加藤徹のレビュー一覧
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上巻の「殷から唐・五代十国まで」ほど破天荒な人物は出て来ないものの、変わらず面白い
宋から清までは、古装劇の舞台やモデルになっていることが多く、馴染みがある
ところで、何度か本文に紹介されている北方謙三の「楊家将」、なぜ蕭太后の夫が穆宗ということで話が進んでいるのかが不思議だったのだが(時代的に穆宗の次の景宗が夫のはず)、この本で少し謎が解けた
それはそれとして、「楊家将」は続編の「血涙」も含めて面白いです
女傑蕭太后が主役の古装劇「燕雲台」も見応えのある大河ドラマ
古装劇では、ドロドロのいかにも後宮愛憎劇の舞台になりがちな清代が、最も後宮としてのシステムが整っているというのも興味深かった -
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フランス人の母と清朝外交官の父との間に生まれ、西太后に仕えた徳齢の書いた本。徳齢が女官を辞め西太后の死後、辛亥革命が起こった年に出版された。他より聞くところによれば事実誤認や実際には起こらなかったことも彼女の経験として書かれており相当程度割引て読まねばならないだろうがそれでも宮廷内のことは外へ漏らさないという決まりを厳しく守らせていた中国にあって日々の西太后を描出したこの著作は貴重。
歴史上では三大悪女のうちに数えられる西太后であるが、日々の生活の中でよき主人であろうとしていた気持ちが端々から感じ取れ、また徳齢もそのことを知り慈禧太后を慕っている気持ちに全編が覆われ、それがこの書を優しいもの -
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当たり前のことではあるが、中国人と日本人は違う。顔つきや肌の色は似た黄色人種で二者共に漢字を操る民族であっても、考え方も言葉も多くは異なる。誰も疑いようない事実ではあるが、最近化粧や食べるものが近づいてきた(グローバル化による均一化)せいなのか、黙っていればどちらが日本人か中国人か見分けがつかない事もある。気候までも日本と近いからなのか、沖縄出身の方は見分けても中国人の方を見分けられないことさえある。だが違う。
本書は中国に暮らした筆者が、日本人との違いについて中国人の成り立ちから辿っていく一冊である。タイトル「貝と羊」は中国人の気質をよく表した言葉だ。貝は農耕が生み出した余剰生産物を貨幣を用 -
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上半期一番のノンフィクションにして読み物だった。
パリ帰りで西太后に仕えた令嬢の回顧録だが、当時の清朝廷の文化や風習が克明で、着るもの食べるものという私の好物も満ち満ち。150品の食事、一日何度もの着替えとその都度のアクセサリー選び、謎のしきたりに女同士、また宦官から受ける嫉妬…。大奥だぜー。
かなりワガママで難しい西太后というばあさまに、忍耐と機知でもって接し、お気に入りの女官になった主人公・徳齢だが、2年ほどの職務の後はまた海外に出、この手記をものして自らプリンセスと名乗り豪奢な生涯を送ったそうで、心からのもののように描かれる西太后への慕情は果たして心からのものだったのか、などなど、後々ま -
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たまたま並行して読んだ「地図と拳」で中国三昧の読書になりました。
この本を読むまで、西太后という人がどんなに歴史に影響を及ぼした人が忘れていた。
大国である清の宮廷がどんなだったか興味を持ったのですが、筆者の徳齢と西太后そして清の皇帝やその人事を大変興味深く読みました。
日清戦争で日本がなぜ勝利できたか、その賠償金で次に向かったこと、諸外国が中国との貿易で得たもの。史実とは異なった平和と共同で進む道はなかったのかと残念に思う。
それにしても戦争の予算よりも西太后の予算が多く優先順位も高いとは、どうかしているとしか思えない。ホントか嘘か妃殺しや、朝鮮の閔妃事件など、この大陸は賄賂と寝返りが染 -
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試し読み
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言語とはその民族の文化そのものだと改めて認識した。日本人がどのように文字を獲得し、古代中国の深淵な哲学を自分たちの血肉にしていったのかが、丁寧に解説されている。古の日本人が中国と微妙な距離を取りながら、幸運にも恵まれて中国の属国化を免れた事情もよく理解できた。呉音と漢音は日本に入ってきた時代の差と勘違いしていたが、地域差(方言)だったのね。それも新しい知識となった。
最後に著者は現代日本人が漢籍を学ばなくなったことを嘆いているが、中国古代語を学ぶよりも外国語を学んだ方が圧倒的に実利的なのだから、限られた授業時間を英語学習に充てるのは仕方のないことだろう。だからこそSBIの北尾CEOのように英語 -
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本書は大変上手に読ませていく。読みはじめると止まらない。
まず、西太后を理解しなければならない理由が明確に述べられる。それは西太后が現代中国を知る上で如何に重要だからである。清朝末期が領土的にもナショナリズム的にも現代中国の原点であり、清朝末期こそが西太后の時代であった。実質的な建国はアメリカ合衆国より短いとまで言われている。
また、西太后をめぐる俗説の紹介が多数ある。史実ではないにしても西太后の人となりや当時の雰囲気をイメージすることができ面白かった。解説のなかで比喩や比較に中国史の有名人物を多用することも読んでいて面白い理由のひとつである。ヴェーバーの統治形態の類型をつかうことも理解をたす -
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著者は、
(以下引用)
十九世紀までの漢字文化圏で、強力な中流実務階級が育っていたのは、日本だけだった。
武士道的な行動倫理と、漢文的教養、そして「やまとだましい」という三点セットが、近代国家におしあげた。
と言います。
今の日本人には、行動倫理(行動規範と呼べるもの)も、漢文的教養も、ほぼありません。
捨て去ったと言った方が正しいかもしれません。
しかし、日本文化を形成する上で、漢文ほど、役に立ったものもありません。
また、日本が近代化する上で、西洋の概念を理解するのにも、非常に役立ちました。
今現在、漢文的教養、つまり中国古典等の知識を学ぶのは、
「時代に合わない」と思われています。
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自分は中高時代の歴史の授業で、第二次世界大戦の辺りの教え方にだいぶ違和感を抱いていた。
そこにはもちろん、あの戦争に関する「全て日本が悪うございました」という姿勢に対する情けなさや怒りもあったけれども、かといって、2chなどにある過激な反中的言説にも共感できかねた。
あまりに勧善懲悪的すぎるじゃないか、世の中そんなにシンプルではないんじゃないか、もとをただせば、そういう種類の違和感だったからだ。
こうした違和感の大本はたぶん三国志から得たのだと思う。
というのも、三国志という歴史を眺めてみると、歴史というのは嫌でも政治的にならざるをえない側面というか、それを余儀なくされる面があるんだとも -
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面白かった。
西太后は、女性的な専制君主だった、というのが筆者の基本的認識。
皇帝の母として、息子にかしづかれたいという願望のみで、決して自らが皇帝になる希望はなかったという。
少女期から、その死までを、丁寧に資料にあたりながら描き出されている。
巷間に流布している話も、これは根拠がある、これはない、とされていく。
清朝の統治システムが、それまでの王朝に比べ高度に完成されていたことの指摘が最初にあるので、西太后の行いがどの程度の異例さなのかが理解できる。
西太后の読み書きのレベルがについての話が興味深い。
中級の書記官の家の生まれたため、文書の読みはそれなりにできたけれど、書くほうは当て字