柳瀬博一のレビュー一覧

  • カワセミ都市トーキョー 【電子限定カラー版】

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    姿を消していた東京都心のカワセミが再び戻ってきて繁殖しているのを自身の観察により明らかにしている。東京中を自転車で駆け廻っての観察記録はコロナ禍を感じさせず生き生きとして発見の喜びに満ちている。著者の結論はカワセミが暮らすのは武蔵野台地の崖に沿った「小流域源流」とカワセミ生息地を一致しており、そこは東京の高級住宅地に近く人もカワセミも住みやすい場所だとしている。前著「国道16号線」でも小流域源流の話がでてきたがピンとこなかった。この本の主張は納得できる。

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    2024年03月25日
  • カワセミ都市トーキョー 【電子限定カラー版】

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    <目次>
    第1章  ようこそ、カワセミ都市トーキョーへ
    第2章  カワセミとはどんな鳥か
    第3章  東京カワセミ日記
    第4章  「新しい野生」の一部としての「東京のカワセミ」
    第5章  カワセミが住む街はなぜ「高級住宅街」なのか
    第6章  「新しい野生」と「古い野生」がつながる

    <内容>
    生物学の本なのかと思えば、第5章からは社会学的な要素が高まる不思議な本。『国道16号線』を書いた人と知れば、さもありなんと思うだろう。まあ、生き物好きなのはよくわかる。第3章ではひたすらカワセミの観察日記が続く(地名が隠されているのは、カワセミを守るため)。今の東京(新しいのでトーキョー)は、1970年代に

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    2024年03月21日
  • カワセミ都市トーキョー 【電子限定カラー版】

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    国道16号線に続き、わかりやすく興味の惹かれる都市論でした。外出する際、その土地の地形、地名を調べて、なるほどと勝手に納得する癖がつきました。

    ちなみに、柳瀬先生のFacebookは非常に面白いので、フォローおすすめです。

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    2024年02月04日
  • 国道16号線―「日本」を創った道―(新潮文庫)

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    関東に住んだことがなく、16号線のイメージも本作中にも出て来る「ドキュメント72時間」くらいしか無いので、「関西で言うと何処かな?」と考えながら読んでました。
    外環170号+171号線か、県境跨いでて県庁所在地貫いてるところは24号京奈和か。そっちが「木更津キャッツアイ」ならこっちは「岸和田少年愚連隊」がある。でも「中央フリーウェイ」出されるとこっちは「河内のオッサンの歌」くらいしか無いかなぁ、とか。

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    2023年06月19日
  • 混ぜる教育

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    APU立命館アジア太平洋大学。大分県別府に2000年開学。開学時からの目標は学生の50%の留学生、出身国50か国、教員の50%が外国人を達成したグローバルな大学の混ぜる教育。

    糸井重里解説。ダイバーシティな教育の場を伝える一冊。日本人と留学生がAPハウスで共同生活。学生の自治の中から交流を深めていく。

    あまりにも賞賛ばかりなのがちょっと残念。

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    2023年05月29日
  • 親父の納棺

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    コロナ禍で父の入院から火葬までの出来事の中、納棺時のケアを通して、ケアとは、人の死とは何かを考えさせてくれる1冊。

    いくつかのお葬式を思い出して、触れてはいけないもの、と思っていた。この本を読んで、考え方が変わった。

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    2022年09月16日
  • 親父の納棺

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    納棺は亡くなった方と遺族の両方のケアをすること。死が遠い現代、すずさんみたいな素晴らしい納棺師にケアされる方は最期の良い思い出を残すことが出来るのだろう。亡くなってもケアは続く。死とは、を改めて考えさせられる本。優しいイラストも相まってさらさら読める。

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    2022年09月07日
  • 混ぜる教育

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    立命館アジア太平洋大学。
    恐らく、日本で唯一無二の大学であるような気がする。

    別府の山の中にある大学。
    そこの半数の学生は留学生であり、残りの半分の日本人学生も英語でコミュニケーションを図らねばやっていけない。入学試験はもとより、授業も英語で受けることが出来る。
    なんというか、パワフル。高度成長期の日本のにおいがする。ゆるやかに下降していく今の時代とは少し違うを
    返済不要の奨学金を企業からの寄付で賄ったとあるが、その下りがものすごい情と義理の社会である。
    まだ日本は頑張れる国なのかなぁと思った。

