中山淳雄のレビュー一覧
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・ポケモンは、家庭用ゲームの「マネタイズ最大化」だけではなく、消費者の世界から見てのインパクトが最大化される「プロモーション最大化」が共に志向される。
これがライセンスビジネスの底流にあるコンセプトであり、「キャラクター経済圏」ともいえる無形の文化商品ビジネスを成り立たせるものである。
・マスメディアによる大きなヒットを狙えないからこそ、さまざまな商流を巻き込んでヒットを作る。
・ライブの場が提供する1回性の価値とコミュニティの形成。
・サービスを提供し続けるチャネルが必要になる
・お祭り騒ぎは、予定された人々の生活サイクルにあわせて、習慣になったときに経済圏として確立する。
・ラブライブは、キャラクターと物語をユーザーの関心度に合わせてチューニングし、コンテンツを一緒に作り上げていく中で、派生市場を開拓し、アクティブなオタクを作り上げた。
・ライブコンテンツ化によって派生市場を広くとることによって、2次元の作品は2.5次元に進化し、天井のないブルーオーシャン市場を開いている。
・キャラクターと世界観の体験装置を丸々販売している。
・メディアリミックスによるライブコンテンツ化が大切。
・「体験コンテンツ」としての捉え直し。
・メディアからライブ感が失われている。
・2次元キャラクターの経済圏が「文化資本」としてうみだされており、その経済圏に生きるユーザーの嗜好に合致してあるから、ゲームのように新しいコンテンツも受け入れられる。
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中山淳雄の本は「オタク経済圏創世記」以来。それが2019年でした。それからコロナ禍を経ての本書です。間に「エンタメビジネス全史」も買って積読状態なのですが「エンタメ通じZ世代分析」という書評を見て先にこの「クリエイターワンダーランド」を読んでしまいました。5年前になんとなく頭で理解した気分になっていたものが、今回はなんかものすごく腹落ちした気分になりました。状況がどんどん進展したのか、著者の視野が拡がったのか、読者である自分の理解力が上がったのか…今、コンテンツ界隈で起こっているこのの完璧な解説書に思えました。いっぱいフレーズ欄に書き込みました。「オタク経済圏」といったまだ知る人ぞ知る的なエコシステムから「クリエイターワンダーランド」というメインステージに不可逆に進む進化のスピード、半端ないです。ほんと自分の中のモノサシを作り替えなくてななりませんね。今のところ今年度、納得したで賞No.1!
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メディアありきのコンテンツの時代から、コンテンツがメディアを選ぶ時代になっている。
時代のエポックをたどり、エンタメを9つのブロックに分けて説明してある。
「興行」
ゲームと映画と出版などの、表現をメディアに焼き付けた「平面的」なものではなく、「人と空間」がそのままメディアとして成立しているもの。春の桜のように「消えてしまう」ものであり、だからこそ本当に美しく、見るものを魅了する。「その瞬間」を消費するもの。興行とは物語でもあり、時代を超えたストーリーが人を魅了する。その物語もまた物語を紡いでいく。興行とは、「観客を集め、金を取って、見せるもの」ではなく、「見せるものへの期待値を作り出し、それによって金を払うに足ると感じるファンを集める仕事」、劇場と土地に紐付いている興行は利権との戦いでもあった。宝塚などは、買い占めた土地を分譲住宅用に高く売って利益をあげたりした。日本最初の「土地開発」である。劣等感が次のエンタメを育てる、仏や独といった文化的ライバルに劣等感をもつ英国、さらにそれに劣等感をもつ米国が、英国のスポーツであるクリケットやサッカー、ラグビーをこばみ、あえて野球やアメリカンフットボールを作り出していった。演劇もオペラを拒み「ミュージカル」を作り出していった。熱狂を生むといった点でライブ興行にまさるものはなく、ライブの持つ魅力は「感染力」である。ライブとは「その場その瞬間にしか起こり得ない雰囲気を楽しむものである」。興行の妙味は「場の盛り上げ」であり、ゲーム実況や音楽ライブなどもコラボや記念日などの「イベント」を起こし、投げ銭はさながら花吹雪である。「場の盛り上げ」のうまさは日本の興行界の磨いてきたもの、ゲームやアニメに落とし込んだのがVチューバー。
「映画」
「ブロックブッキング」によって成長。制作から興行まで一社統合型の企業が牛耳っていた時代に、作る段階で劇場での上映を保証する仕組み。テレビ局事に番組を作り、放送が保証されるテレビも同じ構造といえる。「メディアの出口を押さえているから、ゼロイチで確率の低い最初の投資を意欲的に行える」状況が、「千三つ」の段階で発掘・育成投資を行うことを可能にする。
