加藤徹のレビュー一覧
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[中華蒸留]中国史上において類い稀な 女傑として広く知られながらも、現代中国では国の衰亡をもたらしたとして評価が低い西太后。近年明らかになってきた、長きに渡り中国を治めてきた彼女の驚くべき半生を通し、中国の歴史意識や世界観にまで踏み込んだ意欲作です。著者は、『京劇』で第24回サントリー学芸賞を受賞した中国専門家の加藤徹。
このような人物がわずか一世紀ほど前に存在し、あの広大な領土を統べていたというのがまず驚き。政治や軍事に限らず、一私人としてもエピソードに事欠かない西太后という存在を通して、近代中国を興味深く学ぶことができるかと思います。著者が指摘するように、現代中国との奇妙な類似も見せる -
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日本人が中国から漢字を輸入し、それを自国の文化に昇華するまでの歴史を紐解いた一冊。
漢字・漢文を通して日本がいかに中国という大国と向き合ってきたか、漢字・漢文が日本の発展にいかに貢献してきたか、その経過が分かりやすくる解説されている。同じ日本の歴史でも、「漢字や漢文」という普段とは別の視点から切り取って見てみるとまた違った見え方をするのが面白い。
結局のところ、広い意味で国を発展させるのはこういった教養の蓄積なのかもしれない。教養とは直接何かに結びつくことがないという理由で無駄だと思われがち、軽視されがちだが、そういう一見して無駄とも思える教養が何か化学反応を起こして結果として役に立つものなの -
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一般の解説書は、孔子を聖人君子、論語を聖典的にとらえ、
非の打ち所のないもののように書かれていることが多いが、
本書は、歴史的な背景を踏まえつつ、淡々と推測される事実
を書いている。
従来のイメージからかけ離れた部分も多いが、それにより論語の
価値を貶めるものではなく、より深く読むための参考になる。
孔子についても、論語についても歴史的な資料が少なく、本当の
事実は誰にもわからないが、本書のような考え方も大変おもしろく、
興味深く読めた。
孔子のいうように、バランスのとれた考え方を持つためには、
いろいろな考え方に触れておくことが必要であり、本書の存在は
価値あるものである。 -
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ネタバレ-2006.09.12記
京劇が専門だという著者、加藤徹の「貝と羊の中国人」新潮新書。
任期満了でやっと退陣する小泉首相の靖国参拝への頑なな執着で、この数年、中国からの批判がずいぶん過熱したものだったが、その中国の開放経済による経済成長至上主義と、一党独裁の官僚的支配に過ぎない共産主義が矛盾しないで同居できる不思議を、中国史に詳しい著者が、古代より連綿とある貝と羊の文化の対比で読み解いてみせるが、その手際はなるほど判りやすく、時宜にも適った書で、ひろく読者に受け容れらるだろう。
中国の有史は殷・周にはじまる。ほぼ3000年の昔、中国東方系の民族であった殷と大陸西方系の民族の周 -
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西太后と、彼女が生きた清末の史実が淡々と綴られている。日本の幕末と同く、中国での清末の時代も、国内では地方勢力が力をつけ、海外の勢力も入り乱れた権力闘争が繰り広げられたという意味で、歴史好きには非常に面白い時代である。
そのような動乱期において、それほど政治に通じているわけでもない一人の女性が、50年にわたる強固な独裁体制を築いたからには、どんな酷い恐怖政治を行ったのかと考えてしまいがちだが、どうもそういうわけでもないらしい。彼女は政敵を見境なく殺すようなことはほとんどしておらず、また、そのような実力も持っていなかった(例外は珍妃くらい)。むしろ、朝廷内の守旧派と改革派、地方軍閥、太平天国のよ -
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