんのエッセイと同じテイスト。
具体的な植物を取り上げ、その生態などを解説していく。
マンジュシャゲなど、他の本で取り上げたものもある。
第四章「仏教が理想とする植物の生き方」は、これまでとは少し趣が違う気がする。
仏教や日本人の生命観などにかなり踏み込んでいく。
植物が、むしろ命が短くなる方向で進化してきたという指摘が面白かった。
仏教では意識のない植物は食べても殺生に当たらないと説 -
Posted by ブクログ
○植物学という実は奥深い世界にライトに誘ってくれる
有川浩さん原作の映画「植物図鑑」が公開されました。植物図鑑自体は雑草という普段うざったいけど実態をつかめないものを小説の中で詳説している点では画期的だが、この「面白くて眠れなくなる植物学」は雑草という概念だけでないすべての植物についてわかりやすく解説してくれる。
わたしの気になったトピックを2つほど。
「植物のダヴィンチコード」
ダンブラウン原作の映画『ダヴィンチコード』の中で地下金庫を開ける暗証番号として数列が出てくるが、それは「フィボナッチ数列」の考え方がわかれば解けるのであるが、植物の世界でも、葉っぱの付き方の規則性がこのフィボナッチ -
Posted by ブクログ
ネタバレクリシンでクラスメイトだった石田さんからの紹介。
言われるまで気が付かなかったが,生き残っている弱者にはそれなりの理由がある。最後まで戦い続ける肉食猛獣に対して,徹底的に戦うことを避けるハトなど。生き残る上で賢いのはどちらだろうか?
肉食動物が絶滅する間に,草食動物が繁栄しているという事実もある。それぞれが独自の特徴を生かして,オンリーワン戦略で生き残っているのだ。
自分の生き残れるニッチスペースを見つけなければならない。強者に立ち向かうためにはガチンコで当たっても勝ち目はないので,独自の戦略が必要となる。戦力を一部に集中するなど,自分の生き残れるポイントを探って経営資源を集約するべきで -
Posted by ブクログ
強い植物が侵入してこないような条件の悪い場所こそが雑草の棲み処。除草されたり踏まれたりする逆境こそが雑草の生存のために必要な場となる。雑草は毟られても地面の下には無数の種を準備している。一般に植物の種子は土の中にあるので、光があると芽を出さない。ところが、雑草の種子は逆で光が当たると芽を出すようになっている。即ち除草により種子に光が当たるということは、人間が草を毟って周囲に植物がなくなったことを示す合図。雑草の種子はこれをチャンスと捉え我先に芽を出し光を独占するのである。雑草にとって逆境は耐えることでも、克服すべきものでもない。寧ろ順境。逆境を順境として活かしきっている。光を奪い合い水を奪い合