映画の凋落とともに、映画会社はリスクの高い制作を切り離し生存をはかった。映画俳優はテレビに出れない約束事も有名無実化し、テレビ進出、プラットフォーム特性を加味した作り方の模索が始まった。空白状態となった業界にインディーズによるピンク映画という新しい形態が現れた。金がかからず経験を積めるこの形式で多くの監督が育った。その後はビデオの発明で市場が広がった。実は自国の興行の半分を自国産映画で占めているという国は少ない(インド日本韓国中国のみ)。大抵が米国の映画を見ている。消費と制作の両方で独自性を持つというのはかなり難しい。規制などなくこれを実現している日本は、草の根のクリエイティブな監督・制作チームが育ち、消費者の嗜好の多様性が育まれているかが示されている。「映画大国の一角」である。
「音楽」
エンタメ業界のカナリアであり、技術の革新に1番影響されてきた。著作権の発生により市場が整備され、クリエイターに還元されるように。歴史としては、黒人から始まり、労働の中のブルース、キリスト教の影響を受けた南北戦争中のゴスペル、死者の鎮魂の意味で歌われたジャズなどがある。エルビィスプレスリーがロックを編み出し、黒人と白人の融合を促した。日本は世界的に見ても音楽業界はガラパゴスである。アイドルビジネスとしての音楽が人気になり、タレントがうたう歌が人気に。ナベプロやホリプロなどがテレビとの共犯関係の中でアーティストを育て、レコード、CDを販売するビジネスとなった。「360°ビジネス」というように、別のビジネスに展開しているのが日本の音楽の特徴。
「出版」
流行の周辺で繁栄を享受する産業である。日本の出版業界の特徴として「再販売価格維持制度(価格の固定)」「委託制度(書店が買い取らずに出版社に返品できる仕組み)」そして、出版-取次-書店が生み出す流通構造の3点にある。本は定価販売で安売りされず、また、書店が在庫リスクをもたないので売れない本も店頭に並べやすく、多種類の本を揃えることが出来る。再販制度は過渡期には良いが、成熟期にはメーカーと小売のバランスがアンバランスになる。著作物であるから再販制度は維持されている。委託販売は、書店の意思に関係なく大量の本や雑誌を送りつけられる。
これらの流通の仕組みは、逆に何が売れるかの見立て力を持たない書店を乱立させる結果となった。書籍・雑誌が凋落傾向にある中で、ここに来てようやくメディアミックスとキャラクタービジネス化という異業種とのコラボが、出版業を次なる成長に導く道筋として見えてきている。
「マンガ」
戦後の紙芝居師から発達。キャラクタービジネスでさらなる発展をはかった。
「テレビ」
国家による電波管理下で競争なき独占であり、市場原理がなく、地方局はキー局などから番組が配給されたりもする。
テレビの神正力松太郎が官僚から下野し読売新聞を買い取り、テレビに目をつけた。NHKとの過酷な戦いの末、市民権を得た、高価なテレビを街頭に置き、その様子を更にテレビで放送するなどの機転の効いたアイデアや、コンテンツとしての、巨人軍、力道山などのプロレスも正力松太郎がプロデュースした。田中角栄が、新聞社の下にテレビ局をつけるという資本構造を作り、地方局などの全国系列化を行い、制作会社の分社化を行った。まるで新聞社の販売店のように、全国に系列地方局を置きキー局から配給されたテレビ以外流せないようにする。地方局にとっては広告料を得れる良い構造。その後赤字が続いたテレビは制作会社を切り離し再建をはかった。すべてのコンテンツを吸収しで大きくなってきたテレビは、新しいメディアの誕生に脅かされている。
「アニメ」
ハリウッド45%日本25%、ハリウッドよりも破格のやすさで2Dアニメを量産。テレビ番組のジャンル別海外売上は、アニメが70%以上を占めている。手塚治虫が私財をなげうってアニメを開発した。その後、鉄腕アトム以降、菓子や玩具メーカーが番組に広告を出すスポンサーを出す形式の子供向けアニメが盛んに。アニメ製作委員会形式の「みんなで所有して、みんなで広げる」という仕組みが担保している。アニメで育った、関連グッズにお金を惜しまないオタクが育ち、継続的に商品を購入するファンの構造を元に、ターゲットが多様な大人向けのアニメができる。マネタイズの面以外でも、日本の深夜アニメが発達した理由に文化の違いがある。米国はアニメを規制した、日本はきせいしなかった。スタジオジブリがアニメを「作品」に仕立て上げた。製作委員会の出資を多く行ったアニプレックスはハイリスクハイリターンで、あたった作品はパブリッシングを行い、持続的な収益も得た。アニメは、リスクを取った分だけ成功した時利益を得れる。日本に足りないのは作家性と両輪をなす商業性である。
「ゲーム」
鎖国時の花札の任天堂をルーツとし、マンガなどのメディアリミックスで発展。家庭用ゲーム機でしのぎを削り、後にオンラインに移行していった。成功するかもしれないという期待値がモチベーションとなっている業界で、成功の保証はない。企業と同じようなプロセスをコンテンツを製作するごとに行っている。1人の「あの時、あの瞬間」の妄想に近いアイデアが何万何千万もの人をわかせる、やめられないアドレナリンプロセス。
「スポーツ」
