阿部賢一のレビュー一覧

  • ロボット RUR

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    こんど芝居をやると言うので原作を読んだが、ロボット、という造語が普及したのこの本きっかけだったの知らなかった。すごい影響力だ。
    今となってはよく目にするようなロボット/AI SFの原型のようなお話なのかな。休憩挟んだらヘレナがナチュラルに妻にされてた流れが一番ホラーだったけど。

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    2024年05月07日
  • ロボット RUR

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    ロボットの語源だと知識としては知っていた作品。巻末の作者の言葉にある通り、いわゆる機械のロボットとは少し違う人造人間的なロボットを作り出して破滅に追いやられる人間。希望のようなそうでもないような結末。1920年に書かれたのが不思議な内容。そしてこの初版2000部のチェコ語の作品があっという間に世界を席巻して1924年には日本でも上演され、1933年にはオックスフォード英語辞典にロボットいう言葉が収録されて、ロボットという言葉と概念(少しこの作品とは異なる形で)世界に定着するというのもなかなかすごいスピード感だ。

    そんな世界文学になったこの作品の作者として「世界文学はどうやってできるか」という

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    2023年11月19日
  • 白い病

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    「ロボット」という言葉を小説で最初に著した著者。序盤の病気の発生源からして、まるで現代の状況を予言していたかのようで驚かされます。

    内容は、パンデミックと戦争の両方とも解決しようとする、平和を希求して妥協を知らない医師の孤独な闘い。はたして彼は、国家を動かすことができるのかというお話し。最後の終わり方が、何かを暗示しているようで、考えさせられます。

    この戯曲が書かれたのが1937年。第一次世界大戦、スペイン風邪、世界恐慌などを経験。スペイン内戦が起きて、まさにナチスが台頭し始めた頃のこと。このような混沌とした世の中で、二度と戦争を起こして欲しくないと平和を願って書かれたと思います。しかし、

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    2023年10月02日
  • 白い病

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    新型コロナ、そしてロシアの侵攻で世界が揺れ続ける中、こんな作品があったのか、と少し恐ろしくもなる作品でした。

    突然白い斑点が体中に現れ、死に至る疫病の流行する世界。そして舞台となる国家は戦争を推し進める総統によって支配されている。
    この二点が現実と合致してしまうことに恐ろしさとやりきれなさを思います。

    戯曲ということで最低限の登場人物の動作以外は、会話のみで話は進んで行きます。その分、想像力が必要とされるかもしれないけれど、セリフだけのため非常に早く読めました。

    それでいて内容は濃い。示唆的な部分、寓意的な部分と色々あって、考えさせられる部分もあり、登場人物の葛藤もセリフだけのためか、表

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    2023年02月19日
  • 白い病

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    コロナと戦争が同時並行で起きている現世において非常に示唆的な内容であり、結局人間の本質というのは変わっていないのではと思えた作品。自身の作り出した幻想に踊らされる国民によって、結果的に破滅に導かれる独裁者と、さらに附随する国民の混乱が文章のあとにも無限に想像できて恐ろしい。

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    2023年02月14日
  • 白い病

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    ネタバレ

    面白かった。
    1937年に発表された作品だけど、そのまま現代に通ずるのはなんとも悲しい。

    初めは枢密顧問官や軍事会社の社長、元帥など、支配者に対する批判の色が強い作品なのかと思ったが、読んでいくと彼らはかなり理性的で、主張も(ある程度)一貫しているように感じた。
    むしろ第二幕で登場する「父」が代表するように、メディアを通して情報を得て、自身に都合よく意見をころころ変える群衆こそ、平和の敵であり、批判の対象なのだと思う。

    狂乱状態の群衆が指導者の手に負えなくなるのは、様々な国家や宗教で実証済みだし、最終的にはその群衆たちが、己を破滅へと導いてしまうのも示唆的でよかった。

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    2022年12月15日
  • 白い病

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    ネタバレ

    チェコの作家カレルチャペックによる戯曲。
    軍国主義の国に致死性の伝染病「白い病」が流行する。対症療法しか為す術がなく多くの人が命を落とす中、ガレーン博士という町医者が特効薬を見つける。しかし、彼は貧しい人しか治療せず、お金持ちや権力を持つ人は、戦争を止めると約束しなければ治療しないと宣言する。
    「人が亡くなるのを放っておくのですか?」と問われた博士は、「では、人々が殺し合いをするのを、あなたは放っておくのか?」と切り返す。「これは医師としての務めなのです、戦争を防ぐことが!」

    この本は、『「その他の外国文学」の翻訳者たち』で紹介されていたのをきっかけに読んだ。チェコの作者の本を読んだのはおそ

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    2022年10月14日
  • 白い病

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    1937年刊行
    当時はナチスドイツを意識したであろう読者は、
    2020年出版時にはCOVID‑19を想像したことだろう。
    2022年は今はロシアの指導者に重ねて読んだ。

    ガレーン博士は存在するのだろうか。

    非常に読みやすかった。

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    2022年08月17日
  • 白い病

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    1930年代に出版された作品が2020年に再び出版された!
    読み始めて直ぐにその理由がよく分かりました。
    まさにコロナウイルスではないか!
    『白い病』という謎のウイルスにかかると皮膚に斑点ができ始め、やがて死にゆくのだ。中国から始まったことを匂わせているところも、まさに!という感じでした。
    治療法を見つけたがレーン博士に権力者たちは圧力をかけたり金に物をいわせたりするも、彼は戦争を今すぐやめる事を条件に出します。
    最後に、とても皮肉めいた、すごいオチが待っています。

