三木笙子のレビュー一覧

  • 月世界紳士録

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    三木先生の今までのシリーズ(帝都探偵絵図やクラーク巴里)では、探偵役とその相棒との間には揺るがない信頼関係があり、その関係性の中で描かれる物語だったのですが、今回の待宵と桂との間にはそれがまだない。この本に収録されてる4つのお話を通してそれが徐々に構築されていっていく途上、みたいな感じですね。
    その結果、二人の捜査行動がバラバラで(桂の手のひらの上で待宵が踊らされているだけのようにも見える……)、男同士の友情に悶えたい私としてはちょっと物足りない(笑)
    ミステリのネタ自体は三木先生お得意の、史実と人の心の機微・思惑が絡み合った結果発生する物語、といった感じで。(あとこれは完全に個人の趣味ですが

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    2017年09月09日
  • 月世界紳士録

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    宇宙開発企業の部署で月に関係する民話や伝承を収集する竹取班。直接お月様に関係なくても何でもありのよろず月相談所みたいな話だった。レトロっぽく感じるけど現代の設定。

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    2017年08月01日
  • 露西亜の時間旅行者 クラーク巴里探偵録2

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    発売日に買いに行ったら見つからなくって、
    店員さんが「さっきあたし販売したんです。だからもう一冊はあるはずなんですぅぅぅ」
    二人で必死で探したけどやっぱり見つからなくって、すぐに支店から取り寄せてもらうという、手に入れるのに一手間かかった人気本!(以降、予約することにしました)

    このシリーズは、他の作品と違うところがひとつあって。

    たとえばお話って一つの円みたいに収束しますよね。
    ぐるっとめぐって、円になって終わる。結末は動かない。しっかり読者に結果をしらしめる。
    でも、巴里でのお話は完全には終わらない。神様の気まぐれで変わっちゃうかもしれない。流れから言うとこうなるはずだけど、(実際そう

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    2017年07月30日
  • クラーク巴里探偵録

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    ネタバレ

    巴里,遠く離れた国で人の思いが重なり合う。

    日露戦争が終わったあたり,20世紀初頭の巴里。曲芸一座の敏腕番頭・片桐孝介と,料理上手の新入り・山中晴彦ことハル。顧客の依頼してきた事件を解決していくうちに,近づいてくる危険な計画。ハルの秘密とは。

    ホームズ役は孝介,ワトソン役はハル。ハルが孝介に近づいた目的があるところがひとひねり。とりあえずはハッピーエンドで,続きもありそうだし,また読んでみたい。

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    2017年07月16日
  • 露西亜の時間旅行者 クラーク巴里探偵録2

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    前作で一度帰国した晴彦が三年半ぶりに那須一座へ復帰。パリでの孝介との活躍再び。
    今回、晴彦がちょっと大人しいなぁ(影が薄いなぁ)と思いながら読んでました。(晴彦の世話を焼くのと、人に気に入られやすいキャラを生かしての必要な情報収集のためのツールみたいな使われ方……一方通行ぎみだしね)そこら辺をふまえてのこの連作(?)短編の4作目を読むと、ここへ至るための布石だったのかなぁとも思いつつ、ちょっと二人の関係を楽しみにしてたので物足りない部分も。
    でも毎度のことながら、この時代の出来事などを上手に事件や物語に組み込んでくる手腕は流石です。(飛行機とか、ルビーの話の奴はレーヨンですかね)
    オンブルと孝

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    2017年07月11日
  • 月世界紳士録

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    月にまつわる謎に挑むミステリー。少しこじつけっぽい感じもあって、すごく面白いという感じでもなかった。
    作中にいちごミルクほうじ茶サイダーというのが登場しますが、七尾作品へのオマージュですかね。

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    2017年06月25日
  • 水の都 黄金の国

