衣笠彰梧のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
前巻の様々な思惑が絡み合う修学旅行から何が起こるかと期待して読み始めてみれば普通に特別試験が始まる冒頭には良くも悪くも驚いてしまったけど、修学旅行で紡がれた交友についてはあれで一区切りな感じなのかな?
ただ、修学旅行での関わりがこの巻でBクラスの問題に綾小路が関わる際の足掛かりとして活きていたように、修学旅行から今巻の流れは綾小路の人間関係を広げる上で些細だけれど大きな意味を持ってきそうだ
この巻では学力を基礎とした特別試験が行われつつも、本題となるのはそれを他所に行われる新生徒会長を巡る騒動や一之瀬の問題か
本来なら新生徒会長の件にも一之瀬は関わっている筈だったのだろうけど、早々に辞退した事で掘北が新生徒会長へ既定路線に
そこへ鬼龍院が持ち込んだ訴えは一見すると意味不明で新生徒会長とは絡みが見えないもの
でも逆に言えば生徒会長入れ替わりの時期という事で堀北が新生徒会長としての第一歩を歩みつつ、前任である南雲の影響力も行使できる実力試しには良い機会だったと言えるのかな
事実、綾小路が幾らか情報収集をしていたとはいえ、最終的に堀北は限られた情報から見事に真実を言い当ててみせたし、新生徒会長として申し分のない裁定を下してみせたね
ただ、気になる点としては南雲と桐山の真意かなぁ…。一応は堀北の裁定により決着を見た形。けれど堀北は二人の裏の思惑までは見通せなかったような…
もう一つの問題である一之瀬の件はどう受け取ろうとも綾小路の影響力の強さを感じてしまったな
暫く前から神埼の相談を受ける形でBクラスの変革を手伝っていたのは事実。けれどカラオケの場面に示されているように神埼の目指す方向性に同調する者が現れ出したのも事実
あの場面で神崎がサブリーダーとしての立ち位置を顕わにして意見を纏め上げられれば良かったのだろうけど、綾小路が分析したように神崎には未熟な部分があった。だから綾小路にイニシアチブを握られてしまう
今回は綾小路にBクラスを手中に収めようとする積極的な意思がなかったから良かったものの、あの話の流れは危険だよなぁ…。それが最終的に一之瀬のあの認識に繋がっているのだろうし
前巻ラストから続く一之瀬へのカウンセリング
そもそも一年生編の後半から傾向は見えたように、一之瀬は過去の経緯が影響して精神面の揺らぎが何度も表出していた。それが辛うじてでも安定に戻れたのは綾小路の助太刀が有ったからこそ
そして前巻ラストにて示されたように一之瀬は綾小路から受け取れる助太刀程度では精神の限界を迎えようとしていた。だから一之瀬がクラスのリーダーとして踏み留まるには一之瀬自信の変化が必要だったわけだ
その点、綾小路とのデートによって良い影響を与えたようで
特に綾小路が網倉の好みのタイプを聞き出そうとしたシーンは一之瀬の変調が顕著に出たね
一之瀬が持つ好意を考えればあのシーンはもっと精神の揺らぎが現れたって可怪しくないシーン。けれど一之瀬は綾小路の想いの真意を探る為に冷徹とも言える程に落ち着いた分析によって綾小路の発言の意味を解き明かしている
あれは干支試験の時のような冴え渡りだったね
この辺りの体験が一之瀬を大きく変えたんじゃなかろうかと思えてしまう
デートやその後の綾小路との会話によって一之瀬は綾小路の手助けによって支えを見出すのではなく、自分自身が綾小路に振り向いて貰える人間になるという目標を自分の中に作り出す事によって変調を手にしている
これは以前の一之瀬には全く見られなかった点
そうして一之瀬が手にした変調は末恐ろしさを感じさせるものだね
坂柳を言い返すだけに留まらず、龍園にすら厄介な敵だと思わせた
一之瀬がこの巻で見せた羽化はもしかしたら綾小路すら驚かせるものになるのかも……
大きな変調を見せた一之瀬、代わりに沈殿を見せた軽井沢
軽井沢との関係の中で失恋や破局を経験しようとしている綾小路、軽井沢という人間が目指すべき方向性、そして軽井沢を安易に蹴落とすのではなく将来的な勝利を目指す一之瀬…
また、一之瀬が終盤で述懐していたようにここ最近のBクラスと綾小路の関係には注目すべき部分があるね
何でもかんでも綾小路を頼れば良いと考えているわけではないのだろうけど、一之瀬関連で自分達の手に負えないと判断すれば綾小路に頼めば解決してくれるという体験を得てしまった。それを一之瀬は理解してしまった
