彩藤アザミのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ真相はそう来たか!と予想を裏切られ、しかもそういう結末!?とニコニコしてしまったオカルト小説でした。
特に『自分には実力があるのに運が無いだけ!』の自己陶酔が過大評価じゃない展開とか予想しないよ!(笑)
響と類の関係がとても綺麗で儚く、そこに濱氏との貪欲ガッツが加わって、とても良いバランスになってた。
幽霊である主人公目線で他の幽霊を見て感じたり、怖がったりしてるコミカルな所も読みやすさに繋がっていると思います。
オカルト短編連作で、普通の幽霊話が続いたり、中には伏線のある幽霊話があったり、終盤それらが回収されてと大満足の結末に拍手。
薄くてサクサク読めるのに満足感も得られる本でした。
-
Posted by ブクログ
昭和少女探偵団に続くシリーズ二作目。面白かったです!
みずからが発起人となった探偵団のメンバーと、謎解きを通してさらに絆を深める茜。
やはり潮との関係が軸になっていますが、環や紫とも、また一巻の事件をきっかけに知己を得た鬼頭刑事とも、過ごす時間が増えていって、これからの展開がますます楽しみです。
冒頭に昭和6年とあり、昭和初期の人々の暮らしも、当時の空気も伝わってきて、この本を読んでいる自分とたしかに地続きだと感じられました。
一作目でも思いましたが、こちらのほうが少女たちを取り巻く世の中が変わっていくのがよりひしひしと伝わってきて、このまま平穏に暮らせたらいいのにと、祈るような気持ちになりま -
Posted by ブクログ
ネタバレいばらに囲まれた小さな村で「預言者」の老婆が殺害される。彼女が死ぬ前に言い残した話とは?そしてその世界の「真実」は・・・
ベタではありますが、魅力的な世界観。いばらに囲まれて外の世界と断絶されたユートピア。そして外の世界からやってきた少年。まあここで素直にユートピアを信じる読者もまずいないだろうとは思いますが。
でもそこでディストピアだと思ったらポストアポカリプスでなおかつ神の視点の話になるとはなー。いろんな要素てんこもりでなかなかに楽しめました。まあ最後の神の視点うんぬんは、最初期から「蟻の観察」であからさまに示唆されてたのでそこまでではなかったにせよ。 -
Posted by ブクログ
発売当時、特に読みたい本が無く、本屋をぶらぶらしていた時に出会った作品。有栖川有栖の帯に惹かれ、僕にも魔法が届くかなぁ(笑)とお手並み拝見で購入。正直、王袈裟な謳い文句の作品に今まで沢山出会っているが、不思議とこの本の表紙からはこの作品に対しての自信の様なものが感じられ、ある程度安心して読み始める事ができた。
登場人物達は不思議な名前がつけられており、存在する村はどこか身近に思ながらも旧世界的な描写で物語が進行していく。僕は、ミステリーを読む際、全てを疑ってかかるのは癖なので、登場人物たちの性別や年齢、人間であるかどうかまで疑ってかかる。
今作でも、登場人物たちの不思議な名前も手伝い、冒頭 -
Posted by ブクログ
死んでもなお作品を書き続ける響は、なぜ死んでしまったのか。その謎を解き明かす後編といった位置づけの短編集です。今回も恐ろしい個々の物語。そして切ない真相。だけどどこかしらほっこりさせられる作品でもあります。
お気に入りは「半身」。一番シンプルで、そしてシンプルなだけに怖かった物語です。主人公が幽霊とはいえど、安心できるわけではないというのもまた怖い。怖いといえば、随所に登場する笑う女がとんでもなく怖い。はっきりした物語を背負っていない怪異の方が余計に怖い気がします。
そして後半一連の物語で明かされた真相。響がなぜ成仏しないのか、の答えがあまりに素敵でした。これこそが才能というものなのかもしれま -
Posted by ブクログ
気づかないうちに幽霊となっており、それでも小説家として活動し続ける響。霊が視える古物商の類と出会ったことで、彼らはお互いに協力し助け合うことにする。彼らが出会う怪異の数々を描いたホラー短編集です。
全体的にほっこりとした読み心地……のわりにはしっかりと怖いです。こういう事態が当たり前な類が平然としているのに対し、もう死んでいる響の方が恐れたり慌てたりするのがなんだかおかしいような気も。だけどいかに死んでいるとはいえ、これだけ干渉されると怖いよなあたしかに。そして響の死の真相は次巻で明らかになるのかな。
お気に入りは「あと追ひ」。最初はぞっとさせられたんだけれど、真相を知るととても可愛いと思って