伊藤朱里のレビュー一覧

  • 緑の花と赤い芝生

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    ネタバレ

    2人の対照的な女性の物語。皮肉を言う場面が多いが、皮肉の質が良いというか、読んでいて痛いところをつかれた..!という感じがして、笑ってしまう。例えば以下のような文が痛快だった。
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    兄と連れ立って現れた彼女を見たとき最初に抱いたのは好き嫌いよりも先に、「顔を覚えられないかもしれない」という危機感だった。一度写真を目にしていたにもかかわらず、だ。万人に嫌われないために好感度で個性を塗りつぶしたような、この手の美人はかなり判別の難易度が高い。
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    実生活でこんなことを言ったら大変なことになる。

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    2022年03月20日
  • 緑の花と赤い芝生

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    主人公は2人とも27歳。いわゆるアラサー女子を取り巻くあるあるを真逆のキャラクターで描いているんだけれど、アラサー辺りだけで終わる話ではなく、家族、人生の選択に関して永遠に悩む所が浮彫りになった一点を炙り出している痛いヒリヒリする話。

    そんなんだから貰い手がないそんなんだから結婚できないそんなんだからって、いつになったら認めてくれるのよ。なんで嫌な事、嫌って言ったら『もう大人なんだから落ち着け』になるのよ、なんで私は私なのに他の誰かを見習わなきゃいけないのよ、なんでなんでなんでっ!
    荒れ狂えば狂うほど母が冷めていくのが伝わってきた、分かっているのに止められなかった。アリ地獄みたいだった。

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    2019年12月01日
  • 名前も呼べない

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    ネタバレ

    表題作は入り込めなかったな。
    題名の意味も「こうゆうとこ??!!」って感じ。
    主人公の性格や言動がちょっとね・・

    「お気に召すまま」のほうがわかりやすかった。

    もっとどろどろぐるぐる心をえぐってくるかと思いきや、そうでもなかった。

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    2019年10月11日
  • 名前も呼べない

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    表題作は恵那を取り巻く様々な人たちのやや異色の関係が交錯する.退職後に開かれた飲み会で宝田主任に子供が生まれたことを聞かされて驚く恵那を罵倒するメリッサ.恵那は宝田の妻亮子にピアノを習っていたが,微妙な関係になっていた.メリッサは実は男で女装して活動しているものの本職は保育士.恵那と宝田の会話,メリッサとの会話,恵那の心持.どれもつかみにくい感じだ.「お気に召すまま」の方がしっくりした感じで共感を持てた.英語教師の美波は子供のころベッドの下の隙間に入り込み母の出て来いという声を無視した.程なく母は失踪し妹の有紀と父の三人暮らしだった.成長して結婚したが離婚し教師を続けている.生徒の中島文乃との

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    2016年12月04日
  • 名前も呼べない

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    ネタバレ

    第31回太宰治賞受賞作品。

    表題作『名前も呼べない』ほか、書下ろし短編『お気に召すまま』も収録されている。
    どちらも子ども時代に負った傷を身の内に宿したまま大人になった女性が、自らの罪と対峙するというモチーフが織り込まれている物語だった。傷を負った場面の状況は詳細に描写されていない。ただその時や現在の主人公の感情が、日常生活の合間にふと現れ痛切に語られる。だから読んでいる途中相当心抉られたのだが、でも最終的には癒しの物語だと思う。
    次回作も楽しみ。これは波長が合う人にはとことん合う系統の小説だと思う。孤独な女性の、生臭くない透明なリアリティがある。


    以下重要な部分のネタバレ含みます。

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    2016年11月17日
  • 名前も呼べない

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    太宰治賞の表題作も書き下ろしの併録作も非常に上手い。むしろ上手すぎるほど、描写にも構成にも隙がない。それだけにしんどい。こんなものばかり読んでいたら女性として生きることがとてつもない苦行に思えてきそうで困惑する。

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    2016年01月09日
  • 名前も呼べない

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    第31回太宰治賞受賞作。

    表題作は、所謂、不倫小説なのだが、読み進めていくうちに最初に戻って読み返したくなる著者のトリックにまんまと引っかかった。
    読み返してみると、著者は何も「嘘」をついていないことがわかり、ズブズブと物語にのめりこんでいってしまう。

    書き下ろしの2作目も、著者特有の女性主人公があまり明るくない過去の体験をベースに、「いま」を見つめていくお話なのだが、どこか品があって、どこか救いがあるところがいいな、とおもった。

    たまたまかもしれないが、『名前も呼べない』『お気に召すまま』両作品とも、どこか欠落した部分を抱え、「わたしなんて…」思考の強い主人公なのだ。わたしはこういう受

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    2015年12月23日
  • あなたが気づかなかった花

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    花のように名も違えば生き方も違う彼女たち。その美しさに優劣をつけられることもしばしば。自分を守る棘も時には必要だけど、使い所を間違えて人間関係をややこしくしたり。綺麗事だけでは生きられない、人生って難しいよね色々と。

    花言葉に添った話が進み、登場人物も繋がる連作短編集。ただ、登場人物が多くて繋がりが頭の中に残りにくかったな...