これらの点は今後の綾小路と一之瀬の関係を考える上で大きな意味を持ってきそうだよ…… -
Posted by ブクログ
試験もなく陰湿な策略もない穏やかで学生らしい面が強調された修学旅行編。高校が舞台である事を思えば、こちらの方が本来は求められるものである筈なんだけどね
逆に考えればあのような実力至上主義の学校で仮初でも学生間の交流を図るイベントを何かしらの基準を以って行われるなら、そこには学校側の狙いが有るとも考えられるのだけど
ただ、学校側の狙いが学年末試験に有るだろう点は読めても、この交流が何を意味してくるかは不明瞭なまま
だから結局のところこの巻では単純に修学旅行を楽しむ綾小路達の模様を見る事がメインとなってくるね
修学旅行ではどうしたって気分が浮かれてしまう。それは単純に旅行を楽しむだけでなく恋愛的な部分もそう。須藤が遂に覚悟を決めるのもそうだし、綾小路を巡るヒロイン達にも幾らか動きが見られたね
その代表格が櫛田桔梗かな
初登場時こそ、明るくコミュニケーション能力に長けた魅力的な女生徒として描かれた彼女だけど、あっという間に裏の顔が現れかなり長い期間そちらを綾小路に向けていた。その為にヒロインという印象は持てなかった女生徒
けれど度重なる敗北や満場一致試験での惨敗によりその裏は限界を迎えていた。更に前巻で綾小路に助けられた事で風向きが変わりそうだったけど、まさかこの巻でああまで劇的に変わるとは思わなかったよ
明確に綾小路への何かを示したわけではない。けれど以前はアレルギーのように綾小路を嫌っていた彼女が綾小路を前にして年頃の少女のように平静を保てなくなる展開が描かれるとはね
まあ、櫛田をそこまでテンパらせるインパクトを示した綾小路も凄いっちゃ凄いのだけど。スキーを始めて2日目で上級者を制してみせるだけに留まらず、ヒーローのように櫛田を龍園から守るって何……
また、恋愛面以外では裏で静かに行われる坂柳クラスと龍園クラスの対立が気になったかな
綾小路が所属した修学旅行グループでは龍園と鬼頭が判りやすく対立していたけど、あれなどは前哨戦で旅行中は常に坂柳クラスと龍園くらすによる腹の探り合いがあったと想像するに難くない
また、修学旅行全体としても他クラスの生徒との距離を詰めるイベントがそこかしこで発生していたようで
作中で描かれた範囲で判りやすいのは坂柳と時任、綾小路と山村となるのかな
こういった対立と和解が今後何を意味してくるのか、楽しみに思える巻だったかな
それはそれとして、七瀬の可怪しな言動やあの電話の主の登場によって驚きの推測が示されたね
綾小路がこの学校に来たのは普通の学生生活を父の手から逃れつつ送るためであり、それにより幾らかの犠牲が出た。また変わらず綾小路の父は綾小路の退学を狙っている。それが本作序盤から存在していた構図だった
だというのに綾小路がこの学校で学び続ける事は既定路線且つそもそも退学も狙われていないだなんて、色々な前提が覆りそうだよ
実力至上主義の学校の謎、そして綾小路という天才を父やその周囲はどう利用しようとしているのか?その点について改めて考える必要が出てきたね
人知れず限界を迎えようとしていた一之瀬。それに寄り添う綾小路の行為は救済か破滅か…
どちらにせよ一之瀬にとって学年末試験が分岐点となるのか
せめてそれが坂柳の指摘した未来が綾小路の思い通りにならない点になる事を願うばかりだけど…… -
匿名
購入済みアニメもライトノベルの方も読んでいて、コミカライズも気になって見ました。
とりあえず綾小路くんの性格が結構違うのかなというような印象を受けました。 -
購入済み
脇道の話のように見えて実は・・
修学旅行がメインなので、本編とは別の脇道の話のようにも思えたが、実際は今後に繋がる重要な伏線があり、読み飛ばせる巻では無い。
本巻で最も印象的だったのは堀北で、彼女は以前とは異なり対人で非常に誠実な態度を見せる場面があり、本当に成長したんだなと思わされた。
それと、櫛田の心情が変化した兆しが現れたり、綾小路が坂柳や一ノ瀬と関わる重要な伏線が描かれる等、見どころは多い。
ところでこの巻に限った事ではないのだが、
会話の場面で複数のキャラクターがいる時、今誰が喋っているのか分かり難い事がちょこちょこある。
要するに地の文が不足している。
他にも日本語の言い回しで違和感のある文章がたまにあったりする。
内容が面白いが故に、残念な部分ではある。