米川正夫のレビュー一覧

  • イワン・イリッチの死

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    死について、というより今自分の生について考えさせられた
    全盛期まで器用に生きてきたイワンイリッチなわけだが、その器用さが故に後々死に近づいていってる時に苦しめられ、結局良き思い出は幼少期くらいしか出てこない
    見栄や虚心で生きれば、それなりにあとから苦しみがやってくる

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    2016年08月17日
  • イワン・イリッチの死

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    昔も読んだ。
    人間の愚かさというか、滑稽さに笑ってしまう場面もあった。
    しかし、イワン・イリッチの死に際する苦しみには、笑えなかった。
    死とは孤独なものだろう。
    そして、イワン・イリッチの死は決して特殊なものではないだろう。

    また、読み返そうと思う。

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    2016年08月07日
  • カラマーゾフの兄弟 4

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    意味深な遺書を残して首を縊った人物と、その相互作用で気が触れた人物。その2人と干渉して、真理の光とすべての人への復讐と憎悪の中に滅びることを自覚しながら、ひたすら祈る人物。裁判にかけられ、やいのやいの言われる人物とともに、カラマーゾフの兄弟たちの物語は一先ず終わる。裁判で振りかざされるロシアの正義なる茶番。そんなカラマーゾフの末っ子を慕う子供による、僕たちはみんな死から甦って命を得て、またお互いに見ることが出来る、という叫び。一粒の麦が確かに大地に実りをもたらしたように見える。X'masに読む最高の物語。

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    2014年12月27日
  • カラマーゾフの兄弟 3

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    そよとも風のない闃(げき)として静かな夜に、その事件は起きた。ドミートリーは確かに現場に居た。下僕グリゴーリーはそれを見ている。しかしその時スメルヂャコフは何をしていたか。作者によるミスリードによって真犯人はぼかされ、乱痴気騒ぎの中ドミートリーは連行される。予審のシーンでは父親殺しとして町中の憎悪を浴びるが、生前むしろ嫌悪されていたのは当のヒョードルではなかったか。ドミートリーが別の町へ移送される直後に登場するコーリャがアリョーシャの代わりを担う。やはりカラマーゾフの兄弟たちには安穏がないことを暗示して。

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    2014年12月27日
  • カラマーゾフの兄弟 2

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    恐らく第⑤篇プロとコントラだけでも1つの小説として成立する。しかしここが無かったらカラマーゾフの兄弟は成立しない。イヴァンがアリョーシャに「神と人間の創造はヨーロッパの仮説であって、ギリシャ以来のユークリッド幾何学による三次元空間も、平行線の公理を仮定しなければ別の世界が作られる」と語るとき、ロシア人は馬鹿だからと卑下する。コレは革命間近の19世紀末期ロシアのコンプレックスをよく表している。殺人犯リシャールの面白い話の後にいよいよ大審問官である。例の事件はまだ起こらない。岩波の版面が良く合っている。

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    2014年12月27日
  • カラマーゾフの兄弟 1

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    一粒の麦は只の一粒だが、地に落ちれば多くの実を結ぶ。冒頭のヨハネの福音書と物語との関係が20年前の初読では分からなかった。確かに家族の紹介が長いし戸惑う。しかし僧院での会合からドライブがかかって、穏やかに喋っていたヒョードルが突然激昂する辺りから登場人物のキャラが立ってくる。こんな人間を自分は知ってる。そうやって少しずつ実感できる人間を拡げていけば、長老の逸話を始めとする宗教談義も面白くなってくる。ドミートリーがアリョーシャに語る詩を読んだら彼に父親殺しなんか出来ないと分かるはず。物語は始まったばかり。

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    2014年12月27日
  • カラマーゾフの兄弟 1

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    岩波文庫から出ているこの本は、他の出版社から出ている同じ題名のものと違って冒頭に解説があります。解説ではドストエフスキーがこの本を書いた背景のほかに、主要な登場人物の紹介、小説における立ち位置などが書かれています。この解説により、本編の内容をスムーズに理解することができました。ここでは内容には触れませんが、解説の豊富さや本文の面白さを考慮して★5評価です。

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    2013年03月23日
  • カラマーゾフの兄弟 4

