松下隆一のレビュー一覧

  • 春を待つ

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    愛する息子を喪い、未来をなくした夫婦は悲しみの果てに離別。平和だった家族は崩壊した。

     それから数年を経た命日の前日、夫は過去を忘れるために、息子の骨壺を抱え、心が凍てつき暗い家に引き籠る妻を訪ねる。だがその途上、夫は実の両親を亡くした少年と出会い、妻の家に一緒に泊まることに。

     その日から心に仄かな灯が生まれた。

     3人の孤独な魂が寄り添う時間のなかで、それぞれの絶望が希望に変わり、夫婦は再生の路に立ち、少年は未来に向かって歩みはじめる。

    子供を事故で失った男と女が、訳アリの少年と出会って生きる希望を見出すという物語。子供の事故死、児童虐待、東日本大震災、そして新潟水俣病というあまり触れたくない話題に触れている。概ねハッピーエンドで心はホッコリしたんだけど、終わり方が都合が良すぎるところが残念だったかも。面白かったし、良かったです。

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    2021年09月20日
  • 春を待つ

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    3.11にパンデミック。両親は水俣病患者で息子は交通事故死、飛び込んできた少年は父親から虐待。あらゆる不幸が、これでもかと、てんこ盛りなのに温もりと希望も。「誰かと一緒に生きる。こんなに疲れることをどうして繰り返すのか」

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    2021年05月18日
  • 春を待つ

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    ネタバレ

    新潟水俣病で親を亡くした主人公の光永。
    結婚し息子を設けるが、今度は息子を交通事故で亡くす。
    息子を亡くした事実を受け入れられない妻とは離れて暮らすようになる。
    息子を納骨するという事をきっかけに妻の元へ向かうが、そこで起こる事が自分自身を見つめ直すきっかけとなる。
    この世に生まれてきた理由、親としての想い、人を思いやる気持ちの大切さなど、日本人ならではのハイコンテクストなやり取りではなかなか伝わらない本音が、様々な事象を通じて理解を深めていく。
    春を待つというタイトルの意味もすーっと腹落ちする。そんな素敵な作品。

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    2021年05月12日
  • 春を待つ

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    最初から最後までずっと切なくて苦しかった。
    幸せな人が一人も出てこなくて。
    でも現実なんだと思えた。
    水俣病、虐待、震災。
    また3人で暮らせる日がきますように。
    少しずつ少しずつ幸せになってほしい。

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    2021年04月18日
  • 侠

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    かつて名うての博徒、今はしがない蕎麦屋の親父・銀平。賭場を荒らして逃げ込んできた若者を助けたが裏切られたり、元女房とよりを戻そうとしたら元女房が死んでいたり、そして自分の死期がせまっている。そんな中、再び大博打に参加することに。博打には勝ったのだが、、、

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    2026年08月09日
  • 落としの左平次(三)忘れ去られた女

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    清四郎、少しは成長しているのか。
    母上、お竹、仙太、お花、そして私も
    彼のことをハラハラしながら見守ることしかできない。

    深入りせず仙太を伴い細かい事件を解決し
    できたら、お花と幸せな道を歩んでほしい。
    お竹の胸騒ぎがおこらないことを願うばかり。
    しかし、そうはいかないのが道理。
    そろそろ、左平次と清四郎が追っている
    大名家の不生を暴いてもらいたい気持ちもある。
    次回作ではどうなるのか。

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    2026年01月25日
  • 落としの左平次(二) 消えた左平次

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    シリーズもの第二弾。

    他の本を挟んでしまうと
    情けないことに1作目の内容が飛んでしまう。
    前作を再読して今作へ。

    今回も清四郎と左平次が大活躍。
    2人のやり取りが楽しくて
    (あれ?どのような事件だったかな)と
    冒頭に戻り確かめることもあり・・・。

    捕物帳、人情ものが併せてサラッと書かれているので
    できればのめり込むような展開を期待している。

    第三弾も刊行されているので
    内容が薄れる前に読むつもりだ。
    清四郎とお花ちゃんとはどうなるだろう。

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    2025年12月24日
  • どうした、家康

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    色々なエピソードを基に作られた家康の話。13人の作家さんの家康なのに違和感なく同じ家康。それが家康
    明智光秀の謀反を事前に知っていた!?ありえるかも

