阿部賢一のレビュー一覧
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ロボットの語源だと知識としては知っていた作品。巻末の作者の言葉にある通り、いわゆる機械のロボットとは少し違う人造人間的なロボットを作り出して破滅に追いやられる人間。希望のようなそうでもないような結末。1920年に書かれたのが不思議な内容。そしてこの初版2000部のチェコ語の作品があっという間に世界を席巻して1924年には日本でも上演され、1933年にはオックスフォード英語辞典にロボットいう言葉が収録されて、ロボットという言葉と概念(少しこの作品とは異なる形で)世界に定着するというのもなかなかすごいスピード感だ。
そんな世界文学になったこの作品の作者として「世界文学はどうやってできるか」という -
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「ロボット」という言葉を小説で最初に著した著者。序盤の病気の発生源からして、まるで現代の状況を予言していたかのようで驚かされます。
内容は、パンデミックと戦争の両方とも解決しようとする、平和を希求して妥協を知らない医師の孤独な闘い。はたして彼は、国家を動かすことができるのかというお話し。最後の終わり方が、何かを暗示しているようで、考えさせられます。
この戯曲が書かれたのが1937年。第一次世界大戦、スペイン風邪、世界恐慌などを経験。スペイン内戦が起きて、まさにナチスが台頭し始めた頃のこと。このような混沌とした世の中で、二度と戦争を起こして欲しくないと平和を願って書かれたと思います。しかし、 -
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新型コロナ、そしてロシアの侵攻で世界が揺れ続ける中、こんな作品があったのか、と少し恐ろしくもなる作品でした。
突然白い斑点が体中に現れ、死に至る疫病の流行する世界。そして舞台となる国家は戦争を推し進める総統によって支配されている。
この二点が現実と合致してしまうことに恐ろしさとやりきれなさを思います。
戯曲ということで最低限の登場人物の動作以外は、会話のみで話は進んで行きます。その分、想像力が必要とされるかもしれないけれど、セリフだけのため非常に早く読めました。
それでいて内容は濃い。示唆的な部分、寓意的な部分と色々あって、考えさせられる部分もあり、登場人物の葛藤もセリフだけのためか、表 -
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ネタバレ面白かった。
1937年に発表された作品だけど、そのまま現代に通ずるのはなんとも悲しい。
初めは枢密顧問官や軍事会社の社長、元帥など、支配者に対する批判の色が強い作品なのかと思ったが、読んでいくと彼らはかなり理性的で、主張も(ある程度)一貫しているように感じた。
むしろ第二幕で登場する「父」が代表するように、メディアを通して情報を得て、自身に都合よく意見をころころ変える群衆こそ、平和の敵であり、批判の対象なのだと思う。
狂乱状態の群衆が指導者の手に負えなくなるのは、様々な国家や宗教で実証済みだし、最終的にはその群衆たちが、己を破滅へと導いてしまうのも示唆的でよかった。 -
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ネタバレチェコの作家カレルチャペックによる戯曲。
軍国主義の国に致死性の伝染病「白い病」が流行する。対症療法しか為す術がなく多くの人が命を落とす中、ガレーン博士という町医者が特効薬を見つける。しかし、彼は貧しい人しか治療せず、お金持ちや権力を持つ人は、戦争を止めると約束しなければ治療しないと宣言する。
「人が亡くなるのを放っておくのですか?」と問われた博士は、「では、人々が殺し合いをするのを、あなたは放っておくのか?」と切り返す。「これは医師としての務めなのです、戦争を防ぐことが!」
この本は、『「その他の外国文学」の翻訳者たち』で紹介されていたのをきっかけに読んだ。チェコの作者の本を読んだのはおそ -
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ネタバレ初めて戯曲を最初から最後まで読んだけど、ほとんど台詞で構成されている分、なまじな小説よりは読みやすいなと感じた。
感染症の治療と引き換えに平和を求めるという構図。
2022年の日本人の感覚からすると「そんなの戦争してる場合じゃない」と思うけど、当時はそうでもなかったと思うと事の深刻さが少しは分かる気がする。
なんか自然と
「たいした奴だな。簡単に5人も死なせるなんて。こっちは1人助けるだけで精一杯だ。」
というブラックジャックの台詞を思い出した。
ラストはこうなるか・・!やられた!!という感じ。
「『白い病』のこのような結末は、群衆の興奮、本能、激情と、それらを利用することに手を染