あらすじ
海洋全蒸発や全球凍結、巨大隕石の衝突など、地球環境が激変しても多くの生命はしぶとく生き残り続けてきた。そして今でも、強者ではない動植物などはあらゆる方法で進化し続けている。群れる、メスを装う、他者に化ける、動かない、目立つ、時間をずらす、早死にするなど、ニッチを求めた弱者の驚くべき生存戦略の数々。
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〈概略〉
厳しい競争の自然界、敗者は滅びるのみ。
弱者には弱者の戦略がある。
〈強さとは〉
他者を打ち負かすことでなく、生き残ること。
〈弱者の戦略〉
・群れる
・逃げる
・隠れる
・ずらす
〈ニッチ戦略〉
すべての生物がニッチを持っている。
小さな土俵で勝負する。
〈弱者と環境〉
安定した環境→強者が生き残り、弱者は滅びる。
撹乱がある環境→必ずしも強者が勝たない。
椅子取りゲームの空白のように、新たな椅子が置かれたときがチャンス。
〈結論〉
強いものでなく、賢いものでなく、「変化できるものが生き残る」。
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あえて条件の悪いところに行ってみる。
安定している場所というのは競争が激しく、すぐに勝者が入れ替わる。変化の激しい場所で戦ってみるのです。自由度の高い土俵で戦うのです。
人生の局地戦に持ち込み、一点集中させる。
北海道のセイコーマートとかは札幌を中心に発展したが、本州には進出していない。
ルールやテリトリーがシンプルなほど、戦いやすいし勝ちやすい。
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非常に良かった。定期的に読み返したい。
岩波の「生物から見た世界」と、ピーターティールの唱える「競争はバカのすること」の2つが自然界を例に語られている本だった。納得感がすごい。
・自然界では弱肉強食が前提
・しかしライオン、雑草、アリなど、それぞれがニッチな場所でのナンバーワンを確立していて、その上で弱肉強食のピラミッドはできている
・だからどこで戦うかと、どう戦うかが重要
・命を短く設計する方が遺伝子設計を多くできることに繋がり、変化に対応できるようになったりするし、時には性別を隠していた方が競争せずに餌を得られたりする
・戦うフィールドと、その場所でどんな闘い方をするかで取りに行く情報も変わる
資本主義で生き抜いていくには自然界に自分の状況を置いて考えてみるのが本質的なヒントを得られると思えた。そこだけ覚えとけばよき。
個人的には、これに合わせて王道の戦い方を忘れなければよいな。
・正しくナンバーワンを目指すべきニッチがわかる(生物的な観点で考える)
・ナンバーワンを取る方法(王道を踏まえる)
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秀作。
生物はその場所ではオンリーワンなのでナンバーワンであり生き残れる。
強いものにはかなわない。生き延びる場所を探し、生き方を変えることで生き残ってきた。人間も同様で、自分を活かせる場所探し、生き方を変えることが大事なのでないかと思った。
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「 弱者の戦略 」 動植物の生存本能を 弱者の戦略と捉えた本。弱者に見える動植物たちだが、偶然 今まで生き残っていたわけではない ということが よくわかる。人間や企業の戦略論としても 十分面白い
オンリーワン戦略、ニッチ戦略の本当の意味を知ることができる。本の命題は 「強い者が勝つわけではない。強者のマネをする必要はない〜弱者には弱者の戦略がある〜勝負の鉄則〜強い者は単純に、弱い者は複雑に」
特に イワシ、ナマケモノの生存戦略に驚く
強い者が生き残るのではない、生き残った者が強いのだ
*群れる→群れ=機能的チーム
*逃げる→勝ち目がない時 まず逃げて身を守る
*隠れる→敵が大きいほど 小さい方が身を守る武器になる→状況に応じて変わる
*ずらす→ 競争の少ない条件の悪い方を選ぶ
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一番印象的だったのが、動物や昆虫がなぜ人間より寿命が短いか。変化の激しい環境の中では、固執した遺伝より、環境に合わせた遺伝が生成されるようにするため。
この本を読んで思うのが、やはり人間も動物なのだと改めて実感した。社会生活の中で、自分達も動物の一属性にすぎないと、滅多なことがない限り考えないので、新たな視点に気付かされた。
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食物連鎖の下位にいる生物は擬態で敵を欺くということは知っていたが、