新聞販売促進のために野球が盛り上がった、スポーツは興行収入、広告収入に分かれている。電通によるスポーツビジネスの寡占化。顧客開拓を目指す新しいメディアは、スポーツは確保しておきたいコンテンツである。メディア競争が放映権獲得を加熱化させる。グローバル・メディアに乗れるかがスポーツの分かれ目になってきている。日本は既得権益にしがみつく関係者のためそれが遅れている。日本で放映権が下がるにつれて、スポーツ団体チームの経営力が必要となる。スポーツコンテンツ配給国となるのか、スポーツメディア大国になるのか運命の分かれ目である。 -
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著者の別の作品(エンタメ全史)を読み、文体や著者自身が本を書き上げるために数百以上の参考文献や専門家へのインタビューを通して平等な視点から文章を記しているスタイルに共感し、本作も読みました。
本作の中でキーワードとなる中心となるコンセプトがダイナミックアイデンティティ。画一的な価値観にまとまりがちな日本において、決められたパーテーションにとらわれない世界観の創作と、消費のスタイルが始まっているという主張を多くの事例を通して紹介いただきました。
また、2項対立になりがちな、男女、大人と子供、生産者と消費者、クリエイターとユーザなどが現在はあらゆるエンタメを通して境目が曖昧になり、2項では表現出来ない事象も分かりやすく解説されています。
vチューバなどがなぜ今、流行しているのかを歴史的な変遷と共に書かれており今起きている事象の整理にもつながりました。
記載されるテーマの中心であるyoutubeや、小説家になろう、ボーカロイドなどインターネット2.0時代のものから2020年代から始まっている新たなテーマまだ幅広く取り扱われており、この一冊でテレビやエンタメなどの状況を整理する事ができると思います。 -
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#日本人は20年を失っていなかった
## 面白かったところ
* `ポケモン` や `バンドリなど` エンタテイメント塗れの文章ながらも起承転結が効いており、各章でしっかりまとまっているところ
* 数字や図などを用いて、あくまでも事実ベースで日本のオタク産業を分析しているところ
* 歪なコンテンツ大量生産の土台が、経済的な文脈でどのように成長してきたのかがわかるところ
## 微妙だったところ
* 著者自身の経験の話題について述べられる箇所が、唐突に現れるところ。
## 感想
高度経済成長のあとは失われた 20 年などと言われ、リーマンショックで世界的な経済が後退した。
と思われていたが、世界のオタク経済圏はそれどころか成長していたことを読んで知った。
オタク文化の経済規模はクルマ業界と比較され、あのディズニーとも協力し合うキングダムハーツというコンテンツも登場した。
義務教育レベルで日本人は皆読んでほしいと思える一冊でした。 -
Posted by ブクログ
タイトルに惹かれて手にしたが、エンタメ業界の構造変化から日本の目指すべき方向性への示唆などに富み、非常に面白かった。解説のみならず、文化圏や社会観と紐付けてエンタメを掘り下げていく内容であり、一冊を通おして楽しめた。
日本のアニメコンテンツは、放送・配信を収益化ポイントとしてではなくユーザ認知のための手段として捉え、放送局や流通にこだわらない「脱テレビ化」の傾向にあり、版権ビジネスによるキャラクター経済圏として確立させることが成功の鍵となっている。また、ユーザー側のコンテンツへの関わり方としては、内的な感情による「萌え」から、「推し」という外的体験による表現へ変化し、ユーザーにとって趣味趣向は「消費財」ではなく「表現財」としていかに自分を「関与させていくか」という対象になった。インターネットにより地理的な距離がゼロになった現代において、キャラクターの死とは人々の間で共有されなくなることであり、キャラクターは思考(言語・文化・概念)の距離を埋める「交換財」としての機能を果たす。 -
Posted by ブクログ
新日本プロレスの興行がニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンを即時満員にする。その背景を皮切りにオタク経済圏を分析していく一冊。
プロレスの例で言うと、もともと日本人レスラーが海外挑戦する土壌があり、レスラーのキャラクター性、服装やマスクなどのファッション性、マイクパフォーマンス等のエンターテイメント性を備えていた。
アニメを中心とした広がりがグローバル化に繋がった。アニメはコンテンツの世界観を最も伝えやすい。
エヴァンゲリオンから変わった。アニメ委員会方式を最初にとったのもエヴァンゲリオン。
1995年を境にパッケージからデジタル・ライブにコンテンツがシフト。
コンテンツが「生きた」状態を維持するため、アニメ放映終了後も、ラジオ・ライブ・ゲーム化などでコンテンツの鮮度を保つ。
などなど、オタクビジネスの特徴が非常に分かりやすく解説されている。 -
Posted by ブクログ
著者の中山淳雄さんにお話をききました
ききて:深水英一郎
——前回の著作「オタク経済圏創世記」と今回の「推しエコノミー」の違いや共通点ってありますか?
