加藤徹のレビュー一覧

  • 西太后 大清帝国最後の光芒

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    面白かった。
    西太后は、女性的な専制君主だった、というのが筆者の基本的認識。
    皇帝の母として、息子にかしづかれたいという願望のみで、決して自らが皇帝になる希望はなかったという。

    少女期から、その死までを、丁寧に資料にあたりながら描き出されている。
    巷間に流布している話も、これは根拠がある、これはない、とされていく。
    清朝の統治システムが、それまでの王朝に比べ高度に完成されていたことの指摘が最初にあるので、西太后の行いがどの程度の異例さなのかが理解できる。

    西太后の読み書きのレベルがについての話が興味深い。
    中級の書記官の家の生まれたため、文書の読みはそれなりにできたけれど、書くほうは当て字なども多かったとか。
    こういった、これまで聞いたことのなかった話がたくさんある。
    他にも、東太后は愚昧ではなかったとか、西太后が熱河から帰還した際に、通る道を整備した事業がどの程度のものであったかなどは、具体的な様子も分かって面白い。

    この手の本の中で、本書が親切だと思えた点がある。
    人名が出てくる度にちゃんとルビが振ってある。
    一度出てきたら二度とは振らないという本が多い中、この配慮はありがたい。

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    2016年01月08日
  • 西太后 大清帝国最後の光芒

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    西太后といえば、幼少の皇帝を操り、政治は二の次で自らは贅沢三昧、それが清国滅亡のきっかけとなった。というのが歴史的評価だが、著者はそれに異を唱える。むしろ、この時代に女性がトップについたことは中国にとって幸運なことであり、結果的に中国はインドや東南アジア諸国のように完全に植民地支配されず、独立を保つことができたというのが著者の意見。

    西太后が贅沢を好み、国費を無駄にしたのは事実だが、彼女の欲望はそこまでだった。もし、彼女が中国の歴代男性権力者のように、自分の権威を示すために有能な家臣を殺害し、侵入してくる外国への挑発、戦争を繰り返していたら、中国は内乱やクーデターの連続でやがて列強から分割統治されていただろう。西太后が権力を維持した目的は自らの豪華な生活を維持したいだけだった。

    こうした身の回りのエゴだけに徹した女性が50年間中国を支配したことは、中国にとって結果オーライだった。

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    2015年08月11日
  • 西太后 大清帝国最後の光芒

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    西太后の生涯。
    現代の日中関係の基盤は西太后の君臨した清朝末期から築かれていた。
    読みやすくて面白かったです。

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    2015年07月04日
  • 西太后 大清帝国最後の光芒

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    [中華蒸留]中国史上において類い稀な 女傑として広く知られながらも、現代中国では国の衰亡をもたらしたとして評価が低い西太后。近年明らかになってきた、長きに渡り中国を治めてきた彼女の驚くべき半生を通し、中国の歴史意識や世界観にまで踏み込んだ意欲作です。著者は、『京劇』で第24回サントリー学芸賞を受賞した中国専門家の加藤徹。


    このような人物がわずか一世紀ほど前に存在し、あの広大な領土を統べていたというのがまず驚き。政治や軍事に限らず、一私人としてもエピソードに事欠かない西太后という存在を通して、近代中国を興味深く学ぶことができるかと思います。著者が指摘するように、現代中国との奇妙な類似も見せる西太后の治世は、今日の中国を考える上でも欠かせない点かもしれません。

    また、本書がただの歴史書に終わらないのは、著者が西太后という一つの物語から中国的なものの本質的を捉えようと試みているからだと思います。例えば、義和団事件の際に北京から逃げ出した西太后が、連合軍に敗北を喫したにもかかわらず都に凱旋する場面があるのですが、著者の下記のような解説を読むと、何故の凱旋なのか、そして勝者感がいったいどういうものかというのが如実に浮かび上がってきます。

    〜いったい彼女は誰に勝ったというのか。そのような疑問を持つのは、中国政治の常道を知らぬ野暮な外国人だけである。彼女は勝ったから凱旋したのではない。凱旋したから勝ったのである。〜

    久々に中国に関する作品を読みましたがやっぱり面白いですね☆5つ

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    2014年09月29日
  • 漢文の素養~誰が日本文化をつくったのか?~

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    日本人が中国から漢字を輸入し、それを自国の文化に昇華するまでの歴史を紐解いた一冊。
    漢字・漢文を通して日本がいかに中国という大国と向き合ってきたか、漢字・漢文が日本の発展にいかに貢献してきたか、その経過が分かりやすくる解説されている。同じ日本の歴史でも、「漢字や漢文」という普段とは別の視点から切り取って見てみるとまた違った見え方をするのが面白い。
    結局のところ、広い意味で国を発展させるのはこういった教養の蓄積なのかもしれない。教養とは直接何かに結びつくことがないという理由で無駄だと思われがち、軽視されがちだが、そういう一見して無駄とも思える教養が何か化学反応を起こして結果として役に立つものなのだろう。戦後に敗戦の理由として漢文の古典『孫子』の素養が足りなかったことを一番に挙げているというのもなかなか興味深い話だ(p222)。
    漢文というと現代ではほとんど関わりのないものに思えるが、日本人が遥か昔から密接に関わってきたという歴史を鑑みても、もっと漢文の意義が見直されてもいいような気がした。

