伊藤朱里のレビュー一覧
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ネタバレ4人姉妹と母。
家族だけどみんなそれぞれ生まれついた性格があり、互いを理解できずの日々。
長女は美人でおっとりしていて、昔から彼女に好意を持つ人たちの戦いが渦巻いていながらも、張本人の長女は何食わぬ顔で自由に過ごしている。
次女は美人の長女と比べられたり、問題児の三女に迷惑をかけられながらも、得意の勉強を武器に世界に飛び出していく。
三女は潔癖症でどこにも馴染めず何かと問題を起こしがちだったが、大人になって小説の新人賞を取りそれを生き甲斐にしている。
歳の離れた四女はそれぞれの姉たちのお下がりや説教にウンザリして、自分を見失いかけていたけれど、新しい世代ならではの生き方を模索している。 -
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元職場の女子会で恋人に娘ができたことを知らされる主人公・恵那
かつて家族間で起こったことや、以前働いていた職場でのこと
どうにも上手く自分を受け入れられず、生きづらさを抱えつづけている恵那…表面はへらへら取り繕っていても、そのしんどさがこっちにも伝わってきた
怒るべきところで上手く怒れない恵那の代わりに親友のメリッサが気持ちいいほどの怒りを表してくれる
物語として絶対必要だけれど、わりとメリッサも背負いこんでいるものは大きいんだよな…
巧みで繊細な文と恵那の心情がマッチしていた
ぐるぐると内へと沈み込むような内容なので元気なときに読むのをおススメします
本作は「名前も呼べない」と「お気に召す -
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森ちゃんの内側に住んでいるサイン、コサイン、タンジェントの3人が脳内会議を開き外界を測りにかける。
うぁー、三角関数とか無茶苦手なアレルゲンなんですけど。呼吸できなくなるんですけど、保健室行っていいですかっていいたくなる感じに読みづらかったんですが次第に慣れてくると、可愛いが大好きで愛想ふりまくサイン、勝気で毒舌おばさん入ってるコサイン、日和見主義でやりすごすタンジェント、内角に守られて自分を形成してる森ちゃんは、他人からの無自覚な悪意や好意からも傷ついてしまう知覚過敏で許容量超えるとフリーズしてしまうこともあったりで、女の子って器から抜けきれないでいる。
歯科助手の先輩には、毅然として隙のな -
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「好きと似合うがイコールじゃなくなったら死んだほうがマシ」
と混乱する “サイン”
「だったら死ねばっ」
と毒を吐く “コサイン”
「いやそれうちらも困るやん」
と茶々を入れる “タンジェント”
駅前のファッションピルに入っているショップで、洋服の試着をしている場面から始まる。
え〜〜(@_@)
サイン・コサイン・タンジェント
って、高校の時に苦戦した三角比!?
頭の中が苦手意識でいっぱいになる。
でも数学嫌いの皆さん、安心して下さい。
数学の話ではありません(笑)
主人公は、理不尽な事だらけの世の中を懸命に生きる女性、森ちゃん。
変化し続ける社会に対応し、女性である自分を守る -
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ネタバレ「名前も呼べない」
騙された... ずっと宝田(夫)と不倫してるのかと思ってた。これぞ、先入観です。
メリッサはとても素敵な人だと思いました。
「お気に召すまま」
割と好きでしたね。全部ものごとに理由をつけなきゃいけない奴らなんて放っておきなさい。というこにスカッとした。
最初の方読んでて、ずっと 元夫が頭良い嫌な人で "対等” な関係を望めなくて、自分というものを無くしてしまいそうになっている人の話かなと思ってたけど、違うかった。
生徒に対して 自分のせい だと思うのはやめなさい。そんなのは貴方の手にあまる問題であるし、1回や2回の過ちで、挽回の機会の一切を奪われる -
Posted by ブクログ
なんと表現していいのか。主人公の気持ちが痛いほどわかるし、敏感すぎにも思えるし、若さやかわいいさを重要視させらてきた過去の自分にもシンクロして、それが彼女の中の3人の意識と同化してざわざわします。加害者が「年配の男性」とも限らない、被害者が「若い女性」とも限らない、自分が被害者と思っていても加害者であるかもしれない。そして至る所にそれらは存在して"つぎたしのタレ"のようになくならない。そんな世の中はなんて生き難い。主人公がたどり着く、とにかく考えることをやめないことしかできないのかもしれない。感想をうまく言うことが難しい小説ですが、喉に小骨が引っかかったような読後感が残る小