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    2022年06月10日
  • 白い病

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    ネタバレ

    1937年刊行の戯曲です。
    新型コロナパンデミックの今の一冊、ということで本屋さんで見つけて買いました。
    小一時間もあれば読めます。
    謎の疫病の治療薬を開発した一人の医師の、命を救いたいという想いや平和への願いと、戦争をしたい国家や民衆・・・。
    ラストは衝撃的でした。
    ファシズム批判の作品ですが、正義感・群集心理・倫理観・マスメディアについてなど…色々と考えさせられる作品でした。

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    2022年02月15日
  • 白い病

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    戦争前夜に流行した特異な感染症の特効薬を見つけた医師が、その公開と引き換えに世界平和を求めるが…

    戦争に突き進む大衆の愚鈍さと
    誰を治療し誰を治療しないかという倫理的問題

    コロナ禍のような不安定な世情では
    SF戯曲の持つ力が際立つ

    悲劇的結末がリアル

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    2022年01月24日
  • 白い病

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    ネタバレ

    初めて戯曲を最初から最後まで読んだけど、ほとんど台詞で構成されている分、なまじな小説よりは読みやすいなと感じた。

    感染症の治療と引き換えに平和を求めるという構図。
    2022年の日本人の感覚からすると「そんなの戦争してる場合じゃない」と思うけど、当時はそうでもなかったと思うと事の深刻さが少しは分かる気がする。


    なんか自然と
    「たいした奴だな。簡単に5人も死なせるなんて。こっちは1人助けるだけで精一杯だ。」
    というブラックジャックの台詞を思い出した。


    ラストはこうなるか・・!やられた!!という感じ。

    「『白い病』のこのような結末は、群衆の興奮、本能、激情と、それらを利用することに手を染

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    2022年01月10日
  • 白い病

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    50才前後になると皮膚に大理石のような白い斑点が出来死にいたる伝染病が流行しひとりの医師が治療薬開発に成功するが治療にあたりその条件が貧しい人と軍拡反対することだった。ユダヤ人だったカレルチャペルの愛するチェコがナチスドイツに併合される頃の作品。いろいろと考えさせられます

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    2021年11月23日
  • ロボット RUR

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    思ってたロボットと違った。クローンとかゲノム編集とか技術の進歩した今の方が、リアリティがあるのではないか。

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    2021年09月02日
  • わたしは英国王に給仕した

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    読み始めてすぐに「これはいつ頃のお話なんだろう?」と気になり出したが、そうした疑問をすくい上げるように、物語の中盤からヒトラーやナチと言った単語が現れ始める。この展開自体が、まさに時代や国家と言った大きなものに個人がなすすべなく流されて行く情景を物語っている。

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    2021年08月21日
  • 白い病

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    前半は伝染病と世間の恐怖。
    (これが、コロナ予言といわれる個所)
    後半は、人と力の恐怖。
    岩波にしては、訳が読みやすくうれしい。

    この作者も未来を見てたのでは。。。

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    2021年07月23日
  • ロボット RUR

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    ロボット=機械だと思ってたら元祖は神をも恐れぬウェットウエアだったのね!

    人間の欲望の深さとそれを満たすための非人間性が怖い。
    相手は人間じゃないからその非難には当たらない、というけど
    かつてインディアンもアボリジニもイヌイットも
    黄色人種も黒人も女性も人間ではなかった。

    ロボットたちが団結して反抗してくるようになると
    「異民族ロボットを作ろう、そうすればお互い憎み合い団結しないから」
    には降参。

    それでも作者は人間の側に立って書いた、というから驚きです…

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    2021年06月15日
  • 白い病

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    重いテーマの割にそこかしこにユーモアが漂っているので、どこか楽観視しながら読み進めたら結末はとんでもなかった。疫病の話ではあるけれど、どちらかと言うとテーマとしては反戦の方に重きが置かれているように感じる。

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    2021年02月24日
  • 白い病

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    白い病は、今年のコロナが世界中に広がる中
    ぜひ一度は読むべき小説だと思う。
    戦争と疫病が蔓延する世界。
    コロナが流行している今も何処かで戦争
    は起きている。
    コロナを引き金に暴動が、世界各地で現実に
    起きているし病気が終息しても、紛争は無くならず
    また新たな病が世界で起こるかも知れない。
    貧富の差も問題だ、薬が買えないとしたら
    また紛争の引き金になる。
    ガーレン医師の求める理想的な平和と元師の戦争で
    国の求心力を求める事は表裏一体で、どちらの選択も難しい事なのかも知れない。

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    2020年12月01日
  • わたしは英国王に給仕した

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    第二次世界大戦をはさむ激動のチェコで、ホテルの給仕人として働いていた少年、のちにホテルオーナーとなった男の半生を描く。激動の時代ゆえに、重い話題もあるが、どこかほら話のテイストがあって、イメージが豊かで、決して重々しくはなく、非現実的なんだけど、面白くて、やがて悲しい。ヴォネガットのいくつかの作品を思い起こしたりもした。特に主人公が手に入れたホテル「石切り場」の描写は、浮世離れした美しさがお気に入りである。

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    2020年01月19日