柳瀬博一のレビュー一覧
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<目次>
第1章 ようこそ、カワセミ都市トーキョーへ
第2章 カワセミとはどんな鳥か
第3章 東京カワセミ日記
第4章 「新しい野生」の一部としての「東京のカワセミ」
第5章 カワセミが住む街はなぜ「高級住宅街」なのか
第6章 「新しい野生」と「古い野生」がつながる
<内容>
生物学の本なのかと思えば、第5章からは社会学的な要素が高まる不思議な本。『国道16号線』を書いた人と知れば、さもありなんと思うだろう。まあ、生き物好きなのはよくわかる。第3章ではひたすらカワセミの観察日記が続く(地名が隠されているのは、カワセミを守るため)。今の東京(新しいのでトーキョー)は、1970年代に -
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神奈川県の小網代に、日本で唯一の源流から海までの生態系が維持されてる場がある。それが小網代だ。世界的にみてこの緯度のエリアは開発がすすんでるため世界でみてもここしかない。この奇跡を誰がうんだのか?どうやってそだてたのか?の本。
流域まるごと保全するという発想はこれまでなかった。たとえば河口の海岸線に一本の道路をひくだけで、カニは産卵を陸でするため生態系が破壊される。一方で豊かな生物多様性を維持するには、ほったらかしにしておけばいいというわけでもなくここではNPOなどの多くの手をいれて多様性を維持している。
生物的多様性の豊かな空間は、生物である人にとっても生き易く快適だろうとおもう。今後の都市 -
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別府にある立命館アジア太平洋大学(APU)は、学生の半分が留学生(80カ国以上から約3,000人)、教員の半分が外国人で、ほとんどの授業が日本語と英語の2本立てで用意されている。そこでは、教室や寮や地域を通じて、日本人と外国人が混ざり、上級生と下級生が混ざり、教員と職員が混ざり、学生と地域が混ざり、そして別府と世界が混ざっていく。
混ざることで、「化学反応」が起こり、創発が起こる。そして日本人学生は異文化を正しく肌感覚で理解して英語でもコミュニケーションできるグルーバルな感覚とスキルを持った人に成長していき、外国人学生は日本のマインドと日本語でもコミュニケーションできるスキルを持った人とし -
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現在50歳以下くらいの人は、誰でも子どものころにアンパンマンを知ったであろう。私も子どものころに初期のアンパンマンの絵本を持っていた。困った人を助け、お腹が空いた人に自分の頭を「ほら、食べなよ」と差し出すアンパンマンは幼心に衝撃的だった。当時はまだ周囲のキャラクターの種類も少なかった。
著者はアンパンマンの作者やなせたかしと同じ苗字だが、血縁関係はない。社会学者としてこれほどまでに幼児の心をつかむアンパンマンと作者の人となりを研究してまとめたという。
本書を通して、著者のやなせたかしへの心酔ぶりが分かる。やなせたかし氏は絵本作家であるだけでなく、もともとはデザイナーであり、今でいうところのマル -
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2歳のうちの子も異常にアンパンマンにハマっていて、初語はママではなく「あんぱんまん」。
言いやすいんだろうな~とぼんやり思っていたけど、この名前を0から生み出すのは天才的。
大人気のアンパンマンが誕生したのは、やなせたかしさんだから出来たこと。どんな仕事も勇敢に挑戦しつづけた絵と言葉のデザイナーだったから、と本書を読んですごく納得した。たしかに、キャラクターや絵だけでなく、ネーミングセンスは抜群で、歌詞も素晴らしいものばかり。
アンパンマンマーチには、「なんのために生まれて何をして生きるのか、答えられないなんてそんなのは嫌だ」という歌詞がある。アンパンマンのキャラクターとはズレてるなとずっ -
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現在朝ドラにてあんぱんまんの作者である、やなせたかしとのぶの話が放送されている。それに影響されて本書を購入したが、本書を合わせて読むことでよりドラマを面白く見ることができる。史実とドラマでは脚色があり、異なることも多い。しかし、違うからこそ本書とドラマを比較しながら視聴する事で、やなせたかしが何を伝えたかったメッセージを強く感じることができた。また、ドラマの脚本を担当しているライターとも繋がりがあり、やなせたかしから引き継がれる精神性も大いに強調されている。
あんぱんまんに対してやなせたかしは一切の遠慮なく表現をしていた訳だが、その精神性は見習わなければならない。あんぱんまんに限らず、子供 -
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ネタバレアンパンマンのやなせたかしの話。
山梨シルクセンター、山梨の名産の絹を売ろうと山梨県職員が始めた会社だがうれず。サンダルなどを売っていたがキャラクターを付けると売れることを発見。キャラデザをやなせたかしなどに依頼して書いてもらったこの会社こそが、現在のサンリオである。
5歳で父を亡くし、弟は親戚の家に引き取られ、7歳で母を亡くして自分も親戚の家に。医者の叔父の後を継ぐ予定の弟とは違い、東京の製薬会社に広告部として就職し、戦争で中国に行って、帰ってきたら兵隊になった弟が死んで。
高知新聞社で妻と出会い上京したり。2025年のテレビ小説はやなせたかしの話なので、見ようかなと。 -
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自動車で走らないので、国道16号線と言われても正直のところあまりピンとは来ない。それは東京の中心部からほぼ30キロ外側、三浦半島の付け根の神奈川県横須賀市から横浜まで東京湾の海辺を走り、内陸部に向かい、町田、八王子、福生を抜け、埼玉県入間、狭山、川越、さいたま、春日部、千葉県の野田、柏、千葉、市原から再び東京湾に出て、木更津を越え富津へと至る、約320キロの環状エリア。
このエリアの地形に着目して、歴史や経済、さらにはミュージックシーンまで、著者の筆は意想外な様々な話題に飛び、大変面白く読めた。一つの着想、アイディアとして大いに好奇心を搔き立てられた。