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    ドストエフスキーが生涯をかけて構築した世界最高峰の文学作品、カラマーゾフの兄弟は小説というよりもむしろ思想書に近いかもしれない。19世紀後半の思想的動乱期のロシアを舞台とするこの小説は当時の複雑な社会状況、イデオロギーの対立を描写している。彼の著作の多くはこのような状況におけるロシアの無神論、ニヒリズムと対置して信仰による救済を説くものであるが、その問いは単にイデオロギーとしてだけではなく、人間の心理的本質に投げかけられたのである。今日、思想なき時代において人生の問いは単純な質量的欲求という意味での幸福、不幸にカテゴライズされてしまう傾向にあるが、それは一つのニヒリズムであると言えよう。形而上学的、超越的な概念は必然であるというよりは「必要」であるということを登場人物の心理描写とともに痛感することができる。個人的な観点ではあるが、そうしたことを考えさせてくれる思想書であると言えよう。

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    2012年04月23日
  • カラマーゾフの兄弟 1

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    冷静に考えればこんな家族ありえないし嫌だ。しかし、読み進めるにつれて登場人物が作者の手を離れて、自ら考え行動しているように思えてくる。

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    2011年09月27日
  • 罪と罰 上

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    ネタバレ

    厨二病臭いなあ。と思うけれど、確かに戦争があったからこそ進化があったのであって、

    血が流されたからこそ、今の時代を紡ぎだせたのだと思います。

    そういう理論は後からだからこそ言える事だと思うのです。その当時にしては人殺しは人殺しだし。何人も巻き添えで死んでしまうし。

    戦争が終われば英雄扱いや、日本の戦後の兵隊たちを、同じ国の人間が蔑む。極端だなあ。どっちが正しいのかはさておいて。

    人が傷つくのは駄目なのはどうしてなのか。それは自分が傷つきたくないから。それ故に犠牲を肯定したいロージャは私としてはすごく共感できるし、馬鹿だなと思う。

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    2011年03月05日
  • カラマーゾフの兄弟 4

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    フョードルが殺され、ドミートリイは裁判にかけられ、イヴァンは気が狂い、スメルジャーコフは自殺する。本格的に俗世を生き始めるアリョーシャを除いて、カラマーゾフの一家は破滅した。検事イポリットに対する、ドミートリイの弁護士フェチュコーヴィッチの反論が切れ味鋭くて快感。ドミートリイの「ベルナール」的客観的思考批判、イヴァンの無神論の挫折もたまらない。
    『カラマーゾフの兄弟』は本当に濃密だ。これだけのものが詰まって、それでいて一つの統一体でありうるなんて・・・こんなのを作り上げるには、どれだけの忍耐と労力が必要なのだろうか。死ぬまでに一回は読まないと本当にもったいない。

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    2009年10月04日
  • カラマーゾフの兄弟 3

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    『カラマーゾフの兄弟』と言えば、父フョードルが殺される事件が話の中心だと思っていたが、意外なことにフョードルが殺されるのは物語も後半にさしかかったあたりで、岩波文庫で言うとこの第三巻である。殺人の嫌疑をかけられた長男ドミートリイのキャラクターがたまらなく好きだ。下卑たことに対して潔癖すぎて、逆にやけっぱちになって思うさま堕落しようとするのだけど、どうしても清さや美しさへの憧れが捨てきれない。誰にでもドミートリー的な一面はあるはずだ。後半のアリョーシャ、コーリャ、イリューシャのエピソードもめちゃ面白い。

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    2009年10月04日
  • カラマーゾフの兄弟 2

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    イヴァンの壮大な思考実験「大審問官」が載っているのがこの第二巻。キリストが魔女狩時代のスペインに再降臨するという想定。キリスト教になじみ深かったら、もっと面白いんだろうと思う。また「蜘蛛の糸」と同じ「一本の葱」の話が出てくるのもこの第二巻。とにかく面白い。

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    2009年10月04日
  • カラマーゾフの兄弟 1

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    フョードル・カラマーゾフ、3人の息子ドミートリイ、イワン、アリョーシャ、呪われた息子スメルヂャーコフの物語の第一巻。岩波文庫はなぜかあとがきが冒頭にある。そのあとのドストエフスキーによる序文がかっこいい。本編はのっけからエピソード満載で面白すぎる。