同じ種属の中でもそのようなことが行われていることを初めて知った。
それは体が小さくて弱い生物が遺伝子を残すための戦略だ。
暗闇で息を潜めて待ち構え、強いオスの鳴き声に引き寄せられたメスを横取りしたり、
メスに擬態して強いオスを油断させ、その隙にメスに近づいたり。
移動することができない植物も、鳥や昆虫に種を運んでもらうために、
甘い蜜や木の実を用意する。まさに戦略である。
生物が自分の遺伝子を次世代に繋ごうとする、果てしない努力。
それはビジネスや人間の生き方にも通じるものがあり、
したたかで力強く、いじらしささえ感じた。
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面白かった。こんな話を聞きたかった
とくに動けない植物の戦略が自分にささった
以下好きなところを抜き書き
「他の生物がナンバー1になれない場所をさがす」「戦いに勝つには大きいほうが有利。小さい土俵で立ち入ることさえさせない」「南極は不安定な環境ではなくきびしい状態で安定」「女装したオスは強いオスに攻撃を受けることなくメスに近づく」「完全に撃退すると相手も進化する。しかし逆にソフトだと対応策を発達させにくい」
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とても面白い一冊。
あちこちにちりばめられたマメ知識が秀逸で、資料としても役に立ちそう。
郊外でセイヨウタンポポを見かけない訳は?戦国武将たちが愛した雑草という植物の弱者や、生き残る戦術など色々面白い一冊です。
Posted by ブクログ
弱いとされる動植物の生き残り戦略についての読みやすい解説
複雑さ、変化、ニッチ、パイオニアといったキーワードが挙げられるが、そのまま生物界以外にも共通するような内容であり、生物について勉強することがその他の社会を観る視点を深めることに繋がると思わせてくれる
個体の大きさが二極化したり、繁殖数で工夫したり、毒や形で守ったり、真似したり、敵を利用したり、共存したり、と生物の進化の幅広さに驚かされる
Posted by ブクログ
動物、虫、植物の生態としての在り方を戦略に沿って記されている。本質的な戦略論や行動論に在り方のヒントを教えてくれる本。
大企業に立ち向かう中小企業ビジネスの糧になる。
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弱者がどのように生き残っていくのか?戦略は必要だろう。敵対して退けるか、気に入られて利用するか、相手にされずにおこぼれで行くか、それとも攻撃を絶対に受けないものをまねて似せるか。消滅しないための方法には、学ぶことも多いと感じた。
Posted by ブクログ
1. シマウマより「強い」ライオンの方が絶滅しかけているのはなぜか?
2. ハチとアリはどちらが強い?
3. 家紋は植物が多い?
4. ニッチを狙え
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タイトルに興味を持った。弱者でも勝ち抜いていく方法があるのか、あるのならぜひ参考にしてみたいと思って読み始めた。戦を略すこと、土俵・視点・発想をズラすことで、オンリー1=特定分野のナンバー1=希少価値の創出に繋がると勉強になった。
Posted by ブクログ
海洋全蒸発や全球凍結など環境が激変しても生命体は生き残って来た。強者でなく変化してきた逞しい弱者も含まれる。弱いものの取る戦略は強者から見れば嫌悪感をもたらすものかもしれないが自然界においてもそれは存在する事を知ればそれも微笑ましく暖かく見守れる気がする。本書はそんな視点を作ってくれる本である。
※群れる→生物界にもある戦略
※擬態→シマウマはライオンやヒョウに見えない。
カサゴの赤色は深海で見えなくなる
※逃げる→ガゼルのサイドステップ
※ずらす→夜の蝶、日本のタンポポ
※棲み分け→平和的共存
※弱者の戦略とは→小さな複雑な局地的な戦いにもっていく。
※野生動物は比較的競争を避けるがメスを手に入れる為には命をかける(←人間との違い)
→ところが動物界にもコソ泥のような戦略もある(スニーカー戦略)(サテライト戦略)
※食べられる事により子孫を残す植物的戦略→
蜜で昆虫を呼び寄せ花粉を運ばせる
※強者の力を利用する→コバンザメ、ハチアブ、アブラ虫
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雑草は、植物同士の生存競争には弱い。
生物にとっては生き残ることが一番重要な事であり、強弱は問題にはならない。
強い者が勝つのではない。勝った者が強いのだ。~ベッケンバウアー
大きい者に対しては大きさで勝負しては勝ち目がない。小ささで勝負すべき。
※強者と同じ土俵に上がってはいけない!