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    ネタバレ

    ヴェネツィアを舞台に、日本語講師として滞在中の誠次郎を探偵役として、様々な事件の謎解きを描く。
    富豪の人探し、ヴェネツィア版ねずみ小僧の登場、カサノヴァの異名を持つ謎の人物と人間消失、ガリレオの望遠鏡に纏わる伝説と人間消失その2。
    ミステリーとしては軽い。
    帝都シリーズを思わせる、友情ともそれ以上とも付かない萌え関係。誠次郎のキャラクターがやや薄いのが残念。シリーズとして続くのなら良いけれど。今は亡き清人を思い続けながらも誠次郎に傾倒していきそうなルカが切ない。

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    2017年06月08日
  • 水の都 黄金の国

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    ネタバレ

    作中でルカが指摘されているし本人も自覚している、分かったうえで書かれているんだけど、誠次郎と清人を比べるのはあまり良い気分ではないかな。最後まで読めばちゃんとルカの気持ちも分かるんだけど、若干のもやもやは否めない。

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    2017年05月06日
  • 水の都 黄金の国

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    明治時代とか、軽い謎解きとか、好きだけど
    清人をリスペクトしまくるルカとか必要かな?

    物語に絡んで来るのかと思えばそうでもないし
    中途半端なBL要素っぽさが、却って邪魔
    物語としては、ない方がすっきりすると思う

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    2017年04月10日
  • 露西亜の時間旅行者 クラーク巴里探偵録2

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    【収録作品】光と影/オスマンルビーの呪い/露西亜の時間旅行者/遙かなる姫君 
     ミステリ部分は弱いが、軽い読み物としてちょうどいい。

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    2017年03月27日
  • 水の都 黄金の国

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    ヴェネツィアと日本。

    明治時代に日本から日本語講師としてヴェネツィアにやってきた誠次郎は、下宿先の料理人ルカと共に事件の謎を解いていく。

    三木さんの描く、このつかず離れずみたいな男子2人の関係と気持ちのいい読後感の話が大好きです。

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    2017年01月21日
  • 人魚は空に還る

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    どうか、この心を、誰かがわかってくれますように。

    超絶美形の天才絵師・有村礼と、雑誌記者・里見高広の“帝都探偵絵図”シリーズ第一作。礼がこよなく愛するホームズの物語を翻訳する、それが高広の役割。そして、二人が出会った謎を、優しく解き明かす高広。ちょっと不思議なホームズとワトソンの物語。短編集で、どの物語も、切なさと優しさに満ちている。ままならぬ浮世で、それでも優しく、誠実に生きようとする、不器用な切なさに。

    「人魚は空に還る」浅草で話題の興業「蝋燭座」の出し物の目玉は人魚。しかし、人魚を買い取る人が現れ――。空に還った人魚の秘密とは。さりげなく小川未明が登場する表題作。真相を見抜いた高広は

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    2016年11月13日
  • 水の都 黄金の国

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    ネタバレ

    【収録作品】黄金の国/水の都の怪人/錬金術師の夢/新地動説/エピローグ  
    *異国の地で亡くなった幼なじみ・清人の後任としてイタリアに渡り、日本語教師となった誠次郎。下宿先の料理店で働くルカは清人に心酔しており、なにかと比較する。そんななかで誠次郎は、見初めた花売り娘を探す富豪、金貨をばらまく怪盗、カサノヴァに擬せられる伊達男、望遠鏡を逆さにして覗いたあとの人間消失といった事件に巻き込まれる。だんだんと誠次郎と打ち解けつつ、清人を忘れてしまうのではないかと恐れるルカの迷いに、若者らしい潔癖さが感じられ、ほほえましい。

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    2016年09月15日
  • 世界記憶コンクール

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    ネタバレ

    謎の背景には、親子の絆。

    お得意の分野、明治+美形+ホームズ&ワトソン。〈帝都探偵絵図〉シリーズの第二弾。とはいえ、実は小説で読むのは初めて。会話中心で読みやすかった。主人公コンビである雑誌記者の里見高広と美貌の天才絵師有村礼が直接かかわらない話もあり。何組かの親子が出てきて、それぞれの関係がある。優しいものも、厳しいものも。親が子を、子が親を、思っている、だけではない。でも全体的な雰囲気は、優しく、後味もよい。