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    2009年10月04日
  • カラマーゾフの兄弟 1

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    私は、これより面白かった小説を知りませんでした。
    しかし読んだ版の表紙の画像がありませんのでこちらで。
    昔の岩波ので読んだんだ。

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    2009年10月04日
  • カラマーゾフの兄弟 2

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    なんだかんだ言って岩波版が好きな文体でした。純粋に個人的な好みです。イワンの口調が一番好み。ということで「反逆」と「大審問官」の収録されている第2巻が一番思い入れがある。

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    2009年10月04日
  • カラマーゾフの兄弟 1

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    あまりにも語られてしまった小説、あまりにも傑作として名高い小説。そしてこういった場所で紹介するにはあまりにも密度が濃い小説。長いし。そこでここでは作品全体を論じることはやめ、一点だけ、カチェリーナのすばらしさについて述べておくことにしよう。ひたすら献身的に尽くし愛しつづける行為をもって、その高貴さとプライドの高さと清廉潔白さを見せつけることをもって、愛を裏切った相手に復讐を遂げるという、この倒錯!いくえにも逆照射されたこの倒錯は、ただ一言、ブリリアントです。裁判の場でのあの独白のみで、この小説の登場人物としてナンバーワンだと言っていい。それまでわたしのなかで一位の座を占めていたイワンをみごと蹴落としてくれました。
    ところでこの小説の読者にはたいてい、三兄弟のなかに贔屓がいる模様。兄はドミトリィと申しておりましたし、友人はアリョーシャと申しておりました。ちなみに母はわたしと同じくイワンだと言っておりました。そんな母には今度、高野文子『黄色い本』を贈ろうかと思っております。もっかしたらあの作品の良さをわかってくれるんじゃないかなあ。
    またしてもここに載せたのはわたしが読んだものではありません。多分訳すら違う。最悪。いや、手元にないから訳者が確認できないんです。

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    2009年10月04日
  • カラマーゾフの兄弟 1

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    風景的作品で、怖い作品です。3〜20個くらいの先の尖った概念が常に刺さってくる感じです。頭の良い人っていうのは、マルチに全体を進行させ、例えば仕事できる人が同時に沢山を判断して沢山の作業進めてるように、この作品には全瞬間に沢山のしかも恐ろしく鋭い見解が突き刺さってきます。読者を混乱させかねないくらいの登場人物を同時に矛盾なく進行させる上手はトルストイくらいしか類をみないという評価でしょうが、実際ちょっと神とかそういった立場が、世界を同時進行させる様を思い浮かべます。神様って世界を同時進行させてるんですよ。すごいですよね。最近の人は嫌いかもしれないけど、そういう文学の中でもこの人の作品くらいは頑張って読みきってみたら人生変わったりしそうです。

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    2009年10月04日
  • ドストエフスキー全短篇 Ⅰ

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    シベリアに抑留される前の短篇集。
    濃密な文章で短篇だと読んでいてちょっと息苦しい。感情の表現が大げさだし、しつこいことこのうえない。そこが良さでもあるんだけど。個人的には長編の方が読みやすい。
    なかで「白夜」がいいねぇ。このヒロインは普遍的な恋する女性だ。主人公の人物造形は後年のラスコーリニコフにつながる、と解説にあったけど、そういうもんかね。

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    2026年09月19日
  • 罪と罰 下

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    上下巻とようやく読み終えた
    合わせて約1200頁…流石に長かったが、面白かった
    長台詞の応酬と心情描写が凄まじかった
    人の心理的に怒り、苦悩、哀しみ、安堵、冷静、慈しみなど様々な感情が、順々に訪れたと思ったら別の感情に流され、また繰り返し…が表現されていて非常に生々しく人の感情が日々いかに込み入っているのかを知らされた
    物語的にはシンプルなはずだが、主人公ラスコーリニコフに関わる人々の関係性や心理描写も更に加わり絡み合っているせいかより複雑になっているように感じた
    妙に明るく書かれてたりもするが、基本的には暗い
    せめて、後味の悪い終わり方でなくて良かった…

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    2026年09月18日