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    2014年04月11日
  • 西太后 大清帝国最後の光芒

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    これは読み物として普通に面白かった。『蒼穹の昴』~『マンチュリアンリポート』に至る一連の作品があまりにも素晴らしくて、それで実際の歴史が知りたくなって手にとった本。だから、もともと小説で得た知識があったからこそ楽しめた、ってのもあると思うけど。実際に起こったこと、実存する人物像との対比も興味深かったけど、フィクション・ノンフィクションの織り交ぜ具合が絶妙で、件の作品の素晴らしさを改めて思い知らされる結果となりました。

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    2014年01月23日
  • 貝と羊の中国人

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    中国を大づかみ(大雑把でなく)に捉える優れた本だと思います。中国には言論後の自由がないことを常に思いやるべきという言葉に納得した。

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    2013年12月06日
  • 本当は危ない『論語』

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    一般の解説書は、孔子を聖人君子、論語を聖典的にとらえ、
    非の打ち所のないもののように書かれていることが多いが、
    本書は、歴史的な背景を踏まえつつ、淡々と推測される事実
    を書いている。
    従来のイメージからかけ離れた部分も多いが、それにより論語の
    価値を貶めるものではなく、より深く読むための参考になる。
    孔子についても、論語についても歴史的な資料が少なく、本当の
    事実は誰にもわからないが、本書のような考え方も大変おもしろく、
    興味深く読めた。
    孔子のいうように、バランスのとれた考え方を持つためには、
    いろいろな考え方に触れておくことが必要であり、本書の存在は
    価値あるものである。

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    2013年09月08日
  • 貝と羊の中国人

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    良書。中国人を理解するということ、異文化を理解すること、歴史に学ぶとはどういうことか、これらを全てを学べる本。
    トピックへの切り口も多面的で興味をそそられるものが多い。
    中国を理解するにあたって、読んでおきたい本。

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    2012年07月21日
  • 貝と羊の中国人

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    貝と羊は本音と建前。国土の広さゆえの自分のテリトリーの広さと領土問題。よくよくわかっていないとお互いに誤解を招きそうだ。6千万人の人口の壁による王朝の崩壊の繰り返し、士大夫という歴史の黒幕など面白い考え方だった。分量は少なめで、非常にわかりやすくコンパクトにまとめられていて、とても読みやすかった。

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    2012年07月12日
  • 本当は危ない『論語』

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    挑発的なタイトルですが、論語の成り立ち、孔子の人物像、発音、日本の歴史に与えた影響等を博識を以て分かりやすく解説。素読教育についても興味を持てました。

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    2012年06月30日
  • 貝と羊の中国人

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    ネタバレ

          -2006.09.12記

     京劇が専門だという著者、加藤徹の「貝と羊の中国人」新潮新書。
    任期満了でやっと退陣する小泉首相の靖国参拝への頑なな執着で、この数年、中国からの批判がずいぶん過熱したものだったが、その中国の開放経済による経済成長至上主義と、一党独裁の官僚的支配に過ぎない共産主義が矛盾しないで同居できる不思議を、中国史に詳しい著者が、古代より連綿とある貝と羊の文化の対比で読み解いてみせるが、その手際はなるほど判りやすく、時宜にも適った書で、ひろく読者に受け容れらるだろう。
     中国の有史は殷・周にはじまる。ほぼ3000年の昔、中国東方系の民族であった殷と大陸西方系の民族の周がぶつかりあって、現在中国・漢民族の祖型を形成してきた。殷最後の紂王を周の武王が倒し、周王朝が樹立されるのが、殷周革命(殷周易姓革命)だ。
    殷は農耕民族系であり、早くから流通経済が発達、子安貝を貨幣に用いていたという。王朝を「商」とも呼び、人々は「商人」とも自称していたというほどだから、商業的気質に富み、商人文化を発達させる。宗教も多神教で、神々はいかにも人間的な存在となる。この殷人的気質や文化の傾向を、著者は「貝の文化」と呼んで類型化する訳だ。
    他方、周は遊牧民族系に属し、厳しい自然とたえず対決しながら暮らす生活習慣は、「天」は至上となり、唯一至高の絶対神となる。人々もまた理念的・観念的傾向を帯び、主義を重んじ、善行や儀礼に無形の価値をおく。著者はこの周の文化を「羊の文化」と名づけ、対比的・対照的な二つの系譜が、3000年の歴史を陰陽に脈々と受け継がれ、現代中国の国民性をも規定しているという著者はいい、中国の分かり難さは、この構図をもって読み解けというのである。
    余談ながら、後の春秋時代に登場した孔子は、この周の文化伝統を重んじ、その復興を提唱し、「儒教」を創り上げたのだが、その孔子自身は遠く殷人の末裔だったというから、中国文化の深層を読み解くうえで象徴的なエピソードだと、紹介されているあたり面白い。

