【感想・ネタバレ】カラマーゾフの兄弟 4のレビュー

あらすじ

暴力を否定し、調和的な愛を強調するこの作品は、作者最後のかつ最高の傑作で雄大な構想、複雑で緻密な構成、人間精神の深刻な把握、また人類の苦悩に対する深い理解と愛情とをもつ。淫蕩なフョードルを父に持つ三人の兄弟を主人公に、悪夢のような一家の形成から破滅に至るまでの複雑多岐な内容を短時日の事件の中に描き出す。

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ネタバレ

無罪になりそうな人が結局有罪になったり、登場人物の一人の葬儀があったりと客観的に見れば救いようのない終わり方です。ですが、何でしょう、どうにも最後でハッピーエンドに見えてしまうんですよね。

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2021年10月03日

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意味深な遺書を残して首を縊った人物と、その相互作用で気が触れた人物。その2人と干渉して、真理の光とすべての人への復讐と憎悪の中に滅びることを自覚しながら、ひたすら祈る人物。裁判にかけられ、やいのやいの言われる人物とともに、カラマーゾフの兄弟たちの物語は一先ず終わる。裁判で振りかざされるロシアの正義なる茶番。そんなカラマーゾフの末っ子を慕う子供による、僕たちはみんな死から甦って命を得て、またお互いに見ることが出来る、という叫び。一粒の麦が確かに大地に実りをもたらしたように見える。X'masに読む最高の物語。

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2014年12月27日

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ドストエフスキーが生涯をかけて構築した世界最高峰の文学作品、カラマーゾフの兄弟は小説というよりもむしろ思想書に近いかもしれない。19世紀後半の思想的動乱期のロシアを舞台とするこの小説は当時の複雑な社会状況、イデオロギーの対立を描写している。彼の著作の多くはこのような状況におけるロシアの無神論、ニヒリズムと対置して信仰による救済を説くものであるが、その問いは単にイデオロギーとしてだけではなく、人間の心理的本質に投げかけられたのである。今日、思想なき時代において人生の問いは単純な質量的欲求という意味での幸福、不幸にカテゴライズされてしまう傾向にあるが、それは一つのニヒリズムであると言えよう。形而上学的、超越的な概念は必然であるというよりは「必要」であるということを登場人物の心理描写とともに痛感することができる。個人的な観点ではあるが、そうしたことを考えさせてくれる思想書であると言えよう。

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2012年04月23日

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フョードルが殺され、ドミートリイは裁判にかけられ、イヴァンは気が狂い、スメルジャーコフは自殺する。本格的に俗世を生き始めるアリョーシャを除いて、カラマーゾフの一家は破滅した。検事イポリットに対する、ドミートリイの弁護士フェチュコーヴィッチの反論が切れ味鋭くて快感。ドミートリイの「ベルナール」的客観的思考批判、イヴァンの無神論の挫折もたまらない。
『カラマーゾフの兄弟』は本当に濃密だ。これだけのものが詰まって、それでいて一つの統一体でありうるなんて・・・こんなのを作り上げるには、どれだけの忍耐と労力が必要なのだろうか。死ぬまでに一回は読まないと本当にもったいない。

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2009年10月04日

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長いし、人間関係が複雑だし、随分前に端役だと思っていた人物が突然現れるし、キリスト教の倫理観と歴史が理解しづらいし、唐突に愛称で呼ぶし…というなかなかハードな本だった。人物一覧表を作りながら読んだ。
ただ、名作と呼ばれるだけあって人間の心理描写力が非常に優れていると感じた。
カチェリーナの、ミーチャやグルージェンカへの愛憎渦巻く複雑な心境。コーリャ少年の背伸びと自尊心。ラキーチンの世の中を小馬鹿にしたような皮肉。スメルヂャコフの嫉妬など…枚挙にいとまがない。
また、(当時の)キリスト教の考え方と倫理観について、微量ながら理解することができたと思う。
本書で取り上げられている問題はキリスト教だけの問題ではないし、過去の問題でもないと思う。
科学の発達によって薄れた信仰心。ヒトは「神からの赦し」を捨てて生きることができるのか?
人間がどこまで行っても捨て去ることのできない問題と人間臭さがこれでもかと凝縮された本だった。

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2022年07月04日

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ネタバレ

これを先に読むか、『悪霊』の方を先に読むかで大きく印象が変わってくるような気がします。
私は『悪霊』の方を先に読んだので、イワン兄さんの思想にはあまり驚きはありませんでしたが、この小説には『白痴』『悪霊』のテーマがまとめてとりあげられており、まさにドストエフスキーの集大成という感じです。
ものすごい長いですが、それを読むだけの値打ちは充分あります。必読と思います!
1フントの胡桃の話が泣ける!!

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2012年06月13日

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ネタバレ

私たちに遺された『カラマーゾフの兄弟』は、ドストエフスキーが想定していた物語の第一部に過ぎなかったと言われています。長男ドミートリイが選択した運命はどうだったのか、イワンはどうなったか、アリョーシャはどのように成長していくのか、数々の余韻を残したまま物語は終わりを告げます。

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2012年02月05日

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