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    2025年09月18日
  • 侠

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    普段あまり時代小説は読まないのだが、フォローしている方々のレビューを読み、『最期に挑むは自らの生を賭した大博奕』てな惹句にも惹かれて買って来た。

    かつては凄腕の博奕打ちで、今は足を洗って蕎麦屋を営む銀平。60歳になり、腹の病気に残る寿命が長くないことを自覚しながら送る日々。
    前半、寂れた蕎麦屋の様子がじりじりと描かれ、その中で浮かび上がる銀平の過去もだが、常連客の岡っ引き、夜鷹、浮浪者の親子、それぞれが垣間見せる顔がなかなか面白い。
    突然現れた元女房や店に逃げ込んできた清太との関わりを通して生きる気力を上げ下げする銀平の心情には、もどかしくてやや焦れる。

    終盤の八州博打の描写は魅力的。森の中にこつ然と現れる賭場、それを仕切る貸し元の一家、ギリギリまで研ぎ澄ませて挑む勝負、その後に続く親分との因縁めいた話など、描かれる絵面と息もつかせぬ展開は期待通り。
    ひとり、清太が場違いで、普通なら一度飛ばしたところで勝負に綾がつくところ。いかに銀平が彼に自分を重ねようとも、ああまでして命を懸けるにはちょっと弱いような気がして、やや残念。

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    2025年07月26日
  • 落としの左平次(二) 消えた左平次

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    清四郎!また元に戻ってるじゃないか!!
    一巻であんなに佐平次に叱られて、いっぱい教わった事が身についとらんぞ(๑•ૅㅁ•๑)
    まぁ今回も三歩進んで二歩さがるだけど…
    ちょっとだけ成長したけど…
    清四郎の優しさが佐平次を変える時が楽しみ♪

    てめぇとは縁を切る!って言われて二巻は終わり
    まだまだ続くのですね♪︎~(・ε・。)



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    2025年06月02日
  • 羅城門に啼く(新潮文庫)

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    ★3の上。

    これはいいな。
    さすがはみんみんさんのお勧め作家さん。
    ことぶきジローさんのレビューも大変参考になりました。
    m(__)m

    流行り病や治安の悪化で人がごろごろと死んでゆく平安の都。
    そこで二人の仲間と獣のように生きるは元孤児で奴婢だった片目の醜い男。齢十九。
    親は知らず、売られて奴婢になったときも名前すらなく、憐れんだ奴婢の女たちにイチと名付けられた。
    腹が減れば奪い、気が向けば殺し、欲しくなれば犯す。
    あるとき屋敷の押し込みに失敗し、ついに捕らえられたイチは……。

    舞台はあまり馴染みのない平安時代ですが何も難しいことはなく、スッと物語の中に入っていけます。
    検非違使ってのは警察みたいなもん。奴婢ってのは奴隷だなぐらいの知識で平気。

    宗教は嫌いだが、これはいい使い方。

    なむあみだぶつ。

    悪党でも赦されて極楽浄土へ行けるという都合の良い念仏。

    なむあみだぶつ。

    心に湧いてくるものを塗りつぶすように唱え続ける。
    それでいっぱいにしないと頭と心がどうにかなりそうだから。

    求めるな。与えるのや。

    悪党として生きてしまった、そう生きざるを得なかった男の物語がわずか200ページに凝縮されています。

    生きるのは、ただそれだけで辛い。
    安全な時代に生まれ、安穏と暮らす我が身にもブッスリ突き刺さる良作でした。




    さあて。
    タイトルの羅城門。
    自分は学がないもんで、は? 羅生門じゃないのー? なんて思ってしまったが、実はこっちが正解らしい。
    もともとは羅城門。
    有名な羅生門は芥川のおっさんの創作物であり、今昔物語の羅城門から着想を得たらしい。
    ふむう。
    創作を本物と思い、本物を偽物と感じるなんて、名が広まるって凄いな。
    有名な方を真実と思いがち。

