伊集院静のレビュー一覧
-
ネタバレ 購入済み
堪能‼️
久し振りに小説を読んだと実感。伊集院静によって、サントリーという企業の成長の推移の中で、鳥井信治郎という創始者の姿が生き生きと描かれている。鳥井信治郎の生きざまは今だからこそ魅力的である。母こまから受け継がれた
「陰徳」という日本人の徳の中心にあった考え方は私も祖母に小さい頃から言われ続けた言葉でもあり懐かしかった。この考え方は主人公の一生を貫いたものでもある。なんといっても鳥井信治郎の生き様が、このコロナ禍の日々に元気をもらえた。夜中の二時まで一気に読み、実は眠れず下巻も読み始めてしまった。 -
Posted by ブクログ
大人って、大人に自然になるものではない。
歳をとれば、大人になるというわけでもない。
確かに、愚痴を言わないで、きちんと流儀を語ることは難しい。
若いものを批判することが、大人の流儀でもない。
世の中、幼稚すぎたり、軽薄すぎたり、いつの間にか
薄っぺらくなってきている。
人間は、ほとんど水分でできているが、
水よりも軽い存在になっているような 大人。
大人とは、いろんなものを味わい、噛み締めて、
そして、やっと 「ぼそり」と言えるものかもしれない。
伊集院静の この大人の流儀を読みながら、
不思議に、自分が 大人になりたいと思えるのがいい。
歳をとって、老人になっても、
大人になれてない自分に -
Posted by ブクログ
最後の章の「星~被災地から見たこの国」が心に残った。伊集院静の見解がすべて正しいかどうかはわからない。ひょっとしたら怒りの矛先を間違っているのかもしれない。でも怒らずにはいられないのだろう。伊集院アニキなら、神様にだって一言申すかもしれない。神奈川県にいたオイラはテレビのニュースで信じられない被災風景を見ていたけど伊集院アニキの言うように「喉元すげれば」って感じになっていたと思う。毎日増える被災志望者数を見ても実感がなかった。死というものを普段から考えてこなかったからだ。オイラは本当に近しい人の死を知らない。情けないが両親の死をきちんと受け止められるか自信がない。しっかりしろ、オレ!
-
Posted by ブクログ
タイトルは「追いかけるな」だが、それにまつわる話ばかりではないことは、このシリーズが始まってからのことだから驚かない。伊集院静はタイトルと内容でオイラの期待を見事に裏切ることが時々ある、良くも悪くも。それでも楽しく読んでしまうのはオイラが贔屓にしているからだ。正しいとか正しくないとかを期待していないのかもしれない。伊集院静らしいかどうかが大事なのだ。自分らしくいることって、もちろん自分のためなんだけど、どこから切っても自分らしくいることはそんなに簡単じゃない。何かのために自分を裏切るような選択をすることもあるだろう。伊集院静だって実はそういうこともあるのかしれないけど、何のためにそうするのかが