    「第一話 世界記憶コンクール」まさに「赤毛組合」でした。似たような条件が揃ったらわくわくしちゃう有村先生の気持ち、わからんでもないホームズファン。

    「第三話 黄金の日々」過去の

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    2016年07月31日
  • 百年の記憶 哀しみを刻む石

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    ネタバレ

    守れない約束に後悔し続けた良治。
    約束を信じて待ち続けた伝。
    立場が違えば見えるものも違う。憎しみが生まれるはずがないことは分かっているけど、二人の記憶を受け継いだ者達が苦しんでいるのは辛かった。
    世代を越えて遠い日の約束を果たした徹と大地の絆は揺らぐことがなく強い。
    良治と伝は思いを石に託して再会することを強く願い続けていたんだと思う。
    大地の手を握り返した徹の手に新たな始まりを予感させる。

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    2016年05月31日
  • 百年の記憶 哀しみを刻む石

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    この物語は、三世代に渡る少年同士の友情の物語です。(そしてその三世代、三組の少年同士がそれぞれ血縁関係でないのに、結果的に巡り会うという因業めいた展開がニクい)
    お互いがお互いを思う故、あのような結果に終わってしまった「伝」の世代、「航」の世代、そしてその連鎖を断ち切ろうとする徹と大地の葛藤。
    ラストのあの展開には、賛否両論出そうなのには納得。ただ、あえて描かない選択をした事について、私は好意的に受け止めています。読者の心の中で続きが展開していけば良いのでは、と。
    蛇足ですが、せっかく地学部なんだから、もっと石の種類出して貰えると、石マニアとしては嬉しかったかな…w

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    2016年03月13日
  • 百年の記憶 哀しみを刻む石

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    ネタバレ

    わああ、そこで終わるか!っていう…。
    こいう後引く終わり方はズルイ!(笑。
    鉱物好きなので、石の描写も楽しめました。
    昔の記憶もよかったなぁ。
    あぁぁ、でもその後が気になりすぎます。もう!
    先輩のおばあさまももうちょい活躍すると思ったのになぁ…。
    紳士な松崎先生も好きです。

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    2016年02月14日
  • 百年の記憶 哀しみを刻む石

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    文庫化してただけだったうっかりしてた。とうに読んでた。

    いつもの作品よりも静謐さがなく、中高生にとっつきやすい作品になっているような気がする。
    あの静かで冷たい風の音のする作品が好きなものには多少の場違いさを感じてしまうことだろう。

    ただ、ラスト。

    ここで切るのが三木笙子作品の醍醐味なのだ、彼女の作品の冷たさとぬくもりなのだ。

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    2015年10月28日
  • 百年の記憶 哀しみを刻む石

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    ネタバレ

    読み始めた時は、心が躍るのをとめられなかった。

    石に宿る 遠い過去を生きた人の記憶。
    このモチーフだけでも展開に強く思いを馳せてしまう。

    さらに冒頭の地学部の部室がある旧校舎の描写や
    登場人物がとても魅力的で 期待が高まった。

    しかし後半は急ぎすぎたのだろうか。
    しっくりこないままで終わってしまった。

    伝と良治の繋がりはとても強い。
    第三者の立場で見ていても 良治のしたことを
    伝が恨んでいるとは思えなかった。
    仮に恨んでいたとしても そのことを
    後悔しているはずの良治の記憶が 
    そこから逃れたいと思っているとは 
    やはり考えられなかった。
    むしろ あえて伝の前に進み出て
    ひれ伏して詫び

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    2015年10月15日
  • 人形遣いの影盗み

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    ネタバレ

    お、ロータス出てきた!
    個人的にはホームズよりルパン派なので、地味に嬉しい。
    礼さんに怒られそうだけど。
    びいどろの幻影的な空気も好きだけど、下宿のほんわかムードも良かったです。

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    2015年06月19日