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    2025年11月23日
  • 名前も呼べない

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    「名前も呼べない」は、終盤に意味がわかると、思わず最初に戻ってしまいたくなるお話だった。
    一つ一つの描写が綺麗に書かれていて、すごく色んな比喩表現が丁寧だなと思った。
    「お気に召すまま」は、自分の中と重なる部分もあって色々考えさせられた。きっと、誰の人生にも後悔はあって、みんなそれに責任を背負って生きているのだと思う。
    どちらの話も、ズブズブと沼に落ちていくような終始暗い雰囲気が続くけれど、その重い雰囲気にまた魅了されていたと思う。
    今までにない読書体験だった。

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    2025年11月19日
  • きみはだれかのどうでもいい人

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    ネタバレ

    腹立つ相手がいても、「この人も誰かの大事な人なんだよな…クッソー…」と
    自分を律する話は よく聞く。

    そうやって自分を律することがよい と習ったわけではないけれど
    この流れをよく聞くから
    なんだかそうすることが正解なんだと思っていた。

    このタイトルを見てまず、「確かに」と思った。

    誰かの大事な人かどうかは そもそも不確かで、
    どちらかというと「誰かのどうでもいい人」な場合の方が高いんだよな。

    ひとつの職場の、
    4人の登場人物の主観に分けて、
    4章から成る本書。

    ちなみに、
    「君はだれかの大切な人」というフレーズは出てくるけれど
    「どうでもいい人」というフレーズは、直接的には出てこない

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    2025年10月01日
  • あなたが気づかなかった花

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    題名と表紙に惹かれて読んだ本♪
    各章に花の名前と花言葉がついており、花を検索してイメージを持ちながら読み進めていくのが楽しかった。
    各章に関係する登場人物が散らばってでてくるが、個人的には読み進めるうちに忘れてしまっている部分もあり、繋がりを見逃している部分もありそうで勿体無いなと思った。

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    2025年08月28日
  • ※個人の感想です

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    今っぽい、「あるある」とか思いながら軽く読める話かと思ったら、想像以上にヘビーで、薄さのわりに読み切るにもかなり時間がかかった。現代を生きていく中で心にささくれ立つ瞬間を、これでもかというほど繊細に鋭く切り取っているのは本当にすごいと思った。が、なんとなくこの作品のよさをきちんと感じられる前に読み切ってしまった感があり、周りではよかったと言う人がたくさんいた中で、自分の読解力が全然足りないなとちょっと落ち込んだ。

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    2025年07月30日
  • ※個人の感想です

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    SNSなどネット関連の話が中心の短編集。
    全4編で、登場人物が少しずつ重なっていたり、『サンダーボルト』という4人組韓国アイドルが全編通して関係していたりと群像劇っぽさもあります。

    ネットにはあまり明るくないですが、それでも、あ~こういうコメント、YouTubeで見るな〜など、現実を切り取っている感じがありました。

    妊活や炎上、整形のような難しいテーマが散りばめられているのと、強めな言葉も続出するので、読み終わって疲労している感じは…ありました。
    でも、こんなに誰かの心の中や気持ちの変化を見て取れる小説もなかなかないので面白く読みました。

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    2025年07月23日
  • ※個人の感想です

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    連作短編集4篇
    SNSの世界で繰り広げられるトーク。サンダーボルトという4人組のアイドルグループを核にアイドルになれなかった人や応援する人やアンチなどの言葉の応酬。個人の感想が声高に叫ばれる怖さが伝わってくる。

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    2025年06月05日
  • きみはだれかのどうでもいい人

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    タイトルからすでに不穏な響き
    自分にとって大事な人であっても、他の誰かから見たらどうでもよかったりする

    それは、私自身出会っても同じこと

    職場なんてどうでもいい人ばっかり、と私が思ってると同時に、私もきっとどうでもいい人と思われている

    どうでもいい、と思っていたからといって
    人を傷つけていい理由にはならないと思うけれど、無意識にしてしまうことはあるわけです

    なんか、その場面場面で
    ちょっとわかるなぁと思う

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    2025年04月28日
  • あなたが気づかなかった花

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    短編にそれぞれ花が登場し、その花言葉にちなんだ物語が展開するという構成。
    どんな花なのかな?と毎回調べて、頭の中でイメージしながら読みすすめた。全部はとてと覚えられないけど、一つでも自分の知識として残ればいいな。
    物語としては、水瀬さんのお話が好きだった。

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    2025年04月27日
  • きみはだれかのどうでもいい人

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    ネタバレ

    悩みがない人はひとりもいない。みんなそれぞれ地獄があって、みんな何かを抱えながら一生懸命働いて、一生懸命生きている。みんな必死だ。そんな現実をまざまざと突きつけられた。人間関係って本当に難しい。読んでいてとても疲れる本だった。

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    2025年04月17日
  • ピンク色なんかこわくない

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    面白いと思って読み始めたけれどだんだん気がふせってきました。忘れようとしてきたことを思い出させられるようなところのあるちょっとしんどい不思議なお話でした。

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    2025年02月08日
  • 内角のわたし

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    上手く言葉にできないけど、わたしという1人の人間に『サイン』『コサイン』『タンジェント』のそれぞれ違う考え方をする人格がいるの、わかるなあと思った。

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    2025年01月22日
  • きみはだれかのどうでもいい人

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    県税事務所で働く4人の女性と特別枠で採用された1人のアルバイトの女性。
    4つの章はそれぞれ4人の女性の目線からアルバイト女性への想いなどが描かれています。

    それぞれのバッググラウンドがあるわけですが、特にネガティブな部分が主に描かれていて、『まぁ、分からなくもないけど…』とも思いながら…なかなか重い気持ちになりました^^;

    でも、例えば『悪口』や『陰口』の類いって、言ってる方は『加害者』だし、言われてる方は『被害者』。
    だけど、その『加害者』を糾弾し『加害者』が弱い立場になると『被害者』になる。
    (て何を言ってるか分からないですね^^;)
    ネット社会の世の中、そんな流れってよくあるよな…て

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    2024年10月14日