cf.ランチェスター戦略
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弱者の取った生き残りのための戦略。蘊蓄が豊富で、読んでいて飽きない。偶然が重なって進化が起きたとは思えない複雑さ、巧妙さだ。
ただ、CSR戦略、ナンバー1でオンリー1のところは、同著者のちくまプリマー新書と一緒だった。
・「強いものは単純に。弱いものは複雑に」これは勝負の鉄則。
・カゲロウは生きた化石と言われるほど古く、現在知られている昆虫としては最も古い化石がある。3億年前から変わらない。命が短いのがそのひみつ。
・ミミズは、もともとは頭や足のような器官のある生物だったと考えられている。ところが土の中で土を食べて棲むというニッチに合うように、そのような姿になった。
・自然が破壊された環境に、最初に生える植物は「パイオニアプランツ(先駆種)」と呼ばれている。挑戦し続けることを宿命づけられている。
・多様性とスピードが弱者の戦略のキーワード。
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植物の戦略
1植物のCSR戦略
Competitive Stress tolerant Ruderal
2生物のrK 戦略
rN(1-N/K)
赤の女王仮説
「 最も強いものが生き残るのではなく最も賢いものが生き延びるのでもない唯一生き残るのは変化できるものである」
「 1番強いものは自分の弱さを忘れないものだ」
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強い者が勝つのではない。勝った者が強いのだ。
強いものは単純に、弱いものは複雑に。
体が小さいと隠れやすい。
いくつかのオプションを残す。
時間軸をずらしてすみわけする。競争を避ける。条件の良いところは競争が激しい。競争を避けて「ずらす」ことこそが弱者の戦略。他の生物がナンバーワンになれない場所を探して、自らがナンバーワンになれる場所を探す。どんなに小さい場所でもそこでナンバーワンになれるほどの力はつけなくてはいけない。
弱者は変化がある場所でパイオニア的に生きる。変化をチャンスと捉えて、常に新しい椅子へ乗り換える。挑戦し続けることの宿命づけ。人気が出てきたら別の未開の場所に移行する。
戦うことよりも戦わないことを選択し続ける。女装する戦略。与えよ、さらば与えられん。
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弱ければ生き残れないはずの弱肉強食の自然界。しかし弱者には弱者なりに生き残るための戦略を駆使している。
天敵や他種が生存できない厳しい環境をあえて選択することで、自分だけのの「ニッチ」を獲得する。そこでは「ナンバーワンでありオンリーワン」でいられるのだ。
同種間の競争でいえば、強いオスだけが遺伝子を残せるのではなく、弱いオスも遺伝子を残す為の戦略がある。
メスに偽装して強いオスもメスすらも騙して思いを遂げる弱いオスがいたり、別種かと思うほど個体を小さくして目立たないように強いオスの隙を狙って掠め取るオスがいたり。
人間界においても置き変えられる戦略が多く、ビジネス本として読むのもありかと。他人がやらないニッチを探す。最終的には変化に対応できる者が生き残るのだ。
『強い者が勝つのではない、勝った者が強いのだ』ベッケンバウアーの至言が響く。
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生物学的な観点から展開されている本書。
難解な表現も少なく、軽快に読み進められる。
一方で、ビジネス的な観点からの考察が少し甘かったように思う。
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先日、稲垣 栄洋 氏 による「弱者の戦略」を読み終えました。
新聞の書評欄を見て興味をもったので読んでみた本です。
「弱者」に焦点を当てた視点は斬新で、多くの新しい気づきを得ることができました。
自然界は「弱肉強食」の世界だと言われますが、現実的には「弱い」とされる生物も数多く生存しています。
「弱者」は、さまざまな知恵と工夫で生き残ってきました。そのキーワードは「変化への対応」です。変化を受け入れその困難を乗り越えたもののみが生存競争を勝ち抜くことができるのです。彼らは「たくましき弱者」なのです。
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生物にとって、強さとは、何かそれは鋭い牙や尖った爪を持つことではない。生き残ることができなければ、それは強さとは言えない。
強いものが勝つんじゃない。勝ったものが強いのだ。
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動植物の特徴とその背景事例を多く示していて面白い。確かに弱者の戦略なのだろうが、それをビジネス環境等で活用するというのはちょっと違う気もする。
Posted by ブクログ
強い者が勝つのではない。勝った者が強いのである。まさにその通り。さまざまな生物が生き残るためにどのように進化していったのか、ニッチな場所を求めて行ったのかがわかる。実生活、特にビジネスには各生物の戦略が活きるのではないかと感じた。
1番強い者は、自分の弱さを忘れない者だ。この西洋の諺が引用してあったが、印象的である。
Posted by ブクログ
クリシンでクラスメイトだった石田さんからの紹介。
言われるまで気が付かなかったが,生き残っている弱者にはそれなりの理由がある。最後まで戦い続ける肉食猛獣に対して,徹底的に戦うことを避けるハトなど。生き残る上で賢いのはどちらだろうか?
肉食動物が絶滅する間に,草食動物が繁栄しているという事実もある。それぞれが独自の特徴を生かして,オンリーワン戦略で生き残っているのだ。
自分の生き残れるニッチスペースを見つけなければならない。強者に立ち向かうためにはガチンコで当たっても勝ち目はないので,独自の戦略が必要となる。戦力を一部に集中するなど,自分の生き残れるポイントを探って経営資源を集約するべきである。
強い物が生き残るのではない。賢い物が生き残るのでもない。最後に生き残れるのは変化できるものだ!
我々の祖先は困難を乗り越えながら変化を受け入れ進化してきた。我々はそんな「たくましき弱者」の子孫なのだ。
一番強い物は自分の弱さを忘れないものだ!
Posted by ブクログ
“小さなニッチ オンリーワン” 変化のある不安定な環境こそ、弱者にチャンスである。 群れる、逃げる、隠れる、ずらす。 ストレス耐性とルデラル(臨機応変に対応する。) 大きいか、小さいか。 が生き残り、中間は生き残らない生物界。山旅行から帰って来て、森の生態系を思い出しながら読んだ。『雑草魂』に学び多し。