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    2017年06月12日
  • 「奇跡の自然」の守りかた ──三浦半島・小網代の谷から

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    神奈川県の小網代に、日本で唯一の源流から海までの生態系が維持されてる場がある。それが小網代だ。世界的にみてこの緯度のエリアは開発がすすんでるため世界でみてもここしかない。この奇跡を誰がうんだのか?どうやってそだてたのか?の本。
    流域まるごと保全するという発想はこれまでなかった。たとえば河口の海岸線に一本の道路をひくだけで、カニは産卵を陸でするため生態系が破壊される。一方で豊かな生物多様性を維持するには、ほったらかしにしておけばいいというわけでもなくここではNPOなどの多くの手をいれて多様性を維持している。
    生物的多様性の豊かな空間は、生物である人にとっても生き易く快適だろうとおもう。今後の都市

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    2017年05月29日
  • 混ぜる教育

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     別府にある立命館アジア太平洋大学(APU)は、学生の半分が留学生(80カ国以上から約3,000人)、教員の半分が外国人で、ほとんどの授業が日本語と英語の2本立てで用意されている。そこでは、教室や寮や地域を通じて、日本人と外国人が混ざり、上級生と下級生が混ざり、教員と職員が混ざり、学生と地域が混ざり、そして別府と世界が混ざっていく。
     混ざることで、「化学反応」が起こり、創発が起こる。そして日本人学生は異文化を正しく肌感覚で理解して英語でもコミュニケーションできるグルーバルな感覚とスキルを持った人に成長していき、外国人学生は日本のマインドと日本語でもコミュニケーションできるスキルを持った人とし

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    2016年11月03日
  • 「奇跡の自然」の守りかた ──三浦半島・小網代の谷から

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    小網代には以前、何度か行ったことはある。最近、テレビなどで自然がよみがえり、干潟ができているようなことは知っていたが、こんな苦労があったとは。主題は2つで、一つは小網代に残された奇跡的な自然のこと、もう一つは、それを守り、再生するための30年にわたる努力かと。久しぶりに小網代に行ってみたくなる。

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    2016年06月30日
  • アンパンマンと日本人(新潮新書)

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    現在50歳以下くらいの人は、誰でも子どものころにアンパンマンを知ったであろう。私も子どものころに初期のアンパンマンの絵本を持っていた。困った人を助け、お腹が空いた人に自分の頭を「ほら、食べなよ」と差し出すアンパンマンは幼心に衝撃的だった。当時はまだ周囲のキャラクターの種類も少なかった。
    著者はアンパンマンの作者やなせたかしと同じ苗字だが、血縁関係はない。社会学者としてこれほどまでに幼児の心をつかむアンパンマンと作者の人となりを研究してまとめたという。
    本書を通して、著者のやなせたかしへの心酔ぶりが分かる。やなせたかし氏は絵本作家であるだけでなく、もともとはデザイナーであり、今でいうところのマル

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    2025年10月31日
  • アンパンマンと日本人(新潮新書)

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    嬉々として外套を翻していたのを思い出すました 去り行く夏を惜しむようにツクツクホウシとミンミンゼミの鳴き声が降り注ぐ中 暢への感謝と鎮魂の意があった事を 世間の趨勢を一切顧みず キリスト教の礼拝に於ける聖体拝領では 

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    2025年08月20日
  • アンパンマンと日本人(新潮新書)

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    2歳のうちの子も異常にアンパンマンにハマっていて、初語はママではなく「あんぱんまん」。
    言いやすいんだろうな~とぼんやり思っていたけど、この名前を0から生み出すのは天才的。

    大人気のアンパンマンが誕生したのは、やなせたかしさんだから出来たこと。どんな仕事も勇敢に挑戦しつづけた絵と言葉のデザイナーだったから、と本書を読んですごく納得した。たしかに、キャラクターや絵だけでなく、ネーミングセンスは抜群で、歌詞も素晴らしいものばかり。

    アンパンマンマーチには、「なんのために生まれて何をして生きるのか、答えられないなんてそんなのは嫌だ」という歌詞がある。アンパンマンのキャラクターとはズレてるなとずっ

