米川正夫のレビュー一覧
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ドストエフスキーが生涯をかけて構築した世界最高峰の文学作品、カラマーゾフの兄弟は小説というよりもむしろ思想書に近いかもしれない。19世紀後半の思想的動乱期のロシアを舞台とするこの小説は当時の複雑な社会状況、イデオロギーの対立を描写している。彼の著作の多くはこのような状況におけるロシアの無神論、ニヒリズムと対置して信仰による救済を説くものであるが、その問いは単にイデオロギーとしてだけではなく、人間の心理的本質に投げかけられたのである。今日、思想なき時代において人生の問いは単純な質量的欲求という意味での幸福、不幸にカテゴライズされてしまう傾向にあるが、それは一つのニヒリズムであると言えよう。形而上学的、超越的な概念は必然であるというよりは「必要」であるということを登場人物の心理描写とともに痛感することができる。個人的な観点ではあるが、そうしたことを考えさせてくれる思想書であると言えよう。
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ネタバレ厨二病臭いなあ。と思うけれど、確かに戦争があったからこそ進化があったのであって、
血が流されたからこそ、今の時代を紡ぎだせたのだと思います。
そういう理論は後からだからこそ言える事だと思うのです。その当時にしては人殺しは人殺しだし。何人も巻き添えで死んでしまうし。
戦争が終われば英雄扱いや、日本の戦後の兵隊たちを、同じ国の人間が蔑む。極端だなあ。どっちが正しいのかはさておいて。
人が傷つくのは駄目なのはどうしてなのか。それは自分が傷つきたくないから。それ故に犠牲を肯定したいロージャは私としてはすごく共感できるし、馬鹿だなと思う。 -
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フョードルが殺され、ドミートリイは裁判にかけられ、イヴァンは気が狂い、スメルジャーコフは自殺する。本格的に俗世を生き始めるアリョーシャを除いて、カラマーゾフの一家は破滅した。検事イポリットに対する、ドミートリイの弁護士フェチュコーヴィッチの反論が切れ味鋭くて快感。ドミートリイの「ベルナール」的客観的思考批判、イヴァンの無神論の挫折もたまらない。
『カラマーゾフの兄弟』は本当に濃密だ。これだけのものが詰まって、それでいて一つの統一体でありうるなんて・・・こんなのを作り上げるには、どれだけの忍耐と労力が必要なのだろうか。死ぬまでに一回は読まないと本当にもったいない。 -
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あまりにも語られてしまった小説、あまりにも傑作として名高い小説。そしてこういった場所で紹介するにはあまりにも密度が濃い小説。長いし。そこでここでは作品全体を論じることはやめ、一点だけ、カチェリーナのすばらしさについて述べておくことにしよう。ひたすら献身的に尽くし愛しつづける行為をもって、その高貴さとプライドの高さと清廉潔白さを見せつけることをもって、愛を裏切った相手に復讐を遂げるという、この倒錯!いくえにも逆照射されたこの倒錯は、ただ一言、ブリリアントです。裁判の場でのあの独白のみで、この小説の登場人物としてナンバーワンだと言っていい。それまでわたしのなかで一位の座を占めていたイワンをみごと蹴落としてくれました。
ところでこの小説の読者にはたいてい、三兄弟のなかに贔屓がいる模様。兄はドミトリィと申しておりましたし、友人はアリョーシャと申しておりました。ちなみに母はわたしと同じくイワンだと言っておりました。そんな母には今度、高野文子『黄色い本』を贈ろうかと思っております。もっかしたらあの作品の良さをわかってくれるんじゃないかなあ。
またしてもここに載せたのはわたしが読んだものではありません。多分訳すら違う。最悪。いや、手元にないから訳者が確認できないんです。 -
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風景的作品で、怖い作品です。3〜20個くらいの先の尖った概念が常に刺さってくる感じです。頭の良い人っていうのは、マルチに全体を進行させ、例えば仕事できる人が同時に沢山を判断して沢山の作業進めてるように、この作品には全瞬間に沢山のしかも恐ろしく鋭い見解が突き刺さってきます。読者を混乱させかねないくらいの登場人物を同時に矛盾なく進行させる上手はトルストイくらいしか類をみないという評価でしょうが、実際ちょっと神とかそういった立場が、世界を同時進行させる様を思い浮かべます。神様って世界を同時進行させてるんですよ。すごいですよね。最近の人は嫌いかもしれないけど、そういう文学の中でもこの人の作品くらいは頑張って読みきってみたら人生変わったりしそうです。
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上下巻とようやく読み終えた
合わせて約1200頁…流石に長かったが、面白かった
長台詞の応酬と心情描写が凄まじかった
人の心理的に怒り、苦悩、哀しみ、安堵、冷静、慈しみなど様々な感情が、順々に訪れたと思ったら別の感情に流され、また繰り返し…が表現されていて非常に生々しく人の感情が日々いかに込み入っているのかを知らされた
物語的にはシンプルなはずだが、主人公ラスコーリニコフに関わる人々の関係性や心理描写も更に加わり絡み合っているせいかより複雑になっているように感じた
妙に明るく書かれてたりもするが、基本的には暗い
せめて、後味の悪い終わり方でなくて良かった…