船津紳平のレビュー一覧
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犯人達への拍手と挽歌と苦笑い
まず、「犯人達の事件簿」は読者が原作を既読であることが前提である。
原作特有の幻惑さと不気味さを10代で体験した身であるが、それから20年余り。「犯人達の事件簿」のユーモアが40代になった今の自分にじわりじわり来る。
全ての犯人に言えるのが「その努力を健全な方向へ使え」。やり方によっては手を汚すこともなく復讐を完遂できたはず。特に「MR.レッドラム」は。
本作品のラスボスである金田一少年に目をつけられる環境を自ら作成し、トリックの完成まで汗と涙にまみれて努力し、トリックをやりきったことに陶酔し、金田一にトリックを公衆の中で暴かれるという辱しめを受ける。
この作品はそんな犯人達への拍手と挽歌であ