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    2025年07月18日
  • アンパンマンと日本人(新潮新書)

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    朝ドラからやなせさんに興味を持ったのでこの本を読んだ。

    やなせさんは自身の書いたエッセイでは謙虚なお人柄が伺えたが、この本からはやなせさんの仕事人の姿を知ることができた。普通の人では考えられない量の仕事量をこなされていて驚いた。特に「詩とメルヘン」制作時はご祝儀の1万円のみで、ほとんど1人で制作したというエピソードを読んだ時はとても正気の沙汰とは思えなかった。

    利益を省みず、頼まれたら断らないスタンスは本当にかっこいいし、自分もまずはやってみようの精神を持とうと思えた。

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    2025年06月19日
  • アンパンマンと日本人(新潮新書)

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     現在朝ドラにてあんぱんまんの作者である、やなせたかしとのぶの話が放送されている。それに影響されて本書を購入したが、本書を合わせて読むことでよりドラマを面白く見ることができる。史実とドラマでは脚色があり、異なることも多い。しかし、違うからこそ本書とドラマを比較しながら視聴する事で、やなせたかしが何を伝えたかったメッセージを強く感じることができた。また、ドラマの脚本を担当しているライターとも繋がりがあり、やなせたかしから引き継がれる精神性も大いに強調されている。
     あんぱんまんに対してやなせたかしは一切の遠慮なく表現をしていた訳だが、その精神性は見習わなければならない。あんぱんまんに限らず、子供

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    2025年05月15日
  • アンパンマンと日本人(新潮新書)

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    ネタバレ

    アンパンマンのやなせたかしの話。

    山梨シルクセンター、山梨の名産の絹を売ろうと山梨県職員が始めた会社だがうれず。サンダルなどを売っていたがキャラクターを付けると売れることを発見。キャラデザをやなせたかしなどに依頼して書いてもらったこの会社こそが、現在のサンリオである。

    5歳で父を亡くし、弟は親戚の家に引き取られ、7歳で母を亡くして自分も親戚の家に。医者の叔父の後を継ぐ予定の弟とは違い、東京の製薬会社に広告部として就職し、戦争で中国に行って、帰ってきたら兵隊になった弟が死んで。

    高知新聞社で妻と出会い上京したり。2025年のテレビ小説はやなせたかしの話なので、見ようかなと。

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    2025年03月23日
  • カワセミ都市トーキョー 【電子限定カラー版】

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    今の東京のいたるところにこんなにいるなんてひょっとしたらこっちより多いのでは

    シティーボーイシティーガールな適応動物たち。タクマシイです

    寸劇仕立てのカワセミ親子観察も楽しい

    餌もほぼ外来種なんですねぇ

    でも人間に合わせなきゃならない動物たちの事思うと申し訳ない

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    2024年03月25日
  • 国道16号線―「日本」を創った道―(新潮文庫)

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     自動車で走らないので、国道16号線と言われても正直のところあまりピンとは来ない。それは東京の中心部からほぼ30キロ外側、三浦半島の付け根の神奈川県横須賀市から横浜まで東京湾の海辺を走り、内陸部に向かい、町田、八王子、福生を抜け、埼玉県入間、狭山、川越、さいたま、春日部、千葉県の野田、柏、千葉、市原から再び東京湾に出て、木更津を越え富津へと至る、約320キロの環状エリア。

     このエリアの地形に着目して、歴史や経済、さらにはミュージックシーンまで、著者の筆は意想外な様々な話題に飛び、大変面白く読めた。一つの着想、アイディアとして大いに好奇心を搔き立てられた。

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    2023年10月03日
  • 国道16号線―「日本」を創った道―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    東京というのは道路が環状になっているのが不思議だった。環七、環八、郊外は16号線。これは古代より河川や流域、源流部の先の尾根沿いは住みやすいっていうことなんだ。江戸よりはるか昔から貝塚、古墳がある、生糸の輸出道路シルクロードということ、富岡製糸場の位置も改めて認識した。米軍基地を中心に音楽が入ってきてユーミンが生まれたというのも興味深かった。生物の話などもあり、いろんな話がてんこ盛りでおもしろかった。地理を知る。自然を知る。歌を知る。いいかも。

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    2023年06月21日