     私にとって印象にのこる知の発見は、中国問題からは逸れるが、江戸時代の佐藤信淵がすでに説いていたという近代国家日本の帝国主義的戦略のシナリオだ。以下はほぼ著者記述のまま書き置く。
    文政6(1823)年、農政学者の佐藤信淵(1769-1850)は、「混同秘策」という本を書いた。別名「宇内混同秘策」とも呼ばれる。この本の中で、佐藤は、日本が世界を征服する青写真を示した。まず江戸を東京と改称して「皇国(日本のこと)」の首都とし、幕藩体制を廃止して全国に道州制を敷き、天皇中心の中央集権国家を作る。そして、まず「満州」を征服し、それをかわきりに「支那」全土を征服して、世界征服の足がかりとする。そのいっぽう、フィリピンやマリアナ諸島にも進出し、日本本土の防備を固める。そして、彼が「産業の法教」と称する神国日本の精神によって、世界各国の人民を教化し、全世界(宇内)の大統一(混同)という大事業を達成する‥‥、と。
    明治維新から1945(S20)年の敗戦までの日本の国家戦略は、佐藤信淵の「混同秘策」の構想を、ほぼそのまま実行したものだったということになるが、著者によれば、この「混同秘策」の書は、戦前は各種の版本が出版され、国民のあいだでも広く読まれていた、とされ、石原莞爾が昭和初期に提唱した「世界最終戦論」も「大東亜共栄圏」の構想も、江戸時代のこの「混同秘策」の思想の延長線上にある、という訳である。

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    2022年10月14日
  • 貝と羊の中国人

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    著者が語る中国観を日本と比較したり、事例をふんだんに使ったりと、非常に分かり易く説明されており、これまで色々中国紹介本を読んできましたが、一番人に薦めたい本かなと思います。
    これからも付き合う必要がある以上、彼らの考え、彼らの力強さの源をこの本を振り返りながら知っていきたいなと。

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    2011年11月06日
  • 貝と羊の中国人

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    中国と関わりのある人は、必読です!
    「中国人の暗黙知」、中国人の語るタテマエとかくされたホンネをわかりやすく解説した本です。
    同著者の「本当は危ない『論語』」もおすすめです

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    2011年08月04日
  • 東洋脳×西洋脳 多極化する世界で生きるヒント

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    西洋脳と東洋脳、読んでいて確かに違いはあるって思った。イギリスの大学に出す日本についての論文には論ずる視点を沢山提供してくれる本だった。

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    2011年05月17日
  • 貝と羊の中国人

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    殷の文化と周の文化の融合が、後の中国人(現代も含めて)の価値観の土台となったという説をベースに進む。
    随所に現れる、日本との比較が大変興味深い。
    「東アジア」について考えさせられる一冊。

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    2011年04月16日
  • 西太后 大清帝国最後の光芒

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    西太后と、彼女が生きた清末の史実が淡々と綴られている。日本の幕末と同く、中国での清末の時代も、国内では地方勢力が力をつけ、海外の勢力も入り乱れた権力闘争が繰り広げられたという意味で、歴史好きには非常に面白い時代である。
    そのような動乱期において、それほど政治に通じているわけでもない一人の女性が、50年にわたる強固な独裁体制を築いたからには、どんな酷い恐怖政治を行ったのかと考えてしまいがちだが、どうもそういうわけでもないらしい。彼女は政敵を見境なく殺すようなことはほとんどしておらず、また、そのような実力も持っていなかった(例外は珍妃くらい)。むしろ、朝廷内の守旧派と改革派、地方軍閥、太平天国のような民間組織、諸外国などの対立をうまく利用して、バランスよく慎重に振る舞っているうちに、50年間生き延びることができた、というのが実情である。西太后の延命は、そのまま清国の延命に直結した。彼女は内政にも外交にも軍務にも疎かったが、末期症状の清国を50年も延命させたという意味では、極めて優秀な政治家だったのだと思う。

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    2011年04月10日
  • 東洋脳×西洋脳 多極化する世界で生きるヒント

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    ネタバレ

    東洋と西洋の考え方の違いを踏まえ、それぞれの文化の得意な部分を生かしていくヒントを与えてくれる本。ハイブリッド車のように、東洋と西洋の良さを相互作用によって、上手く動かしていくには、中国を知ろう!ということ。
    中国4000年の歴史に学ぶものは奥が深そう。

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    2012年01月08日
  • 本当は危ない『論語』

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    今年読んだ新書では初めて、読後に爽快感をおぼえた。中国古典物では浅野裕一先生の諸著作(本書の著者とは見解を異にするが)以来の面白さ。オススメです!

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    2011年02月17日
  • 漢文の素養~誰が日本文化をつくったのか?~

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    日本人はいつから漢字を使うようになったのか?卑弥呼は漢字を書けたのか?などから始まって、近代にいたるまでの、日本やその周辺国の人が書いた漢文を興味深く紹介。日本の国と漢字って、やっぱり切っても切り離せない仲らしい。カタカナ語が氾濫する今、「日本語の品格」っていう本を加藤先生に書いて欲しいな〜。

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    2011年09月09日