    羅城門(事実)
      ↓
    羅城門(今昔物語)
      ↓
    羅生門(芥川龍之介、映画)
      ↓
    羅城門(今作)

    おかえり羅城門。




    で、さらにおまけ。
    本作作者さん。雲霧仁左衛門などの脚本家でもあるらしい。
    なるほど読みやすいしエンタメ風味で難しくない。
    本作で京都文学賞受賞。
    ちょっと調べてみたら賞に文字制限があった。
    2万8千字以上16万字以内。
    400字詰めの原稿用紙だと400枚以内か。
    本にしたら200ちょいくらい?
    それでか。
    ずいぶんと遊びがない真っ直ぐなストーリーだなと思ったら制限があったんだなー。
    なるほど、なるほど。

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    2025年04月06日
  • 落としの左平次

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    ひよっこ同心・清四郎と凄腕の元同心・左平次が難事件に挑む!なかなかの時代劇の醍醐味!シリーズで展開するなら、期待します。

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    2025年01月28日
  • 落としの左平次

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    角川春樹をもってして、『池波正太郎以来の時代小説の王道を描いた新シリーズの誕生』という帯を書かせる書。これは、よまねば。

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    2024年11月13日
  • 羅城門に啼く(新潮文庫)

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    これは、かなりきつい作品だ‼️心が晴れる場面がほとんどないし、主人公が救われる兆しが感じられない。最後の赤ん坊の成長には、一縷の望みはあるけれど、彼女が真実を知った時の愁嘆場が予想されて、気が塞ぐ。読んでしまったものは仕方ないから、受け止めなければ。

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    2024年04月15日
  • 読んで旅する鎌倉時代

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    それぞれの作者によって書かれた短編作品なので、色んな視点と手法で新鮮な気持ちで読むことが出来る。歴史的解釈はそれぞれなので、大河ドラマ鎌倉殿の13人とセットで見るための付録的な立ち位置で読むと面白い。

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    2023年07月12日
  • 読んで旅する鎌倉時代

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    大河ドラマに合わせて書かれた短編小説
    ドラマも終盤になった今、逸話の違いが面白い。歴史上の事実だけは変えず、具体的な物語にするなら同じ逸話も印象が真逆な話にもなる。大河ドラマと小説とのコラボ、面白かったです

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    2022年10月19日
  • 読んで旅する鎌倉時代

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    大河ドラマと合わせて読みました。
    歴史は勝者が作るとはよく聞く話ですが、正史はそうなのだろうなとつくづく思います。そして、それだけではなく、歴史とは解釈なのだなと深く思います。特に歴史小説を読んだ後には。そして、このようなアンソロジーを読むと、一編ごとに少しずつ変わっていく(あるいは観点を変えていく、ずれていく)解釈が実に面白いものです。
    一冊の長編を読み通すのも面白いのですが、これはある観点からの物語を深くしていくことだと思います。アンソロジーには多観点から読み解いていく、そして、一編ずつを積み重ねて一冊の流れを読み解いていく楽しみがあります。
    私は背表紙に「高田崇文ほか」とあったので購入しました。さすがに高田崇文、掉尾を飾るにふさわしい面白さです。しかし、そこに至るまでの一編一編が良い味を出していました。
    「実朝の猫」(砂原浩太朗)が異色な感じでお気に入りになりそうです。
    結構、はやく読み進めます。すいすい読みました。その中で、「実朝の猫」と「修善寺の鬼」はじっくりと読みました。
    アンソロジーは誰が編んだのかが気になります。
    雑誌に載ったものを文庫化したようなので、アンソロジーという見方をしないのかもしれません。しかし、編者の視点を意識しながら、この1冊を読みました。
    今年が旬の本でしょう。

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    2022年05月01日
  • 春を待つ

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    帯に書かれていた「少しずつ幸せになるしかないんだ」の言葉のように、全てハッピーエンドで終わりじゃないので、もどかしさもありました。いつか三人が再び一緒に暮らせる日が来ればいいなと、思います。

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    2021年03月27日