【中山さん】
共通しているのは「ライブコンテンツ化」という語り口です。これまではとにかく良いものを創って知ってもらって購入してもらうという「リーチ型」のマーケティングでした。
それがいまは一度SNSでもイベントでもファンとの結びつきができた状態から数少ないコアファンがコミュニティをリードしながらちょっとずつ関与度合いを上げていって、結果として購入という行動もその「推し」の表れとして出来上がってくる「リール型」のマーケティングに変わってきている。
まるで劇場の中を運営するかのように、着席してくれたファンが興味をなくさないように継続的な関係性のなかで、ライブコンテンツとして「運営をしていくこと」が大事になる、ということを語っております。
その範囲がゲーム・アニメ・マンガだけでなく、テレビや音楽、スポーツまで含んで伝えたことで、かなり多くの業界の方がこの本のファンになっていただいて、とても嬉しいです。 -
Posted by ブクログ
「オタクビジネス」「サブカルチャー」。
アニメやゲームの関連はこう呼ばれ、何と
なくネガティブ的にこう呼ばれますが、そ
れは日本だけの話です。
海外からはこれらをポジティブな意味を込
めて「ポップカルチャー」「クールジャパ
ン」と言われます。
その通りなのです。もはや日本の産業の根
幹をなす一大ビジネスなのです。
この本ではその規模感を示すだけではなく、
なぜ日本においてこういう「ポップカルチャ
ー」が生まれ、世界で受け入れられてきた
か、歴史や理由を紐解きます。
実はそこには、テレビや漫画の黎明期から
続くコンテンツの歴史とも大いに関係して
いることが理解できます。
全てのビジネスパーソンが読むべき、一大
ビジネス叙述史です。 -
Posted by ブクログ
昨年4月6日、新日本プロレスがあのMSGで興行を行ったというニュースにびっくり!MSGはWWEになる前のWWFのマットにドラゴンやタイガーが単発で上がるか、あるいはシリーズ名で冠されるか、ぐらいの距離感しかないオールドファンにとって、今の新日どうなってるの?なのですが、新日をどうにかしたブシロードの役員が書いた本です。副題の「GAFAの次は2.5次元コミュニティが世界の主役になる件」も気合十分。その気合十分に負けない内容充実、気づき満載の啓蒙の書でした。コンテンツビジネスの歴史もを俯瞰できるし、数々のプロジェクトの成功と失敗も分析されているし、さらには日本の産業が、自らの持っている国家的コンテクストを武器に世界でビジネスをしていくための未来指針も明確に打ち出されています。もちろんIPビジネスがテーマではありますが、5G社会がプラットフォームからコミュニティベースにビジネスを変える、というビジョンがケヴィン・ケリーの「〈インターネット〉の次に来るもの」ともシンクロしていると思いました。副題の気合もここから来ています。だからこそP198『マーケターの役割は「コミュニケーションマネージャー」に』は大切なフレーズになってくると思います。さてさて、しかし新日の二回目のMSG大会が一年延期されたように、コロナ下の世界ではライブイベントが厳しい状態になっています。1995年、2010年と同じように2020年もコンテンツ産業において、三度目の大きな転換点になるような気もします。そこらへんの著者の考えも聞いてみたい!