加藤徹のレビュー一覧
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ネタバレ中国人と接する機会があったとき、もう一度読み返すべき本。
中国人の考え方・文化・歴史からなぜ日本に敵対心を向けるのか?ということが文化的に理解でき、また、日本人として腹を立てる必要も無いことが納得できる。
中国人の実利の追求には凄まじいものがあるが、その反面、儒教に代表されるイデオロギーに殉じるのも同じ中国人である。現在中国の政治は共産主義、経済は資本主義の淵源はここにあるという。
この貝の文化と羊の文化から出発して、著者は流浪のノウハウ、中国人の頭の中、人口から見た中国史、ヒーローと社会階級、地政学から見た中国、黄帝と神武天皇、中国社会の多面性と説き進める。どの項目も非常に深い洞察と -
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タイトルは煽りが効いているけれど、まっとうな内容の本。論語の誕生・成立から発展に至るまでの歴史的経緯と、孔子の人となりの推測、そして、論語と日本のかかわりについて、既存の論語研究の成果を数多く引用しながら説明している。タイトルにある「危ない」とは、次の3点の意味での「危なっかしさ」を指していると私は理解した。
1.成立の経緯が不明なところがあり、孔子一門とは関係ない別の書物の言論が混じっていたり、孔子の弟子達による学閥の主導権争いの結果、孔子の言が歪められている可能性がある。実際、荀子の言と思しき文章が論語に紛れ込んでいるという指摘もある。
2.古典ゆえに表現技法が未発達で、読み方に曖昧性が -
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[ 内容 ]
財、貨、賭、買…。
義、美、善、養…。
貝のつく漢字と羊のつく漢字から、中国人の深層が垣間見える。
多神教的で有形の財貨を好んだ殷人の貝の文化。
一神教的で無形の主義を重んじた周人の羊の文化。
「ホンネ」と「タテマエ」を巧みに使い分ける中国人の祖型は、三千年前の殷周革命にあった。
漢字、語法、流民、人口、英雄、領土、国名など、あらゆる角度から、斬新かつ大胆な切り口で、中国と中国人の本質に迫る。
[ 目次 ]
第1章 貝の文化 羊の文化
第2章 流浪のノウハウ
第3章 中国人の頭の中
第4章 人口から見た中国史
第5章 ヒーローと社会階級
第6章 地政学から見た中国
第7章 黄帝 -
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ネタバレ[ 内容 ]
かつて漢文は、東アジアのエスペラントであり、日本人の教養の大動脈であった。
古代からの日本の歴史を「漢字」「漢文」からひもとくことで、日本人が何を思い、どんな試みの果てに、この国が築かれてきたのかが明らかになってくる。
日本人にとってまだ漢文が身近だったころ、漢文の力は政治・外交にどのように利用されたのか?
彼らは、漢文にどんな知性や思いを込めたのか?
―日本の発展の原動力となり、その文化・政治力を支えた「漢文の素養」をもう一度見直し、日本文化の豊かな可能性を提言する。
[ 目次 ]
第1章 卑弥呼は漢字が書けたのか
第2章 日本漢文の誕生
第3章 日本文明ができるまで
第4章 -
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ネタバレ[ 内容 ]
内憂外患にあえぐ落日の清朝にあって、ひときわ強い輝きを放った一代の女傑、西太后。わが子同治帝、甥の光緒帝の「帝母」として国政を左右し、死に際してなお、幼い溥儀を皇太子に指名した。
その治世は半世紀もの長きにわたる。
中級官僚の家に生まれ、十八歳で後宮に入った娘は、いかにしてカリスマ的支配を確立するに至ったか。
男性権力者とは異なる、彼女の野望の本質とは何か。
「稀代の悪女」のイメージを覆す評伝。
[ 目次 ]
第1章 清朝という時代
第2章 紫禁城の壁の中
第3章 戦争と政変
第4章 垂簾聴政の光と影
第5章 西太后と二人の皇帝
第6章 最後の十年
[ POP ]
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本書にも記されているが、明治期には江戸時代の流れもあって、漢文の素養が色濃く残っていて、明治期の作家の文章を見ると、それが如実に感じられる。だから現代のエンタテインメントな小説ばかりを読んでいて、ふと明治期の文人の作を読むと、アレレってな事に往々にしてなるのでアリマス。漱石もそうだし、弟子筋で昨今人気の内田百鬼園なんかにも、文章の端っこに漢文の影響があったりする。
我々も学校で漢文の授業を受けたりしたワケだけれど、アレはどうもツマラナイ。一応、国文学科志望であった拙者も漢文は(もw)苦手です。
先ず、読めなきゃ話にならんってんで、レ点だの何だの読み下し方を習うワケですが、漢字って字面の感 -
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孔子の生涯と『論語』という書物の成立過程について解説するとともに、とくに日本において孔子の思想がどのように受容されてきたのかということを、わかりやすく説明している本です。
『論語』という書物の成立過程とその読まれかたについて、興味深い実例を紹介している本として、おもしろく読めました。ただ、とくに日本文化に対する孔子の思想の影響については、じゅうぶんに説明されていないような印象もあります。とくに本書のタイトルになっている『論語』の「危ない」側面にかんしては、孔子がその後の東洋文明のかたちをきめた「志縁集団」の創始者であるということや、かつての日本人がそうした孔子の思想の「危ない」側面を熟知して